さしもしらじな

アイドル系のデトックス諸々

『クリス、いってきマス!!!』 / 梅棒

 

観に行ってきました〜!

 

 

絶対に、嫌いじゃないとは思ってたんですよ、色々な方のポストを見ながら。

だいたいの印象としては “歌謡曲でミュージカルをしてる” と言った感じなんですけど…

 

いや、めちゃくちゃ面白そうじゃないですか。

 

ただそれだけではなく、基本的にはダンスがメイン?でも演劇でもある?でもセリフはほとんど無し?

 

どゆこと?

 

というわけで百聞は一見に如かず、観に行きました。

 

 

いやぁ…面白かったなぁ。

 

 

敢えて言葉にするならば、無言劇+ダンス+狂言回し と言った感じ。このどう考えても新感覚なのに、新感覚とは歌ってないのが、面白いところなんだだよなぁ…言ってて損はないと思うのだけれど。

個人的には “無言劇” ってのが大きいのかなぁと。基本的にはJ-POPの歌謡曲を使っている以上、正確には “無言劇” ではない気もするのだけれど、ただ役者がほとんど話していない以上 “無言劇” になるのではないかと。

ただ、この “歌謡曲を使った無言劇” の面白いところは、登場人物の感情を現したところもあれば、場面状況の説明をしているところもあれば、ただただギャグ要素として使っているところもあるんですよ。なんだったら、この三つの要素のうち二つの要素が重なってるところもあったりするんですよ。ということは、観客としてはいちいち流れている歌謡曲がどの作用なのかチャネルを変えなきゃいけないし、その上で伝わらないところがあってもおかしくないのだけれど、なんか伝わってるんだよね…面白すぎる。

なんでなんだろうと思うのだけれど、たぶん基本的にはダンスだけに集中しているからなのだろうな…やっぱり動きが中心で、その後に歌謡曲をついて来させてる感じがする。

ある意味、能楽っぽいのかなぁ…能楽も 歌謡曲=短歌、ダンス=舞、それに狂言回しみたいな感じで当てはめようと思えばできるからなぁ…そう考えると、複雑なことをやっているようで、まっさらの前例がないわけでもないのか…それでも膨大な歌謡曲のなかから選ぶのは腐心しそうなところだけれど。

 

 

使用された楽曲はSpotifyでプレイリスト化されているのだけれど、これでほとんど劇を再構築できるの、面白いよなぁ…その気になれば、何度でも曲を聴いて感動を味わえるというのも、歌謡曲を使う大きな意義なんだろうな。

 

物語は直線的で前半に行われたことを後半で反復しつつ、それが後半では主人公の成長譚に繋がっているところとか、細かいけれど上手い。あとは、無言劇のままキャラもしっかり分かれているのが凄い。無言劇だから、セリフや語気でキャラ付けが出来ないはずなのだけれど、ビジュアルと国籍、あとはダンスの癖…身のこなしみたいなところも少しあったかな、でキャラを分けているのが単純に凄い。ここら辺は、キャラ紹介の時に、マンガチックのビジュをバックに映し出していたのも大きそう。つくづく美は細部に宿るだなぁ。

その細部を積み重ねて、もっと分かりにくくなっても不思議じゃないところが、理解できる “無言劇” になってるのが凄い。

 

そんななかで使われる楽曲なのだけれど、こればっかりは僕の不勉強が大きかったな…。最近の曲を知らなさすぎて、本当に知らない曲が多かったのよ。改めて、プレイリストを見ながら、「あの曲がウワサのあのバンドの曲なのね…!」となるパターンの多かったこと!

ただ、これは半ば逆接的なところなのだけれど、“全曲知っていた場合を考えた時の方が怖い” 。このあと、印象的な場面を書いて行こうと思うのだけれど、正直自分の知ってる曲の方が印象に残ってて、僕の経験上、脳のキャパ的に2時間程度なら全曲この熱量で書くことが可能なんだよなぁと…もっというと登場人物も10人程度しかいないので俳優さんの性格とか知った上で見たら、うーん文量が大変なことになりそう…

(ここら辺は、耳情報での記憶が一番強い性格というのも大きいか、流石に)

 

嬉しいやら、怖いやら。

 

というわけで、特に印象的な場面…というか楽曲を書いていこうと思います。

 

一番最初に印象的だったのは「GO!」だったな…ちゃんと歌詞を知ってたからか、ちゃんとシーンとして覚えてる…これはマジックだなぁ…聞くたびに思い出すんだろうな、これ。やっば、歌詞とシーンの合致具合+ダンスのかっこよさをなんとなく思い出すもの。

 

次は、「おっさん」…知らない曲だったのだけれど、ここは演劇演劇していて面白いなぁってのを思ってて、それとそれ以上に効果音がでかいのが面白くて…基本的に歌謡曲が流れてるので、相対的に効果音がデカくなってて、打撃音がマシマシになってくるのがジワジワ面白くなってたんですよね…意図してるのかどちらだったのだろう…?

 

「R.Y.U.S.E.I」はステップだけコピーしてるのがツボだったんですよ…めちゃくちゃ有名な振り付けがあるから、それをどこかでコピーするのかと思いきや、スルーしてステップだけ真似してるのが好き。

(あと、ライティングが本家のオマージュっぽかった気がする…舞台装置が広がったあと、背後から後光がさしてるあの感じ…LDHっぽい?)

 

そう、舞台装置も好きだったんだよなぁ…!可動式のデッカい舞台装置って夢があるよな!!!プロジェクションマッピングの演出もイカしてたし…そういうところに無駄がなくて、スマートさがあったのが好きなんだよな…!

 

「ウルトラリラックス」「わたしの願い事」はアンバーのキャラにあってていい選曲だったなぁ…てか、石野卓球のバックトラックの強度よ…何年前の曲だと思ってるんだ…

 

「ガラナ」は、知ってる曲なのに、知らないバージョンだから、そっちに気が逸れちゃって逆になにも覚えてないパターンっていうね…そんなことあるのか…いや、あったけど。ここら辺は、完全に自分の性格の問題だな…

 

「誘惑」からの流れは個人的に好きすぎるブロックだったな…

まず、「誘惑」の “Because I Love You” で音ハメするのが斬新すぎて。ヘドバンで入るのも好きだったのだけれど、その流れでサビメロ音ハメがくるのだけれど、あんま主旋律で音ハメすること少ない気がするんですよ。なぜなら、歌ってるから。その斬新さ、面白すぎる。

 

からの「バラ色の日々」は個人的な思い入れが強すぎて、グッときちゃったな…サンタになれなかったビクターと、これからサンタになるであろうクリスの対比に “追いかけても 追いかけても 逃げて行く月のように 指と指の間をすり抜ける バラ色の日々よ” の歌詞が非常に心揺さ振られたなぁ…

 

ラストの “Are You Believer?”ってのが、「サンタを信じられるかい?」みたいなところに繋がってるのかな…違うか。

 

それから飛行機に乗ってこっから各国飛び回り編になるのだけれど、舞台装置とプロジェクションマッピングのマジックを一番感じた瞬間だったのはこの飛行機だったかも。そしてここからの3国の演出の違いがハッキリしていて好きだったな…

 

ダンスで一番好きだったのは「Moscow」。シンプルに好み。やっぱり体格の違う人々のテンポだけはガッツリあってるダンスが好きなんだろうな…ここら辺はSMAP育ちって感じ。

 

「ヘビーローテーション」はここで一番大衆的な曲持ってくるの、熱いなぁって思ってた…ら、その後の「波乗りジョニー」が最高すぎて、全く覚えてないのよね…うん…「波乗りジョニー」のあのノリを味わうために舞台を観に行くみたいなところもあるから…ガッツリ作り込まれている中の、あからさまな “遊び枠” でしか得られない養分はあるんですよ…必ず!!!

このシーンだけ平然と替え歌とかするのも最高だったのよね…基本無言劇だからこそ、できちゃうこの感じ…複数箇所でやったら醒めると思うのだけれど、あそこだけでやるからある面白さ…劇全体から見た、そういう局地的な演出みたいなところをみちゃうのよね、なんか。

 

…で、クライマックスに行くのだけれど、こっから覚えている曲がないという。

 

いや、あるんですよ、ビクターとかアンバーの和解…雪解けと言った方があってる?とか、あそこの曲との合わせ具合とか最高だったなぁ、みたいな。

でも、これなぁ…完全に自分の不勉強なんですよね…演出として、今流行っている曲を後半に詰め込むことで、キャラと観客の気持ちが一体となって一緒に盛り上がるカタルシスみたいなところが生まれると思うのだけれど…僕が流行曲に疎すぎて物語としての熱さ、演出のカッコ良さに感動できても、歌謡曲に乗れてない上に、記憶も曖昧になっちゃってるっていう変な悔しさが残るという…曲を知ってたらもっとね…感動できたはずなんですよ…歌謡曲を使うからこその感情の乗れなさ…悔しさしかない。

 

あとまぁ、ビッケが分裂するあたりから自分の脳内に別の曲が流れ始めちゃったのも大きかったなぁ…これ流れたら涙腺終わるな、でも流れないよなぁ…みたいなこと思いながら観ちゃって、非常に申し訳ない。ほんと、ただただ申し訳ない。

ただ、この曲の演出版も観てみたくないと言えば嘘だな…

 

 

というより、この劇を観て、この曲が頭に流れてきて、改めて歌詞を見たりして、なんというかこの曲の意味も少し解釈が変わったんだよな…まぁ、一行目が “真夏の午後になって” だから先ず流れることはないのだけれど。ただ、この公演を観た後、“黙ってみている 落ちてくスーベニア” がジンジャービスケットにしか思えないのよ…てか、観劇した後に、別の楽曲の解釈がひとつ増えるって逆にどういう現象?

 

あの…なので、次観に行く時は、全部歌を頭に入れてから行こうと思います…その方が没入感は高いのと、今回みたいな事態が起きないと思うので…やっぱり劇は劇として楽しみたい!

あと、曲を聞いても物語自体がわかるわけでもなければ、ダンスの演出まで紐解けるわけではないから、そちらの方がたぶんより集中して楽しめるんだよな…そして流行曲をちゃんとキャッチアップしていこう。

 

というわけで、最終的にどんな感想なんだ!?とはなってしまったのだけれど、自分が思った通りハマったなぁという…知ってた。好きな要素しかないもん。あー次回も観に行こっ!

Â