LWのサイゼリヤ

ミラノ風ドリア300円

99/99/99 LWのサイゼリヤにようこそ

オタクのブログです。

/* メモ
トップ記事更新:24/11/30
2020年4月以降の記事は全部載せたがそれ以前の記事は絞っている
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*/

■『魔法少女七周忌♡うるかリユニオン』掲載中

あれから七年、皆が魔法を拗らせた。
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www.alphapolis.co.jp

 

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進撃の巨人
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『魔法少女七周忌♡うるかリユニオン(うるユニ)』あとがき
『席には限りがございます!(にはりが)』解説・大反省会1・大反省会2
『ゲーミング自殺、16連射アルマゲドン(ゲーマゲ)』解説
『皇白花には蛆が憑いている(すめうじ)』解説
『Vだけど、Vじゃない!(VV)』

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データサイエンティスト業務用リハビリ書籍感想
★データサイエンス系資格だいたい全部取った
データサイエンスエキスパート攻略
『入門 統計的因果推論(Judea Pearl)』メモ
統計検定1級とかいうゲームに勝利した
複雑ネットワーク科学入門書籍の感想
竹村彰通『新装改訂版 現代数理統計学』の感想
ポインタと確定記述、変数名と固有名のアナロジーについて
機械学習入門書籍レビュー

■その他
ここ最近のデスゲーム系ラノベを10冊読んだ
★東大卒無職のTwitter就活記
カードゲーム『CROSS GEAR』紹介/解説1・2・3・4
★マジでカードゲーム強い人たちにマジで強くなる方法聞いてきた
2023年買って良かったもの
★「生成AIの『学習』は学術用語だ」ということをそろそろちゃんと説明した方がいい
2023俺が選ぶ歌い手ベスト10
★就活に苦しむインテリの学生に社会の真実を教える
★『粛聖!!ロリ神レクイエム☆』はロリコンソングではありません
中学生ぶりにラノベ熱が再燃したので女性主人公ラノベレビュー1・2
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実用系アニメのポテンシャルを評価せよ
ガチャを叩く時代は終わった

24/12/26 ソシャゲのデータサイエンスというのはガチャの排出率を考えることではなくて……

【ChatGPTによるこの記事の要約】

かなり精度良い要約なのでこれだけ読めばいい気もする

この記事は、ソーシャルゲーム(ソシャゲ)のデータ分析に関する考察を述べています。以下は要約です:

ガチャの分析は単純な確率論
ソシャゲの「ガチャ」は収益やプレイ体験にとって重要だが、データサイエンティストが複雑な分析を行う必要はほとんどない。基本的な確率論(多項分布や幾何分布)で十分対応できる。また、ガチャは「真の母数が完全に把握できる」ため、他の確率が絡む分野(例:保険や金融商品)と比べて扱いやすい。

重要なのはユーザー行動の分析
データ分析の主な対象は、ガチャではなくユーザーのプレイ状況である。具体的には以下のような分析が行われる:

  • アクティブユーザー数やイベント効果の分析
  • 新規ユーザーのリテンション(定着率)の追跡
  • RFM分析を通じた課金傾向の把握

これらは一般的なtoCサービスと似ているが、ゲーム特有のドメイン知識が必要となる。

ゲームの閉鎖性が分析に影響
ゲーム世界は現実から断絶された閉鎖環境であり、ユーザー行動の動機が直感的に理解しづらい。一方で、外部環境からの影響を受けにくいため、安定した分析が可能になるという利点もある。

エンタメとデータの相性の悪さ
データ分析は過去データに基づくものだが、エンタメ分野は未来志向で新規性を重視する。この矛盾が、ゲームのコンテンツ内容に踏み込む分析を難しくする。結果的に、プランナーと相談しながら直感的な判断に頼らざるを得ない場合が多い。

留保的な結論
記事の内容は筆者の個人的な経験に基づいており、ソシャゲ業界全体の一般論ではない。ただし、少なくとも筆者のような考え方を持つ運営者がいたことを示している。

ガチャは大した確率モデルではない

俺は今データサイエンティストとして働いているが、自己紹介がてら「前いた会社ではソシャゲでちょっとデータ分析してたんすよ」的なことを言うと「つまりガチャの排出率設定とかやってたんすね」的な返しをされることが稀によくある。
確かにソシャゲと言えばガチャ、データ分析と言えば確率・統計、よってソシャゲのデータ分析と言えばガチャの確率・統計すなわち排出率という連想ゲームは自然ではある。

彦卿かよと思ったら新停雲来て熱かったガチャ

しかし収益上とプレイ上の重要性に反して、ガチャはわざわざデータサイエンティストが労力を払うほどの確率モデルではない。
というのも、数学的にはガチャは最も初歩的なくじ引きでしかないからだ。多項分布や幾何分布の期待値程度がわかっていれば、ビジネス上で必要な分析は事足りる(想定収益の概算など)。ステップアップや(裏)天井などの独自仕様を足したところで高校数学の範疇を出ず、そもそも一度開発を終えて運営フェイズに入ればガチャの立て付けはそう頻繁に更新しない。

補足565:逆に言えば高校レベルの数学がわかる必要はある。少なくとも「PU確率2%のガチャを50連引けば必ず当たる」と勘違いしない程度のリテラシーは欲しい。

少し統計がわかる人向けに書くと、ガチャは確率的な挙動をするビジネス上のキーファクターにしてはかなり珍しいことに「真の母数を最初から完全に把握している」という点で例外的に扱いやすいシステムとも言える(実現値から母数に遡る検定や推定全般を全く必要としないため、統計学というよりは確率論の領分)。
他の確率が絡む商品、例えば保険商品開発や金融商品取引ではこうはいかない。死亡確率や未来相場のようなクリティカルなパラメタないし確率変数の推定は社会情勢や災害のような外的要因に大きく左右され、それを知るデータ分析に大きな需要がある(ガチャにはない)。

平凡なサービス分析

ではガチャでなければ何を分析するのかと言うと、主にプレイ状況だ。
もう少し具体的にはログデータの分析、例えばイベントの効果を知るためのアクティブユーザー分析、新規ユニットの需要帯を知るためのユーザーセグメント別分析、初心者のリテンション模様を知るためのファネル分析など。何であれゲーム内のユーザー行動を分析することには専門知識の動員に値する複雑さとKPIに直結する需要がある。

補足566:他にもゲーム外でやれることとして時流を知るための競合分析や広告予算配分を最適化するためのマーケティング分析などもあるが、とりあえずはゲーム内の話に絞ることにする。

サービス内のユーザー行動を分析するという点ではこれらはソシャゲ特有の分析ではなく、世の中に数多あるtoC系サービス全般における分析内容とそう大きく変わらない。
例えばECサイトでは新規登録者が混乱せずにきちんと購入確定まで遷移しているかどうかを調べることが多いが、ソシャゲでも新規登録者がチュートリアルをつつがなく終えて育成に向かうような想定導線を辿っているかの追跡は重要だ。他に個別的な手法としてはより長く・頻繁に・多く金を使うユーザーの特徴を知るRFM分析などはいずれでも有効だろう。

ゲームという断絶された閉鎖世界

一方、ユーザー行動を分析する上でソシャゲに特有の点もある。
データ分析にはその領域特有のドメイン知識が必要なことはソシャゲに限った話でもないが、特にソシャゲにおいてはユーザーが参加しているゲーム環境が現実世界からほぼ完全に隔離された閉鎖世界であることが大きな問題になる。「領域に固有の細かい事情がある」というよりは「もはや一般的な事情が通用しない独自の世界を築いている」という方が近い。

これも一般的なECサイトと比較するのが分かりやすいかもしれない。
例えば適当なECサイトで日用品を購入するとき、缶詰を買うユーザーは食糧を備えておきたいのだろうし、防寒パンツを買うユーザーは冬で寒いのだろう。いずれにしてもサービス内での行動はサービス外における現実的な需要と対応しており、そのサービス自体には詳しくなくても行動動機は直感的に理解できることが多い。

ところが、ゲーム世界では全くそうはいかない。
遊びを生活から切り離して定義したのはたしかホイジンガだったと思うが、言ってしまえばソシャゲなんかやってもやらなくても生活には全く影響しないということが直感的な動機の理解を妨げる。
ゲーム内の行動は現実におけるあらゆる報酬に対応しない。武器を揃えたところで腹は膨れないし、サーバー一位になったところで冬は寒い。ユーザーがどうしてどうやって消費に至るのかというシンプルな属性分析ないしファネル分析を試みるだけで、分析者は「何が楽しくてこのゲームをやっているのか」という本質的な問いに向き合わなければならなくなる。
もっとも、この辺りはゲームプランナーの職能として概ね尽くされており、企画術以上に新しい論点があるわけではない。今言いたいのは、ゲームの分析は通常の生活からは根本的に断絶したユーザーの目的意識を把握しなければならないという点で他の多くのサービスとは異なるということだ(もちろん大きな目的意識だけではなく細かいシステムについても同様)。

一方、ゲームに特有の内界と外界の断絶が分析者にとってありがたいこともある。それは外部環境からの影響に対してゲーム内部のユーザー行動が極めて頑健なことだ。
ECサイトであれば競合サービスや社会全体の動向によって自前のサービス内での需要が大きく増減することは想像に難くない。楽天がプロテインを大安売りしたからAmazonでプロテインの売上が大きく下がるというようなことは当然よくあるだろう。
しかし、原神で足の速いシロネンがリリースされたからといって、スタレで足の速い飛霄の需要が下がることは有り得ないのだ。ゲーム内世界は他のゲーム内世界からさえも隔絶されており、ゲーム内の価値判断がゲーム世界内で完結しているために企画側で制御できない外乱による干渉は起こらないというメリットがある。

そもそもエンタメとデータの相性悪くない?

あとはソシャゲに限ったことでもなく、基本的にエンタメとデータは相性が悪いということを常々考えている。これは売れ行きやアクティブユーザー数のような表面的なKPI指標というよりは、ゲーム内ユニット性能のようなコンテンツ内容にまで踏み込んで分析をする際に顕著になってくることだ。

そもそもデータ分析とは基本的に過去志向の営みである。今までに累積されたデータを上手く解釈して過去に含まれる情報を抽出する主旨であり、未来予測ができるとは言ってもそれは過去の再生産を行っているに過ぎない。

一方で、エンタメは未来志向の新規性を常に求めてくる。例えばゲームで質的に最も歓迎されるのは新しい遊び感覚をもたらす新システムや新シナジーであり、過去の実装内容から容易に予想される効果しか持たないユニットは退屈なものとして敬遠される。よって何らかの施策を打つ(=新しいログデータを生成する)に際してはそれまでにないものを実装し、かつ、それが大きなインパクトを持つことが最も望ましい。

これをデータの言葉で言えば(回帰のイメージで言えば)、目的変数を説明するに際してかなり貢献度の高い説明変数が各データにそれぞれ個別に含まれているようなものだ。これは極めて頭の痛い状況であり、実際のところ、プランナーと相談しながら企画ドリブンで恣意的に切り分けた調査を行うくらいが妥協点になるだろう。

他の人のことは知らんけど(留保)

普段から自己紹介ついでに同業者に喋っていがちなことをつらつら書いたが、ソシャゲ会社はもう辞めてるし、ここに書いてあることを全てやれていたわけでもない。
そもそもソシャゲ会社のデータ活用度合いはかなりピンキリでコンセンサスがあるわけでもないので、ここに書いたことをソシャゲ業界の一般論と思われるとあまり良くない。データがわかるソシャゲ運営者の中にはこんなことを考えていた人が少なくとも一人はかつていたくらいの温度感で読むのが正しい。

24/12/21 7年間1352件全レスしてきたお題箱を縮小します

お題箱回答を縮小します

今まで7年近くに渡って1352件全レスしてきたお題箱の回答を縮小します。
今後は基本的にブログ用Twitterアカウント(→)で回答し、今までのように記事を書くのは長文回答したい投稿に絞ります。ちなみに三週間前くらいからもう新体制に移行しており、前回のお題箱記事(→)は既に長文回答したい投稿に絞ったものです。

これには決定的な出来事があったわけではなく、半年前くらいから「そろそろ潮時っぽいな」と薄々思っていたのが満潮になっただけです(実はお題箱回答記事にだけ何故か欲しいものリストが貼られていたのもモチベーションを保つための策だったりしたのですが、潮が満ちるのを防ぎきるほどの力はありませんでした)。
たぶん不特定多数へのギバーをやっている人間が遅かれ早かれ「もういいか」と思う要因がじわじわ積み重なっただけで、あまり独自性のある話でもありませんが、それでもやはり長くやってきて色々思うところはあるのでその辺をつらつらと書きます。

キャパオーバーや誹謗中傷のせいではない

まず安直な誤解を二つ解いておくと、回答を縮小する理由はキャパオーバーや誹謗中傷によるものではありません。
というのも、ここ一年くらいはお題箱への投稿ペースが異常に早くなっていて、末期はひと月当たり百件以上が殺到する状態でした。だから傍から見ると体力的・精神的にパンクしたように見える気がしますが、そういう事情は特にないということです。

実際、それほど遅延せず概ね最新分までの回答が追い付いていたことから明らかなように、ひと月あたり百件くらいは他の何も犠牲にせずに捌ける量です。「全レスがしんどかったら回答対象を絞ろう」とはずっと前から思っていましたが、実際に絞る必要は生じませんでした。

また、確かに投稿が増えるにつれて攻撃的なものも徐々に増えてはいましたが、それは別に構いません。匿名での攻撃なんて明日死ぬジジイの肩パンより軽いので普通に全レスしていましたし、世の中にはどうでもいい人がたくさんいることを許容しているのでそれ自体どうでもいいです。

こういう感じを目指してはいなかった

だから投稿量が増えたこと自体が直接的に問題だったわけではなく、それに伴って間接的に営みの質が変わっていたことが縮小の動機です。つまり「別に元々こういうことをしたかったわけではないな」と思い出したということです。

そもそも「LWのサイゼリヤ」という意味わからんブログタイトルは「俺がサイゼリヤで駄弁るようなことを書く場所にしよう」と思って名付けたものです。
大学帰りとかにサイゼリヤの四人ボックス席に溜まって興味のあることを取り留めなく駄弁るのをネット上で不特定多数に向けてやる、みたいなイメージでこのブログを作りました。ちなみに収益化に消極的なのもマネジメントとは程遠い放課後のダラダラ感からスタートしているからです。

だからお題箱のイメージも当初は「サイゼリヤの座席」でした(お題箱トップに「サイゼリヤ12番テーブル」とか書いてあるのはその名残)。
お題箱は非同期テキストコミュニケーションではあるにせよ、少なくとも理想としては「サイゼリヤのボックス座席で喋ってお互いに何か得られるといいね」という双方向性を目指しています。実際、初期のお題箱は僕にとっても関心がある話題が流通する互恵的な状態が保たれていました(ただ、これはこれで過去を美化しすぎているのであまり真に受けるべきではない気もしますが)。

しかし、お題箱は途中から「友達と同席するボックス席」というよりは「相談者を待つ回答席」になっていきました。つまりサイゼリヤのどっかのテーブルを僕が貸し切って、列に並ぶ人の相談に答えるみたいな場所になりました。
そういう変化自体は水が高きから低きに流れるが如く妥当なことではあります。そこそこ知識があってどんな質問にも無償で答え続ける変なやつがいれば外部からの相談が集まってくるでしょう。だから相談してくる人が悪いわけではないのはもちろん、僕自身も相談を受けるのが嫌というわけでもないです。
僕だって人間なので何かの縁があってこのブログを見つけた人が相談をしてくるのであれば答えられる範囲で答えたいし、僕の回答によって誰かがポジティブな方向に向かうのは明確に良いことだとは思っていて、どんな質問も例外とせず1352件も答え続けてきたのはそういうマインドによるものです(自分がこのタイプの善性というか返報思想を持っていることを知ったのがお題箱を始めた一番の収穫かもしれません)。しかもキャパにも余裕があるし暴言耐性S+なので誹謗中傷で心が折れることもありません。

だからそれはそれで変質を受け入れてやっていく選択肢もあったのですが、やっぱこれ続けなくていいなと思ったのは自分がほとんどの質問への回答をもはや面白いと思っていないことを自覚したからです。
文章を書くことは嫌いではないのでつまらなくはないですが、積極的に面白くやっているのかと聞かれるとそれは明確にNOです。「つまらなくはないけど面白くはない」レベルのことを収益も発生しない趣味のブログでやっていることには違和感があります。
この辺は僕の運用が間違っていたのかもしれません。僕は全然興味のない事柄に対しても中途半端に興味がある人より中身のあることを言えてしまうので、そうなると質問してきた人も「打てば響くんだな」と思って興味がないことをどんどん投げ込んでくる悪循環に陥ってしまいます。興味のない事柄は回答しない方向できっちりフィルタリングした方が良かったかもしれません。

ちなみに「面白くないだけでしんどいことはなかった」と言い切ってしまうのも嘘ではあって、論理的な質が低い投稿だけは答えるのがしんどかったです。
というのは、誤字脱字とか、「てにをは」が誤っているとか、単語の意味を間違えているみたいな表面的なミスのことではなく、論理展開が繋がっていないとか、概念や言葉の解像度が著しく低いとか、前提と仮定を切り分けていないとか、事実と感想を切り分けていないとか、文章に主旨が設定されていないとかいう深刻な論理的不備のことです。
そういう質問に正しく答えるためにはまず「これ何の話です?」「そもそも前提が誤っていて」みたいな大上段での切り分けと確認をやる必要があって、そこでやたらコストがかかる割には分解しても大したことを言っていないので得るものがありません。本当はもっと何か別のことを聞きたかったのかもしれないけれど、それを伝える言葉自体が欠如しているので芯を食った意思疎通ができず、答えたところで何にもなりません。
言語能力の多寡は必ずしも本人の責ではないので別に質問者が悪いわけではないのですが、お互いに得るものがなく疲弊するだけという無益さだけはしんどかったです。

良かったことも色々あった

もちろん良いこともたくさんありました。あったから7年も続けていました。

まずそもそも記事の書き方として質問への回答という形式は非常に優れています。
問題と答えが別人の担当としてはっきり分かれているので「そもそもこれは何の話なのか」という最も重要な論点設定で混乱することがない、他人の質問に答える責任がある以上は回答が途中で放棄されずに何かはクリアに出ることが保証されている、回答文も質問者に説明する体を取るので語り口をわかりやすくできる、など様々なメリットがあります。

またトピックとしても「聞かれなければ話さないけど、聞かれれば話す」という事柄はたくさんあって、そこを掘り当てる質問はこちらとしてもありがたいです。
ぶっちゃけその筆頭は自分語り系の記事ではあって、(表面的なプロフィール確認ではなく)語り甲斐のある信条とか生き様について聞いてくれればこっちも聞かれたのでやむを得ずという体で詳細に書けるのでとても楽です。実際、自分語りの権化みたいな記事は異常に伸びて就活などにも活用させて頂きました。
saize-lw.hatenablog.com

そういう「良い質問があると良い記事が書きやすい」ということについて、僕はよく「良いトスを上げてくれると良いスパイクをしやすい」とか言っています。
ただ回答側も事前に何が良いトスなのかはよくわかってない、つまり「こういうトス欲しいなあ」と思って待ってることはあんまりなくて(そこまでわかっていればもう自分で書くから)、質問箱に入っている投稿を読んで初めて「このトスは良いトスだな、よし書くか」みたいな流れがあると嬉しいところです。
まあ変な喩えを使わなくてもシンプルに頭の良い人がお題箱経由で論理的な質が高い指摘をしてくれて助かるみたいなことも昔はよくありました。僕の記事に対して建設的で正確なコメントが来るのは今も昔もありがたいことではあります。

あとは結果方面で良かったこととして、問題解決タイプの回答が実際に誰かの助けになっていたときはとても良かったなと思います。
note.com例えばこのnoteを読んだときはお題箱に答えて本当に良かったと思ったものです。僕なりに就活の意義を答えた記事からエッセンスをきちんと理解して実行できる就活生にリーチしてきっちり就活を成功させている、そういうポジティブな結果に繋がることは素直に嬉しいと思います。

お題箱縮小以外は変わりません

冒頭に書いた通り、今後のお題箱の運用は基本的にはTwitterに移管します。
別にお題箱自体が嫌になったわけではなく、ブログで全レスするのが適切ではないと思っただけなので、Twitterでは概ね全レスしているし(100%ではないけど)、文字数を使って答えたい投稿は今後もブログで答えます。
あとはお題箱に直接答える形ではなくても投稿に触発されて記事を書いたりすることはあると思います。今まではお題箱に担保されていた「聞かれなければ話さないけど、聞かれれば話す」レベルのことをもう少し自発的に書こうかなとも思っていて、今までの更新頻度からお題箱分を差っ引いた頻度よりはもう少し記事を書く頻度を上げたいとは思っています。
ただ、直近に限って言えば長編ラノベを書いているという全然別の事情があってしばらくは更新ペースが低めになるような気もします。


そんな感じです。LWのサイゼリヤを引き続きよろしくお願いします。
そして何か買ってもらえると嬉しいです。www.amazon.co.jp

24/12/18 お題箱回186:諸々

このブログでのお題箱回答を縮小します。
今後は原則としてブログ用Twitterアカウント(→)で回答し、記事を書くのは回答に長文が必要な投稿に絞ります。
経緯と所感と方針については思ったより長くなったのでまた別に記事を書きます。

お題箱回186

1348.「無職はつまらない人間になっていく」についてです。
これって他人とコミュニケーションを取らない人間はつまらなくなっていくと同義ですか?フリーターは有職ですが、フードデリバリーなど比較的他人とのコミュニケーションが少ない職種はここでいう無職とほぼ同じですか?

その傾向はありますが同義ではありません。
無職がつまらない人間になりがちなのは独自性や新規性を失うからです。他人が聞いたとき「へえ」「ほう」と面白く感じられる話には視点や内容に独特で新しい要素が必要で、それはその人に固有の見聞や思考を重ねることで形成されます。
仕事をしていれば新しい情報に触れる機会が多い一方、無職は誰にでもリーチできる情報や長く変化しない情報にしか触れないので引き出しがなくなっていきます。これはインプットの経路があるかどうかという話なので、正確に言えば仕事をしていてもマンネリな業務しかしていなければ面白くなくなっていったり、逆に無職でも色々精力的に活動している人が面白さを保ったりすることは有り得ます。
また、最もインプット効率が良いのは人間とのコミュニケーションですが、それに限られるわけでもありません。例えば一人で黙々とウーバーイーツをやり込んでいるやつが独自のルート選択や配送順序、昨今の報酬事情やそれを踏まえた今後の考え方などを語れるのであれば十分に面白い人間でいられると思います。

1349.以前に「会社は組織の目的を達成する場所であって自分の正義を実現する場所じゃない(2020)」や「会社員は会社は雇用主が現金リソースを変換して確保する作業リソースに過ぎないので動作不良は全部雇用主の責任(2021)」とおっしゃっていましたが、無職期間や転職を経て考え方は変わりましたか?また、どのようなマインド、就業態度で普段の業務をこなしていますか?
自分自身LWさんのこの言葉たちを胸に普段勤務しているのですが、我が強すぎて業務内容に納得ができないと進められないところがまだあるので、改めてお聞きして参考にしたいです。

年度付きで発言が引用されるの哲学者みたいですね。あまり変わっていませんが、ニュアンスが正確に伝わっているかわからないので改めて書きます。

既に書いた通り「組織の最終目的を定めるのは経営者や資本家、その目的達成のために労働力を供給するのが会社員」という構図は動きません。
会社員はあくまでも備品であって備品の買い主と利益を折半する立場ではないため、会社員が数億円単位の大きな成果を出しても上がる給与はせいぜい数百万円くらいです。

とはいえ、最終目的を達成する手段を遂行する限りにおいて会社員にも会社員なりの自由度があります。
最終目的が所与だとしてもそれを達成する手段まで完全に整えられていることは多くないため、最終目的を小目的にブレイクダウンして実行・達成していく部分で創造性を発揮でき、そういう仕事上の工夫には自己実現の余地も多くあります。

働く上で追加で考えるようになったこととして、会社員が最終目的を達成するにあたって「論理的な正しさ」は部分的な効力しか持たないということがあります。
例えば、信頼や認知負荷の問題はよく論理的な正しさと衝突します。ある(小)目的を達成するにあたってある手段が最も効率的であることを一人だけが知っていたとしても、その人の見込みが正しいという信頼がなければ採用されません(説明作業が必要)。同様に、皆が「せーの」で実行すれば最も効率的であるような手段があったとしても、新しい試みへの慣れは大きな認知的なコストを伴うため、その抵抗によって効率が理論値に達しないこともあります(導入作業が必要)。
要するに最終目的への漸近を測るのは「実際にそうなった」という現実的な基準であり、「理想的にこうすべき」という理論的な想定はその補助に過ぎないということです(人間の特性や系の大きさ・複雑さに起因するオーバーヘッドが色々ある)。

1350.自分の進路について悩んでいます。
人生相談そのもので申し訳無いです。私はとある大学の医学生なのですが、このままで良いのかと悩んでいます。
私は軽度のADHDを患っており、興味のある分野は1日中ぶっ通しで勉強出来るのですが、興味のない分野はそもそも目に入れることが苦痛になるくらい集中できません。問題なのは私にとって医学全般がこの「興味のない分野」であることです。講義内容もテストの過去問も全く頭に入りません。
医学科に入ったのも親に言われたからです。
大学に入ったはじめの方はまぁ医者なら食いっぱぐれないからいいやくらいの気持ちだったのですが、自分の人生を一人前になるのに十数年必要とする医者という職業に捧げるのには躊躇を感じますし、そもそも障害を持っている自分が果たして医者になって良いのかとも思います。

今からでも自分の興味のある分野の学部に再受験したほうがいいのでしょうか。

ご自身のブログで興味のあることはスッと理解できるが興味のない分野は理解に時間がかかるとおっしゃっていたので似たようなものを感じ質問させていただきました。

お目汚しとなったのなら大変申し訳ございません。

何かアドバイス頂ければ幸いです。

普通に考えれば転学部すべきだと思いますが(全く集中できない分野でこのまま卒業できるとも思えないので)、もし苦痛に喘ぎながらでもギリギリ卒業できるのであれば転学部しなくていい可能性もあるのでそっちについて書きます。

というのは、(研究を除く)学部での勉強と社会での仕事は結構違う営みなので、前者が合わなくても後者は合うケースもあるということです。
学部での勉強は目的を一旦脇に置いておいて確実な知識をボトムアップに積み上げていくものですが、社会での仕事はまず達成すべき目的があってその実現手段をトップダウンに分解していく順序です。
よって医学的な知識それ自体には全く興味がないとしても、自分が達成したい目的に対する手段としては有効であることを認められれば問題ないというルートが有り得ます(ゲームで遊ぶときにコントローラー自体に興味がある人はほとんどいない)。僕も大学でのコンピュータサイエンスの研究は全然面白くなかったのでエンジニアになる道を捨ててプランナーになったのですが、社会に出て目的達成のための道具としては面白いことがわかったので今は似たような領域に戻ってきています。

ただそのためには医学の目的自体にはある程度ポジティブである必要はあって(病人を助けたいとか医学的な謎を解きたいとか)、どんなに考えてもモチベが全くないのであれば転学部した方が良さそうな気もします(でも人生で何をしたいのかわかるのは大学を出てからのことも多いような気もする)。

1351.一日を有意義に使う方法でtodoリストを教えていただき、ありがとうございます。実践してみようと思います。追加で質問なのですが、LWさんはtodoリスト外のことはtodoリストの項目が終わるまでやらない運用にしていますか?例えば、SNSやソシャゲなどです。それともそれらも含めてtodoリストを作成してるのですか?

目的次第です。
TODOリストは手段なので、その使い方も目的から逆算して考えてください。今の目的は一日を有意義に過ごすことなので、自分が「今日を有意義に使った」と感じる条件に沿うかどうかでTODOリストの細かい運用を定義すべきです。
例えば途中で寄り道しても最終的にTODOリストに列挙した項目が終わっていれば有意義な一日だと感じられるのであれば他のことをしてもいいですが、少しでも寄り道すると一日を有意義に感じられなくなるとか、寄り道をすると本来のTODOリストに復帰できず最終的に一日を無駄にするのであれば寄り道を禁止すべきです。
まだ自己理解が甘くて自分がどんな過ごし方をすれば一日を有意義に感じるかどうかがわからないのであれば、様々なパターンを実験して確かめて決めてください。

TODOリストに限らずこの手のライフハックの基本は自己理解です。自己の適性を把握した上で自分にとって最適な手段を特定するのが正しい運用なので、安易に他人の真似で済ませずに自分への実験をちゃんとやってください。

ちなみに僕の場合は
・最終的にTODOリストに書いてあることが終わっていればよいので、TODOリストの項目が終わる見込みなら寄り道してもいい
・ソシャゲは努力してやるべき活動なのでTODOリストに記載する
・Twitterは努力してやらないべき活動なのでTODOリストに記載しない
です。

1352.大学2年生です。
やるべきことから逃避する癖が酷く、大学にほとんど行っていません。サークル等にも所属しておらず、大学に友人と呼べるような人がほとんどいません。他人との繋がりは、高校時代の友人とゲームをプレイするくらいです。
最近ちょっと孤独が辛く感じるようになってきたのですが、どこから、どのように改善すればよいのでしょうか。

大学に行ってサークルに所属して友達を作りましょう。
問題を直接解決できる行動を今すぐしましょう。そのゴール設定は動かなくて、あと考える余地があるとすれば細かいマインドセットや行動設計の話くらいです。

やるべきことから逃避する癖を直すにはやるべきことをやるしかないです。どうしてもダメなら専門家の力を借りて、とにかくやるべきことをやる方向に動くことだけは諦めないでください。
逆にやらない方がいいのは、やるべきことをやらない方向に動くことです。いまどき発達障害とか怠惰な特性への理解と配慮はどんどん進んでいますし、やらない方向で理論武装したり、やらないことが肯定されるコミュニティに所属したりすることは難しくありません。ネガティブな特性を容認していく方が楽なのは間違いないし、その楽さ自体を否定するつもりは全くありません。
ただ覚えておいてほしいのは、「こういう理由でやるべきことに取り組めないのだ」という客観的で合理的な正しい理由が発見されたとしても、それはそれとして人生は無慈悲に詰むということです。人生が詰むかどうかはただ取った行動によってのみ決まり、その経緯や理由を特に問いません。「お前は何も悪くないが、それはそれとしてお前は終わりだ」ということはよくあります。僕も人生のリザルト画面が見える年齢になってきてようやくそういうことがわかってきました。
これは倫理ではなく生死の話です。例えば裸で雪山に向かうことにアイスバケツチャレンジみたいな深い意味があったとしても、それはそれとしてそいつは確実に死にます。そういう状況です。「甘えてはいけない」とか「ちゃんとしないと駄目だ」みたいな精神論の話は全くしていなくて、「それは本当に死ぬからやめた方がいい」という生存方法の話をしています。

ちなみに僕も大学院退学間際くらいのタイミングで「大学出たら友達が作りにくくなりそうだな」と思い立ってオタク系のサークルを片っ端から回った時期があります。それは結局どこにも繋がらずに終わったのですが、同じようにバラ撒いた伏線のいくつかは他で実りましたし、そういう気の持ちよう自体は我ながらかなりファインプレーでした。俺もやったんだからさ……


何か買ってもらえると嬉しいです。www.amazon.co.jp

24/11/30 2024年10・11月消費&生成コンテンツ

デスゲームものを書こうと思って先行文献を調べたりしていた。

メディア別リスト

漫画(25冊)

マッシュル(全18巻)
アスミカケル(全4巻)
次回のデスゲームにご期待ください!!(全3巻)

書籍(23冊)

プリンセス・ギャンビット ~スパイと奴隷王女の王国転覆遊戯~
スタァ・ミライプロジェクト 歌姫編
デスループ令嬢は生き残る為に両手を血に染めるようです
名探偵は推理で殺す 依頼.1 大罪人バトルロイヤルに潜入せよ
徒花の館 キリング・ゲーム
不死者と暗殺者のデスゲーム製作活動
デスゲームに巻き込まれた山本さん、気ままにゲームバランスを崩壊させる
溝碧の倫理なき遊戯の壊し方
俺の現実は恋愛ゲーム?? ~かと思ったら命がけのゲームだった~
父さんな、デスゲーム運営で食っているんだ
人狼ゲーム
人狼ゲーム BEAST SIDE
人狼ゲーム CRAZY LIKE A FOX
人狼ゲーム PRISON BREAK
人狼ゲーム LOVERS
人狼ゲーム MAD LAND
人狼ゲーム LOST EDEN(上・下)
人狼ゲーム INFERNO
人狼ゲーム デスゲームの運営人
ニュースペックテキスト 情報セキュリティマネジメント 2024年度 [最新 シラバスver.3.4 対応]
仕事ではじめる機械学習
Pythonライブラリによる因果推論・因果探索[概念と実践] 因果機械学習の鍵を解く

良かった順リスト

人生に残るコンテンツ

(特になし)

消費して良かったコンテンツ

プリンセス・ギャンビット ~スパイと奴隷王女の王国転覆遊戯~
人狼ゲーム LOVERS
人狼ゲーム
人狼ゲーム デスゲームの運営人

消費して損はなかったコンテンツ

Pythonライブラリによる因果推論・因果探索[概念と実践] 因果機械学習の鍵を解く
スタァ・ミライプロジェクト 歌姫編
デスループ令嬢は生き残る為に両手を血に染めるようです
仕事ではじめる機械学習
人狼ゲーム BEAST SIDE
人狼ゲーム CRAZY LIKE A FOX
人狼ゲーム PRISON BREAK
人狼ゲーム MAD LAND
人狼ゲーム LOST EDEN(上・下)
人狼ゲーム INFERNO
名探偵は推理で殺す 依頼.1 大罪人バトルロイヤルに潜入せよ

たまに思い出すかもしれないくらいのコンテンツ

徒花の館 キリング・ゲーム
デスゲームに巻き込まれた山本さん、気ままにゲームバランスを崩壊させる
ニュースペックテキスト 情報セキュリティマネジメント 2024年度 [最新 シラバスver.3.4 対応]
マッシュル
次回のデスゲームにご期待ください!!
アスミカケル
不死者と暗殺者のデスゲーム製作活動

以降の人生でもう一度関わるかどうか怪しいコンテンツ

溝碧の倫理なき遊戯の壊し方
俺の現実は恋愛ゲーム?? ~かと思ったら命がけのゲームだった~
父さんな、デスゲーム運営で食っているんだ

ピックアップ

デスゲーム系ラノベ10冊

saize-lw.hatenablog.comまとめて書いた。プリンセス・ギャンビットの続刊をよろしくお願いします。

人狼ゲームシリーズ

川上亮のシリーズ作品。人狼も広義のデスゲームなので全部読んだ。
九作もあるが「十人前後の高校生が拉致され、ゲーム内で死ぬと本当に死ぬ人狼ゲームを強制的にプレイさせられる」という話を毎作繰り返すだけで、続き物としての連関はほぼない。
巻ごとに仕切り直して新しい参加者たちで改めてデスゲームを始める都合で、デスゲームのお約束を毎回毎回きっちりやるのが相当面白い。「広い部屋で全員が目覚める→ここはどこだ?→リアル人狼ゲームをプレイせよ……→ドッキリか?→とりあえず一人死ぬ→うわあああああ→もうやるしかないんだ……」という流れを繰り返し読むことになる。

そんな立て付けなのでリプレイ集のような趣もあるが、退屈せず全て面白く読めたし人狼ゲームの進行や定石についても勉強になった(俺は基本的にデスゲームが好きなので査定が甘くなっているのは確実にあるが)。
一応ルールが毎回全く同じというわけでは流石になく、異なるオプション役職を毎回入れ替えることでゲームや展開のバリエーションが確保されている。例えば『CRAZY LIKE A FOX』では狐役職がいたり、『MAD LAND』は村人の方が少ない狂人村だったりする(サブタイトル通り)。
また、シリーズ全体を通して本来の人狼とはルールが明確に異なるポイントとして、「村人たちが個人としても絶対に吊られたくない(吊られたら死ぬので)」ということがある(通常の人狼では自分がゲーム中に死亡しても最終的に陣営が勝利すればゲームとしては勝ちの扱いになるので、自分が死ぬこと自体は忌避されない)。とはいえ、そこはあまり違和感なく読めている。村人陣営としても自分を含む村人はなるべく減らさないに越したことはないのだし、そのおかげでちょっと新しい行動が生まれたりもする。

人狼ゲームの流れを踏まえると「登場人物たちは必ず高校生の男女で顔見知りが多い」という使い回し設定にもかなりの合理性があることがわかる。
人狼がゲームとして面白くない弱点は色々あるが、その中の一つに「序盤の指針が立てにくい」がある。後半になると人が減って情報が煮詰まってくるので色々推理のやりようもあるのだが、逆に人が多くて情報が少ない序盤はローラーやランダム吊りなどの機械的な作業になってしまいやすい。
それでは小説としてもゲームとしてもイマイチ面白くないので、この作品では解決策として人狼ゲームの進行とは無関係にプレイヤーたちが特定の誰かを殺したくなるようなインセンティブを外部から供給している。つまり、感情的に幼い高校生同士を顔見知りにしてしょうもないいざこざや愛憎を繰り広げてもらうことによって、論理的な推理とはまた別の部分で吊り先を指定する動機を作り、退屈な序盤を勝手に進めてもらっている。
そうやって高校生がワチャワチャしているうちにたくさんいるキャラも何となく掴めてくるし協力関係のラインも見えてきて、そこから終盤の推理や意外な真相に繋がっていく。そういうフォーマットの強固さとルールのバリエーションによって毎巻安定した面白さを作り出すことに成功している良シリーズ。

ゲームの性質上ネタバレにしかならないのでそれぞれの作品について細かくは書かないが、個人的な好みを言えば一作目『人狼ゲーム』、五作目『人狼ゲーム LOVERS』、九作目『人狼ゲーム デスゲームの運営人』あたりが特に良かった。
『人狼ゲーム』はシリーズ全体で一貫するフォーマットを初めて提示されて感心した、『人狼ゲーム LOVERS』は全員がクリア経験ありというハイレベル卓の中でクソ強いロリキャラ八木ひなたちゃんがめっちゃ萌えだった、『人狼ゲーム デスゲームの運営人』は今までと趣向を変えたギミックが面白かった。

次回のデスゲームにご期待ください!!

そういえば昔ジャンプラでも変則デスゲームものをやっていたのを思い出して読んだ。
デスゲームを題材にしたギャグコメディではあるが、壊滅的に面白くなかったラノベ『父さんな、デスゲーム運営で食っているんだ』と同じジレンマを全く越えられていない。つまり「デスゲームで笑いを取りたいが、デスゲームは人が死ぬので笑いごとではない」という矛盾に対するアンサーが特にないため、表面的な描写を少しでも掘り下げると一瞬で破綻する理解し難い内容になってしまっている。

とはいえ、あちらに比べるとまだそこそこ好感度が高い。何故なら、「デスゲームコメディをやる」という死にライン以外に「司会のお姉さんと参加者の少年でおねショタをやる」という生きラインがあるからだ。
言い換えると、デスゲーム文脈ではコメディを評価できないにせよ、デスゲーム司会のお姉さん文脈ではコメディに良さがある。特に「人が死ぬことはないが、デスゲーム司会としての経験が生きる」状況として作られた学級裁判編はそれが華々しく成功したエピソードだった。残念ながら俺はおねショタ属性がないのでそれほど刺さらなかったにせよ、欠点を補う魅力をそれなりに備えた粗削りな良作と評価してもいい。

マッシュル

本当につまらなかったが、それは俺が対象読者層ではないからだとこれほど強く確信できる漫画もない。
こういう漫画も少年漫画という括りの中では明確に必要なのだと思う。呪術廻戦とかチェンソーマンとか進撃の巨人みたいなオタク向けのハイコンテクスト少年漫画ばかりでも困ってしまうわけで、初めてジャンプを手に取って初めて漫画を読む少年向けに「漫画は面白いんだよ」ということをまず最初に伝える一周目の入門漫画が要る。漫画を読みすぎたオタクからすると手垢が付きすぎて未来視みたいに先が見えてしまう展開も、漫画を初めて読む人にとっては最大効率で原始的な面白さを伝えるギミックなのだ。

それはそれとして、作画上でとても興味深かったポイントとして「主人公が少なくともビジュアル的には全然マッチョではない」ということがある。
筋肉一本で魔法世界を制覇するというコンセプトの割には、主人公の少年が筋骨隆々ではなくむしろかなりの細身として描かれているのはなぜなのか? すぐ思いつく理由として「ギャグとしての意外性を描くため」や「単に筋骨隆々な主人公はかっこよくないから」などがあるが、個人的には「実は筋肉は常識の象徴だから」だと思う。
マッシュルではバトルシーンを含めてファンタジーに対するメタギャグ文脈が通底しており、特にボス戦では主語の大きい壮大な目的を垂れ流すボスキャラに対して主人公が「なんか自分のことを深いと思ってそう」みたいなことを言ってブッ倒すのがお決まりの流れになっている。付き合った上で論破するのではなくそもそも最初から付き合わない、相手の土俵に乗らない、徹底的に空気を読まない。
しかしそれは冷笑的な態度を取っているのではなく、むしろ「変に主語を大きくしないで身の周りのことを大切にして生きていこうよ」というポジティブで常識的な感性によるものだ。この主人公の立ち位置を踏まえると、魔法の世界で一人だけ筋肉で戦っていること自体が、魔法という地に足の付かない人類最大のファンタジーに対して誰でも知っている常識的な物理攻撃によって冷や水を浴びせるという構図でもあることが見えてくる。
だから主人公をボディビルダーのような膨れ上がった筋肉キャラにしてしまうと、それはそれで魔法ファンタジーに別の筋肉ファンタジーをぶつけることになってしまって主旨がズレてしまうのだろう。つまり主人公自身がムキムキの身体で「身の周りを大切にしよう」みたいなことを言うと、それはそれで筋肉教徒や自己実現みたいな文脈が付いてきて押し付けがましくなる、絵空事としての魔法へのカウンターにならずまた別の絵空事になってしまうということだ。

あと女性キャラが可愛かったのは明確に良かった(エロジジイ加点)。アイカツみたいなヒロイン可愛いしもうちょい出番あってもよくなかった?

アスミカケル

火ノ丸相撲が面白かったので読んだ。申し訳ないけどこっちは面白くなかった!
火ノ丸相撲で培った格闘描写や人物描写を活かしたクオリティの高い漫画だとは思うのだが、それ以外の立て付けのところで全然乗り切れなくて読み進めるのがしんどかった。別に漫画として不味かったところはなくて(やり方に瑕疵があったわけではなくて)、やろうとしたことが悉く刺さらなかったというのが正確な感想ではある。

明確な敗因が二点あって、まずMMAという題材が相撲に比べて楽しみにくかった。
「MMAでは何でもあり」というのは一見面白そうに見えて、何でもありすぎて論点が全然わからないのだ。打撃とか投げとか寝技に相性があるっぽいことはうっすらわかるが、今の課題に対して何故新しい技がアンサーになるのか、何がどう新しくてどのくらい凄いのかが全然わからなくて、タイプ相性が全くわからないポケモンをプレイしてるみたいだった。
MMAに比べると、火ノ丸相撲は「土俵から出るか手を付いたら負け」という物理的なルールが単純だし、基本的には力勝負の世界なので技で裏をかくという技巧的な文脈も理解しやすかったのだと思う。

もう一点は、主人公の魅力がなさすぎた。
死んでも相撲を諦めない狂人である火ノ丸相撲の潮と違って、アスミカケルの二兎はエンジンが弱い。祖父絡みで兄との確執があるが、それはMMAでクリアすべきなのかどうかがよくわからない(他の手段もあるのでは?)。また、兄貴が作中最大の仮想敵として設定されている割には根っからの悪人というわけでもなく、時には兄弟らしい距離感で助言したりするのも主人公のモチベーションをよくわからなくさせてしまっている。
いや、これはあまり良くない単純化だという自覚はある。アスミカケルではもっとリアルで一義的でないものを描きたかったという気持ちはわかる。いくら確執があっても血を分けた兄弟を完全な悪と断ずるほど家族関係は単純ではなくて、アンビバレントな葛藤と向き合いながら二兎が色々掴んでいくストーリーを想定していたのはわかる。でも流石に物語のモチベーションの根源にいるのがボケたジジイ一人というのはちょっと辛かったです!

あと女性キャラが可愛くなさすぎたのは明確に良くなかった(エロジジイ減点)。趣味は自由なのだがもうちょっと歩み寄る余地とかは……ないでしょうか?

仕事ではじめる機械学習

若干対象層じゃなかったけどまあ良著。
タイトル通り、今まで機械学習を使ってきていない組織が今から使うときの包括的なガイド。数理的なアルゴリズムの話だけではなく、プロジェクトの流れとかテスト時の諸注意とかパイプラインとか保守とか実務上の事柄がつらつら書いてある。数学的なレベルはそれほど高くないが、後半で一気に上がってくる印象もある。

特に良かった点として、実務的な効果検証としてアップリフトモデリングを紹介していたところがある。なぜか標準的な機械学習入門書にはそれほど書かれていないような気もするのだが、A/Bテストのように介入を想定した現実的な状況において本当に気にすべきメトリクスはたいてい介入後の値そのものというよりは介入有無に対する反実仮想的なアップリフト値である、というのは非常に正しい。

あとバンディットアルゴリズムの章が『ウェブ最適化ではじめる機械学習』(→)と被りすぎているのでパクりか?と思ったらあちらの著者が監修していたらしい。内容被って浮いてるしこっちにこんな詳細に書かなくてよくない?

Pythonライブラリによる因果推論・因果探索[概念と実践] 因果機械学習の鍵を解く

だいぶ良著。
主にpearl流での因果推論の理論から実装までを一冊に詰め込んでおり、今から実装を見据えて因果推論を触りたい人には最適っぽい教科書的な一冊。

理論パートは標準的な説明が載っているだけなので新たに学ぶことは特になかったが、この本で初めて学んでも良くはある。IVやSCを取り上げる割にはDIDやRDDを取り上げないというカバー範囲への微妙な違和感もなくはないが、それらは実装というよりは仮定の妥当性が鍵を握っているので、実践的なコードを紹介するという書籍の主旨にはそぐわないのかもしれない。
実装パートでは効果測定と因果探索がライブラリ付きで紹介されている。一から実装するのではなくて既存ライブラリを適切に紹介する本であり、悪く言えばブラックボックスの部分も多いが、よく言えば業務における即戦力とも言える。

正直なところ、本当の初学者がこれ一冊で因果推論を身に付けられるかどうかと言われると怪しい感じもするが、それはこの本に限った話でもない。因果推論自体が他のモデリングに比べて高度に抽象的で難解な概念や操作を扱う分野なのでそれはもう仕方ないことだ。どこから入っても色々自分で実装したり考えたりしながら少しずつ習得していくしかない。

ニュースペックテキスト 情報セキュリティマネジメント 2024年度 [最新 シラバスver.3.4 対応]

セキスペの勉強ついでにセキマネも取った。
セキマネはあらゆる意味でセキスペの完全下位互換なので本当に全く要らないのだが、2時間の試験を受けて合格すると会社から資格インセンティブが5万円貰えてしまうのでバイトとしての割があまりにも良すぎてついつい取ってしまった。異常にレートがいいし試験室に入る前にスマホや身分証を全て没収されるのでかなり闇バイトっぽい。
一応受ける試験はちゃんと全ての範囲を勉強するという自分ルールがあるので本屋で適当に手に取ったこれをちゃんと全部読んで問題も全部解いたが、新たに知ることはほとんどなかった。
新宿のブックオフに100円で売れた。

生成コンテンツ

新しいラノベを書き始めたのでその進捗も消費コンテンツ記事に書きます。持続可能な趣味として年に一本くらいは15万字前後で完結する中編ラノベを書いていきたいと思っております。

いま書いているのは「参加者が全員不死者のデスゲーム」みたいな話です(575)。いま35000字くらい書きました。

デスゲームに強制参加させられた八人の不死者たち。
「ゲーマーJK」及川(オイカワ)三途(サンズ)、「真祖吸血鬼」ヴァンヒール、「一流奇術師」遊道楽(ユドラ)、「バトルシスター」HEAVEN、「少女名探偵」シャルリロ、「トー横地雷系」萌え様、「帯刀軍人」無死(ムシ)、「継ぎ接ぎゾンビ」ゾンちゃん。
しかし首輪が爆発しても全身を潰されても誰も死なない、不死なので!
とりあえず運営を皆殺しにして帰宅しようとする不死者一同だったが、世界観がメチャクチャなこの八人を誰が何のためにどうやって集めたのかは割と気になる。
どうせ暇だし不毛なデスゲームを続行することに決め、真剣に殺し合ってもまあ死なないけど、不死者の絆は深まったり深まらなかったり。そして少しずつ見えてくるデスゲームの裏側は……?

みたいな感じです。今回の登場人物は全員美少女です。

24/11/23 お題箱回185:諸々

お題箱回185

1328.https://x.com/lw_ru/status/1855066212306399259

"意外とタイムラインがダメな感じになった"って具体的にどういうことですか?ツイートそのものは面白いけどタイムラインで流れてくるには内容がありすぎて疲れるとか、いざフォローしてみたら意外としょうもないツイートばっかりしてたとかですか?

面白い発言が多そうだと思ってフォローしたら生産性のない論争をする頻度が高かったということです。
持て余した言語能力を使って例えば個人間のどうでもいいことまで無駄に一般化して論戦するのはある種のインテリにありがちな挙動ではありますが、それを刺激的に感じる年齢はもう終わってしまいました。

1329.以前、にはりがの解説記事で『 面白いものが面白い理由を掘り下げる訓練はゲームプランナー時代にやったので~』
と仰られていましたが、具体的にはどのようなことを行っていたのでしょうか?  

入間人間の手口が~の記事を参考に好きな小説の文体分析をしてみた結果、面白さの機序を知るのって面白い! と思ったので質問させていただきました。
物語の配列方法やターゲットを意識した魅せ方など、文体を分析するだけでは掬えない面白さは色々あると思うので、何かオススメの方法などあれば教えて頂きたいです。

今見ると「ゲームプランナー時代に訓練した」というのは明らかに筆が乗りすぎで、それは単に「ゲームプランナー時代にもこのブログを更新していた」くらいの意味です。職業訓練的なカリキュラムが特別にあったわけではなく、今もブログやノートでやっているように面白かったものが面白かった理由の言語化をコンスタントに出力しているというだけです。
仰る通り面白さのレイヤーは文体とか構造とかビジュアルとか色々あると思うのですが、画一的な方法とかはあんまり考えたことがなくて、対象ごとにケースバイケースだと思います。強いて言えば、面白さは割と誰でもわかるものなので理屈すぎるところからスタートしてもあんまり筋が良くなくて、当たり前のことを当たり前に考えるという方が実感に近いです。

1330.ひよこ(@3F9XXmF5o719520)っていうミソジニー系のアカウントがバズりまくって余裕でほとんどのツイートが◯万いいねとか行ってるの見ると流石にヘルジャップすぎるだろ…😭みたいな気持ちになるんですが、これって実際以下の内どれが一番可能性高いんですかね

①ガチでヘルジャップ
②ひよこのツイートは別にミソジニーとかではない正当な批判で俺の感覚がおかしい
③ツイッターのいいね数とかそんなに意味はなく、気にしてもしょうがない

③だと思います。今のTwitterはミソジニー系インフルエンサーの下に国内のミソジニーのお兄さんたちが数万人くらい終結している終わりのSNSというだけです。
かつてはTwitterも公共空間のような扱いで社会的に振る舞う合理性を伴っていた時代もあったような気がするのですが、今は明確に便所の落書きなので隅っこにミソジニーのお兄さんたちが集うのも自然な流れだと思います。リアルでは言えないことを言う空間というのは居酒屋とか色々なところにあって、Twitterもそのカテゴリーに含まれる場所になっただけです。

1331.銀狼のデカいケツ(エロスギ罪)が天下を取れなかったのは何故でしょうか?

銀狼ってケツでかいですかね? どちらかというと全身細めのイメージでした。
銀狼はスタレで一番好きなキャラの中の一人ですが、あんまり人気が高そうなイメージはないです。クールな女友達キャラみたいなやつは女性プレイヤーに人気であってほしいけど実際の女性プレイヤーは全然興味ないことが知られています(俺調べ)。

1332.呪術ロスみたいな感じの、「〜が終わって悲しい」ってこと何かありますか?(あれば具体例も聞きたいです)
ツイート見てると新しい物事を消化していくのに忙しそうで、別れを惜しむイメージ湧かないです

漫画やアニメではないですが、小規模な個人歌い手や個人Vtuberが自然消滅しているのを見るたびにかなり悲しんでいます。
大手なら引退とか卒業が明確に宣言されてイベントが行われたりもするのですが、規模感のない個人はただコンテンツが更新されなくなるだけで明確にピリオドが打たれないため終わったかどうかわからないまま永遠にモヤモヤし続けることになります(たぶん本人もコンテンツが終わったのかどうかよくわかっていない)。
例えばこのチャンネルとかも歌が上手くて好きだったのですが、一年前くらいからなんとなく更新されなくなっていて今に至っています。
www.youtube.com

1333.「淫夢は人権侵害」について、どう捉えてるか聞きたいです。
自分は人権侵害であることに異議はないですが、よく言われるような同性愛者を馬鹿にしてるつもりはないです。「ふざけていない人間の一挙手一投足を切り抜けばなんでも面白い」みたいな現象が存在していて、当然そんなことは許されないから相手からの反撃がこない物(ホモビとか創価ビデオとか)を選んで実行してるだけな気がしてます。
悪い言い方をすると「俺が差別してるんじゃなくてみんなが差別してるものを選んで題材にしてるんだよ!」みたいになるので結局アウトなのは変わらないですけど……

仰る通り、実際の淫夢ユーザーは遊戯王MADとかと同じ文脈で面白い素材を共有して遊んでいるだけで、外野に糾弾されるような同性愛差別意識は実はそれほど持っていないということに同意します。
ただそういう内側の論理が社会的には通用しないことも十分理解できて、そもそもその面白がる文脈がわからないのが一点、多少文脈が違ったとしても外野からそう見えるというだけで差別と判定する理由としては十分であるというのがもう一点です。

1334.芥川賞を小馬鹿にしてそうですが、実際芥川賞をどのように感じてますか?
わざわざ皮肉る程には好感はあまり持っていないという認識で大丈夫ですか?

小馬鹿にしていませんし皮肉ったこともないです。認知が著しく歪んでいますね。
かなり好きというわけではないですが、毎回受賞作を読んでいるくらいには期待感があります。特に前回の受賞作品は面白かったので明確に面白かったですという記事を書いています(→)。

1335.お題箱[119]を拝読しての質問です。
https://saize-lw.hatenablog.com/entry/2020/02/06/142618

①「なぜ私は私なのか」問題(永井均の言う山括弧<私>問題)に対する、
 lwさんのスタンスについて、以下のように勝手に読み取りました。訂正補足頂けると幸いです。
 →心身一元論の限界を示す思考実験として有用性はあるかもしれないが、
  端的に自明であって哲学的に深い思索には繋がり得ない、というご見解?
②「なぜ私は私なのか」という問題はさておき、
 「自分が死んで永遠の無がやってくること(この自我体験が有限で閉じていること)」、
 このことは端的な未来の事実として認められると思います。
 lwさんは、この事実(自分の自我の終焉)そのものを、強く問題視・意識・恐怖することはありますか?
 (≒高村友也氏の『存在消滅』的な気持ちになることはあるか?)
③ある程度でも問題視・意識・恐怖なさっているという前提で、
 それに対してlwさんが取っている対応や具体的な行動があれば教えてほしいです。


なお、私の事例を記載すると、以下の通りになります。

①唯物論者。山括弧問題から哲学的ワンダーを感じることは認めるが、疑似問題であるとする立場。
(自我や「<私>の感覚」は物理現象であり、進化の過程で獲得した有用な錯覚であると解釈できる)
②一方、自我が錯覚であるとしても、自身の自我の終焉は強く問題視している。
 言い換えると、「自分のこの自我が錯覚だという確信はあるが、死にたくない」。
③適当に社会適応しつつ、ファストフード的に知的好奇心を慰めながらその日を凌いでいる。
(物理、数学、哲学、歴史、生物、社会学など、「我々はどこから来たのか」に繋がりそうなテーマをつまみ食い。)
 しかし、死の直前に大きな虚無感が襲ってくるのではないか、という漠然とした不安が消えない。
 
質問にかこつけた自分語りパートが長くて申し訳ございません。
要はやがて来る死の存在に対して、lwさんが何らかの構えや対策(?)をなさっているのかをお聞きしたいです。
うまくお伝えできていなかったら無視してください。よろしくお願いいたします。

お題箱119を書いたときとはまた微妙に考え方が変わっている気もしますが、現状は以下のような感じです。

①概ね仰る通りで、心身一元論の限界を示す思考実験としてかなり有用だと思います。自明という言い方もできますが、ここで言う自明というのは「思考の対象というよりは思考の条件であるために思考している時点で所与」という意味で、深い思索に繋がらないという意味ではありません(例えば所与である理由や影響を考えることは可能です)。

②自我体験の有限性が事実であるという前提に疑義があります。物質的な消滅と精神的な消滅を同一視する時点で唯物論的な考え方が前提になっていて、それを真としないのであれば必ずしも自我が有限であるとも限りません。また、自我は寝るときとかにも割とよくわからない状態になっている(中断してる?)ので死における終焉疑惑を殊更には深く意識していません。

③現状は特に問題視していないので何もしていませんが、死が迫ってくるともっと気になるのかもしれません。

1336.この世で絶対に自分にはできないと思うことはなんですか?

質問の意図がよくわかりませんが、大谷を超えるメジャーリーガーになるとか一兆円稼ぐとか現実的に不可能なことは色々あると思います。

1337.新宿爆撃すればlwに勝てるってコト!?

新宿付近にいることが多いのでその可能性はあります。

1338.性の目覚めは何時ごろですか?

明確な時期は記憶にありません。

1339.生きる上でのテーマは?

特にないですが、けっこうある人が多いらしいのでないこと自体がテーマなのかもしれません。

1340.今振り返るとあれ中二病だったな〜って思う言動はありますか?
ないと答えたら強制的に現在進行系であると解釈致します

あまり思い出せないですね。今も中二病みたいなラノベをずっと書いてるので現在進行形でいいと思います。
というのも、昨日読者によって僕のラノベの設定が網羅的にまとめられたページが公開されており、自分は思ったより中二病っぽい設定を無限に作ってるんだな……と初めて自覚しました。
scrapbox.io

1341.夫婦別姓に賛成ですか反対ですか?

「どちらかと言えば賛成」くらいです。積極的に賛同したい理由は特にないにせよ、個人として名字が変更される際の認知負荷を軽減するメリットがあるからです。
この辺は純粋に風習の話なので、時が経って旧世代が死滅すれば自然と夫婦別姓が是認されるだろうとは思っています。

1342.バカな人(AI絡みで意味不明な感じになってる絵描きとか)をひたすらバカにし続ける人って一番厄介じゃないですか?
「あんま人のこと悪くいうなよ」とか道徳ベースで攻撃するしかないけどインターネットで道徳が重視されることはないので何も打つ手がない

僕はAI絡みで独自に戦う絵師をバカだとは全く思っていませんが、狭量な基準で他人をバカにする人が極めて厄介であるということには同意します。
個人的にはこれは道徳というよりはコミュニケーションの問題だと思います。「理系的な情報だけが無条件に信頼されるべきだ」という一面的な基準しか持っておらず、全く異なる情報や信条を持っている人の存在を考慮できないのは単にコミュニケーションに必要な想像力が未熟だからです。
とはいえコミュニケーションはプロトコルでもあるので、単純なプロトコルの方がむしろ円滑に動作するコミュニティがあることは理解できます。そしてそこに安住している限りはプロトコルに疑義を抱くインセンティブがないので仰る通り解決の糸口はあまりないと思います。

1343.K家のミクさんが話題になるたびに、もう誰でもいいから止めてやれよ…という気持ちになるのですが、lwさんはどういった感情であのコンテンツを追っているのでしょうか

普通にyoutubeの夫婦アカウントみたいな感じです。他人の結婚生活を止めるとか止めないという話になるのが謎です。

1344.セクハラまたそれに相当するようなことを言われたりされたりした経験はありますか?

特にありません。

1345.ポジショントーク野郎呼ばわりされてて笑いましたがその自覚はありますか?(笑)

匿名の嘲笑ですら他人の言葉と僕の反応頼りで、自力では何も主張できない水準の頭で生きていくのってけっこうしんどくないです?

1346.書見台はどのようなものを使用していますか?

こんなやつです。三年前くらいに買いましたが全く問題なく使用できています。

1347.無性愛者ってガチで実在するんですか?
夢精愛者の間違いじゃないんですか?

調査していないので知りませんが実在するとは思います。
別に異性愛者や同性愛者でも24時間発情しているわけではなくて性的な感情が無であるタイミングもあると思うので、その状態が続いていると考えればそれほど理解し難い状態ではない気がします。


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24/11/15 お題箱回184:幼少期の教育方針、スタレのキャラetc

お題箱184

1313.LWさんって話の論点や粒度が異なっていたら的確に指摘しますよね。自分含めて世の中の人は割と適当に語ってしまう傾向にあるので、すごいなぁと思いました。(感想文)

ありがとうございます。
僕からの見え方としては逆で、ふだん接する職場の人や友人たちは概ね違和感のない水準で正確に言葉を使っている一方、お題箱を含むネットでは例外的に概念や論理の解像度が甘い文章をよく見かけるという方が実感には近いです。

1314.以前は養命酒について辛辣な事を書かれていましたが、今現在の健康管理デッキに入っているのは何かきっかけがあったのでしょうか?(加齢による効果の実感など)

以前に飲んだときよりは年を取ったのでそろそろ効くようになったかなと思って買ってみました。
結論特に効いていませんが捨てるわけにもいかないので気が向いたら飲んでいます。味は別に嫌いではないのでまた五年後くらいに再チャレンジする気がします。

1315.デスゲームラノベを読み漁ってるみたいですが、ある程度読み終わった後に以前やっていたラノベ100冊感想(?)みたいな感じで感想を書く予定はありますか?読みたいです。

書きました!
saize-lw.hatenablog.com最近はデスゲームの流れで人狼ゲームシリーズ(川上亮)を読んでいます。

1316.国立附属小→灘→浪人→東大理3→開業医という経歴の方が、親が早くから英才教育(幼稚園から塾通い)してくれたのでスタートダッシュで上にいけた、と親御さんの教育方針に感謝していました。以前拝見したLWさんの経歴と被るような記憶があるのですが、LWさんは何か家庭の教育方針に感謝していることはありますか?もしくは教育方針のどの部分が今のLWさんを形成したと思いますか?

もちろん教育資本を投下してくれたことには感謝していますが、特に幼少期の教育に関してはその人とはだいぶ異なると思います。
なんか根本的に誤解がありそうなのは、別に親の教育方針のおかげで僕の頭が良くなったわけではなくて、最初から僕の頭が良かったのでそれに合わせて親の教育方針が策定されたという順序です。
saize-lw.hatenablog.com詳しくはこの記事に書きましたが、何もしていない段階でもう全国一位を取ったので流石にフルチャンすぎてもったいないから塾に行かせることになったという経緯です。親の教育モチベは子供に全国模試を受けさせる程度にはあったにせよ、それ以上にめちゃめちゃ高かったわけではないです。
特にSAPIXへの塾通いを決めたのは親ではなく僕です。親は「中学受験するにしても塾に入れるのは小五とかで良くね?」と考えていたのですが、僕が「塾に入れてくれ」とゴネまくるので泣く泣く小三くらいで入れる羽目になっています。めっちゃ空手の才能がありそうなガキが「どうしても空手教室に行かせてくれ」とゴネたら親としては入れざるを得ないのと同じで、めっちゃ勉強の才能がありそうなガキが「どうしてもSAPIXに行かせてくれ」とゴネたのでやむを得ず入れることになった感じです。
ちなみに当時の僕のSAPIXモチベは異常で、学校で大怪我をして傷口を縫ったその日にも「今日の模試は絶対に受ける」とゴネまくって聞かず、親と医者の制止を振り切って特別に別室で受験させてもらったという謎のエピソードがあります(成績が神的に良いガキは塾にとって最強のお客様なので大抵のゴネは通る)。
だから親の教育のおかげとはあんまり思ってなくて、基本的には自分のおかげだけど親はサポーターとして理解のある動きをしてくれたのでそこはありがとうというのが一番正確な認識です。

1317.世間の評価と自分の感覚が乖離激しい時ってどうやって納得してますか?こないだレディプレイヤー1見てあまりの面白くなさ(とオチの不快さ)に吐きそうになったんですが、レビューは大絶賛で何か違う物見てたのかと思いました。

人によって感性は違うのでそんなに気にしていません。ちなみに僕はレディプレイヤー1けっこう好きです。
自分と世間の評価が違うこと自体は問題ではないですが、「世間の評価はこんなもんだろう」という見積もりを大きく外すことを問題だと感じます。例えばマッシュルは僕は面白いとは全く思わないものの世間で高く評価されるのも理解できる一方(問題なし)、チェンソーマンは僕は好きですが世間的にここまで流行っている理由が理解できていません(問題あり)。

1318.池っち店長に関する質問の回答、ありがとうございます。周りの評価を気にせずTwitterで暴れる変人だからこそエンタメへの行動力やアイデアに溢れた人間であるという言葉、確かになと思いました。以前LWさんが書いたぼっちちゃんに対する評価と似てるなと思いました。

そうですね。割合で言えば変人の中でもバリュー出せる人は少ないと思いますが、バリューを出す人のうちには変人性を武器にしている人が一定数いるという感じです。適切な形式の出力さえできればオリジナリティは最強の武器であり、それは変人性とニアリーイコールです。

1319.今からブログやるならはてなかnoteかそれ以外でも、どのプラットフォームでやるかおすすめありますか?
またLWさんがはてなで続けてるのは理由ありますか?(単にロックインされてるだけ?)

はてなかnoteの二択だと思います。はてなの方が自由度が高いですがnoteの方が気軽で、自分好みに使いたいならはてな、長いテキストを置く場所が欲しいだけならnoteというイメージです。
はてなを続けているのは他のブログサービスを色々使ってきた中ではてなが最も融通が効いて使いやすかったからです。このブログも元々はlivedoorでしたがCSSやHTMLの取り回しに難があったので途中からこっちに移ってきました。今後も明確な不便がなければこのままはてなを使うと思います。

1320.LWさんのお題箱に限らずインターネットの質問箱的なサービスで質問する人ってなんというかナイーブで繊細な人みたいなのが多くないですか?まあそもそも強い人は知らんやつに意見求めたりしないだろうし当たり前と言えば当たり前ですが

まあそんな傾向はあるかもしれません。人の意見を聞きたくなる人のうちで繊細な人はそれなりのシェアを占めている気はします。

1321.LWさんは他人の質問箱とかに質問投げたことってありますか?

ほぼないですが、イラストレーターの質問箱に応援とか感想を書いていることがごく稀にあります。

1322.姉がいるんですか?

います! 稀にしか言及しないせいで言及するたびに聞かれている気がします。

1323.不愉快なツイートとか見るとかなり引きずってイライラしてしまうんですが、これもうツイッターそのものを辞めたほうがいいんですかね
不愉快ものとか見たときってどう自分のメンタルを落ち着かせてますか?

Twitterを使う利害を総合してプラマイプラスかマイナスかという話なので他の便益次第です。
あまりないですが、どうしても何かネガティブなことを言いたい場合は身内のdiscordに持って行ったりはします。Twitterで戦うの本当に意味ないので、そういう他のチャンネルがあった方がバッファになる気がします。

1324.自身の弱みと強みをどう認識していますか?

体ベースではなく、本音ベースでお聞きしたいです

強みは頭が良いことです。めちゃめちゃ難しいことを垂直に突き詰める理学部タイプというよりはそれなりに難しい程度のことを水平に広げる工学部タイプです。
弱みは関心の偏りです。興味を向けたものは一瞬で吸収する反面、興味がないものはそもそも認識しないので、ごく簡単なことを全く知らなかったりわからなかったりすることがよくあります。
強みと弱みが絡まって「平時の知的水準からしてわかっていないわけがないことを全くわかっていないフリをするのでふざけているのかと思った」という誤解を受けることが昔からよくあって、最近はだいぶ直ってきたと思っていますが多分まだ大量にあります(認識していないことは探知できない)。

1325.スタレのトパーズの動物好きって設定とその描き方かなり上手じゃないですか?
表はツンツンしてるけど実は可愛い動物が大好き!みたいなギャップ萌え的な描き方じゃなくて、冷徹なビジネスパーソンとしての一面と動物好きでプーマン連れ歩いている一面が自然な形で両立してキャラクターを多面的に描けてるのかなり面白いと思います。

トパーズに限らずスタレのキャラクターってAかと思いきや実はBが本性、みたいな描き方ではなくてAとBが自然に両立している多面的な描き方をされていることが多い気がするんですが、お前どう?

完全に同意します。
もう投稿に全部書いてあるので改めて補足することもないのですが、ルアンメェイとかも終始良い人風に振る舞っているのに出力されてる行動は全部ヤバいみたいな描き方がとても良いです(マッドサイエンティストの高笑いみたいな安いムーブを絶対にしない)。
そういう性格と思想をきっちり分けたキャラクターの描き方ってユーザーの解釈リテラシーを要求するのでリスキーではあって(トパーズが敵対するシーンでもなお穏やかに喋るよりは一気にキレた方がわかりやすくはある)、こういうちゃんとプレイヤーを信頼したコンテンツがめちゃめちゃ売れているのは非常に希望のあることだと思います。

1326.やらないソシャゲの萌えキャラ情報をチェックしてるのってどういうモチベーションなんですか?おかげで助かっています。

僕はゲームシステムよりはキャラが好きで、キャラを知るためにゲームをプレイする必要は特にないというだけです。
最近だと鳴潮がマジで熱くてショアキーパーからのツバキで完全に流れを掴んでいます。

1327.男同士でケアしろと言いつつも実際男同士で集まると「ホモソーシャル!!!」とか発狂しだすフェミニストの馬鹿っぷりって何なんですかね

今まで来た質問には全部答えていますが、投稿が増え続けているしこのレベルのやつってそろそろ答えなくてもいいですかね?


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24/11/4 ここ最近のデスゲーム系ラノベを10冊読んだ

★★★★:読んでよい
★★★☆:読んでもよい
★★☆☆:読まなくてもよい
★☆☆☆:読まなくてよい
☆☆☆☆:これは何?

 

デスゲームラノベ10冊読んだ

デスゲームラノベを10冊読んだ。
『死亡遊戯で飯を食う。』が面白かったのでどこかでガッと読みたかったのと、デスゲームラノベを書くための事前調査を兼ねている。今はキミラノという便利なサイトでジャンルやタグに応じてラノベをレーベル横断検索でき、「#デスゲーム」タグから目についたもの、特に最近出たものやシリーズでないものを中心に10冊読んだ。
kimirano.jpデスゲームはフォーマットが確立されているし根強い人気があるジャンルかと勝手に思っていたが、刊行数ベースで見ると思ったよりは遥かに少ない。デスゲームタグが付いている作品を新しい順にソートすると100冊目が2016年2月発刊なので、年あたりの刊行数はざっくり平均して12~13冊程度。ラブコメタグは同様のソートで100冊目が2024年8月発刊、つまり年あたり500~600冊くらいは出ていることになるので、概算でデスゲームのパイはラブコメの2~3%くらい。
しかもこれでもデスゲームタグはけっこう緩く付けられているようだ。「参加者が密室に集められて謎の司会者によって殺し合いが始まる」という古典的な狭義のデスゲームはほとんどなく、「負けたら死ぬタイプのゲーム」であれば広義のデスゲームとされている。確かに人が死ぬゲームをデスゲームと呼称することに違和感はない。

ふだん日常的にラノベを読んでいるわけではないため、全体的に文章の低質さに対してイラストが極めて高品質になっているギャップが印象的だった。ネットからの書き手の流入に伴って文章のレベルはどんどん落ちる一方、逆にイラストレーターの質と量はSNSの隆盛に伴ってどんどん上がっているのかもしれない。権威の分散と大衆化に伴って文章とイラストの水準が逆方向に動くというのは、何らかの芸術特性を示唆していそうで少し面白い。

補足562:念のため書いておくが、俺はラノベの文章の質が低いこと自体は問題だと思っていないし、文句を言いたいわけでもない(個人的には質が高い方が嬉しいがそれは好みの問題で、書き手や出版側の瑕疵ではない)。文章の質はターゲット層に応じて柔軟に設定すべき要素にすぎず、質が高いからといって商業的に優れるわけでは全くない。読者の高いリテラシーを前提した文章は消費の敷居を上げるだろうし、国語教育を受けていない層が物語を享受するための福祉のセーフティネットとしてラノベという文芸領域が存在するのは文化的にも善いことだと思う。もう少し気が利く記事なら「マス向けに最適化された筆致」のように表現する方が正しいのだが(ここでエアクオート)、それはそれで却ってわかりにくいので今はそのまま書いている。

デスゲームものはネタバレが特に致命的になりやすいジャンルなので積極的にはネタバレを書かないように心がけるが(ラスボスが誰とかデスゲームの真相が何とかは意味もなく書かないようにするが)、自己責任で読んでほしい。
以下、面白かった順。

 

【★★★★】プリンセス・ギャンビット ~スパイと奴隷王女の王国転覆遊戯~

【王位戦争】――次代の国王の座を王の子たちが奪い合うロイヤルゲーム。
 傑物ぞろいの王族が通うロアノーク王立学園に足を踏み入れたのは、奴隷の少女・イヴ。現王と奴隷の間に生まれ、このゲームに巻き込まれた頭脳明晰な才女。そして、彼女を補佐する少年・カイは、国益のために傀儡政権の樹立を狙う敵国のスパイだった。
 人間の本質をさらけ出す数々の頭脳戦。候補者同士が《騙し》《謀り》《裏切り》《潰し合う》、このゼロサムゲームの先に待ち受ける揺るぎない真実とは――?
 女王になれなければ無惨な死と嘲笑を運命づけられた少女と、彼女を利用しようとするスパイの少年――奇妙な共謀関係にある二人による、命を賭した国奪りゲームが始まる。

面白かった。今回読んだうちで胸を張って明確に薦められるのはこの一冊のみ。この記事のオススメ紹介としての価値はこの一冊で終わるので、プリンセス・ギャンビットだけ覚えて帰ってください。

補足563:以前に100冊近くまとめて読んだときも思ったが、ラノベの当たりレートはだいたい10%くらいだ。つまり無作為にラノベを掴み取りすると10冊に1冊くらいは明確に面白いものがある。dig系の趣味としてこのコスパが良いかどうかは諸説である。

内容は学園を舞台とした王位争奪ゲームで、基本的には負けても王位を剥奪されるだけだが、奴隷出身のヒロインだけは負けたら処刑されるのでデスゲームとして括られている。
この立て付けのラノベとしてはやや意外なことに、いわゆる能力の類は特に設定されていない。代わりに参加者が揃って王族なので政治的なパワーバランスやスキャンダルから攻略の糸口を見つけていくことになり、いつどうやって誰とゲームを成立させるか自体もプレイヤーに任されているためゲーム外の駆け引きも光る。とはいっても皆まだ学生ではあるので、軍事もの・国政ものと名乗るほどその辺りの設定がガチガチに組まれているわけではなく、適度に肩の力を抜いて読める絶妙な温度感がラノベっぽくて好き。

ゲームとゲーム外の駆け引きが根本的に極めて斬新であるというよりは、むしろ既視感のあるフォーマットでやるべきことをきっちりやっているタイプの作品。
「どうやっても無理そうな盤面から奇策できちんと捲る」とか「頭が良いヒロインがきっちり知略で勝つ」みたいな「それはそう」という展開をちゃんとやって程よく期待を裏切ってくれる。一緒に読んだ他の作品がほとんど出来ていなかったせいでちょっと評価が甘くなっている自覚はあり、同じ品質の作品と並べたときに突出するかは疑わしくはあるが、そうはいってもこれが面白いセグメントの作品であることまでは俺の責任で保証できる。

Twitterで人気のスコッティ先生が描くメインヒロインも萌えでよかった。
明確に作中で最も頭が良いキャラとして設定されており、裏表があるというよりは自然体で底が見えず、最初から最後まで一貫して強キャラである格の高さが良い。挿絵ノルマ用の事故って裸を見られるシーンでも「セックスしときます?」みたいな感じなのはそれはそれであざとくて賛否ありそうだが、頬を染めて取り乱すよりは遥かによい。
ヒロインとタッグを組む主人公くんも驚き役ではなくきっちりサポートする有能役の静かなキャラなので読んでいてうざったくない。主人公のスパイ能力が若干便利すぎるきらいもなくはないが、最終的に美味しいところはちゃんとヒロインの頭で持っていくので実働と知略の分担がしっかり出来ていてヨシとしたい。

一巻は一区切りしたところで終わっていてゲーム全体は全然決着していないが、こんなに面白いのに続刊が出ていない! 皆で買って続編を出そう。

【★★★☆】スタァ・ミライプロジェクト 歌姫編

オーディションへご参加ください。――生き残った者こそ、次の歌姫です。

トップバズを目指し動画投稿する配信者たち。その中でも己の歌声で人々を魅了する少女たちは、新時代の歌姫を目指し日々新曲をアップしていた。
頂きを求める彼女らは、人気イベント【少女サーカス】の名を掲げる怪しげなオーディションへ挑むことになり――。
より優れたパフォーマンスでPVを稼ぎ、人々の心を掴み生き残ったものが歌姫の座を勝ち取るれる.....そう思っていた。しかしそのオーディションの実態は「本当」の生き残りを賭けたコロシアイで……!?

バーチャルシンガー×デスゲームもの。ぼちぼち面白かった。
芸能系とデスゲームは「生き残りを賭けて戦う」という前提を共有しており、かつ、キラキラ要素とシリアス要素をギャップ込みで混ぜられるので相性が良いことが知られている。一時期、アイドル文脈で似たようなコンテンツが流行っていたような記憶が朧げにある(一番最初に思い出したのは『アイドルデスゲームTV』だが、これはマイナーすぎるかもしれない→)。
「アバターを使ったバトルロイヤル」という立て付けは令和風の『魔法少女育成計画』とも言える(あちらが刊行された2012年時点ではアバターを利用した芸能活動はほぼ存在しなかった)。美少女キャラクターとしての外見や運動神経や能力を外付けで与えることによって、男性やミドル世代の女性までをも美少女キャラとして扱えるようになり、キャラクターの描画幅が一気に広がるのはいつか『魔法少女育成計画』の感想で指摘した通りだ。

コンセプトを成す二要素のうち、バーチャルシンガー要素はとてもよく書けていた。
やはりアバターを経由した分だけ、アイドルほど強く制約されずに様々なキャラクターの多様なバックグラウンドを描けていたと思う。表面的に華やかなキャラクター設定の裏にそれぞれがそれぞれに抱えている事情や思いがあり、アンチにはアンチなりに譲れない情熱があったり、コピー系フォロワーにもコピーとしての矜持があったりもする。
中でも、作中屈指の意味不明キャラである「たまちゃん」の造形及び挙動は最も賛否が分かれるところだろう。中盤で動機がわからない狂人ムーブをした挙句にそのまま殺害されて退場し、他の人が背景を明かすはずのシーンでも彼女だけは本当に何だったのかわからないまま話が終わってしまう。
とはいえ、その意味のなさ自体を意味のある描写として汲み取る土壌はバーチャルシンガー全般の描写で担保されていると考える。ミステリアスで正体がわからない、キャラを拒絶することでキャラになっているバーチャルアバターというカテゴリは確かに存在するからだ(鳩羽つぐとかが源流付近にいるクラスタ)。バーチャル配信者文脈においてはこういう枠があってもよいという判断を了解できる信頼を作者に築けたので俺はたまちゃん好き。

その一方、デスゲーム要素は非常にイマイチだった。なんか、多分、作者、バーチャルシンガーは好きだけどデスゲームは興味なくない?
優れたキャラ造形に対してデスゲームのギミックや立て付けが場当たり的で適当すぎる。例えば、デスゲームによくある背景として「超自然的なファンタジー要素」と「コングロマリットが絡む社会的な闇」という二つの文脈を欲張って組み込もうとしたせいで本当に訳のわからないことになっている。スーパーファンタジーかスーパーリアルのどっちかにしてほしい。
中でもデスゲーム文脈が振るわない煽りをモロに受けたのが主人公だ。というのも、主人公以外のキャラクターはバーチャルシンガーとしてのバックグラウンドや信条を伴ってデスゲームに参加しているのに対して、主人公だけがそもそもバーチャルシンガーではなくファンであり、デスゲームの異常性を描くための視点人物として用意されたに過ぎない印象を受ける。一応は芸能系の夢があることや家庭環境の悪さなどの背景は提示されるが、それはバーチャルシンガーとしてのモチベーションとは特に関係ないので魅力というか存在意義がない。
更に言えば、キャラクター描写においてデスゲームに対するモチベーションとバーチャルシンガーとしてのモチベーションがあまり噛み合っていないようにも思われる。確かに(主人公以外の)キャラクターたちはバーチャルシンガーとしての上昇志向は一定持っているものの、全員が必ずしもトップオブトップ志向ではない。むしろ他のシンガーに執着していたり、コンビ活動を望んでいたり、わかる人にはわかるニッチ枠でも満足出来たりする多様性が造形の魅力を担保しているのだ。だったら「生き残った一人が歌姫として覇権を握る」というデスゲームのボーナスはバーチャルシンガーとしての目的に合致していない。
また、先ほど書いたようなバーチャルシンガーとしての豊かなバックグラウンドがデスゲームで負けて死亡した直後にのみ語られる、という謎のシステムも力点をデスゲームではなくバーチャルシンガーに持っていってしまう。その順序だと「デスゲームで色々あったけど結局バーチャルシンガーとしてはこういう人だったんだ」という受け取り方一択になってしまい、「こういうバーチャルシンガーがデスゲームで今戦っているんだ」という読み方はどうやってもできない。
一応、バーチャルシンガー要素とデスゲーム要素がとてもよくシナジーしていたシーンが一つだけある。途中でデスゲームの本線から逸れて一瞬だけインプレッション勝負みたいなやつをやるところがそれで、何としてもインプレッションを稼ぎたいキャラたちが不謹慎発言で炎上を起こしたりリプライツリーに動画連投したりインフルエンサーのアカウントを奪取したりと、自分の使える手札を全て使ってなりふり構わないカスみたいな手口で戦うところはめちゃめちゃ面白かった。全部そのくらいネット活動に寄せても良かったのでは?

ところでタイトルが「歌姫編」であるあたり、続刊ではバーチャルシンガー以外のデスゲームが描かれる予定なのだろうか? 続報は出ていないので不明だ。

【★★★☆】デスループ令嬢は生き残る為に両手を血に染めるようです

「参加者に紛れている悪魔を殺すまで、このゲームは終わらない」
アインホルン伯爵家の令嬢ヘルミーナは、幼馴染の侍女のシャルロッテと共に、北方の古城の中で『邪神召喚の儀式』という殺し合いのゲームに巻き込まれてしまう。
城にいる八名の人間の内、二人が“悪魔”となって一晩に一人誰かを殺害する。悪魔でない人間は疑わしい人間を一日一回投票で処刑し、悪魔を全滅させるまで城からは出られない。死が迫るゲームの中で、ヘルミーナはシャルロッテを守るために一心不乱に生き延びようとするが……!?

推理と死の輪廻が紡ぐ衝撃必至の人狼系デスゲームファンタジー、ここに開幕!

なかなか面白かった。ハッとするようなアイデアを十分に活かしきっていて好感度が高い作品。
主人公が人狼ゲームで敗北するたびにループして攻略する話だが(人狼も負けたら死ぬゲームなので広義のデスゲーム)、「ループごとに人狼の配役がシャッフルされる」という立て付けが非常に秀逸。それがこのラノベの白眉であり全てでもある。デスゲームものというよりは人狼ものとしてすっきり筋を通してよくできている。

回によってキャラの行動が違うこと自体はループあるあるだが、人狼の配役を絡めることで振る舞いの変化をこの上なくクリアに描けるのは一つの組み合わせ発明だろう(配役によってそもそもの動機や振る舞い自体が強制的に決められるので)。
ループ者である主人公を含めて全員が回によって市民だったり人狼だったりして、異なる役職によって異なるリアクションを取ることで各キャラの様々な善性や悪性が立体的に描ける。例えば最初の回では人狼なので主人公を陥れる性悪ぶりっ子だったメイド少女が、別の回では騎士なのでお人良しぶりと純粋さを発動して懸命に主人公を守ろうとしたりする(でもその回では主人公が人狼なので騎士を殺すのが安定ムーブになってしまい、泣きながら殺すのがめちゃめちゃ良かった!!)。

これは扱いを誤ればキャラの一貫性を失いかねない挑戦的な試みではあるが、設定込みで受け入れ土壌がしっかり作られていたのでブレていない。
具体的には二点あり、一つは途中から「個々の人狼ゲームのクリア」というよりは「全ての人狼ゲームを動かしている黒幕」が探索されることだ。ゲーム体制への疑義が生じること自体はデスゲームものでは定番の進行ではあるが、そのスライドによって主人公がゲーム攻略というよりは各キャラの本質的な人間理解を求めるようになり、複数回の人狼ゲームを貫いて様々な側面を知ろうとすることが物語全体の目的に結びつくようになる。
もう一つは、ループを貫く人間性の追求は実は人狼ゲームの本質の一つでもあることだ。例えば人狼では「こいつそんなに主張強い性格じゃないはずなのにやたら主張するな(人狼なのか?)」という疑念から議論がスタートすることがよくある。そういう「いつもと違くね?」というアノマリ検知的な攻略法は人狼競技勢からはメタ読みとして忌避されることもあるが、カジュアルに遊ぶのであればむしろそういう人間理解こそが面白さであることは疑い得ない。ある人間の振る舞いが怪しいことを検知するためには、逆にその人の本来の振る舞いや人格についてよく知っている必要があるのだ。

どうでもいいがタイトルの「デスループ令嬢」という謎の主語の情報圧縮率がすごい。この七文字に「死亡するたびにループする能力を持つ、たぶん中世っぽい世界観の若い女性主人公」みたいな情報が全部入っている。

【★★☆☆】名探偵は推理で殺す 依頼.1 大罪人バトルロイヤルに潜入せよ

高校生名探偵・明髪シンは、様々な世界から送られてきた大罪人たちが覇を争う【監獄界】に、とある依頼のために召喚された。悲劇の聖女・ルーザを助手に従え、シンは『推理』を武器に極悪人たちとの殺し合いに挑む!

最も設定がアバウトだったラノベで、作中でやれることとやれないことのラインが全然わからない。殺し合いに挑む割には探偵主人公が「48の探偵技」とかいう訳わからんスキルを持っており、それでだいたいの状況を何とかできてしまうのでコメディなのかもしれない。いきなり「48の探偵技・その31、『しゃがみ強K』!」とか言って戦うのはナンセンスギャグすぎてちょっと笑ってしまった。

そもそも「『推理』を武器に極悪人たちとの殺し合いに挑む」というあらすじも意味不明なように見えて、しかし読み進めるにつれて「なるほどこれはよく出来たフォーマットかもしれない」と唸らされるところはある。
そもそも舞台となる「監獄界」とは様々な世界から大罪人たちが大量に送られてきた世界であり、推理するまでもなく悪人しかいない。しかも法や倫理が機能していない殺し合い用の異世界なので、殺人を行ったところでそれを隠蔽するモチベーション自体がなく、作中で主人公が事件の真相を推理したりする必要はほぼない。

では主に何を推理するのかと言うと、殺し合う相手の内面なのだ。対戦相手の振る舞いや能力から相手の心の弱さや信条の欺瞞を指摘することでバトルに勝利できるシステムがあり、主人公はそれによって大罪人を打ち破っていくことになる。
確かに、言われてみれば犯人の内面を剔抉することは(フィクションにおける)探偵の業務内容に含まれている。推理ものでは、単に事件の物理的な真相を暴くだけではなく、犯人側の動機も暴くところまで含めて解決の見せ場である。そこで探偵が犯人の内面を看破して何かいい感じのコメントをしてやっつけるのは正当な仕事であり、よりにもよって探偵というキャラクターから事件解決パートを捨てて説教パートだけを拾い、バトルロイヤルというフォーマットに組み込むアクロバティックな立て付けは見事と言うほかない。

序盤に出てくる犯罪者は底が浅い印象も受けるが、チュートリアルが終わった中盤からは色々なバリエーションが出てきてそれなりに可能性を感じるようになってくる。例えばあまりにも自己欺瞞が強すぎて話が通じなかったり、本来は善人寄りであるが故に色々抱える事情があったりもする。
ここに来て「様々な世界から送られてきた大罪人」という謎の異世界転生要素も活きてきて、内面や背景を看破して撃破する敵として現代日本に限らないファンタジーを色々と扱えるのは明確な強みだ。一見すると滅茶苦茶な設定に見えて実は一貫した芯とアイデアがあり、光るところがあるラノベだったと思う。

個人的にかなり残念だった点として、せっかく大罪人のヒロインが結局は典型的な守られ系ヒーラーに落ち着くのはとてもがっかりした。せっかく悪人枠から来ているので多少の邪悪さや強かさが欲しかった!

【★★☆☆】徒花の館 キリング・ゲーム

謎の館に集められた6人の男女。彼らを集めたのは音霧紅刃と名乗る少女。彼女は6人の男女に生死をかけたデスゲームを要求する。一風変わった殺人鬼による皆殺し心理ゲームの幕が開かれるのだが……結末はいかに!?

最も典型的な狭義のデスゲームらしいデスゲーム作品。
六人の主人公陣営が謎の密室に拉致され、一人のシリアルキラー美少女と命を賭けたテーブルゲームを七連続(!)で繰り広げる。しかもカードゲームや密輸ゲームなどちゃんとしたルールがある頭脳系ゲームを七回もやるのでスピード感が凄く、割とすぐ負け確になったりする。
かといってそれは尻切れトンボや手抜きというわけでもなく、各ゲームに対して「読み合いや騙し討ちがあるとしたらここだよね」というポイントをしっかり濃縮して切り出しており、一定の見せ場をきちんと作った上で無駄に引き延ばさないアイデアが詰まっている。その辺が妙に上手いなと思っていたら、元々フリゲ作者が書いたフリゲ原作作品らしくて腑に落ちた。

ただ、ゲームの満足感に対してキャラの描き方は本当に良くなかった。
各キャラの個性として何らかの異常性が設定されていること自体はいいのだが、地の文で「普通はこうだけどこれは異常なのだ、ここがすごく異常なのだ」ということを直接長々と書いてしまうのが非常に上手くない。割と頻繁に挿入される回想エピソードですらも常にその調子で「このシーンでは普通はこうするけど、こいつは異常なのでこういう異常なことをするのだ」というのをもう全部書いてしまう。元々小説出身ではなくフリゲ作者だからか? というのは流石に穿ちすぎかもしれないが、一応小説という立て付けで出している以上、設定資料集ではなくお話を読ませてほしいと願う。
とはいえ、キャラクターに付与された尖った個性自体はデスゲーム全体を貫くギミックにも上手く貢献しているし、ギミックにも使う以上は強調したかった気持ちはわからないでもない。何も印象に残らないキャラが配置されているよりは余程よく、ただ描き方だけの問題ではある。ところで真相とエンディングが噛み合っていない気がするのは狙ってやっているのだろうか?

【★☆☆☆】不死者と暗殺者のデスゲーム製作活動

臥宮生斗は、三年前に結んだ『契約』の代償として何度も死のリセットを繰り返し不死身の身体を持つ、平凡な高校生。
 いつもと変わらぬ放課後、その子は突然現れた。
「彩夢咲レオナです。わたしのために、死んでくれますか?」
 両親を早くに亡くし、幼いながらも暗殺を生業とした一族の当主となったその少女は、先祖の代から続く『呪い』によって日常生活に支障が出るほどの殺人衝動に悩まされており「不死身」の生斗に依頼をしたらしいのだが――!?
『契約』によって数奇な運命を辿る二人の、殺し殺され合う禁断のデスゲームラブコメ!

全然面白くなかったけど、しぐれういのイラスト以外にギリギリ一つだけ光るところがあったので★一つで食い下がっている。
具体的には「殺人衝動を持つヒロインがなかなか満たされない」というありがち(?)な課題に対して「デスゲーム作って殺しに至る過程とかをちゃんとやりましょう」と発案して皆で力を合わせてデスゲームを作るというシュールな立て付けは明確に良かった。それがどう進むのかを期待していたのだが、最終的にラブコメ文脈に回収されて肝心のデスゲームが一瞬でクリアされてカスカスだったのでもう言いたいことが何もない。「やります」って読者に約束して期待させたことはちゃんとやってください。
大オチはかなり好き嫌いが分かれそうだが俺は嫌いではなく、なんかそこも含めて実は全体的にゼロ年代っぽさがあるというか、イラストレーターと進行の今風感に反して若干の古さを節々で感じる。ゼロ年代に流行った「殺人衝動」って何だったんですかね?

【★☆☆☆】デスゲームに巻き込まれた山本さん、気ままにゲームバランスを崩壊させる

序盤に万能最強プレイヤー爆誕! これ、デスゲーム成立しなくない?

☆★☆第8回カクヨムWeb小説コンテスト・エンタメ総合部門《大賞》☆★☆

 ゲームオーバーは現実の“死”。運営の暴走により、フルダイブRPG『Life is Adventure』は、10万人規模のデスゲームへ豹変した。
 アラサー美少女・山本凜花は運命を呪い、絶望――してなかった!?
「強制的な長期休暇! せっかくならクリアは焦らず楽しみたいよね!」
 そんな山本さんが手にした謎のユニークスキル《バランス》。

【火魔術Lv5を習得しました】
 《バランス》が発動。
 バランスをとって、全属性の魔術を習得します
【水魔術Lv5,風魔術Lv5,土魔術Lv5,光魔術Lv5,闇魔術Lv5を習得しました】

 本人の意向を無視して、ステータスや所持金を勝手に上げるチートスキルのせいで、序盤にして化け物級プレイヤーが爆誕!
 ……これ、デスゲーム成立するの? まあ気にせず楽しめばいいか!

これは、デスゲーム世界でもたくましくエンジョイ&無自覚に無双する山本さんのお話。

全然面白くなかったが、それは俺の感性が時代遅れなのかもしれないと不安になってくる一作。今はこういうのが面白いのか?

全体的にプロットという概念がなく、目的も意図もないイベントがダラダラと無限に起き続ける。一応デスゲームということになっているが、それも雑にSAOの設定を借りてきただけで別になくてもいい(なんかVRMMOゲームから出られなくなってVR内で死んだら本体も死ぬ状態のやつになってる)。VRMMO自体そこまでシビアではなく、強い悪意を持つ人も特にいないので実質的にはスローライフに近いまである。
遊びでログインしているだけの主人公には目的らしい目的がそもそもなく、どうでもいいエピソードが無限に続くだけでなんだこれはと思っていたのだが、恐らくこれは小説というよりはゲーム実況として楽しむのが正解なのだろう。合目的的に全体を貫くプロットの力学があるわけではなく、むしろ偶発的に起きるイベントに対して実況者のレスポンスを楽しむコンテンツ。そう思うと、主人公は感情豊かで様々なイベントに対してきちんとレスポンスを返すし、イベントや世界のディテールそのものは手を抜かずにきちんと描かれている。実況のテキスト化と思えば多少は楽しんで読めるようになった、そういう新たな視点を与えてくれて成長出来たことには感謝する。

【バランス】という微妙なチート能力も実況を描くという目的に照らしてはベストなのかもしれない。
能力が多岐に渡るので説明が難しいが、漠然と数値的なバランスを取るという能力で、一つスキルを上げると関連スキルが全部上がったり、ドロップの個数を揃えるためにレアアイテムが大量に入手出来たりする。なんかデータベースを更新するクエリ周りの実装をミスっていそうな嫌なリアリティのある能力だ(そういえば昔いたソシャゲ会社でこんな感じのアイテム過剰供給バグが出てエンジニアが一生懸命ロールバック対応してた)。
ただ成長効率がかなり良いというだけで神的に強いというほどでもなく、出来ることと出来ないことはある。何より、一点豪華なチート能力というよりはむしろ逆で満遍なく全てのステが上がるだけの能力なので主人公のオリジナリティとかなくない?と思っていたのだが、ただ実況のテキスト化ということであればかなり納得できる。それなりにイベントに相対してリアクションしたいのであればあまり独特で強すぎるのも困るし、「バランスを取る能力で逆にゲームバランスが崩壊する」という一発ギャグ以上の合理性も多少は見えてくる。

唯一明確に輝いていた点として、主人公のアバター設定があまりにも気持ち悪すぎて良かった(これは褒め言葉です)。そもそもアラサー美少女(?)主人公があまりにも顔が良すぎて昔いじめられて引きこもっていたというだけでなかなか強力な設定だが(いじめられてたところだけ本当なんだろ?)、「VRアバターの顔部分だけは色々あって主人公のリアルの顔をそのまま使っていて、でも美少女すぎてゲーム内でもいつも美少女呼ばわりされてる」という有り得なさすぎる最強設定にめっちゃ笑ってしまった。女主人公はどんだけ美少女でも構わないからな。

【☆☆☆☆】横溝碧の倫理なき遊戯の壊し方

要するに。デスゲームなんて始まる前に解決しちまえばいいんだよ。

「──俺の名前はジェノサイド江戸川。探偵さ」

……名前が意味不明だって? 同感だ。俺にも訳が分からない。

SNSで活動する名探偵の俺、本名・横溝碧は妹に生活費を使い込まれて困窮。
仕方なく大企業主催の脱出ゲームで賞金を稼ぐことにした。
ところがそれは、社会の裏で開催されているデスゲームだった訳だ。
そして命と大金を賭けた殺し合いが幕を開け――る予定だったらしいが、
俺が参加しているのが運営の運尽きだ。
殺し合いを始まる前に秒で終わらせ、俺はデスゲーム司会の少女、姫野心音を手錠で俺と繋いで人質に取る。
さらにルールの穴を突いて、全てのプレイヤーが生存してのゲームクリアを目指したんだ。
だが、そんなやりたい放題をしていたら、デスゲーム主宰の黒幕に目を付けられてだな。
徐々に運営は、手段を選ばず問答無用で俺を殺そうとしてきやがった。
まぁ俺を殺そうなんざ、やれるものならやってみてほしい。

デスゲームという事件で、名探偵が負ける訳ないだろ?

デスゲーム×探偵ものという立て付けだが、全ての課題を主人公の直感と妹のハッキングで一発クリアするだけの話でどこに面白い可能性があるのかがよくわからない。容姿の良いいじめられっ子を救ってよかったねみたいな初期禁書目録的なポルノが未だに有効であることを知れたのは一つの知見かもしれない。可愛い不幸な女の子を救うのは気持ちいいからね。
ところで「少年探偵主人公がデスゲームに参加する」「敵方の少女を相方ポジションにする」「探偵と言いつつ推理はしない」あたりの立て付けが『名探偵は推理で殺す』と完全に同じだ。(読んでないけど)『たんもし』とかもあったし、最近は探偵ものが流行っているのだろうか?

【☆☆☆☆】俺の現実は恋愛ゲーム?? ~かと思ったら命がけのゲームだった~

平凡なニート長谷川亮が目を覚ますと、そこは現実そっくりな恋愛ゲームの世界だった。ゲームの世界から脱出するには、危ない女達を攻略するしかないらしい……。時間を巻き戻す【セーブ】&【ロード】と不思議な効果を発揮する【アイテム】を駆使し、攻略に乗り出す長谷川。だが、彼が巻き込まれたのは、ヒロインを攻略するだけではない”命がけ”のゲームだった!? 異色のクライムサスペンスが文庫判で奇跡の復活! 今回新たに書き下ろした特別番外編も収録!

今回読んだ中で最も文章の質が低かった。冒頭にも書いた通り俺はライトノベルは福祉の側面もあると思っているので格調高い文章を書けとは全く思っていないが、それにしたって限度はある。頻繁に句点が落ちたりただ単に日本語の意味や係り受けが誤ったりするのは許容限界を超えている。編集者、仕事してください。
話も全然面白くなかった。悪女を攻略すること、伴って悪女のバリエーションがウリなのはわかるが、部屋から出ずに考えた思いつきみたいなものが並んでいるだけで薄っぺらくて魅力がない。日本を牛耳る政治家とか臓器売買とか、別にそれがダメだとは言わないけどそれだけで戦うのはちょっと無理なので、せめてそれでしかできない面白いことをしてほしい。
唯一ギリギリ「おっ」と思ったのはメインヒロインが日和らずにどこまでもカスであること。同級生を飛び降りさせようとしたり、暇すぎてレイプされようとしたり、なんか意味もなく足コキしてきたり、トンチキぶりに妥協がないのは良かった。現状はカストリ雑誌のエロコミくらいのものにしか見えないが、そこで突き抜ければ独自の面白さが見えてくるのかもしれない。

【☆☆☆☆】父さんな、デスゲーム運営で食っているんだ

これは革新的で刺激的なデスゲームを運営する会社勤務のエース中間管理職・黒崎鋭司が、上司の無茶ぶり、部下の期待に応え続ける立身出世伝であり、愛する家族(主に娘)を守るための愛と涙のデスマーチなのである!

いくらなんでも児童書すぎる。ラノベは中高生のものだから大人の読み物である必要は全くないが、それにしたって限度はある。デスゲーム運営側を描くこと自体新しくもなく、独自に優れていた点もない。

補足564:Twitterで教えてもらったのだが、俺が時代認識を若干誤っていてこの作品の初出は2016年だったらしい。確かにその年度ならば一定斬新だったかもしれない。失礼しました。

デスゲームをコメディとして描くことでギャップを狙うコンテンツは他にもいくつかあるが、そのギャップに起因する課題を全くクリアできていない(この辺りは同路線の漫画『次回のデスゲームにご期待ください!!』も同じ問題を抱えている)。というのは、単に「デスゲームは人が死ぬので笑い話ではない」ということを何とか笑い話にするためのギミックが存在せず、そこがただ単に不協和を起こして理解し難い設定になってしまっている。
シリアス作品ではないので死生観とか社会状況のエクスキューズがあってほしいとまでは言わないが、せめて矛盾しないところまでは何とか頑張ってほしい。背景設定に矛盾があるということは主人公の置かれている立場が理解できないということでもあって、色々な振る舞いがどうしてそのようになるのかや、彼がどんなキャラクターなのかがさっぱりわからなくなってしまうのだ。