赤や緑、白色のきらびやかな電飾がともると、子どもたちの歓声や歌声が集落にこだまする。読谷村古堅の住宅街でひときわ光り輝く一軒の「外人住宅」が話題を呼んでいる。毎年12月に南国沖縄をクリスマスムードに包む光景が、20年以上続く。11月から約1カ月間、準備に追われ一人でライトアップする住人の宮城辰也さん(59)は「地域を彩るクリスマスツリーのような存在になっていれば、うれしい。イルミネーションを見に来る子どもたちの笑顔や歓声を聞くと、疲れが吹き飛ぶ。毎年やめられない」と瞳も輝く。
米軍基地内のクリスマスパーティーに感激
読谷村出身の宮城さんは日本復帰前の1960年代、当時軍雇用員だった祖父に連れられ、米陸軍施設のクリスマスパーティーに参加した。大きなクリスマスツリーやケーキ、プレゼントが並び、きらびやかなパーティーは今も忘れられない思い出になっているという。宮城さんは「自身が味わった高揚感や温かい雰囲気を子どもたちにも味わってほしいと始めたのがきっかけ」と振り返る。長男の正吏(しょうり)さん誕生の頃から始め年々装飾が増え、気が付けば電球は約2万個、飾り棚はアンティークのオブジェなどでいっぱいに。正吏さんは今年28歳になった。
心温まる支え
心温まるエピソードもある。年々電気代や飾りなどの価格上昇が続き、経済的な負担は増している。そんな中「電気料金の足しにしてください」と手紙に現金が同封され玄関に置かれていたことがあるという。これまでに電飾や飾りの寄贈もあった。「置かれていた現金は使わずに今も大切に保管している。友人や知人らの支えがあって毎年開催できている」と感謝を示す。
地域のサンタクロースに
八重瀬町から小学1年の孫を連れて訪れた女性(58)は「昨年も来た。子どもたちの目が輝いて、夢が広がっているようだ」とめでる。近隣に住む50代女性は「地域住民は毎年、心待ちにしている人も多い。(宮城さんは)幸せをみんなに振りまくこの地域のサンタだ」と表情も明るい。
子どもたちに『夢』のプレゼント
「毎晩の空模様ばかり気にしている」と話す宮城さんは、在宅中に子どもたちの声が聞こえた際、外に出て子どもらにお菓子をプレゼントしている。「見て、食べて、楽しんで、子どもたちの喜んでいる表情を見ると、こちらまで幸せな気分になる。ここに来てサンタにプレゼントをお願いする子もいる。子どもたちに『夢』を配りたい。今後も続けていく、やめられない」と情熱にも光をともす。
点灯期間は今月1日~25日。時間は午後6時頃~10時半頃の間。住宅街のため、訪れる際は周辺への配慮をお願いしている。