人類のルーツに新たな視座 沖縄・南城の世界最古釣り針出土


この記事を書いた人 アバター画像 与那嶺 明彦
記者会見でサキタリ洞遺跡で出土した釣り針などについて説明する関係者=17日、沖縄県立博物館・美術館

 人類学、考古学上の大発見が続いている沖縄県南城市のサキタリ洞で再び画期的な発見があった。

 3万5千年以上前から沖縄に人類が住んでいたことが確かになり、山下洞人、港川人など、1960年代に発見された人骨の年代への疑問が払拭(ふっしょく)された。そして、2万年以上継続して利用されたサキタリ洞の文化の一端が解明されたことで、沖縄旧石器文化の存在が明らかになった。時代が重なる山下洞人、港川人も同様の文化を持っていた可能性が大きい。旧石器時代と貝塚時代がつながったことで、沖縄の人々のルーツを考える新たな視座が示されたといえるだろう。

 米総合科学雑誌PNASに掲載された論文のタイトルは「西太平洋海岸域における先進的な海洋適応は3万5千~3万年前にさかのぼる」。食用になる陸上動物が少ない沖縄で独特の先進的な漁労文化が発達したと見ることができ、日本本土でも同じような文化があった可能性もある。

 沖縄における旧石器文化と貝塚文化はどうつながったのか、日本本土の縄文文化への影響はどうだったのかも今後の研究課題だ。先島と沖縄島以北で人類の到達ルートは違うのか、交流はあったのかなどの解明も待たれる。

 サキタリ洞遺跡は、さらに掘り進めることで沖縄の旧石器人の起源が見つかるかもしれない。人骨が大量に見つかっている石垣島の白保竿根田原洞遺跡とともに世界的に注目され続けることになろう。(米倉外昭)