絶妙な値段だな……私は自販機の前で思わず立ち止まった。そこにあったのは1800円のうな重。今や自販機で何でも売られている時代なので特に不思議ではないが、1800円ならワンチャン国産のうなぎって可能性もあるなと思ったのだ。
今から思えば、かなりバカだった。自販機の画面にはわざわざ山椒の産地まで「国産」と記載されているにもかかわらず、肝心のうなぎは書かれていない。そこから察しろよ! と思うが、私は国産うなぎの夢を見て購入ボタンを押した。
結果はお察しの通り。袋の裏側には「うなぎ(中国産)」の文字が見える。あ〜やっぱりか。
ちょっとだけ凹んだものの、それで「うな重」への期待感がゼロになるはずがない。なんといっても1800円である。牛丼チェーンが出す「うな重」より格段に高いのだから、それ相当の味が期待できるはず。
と思った私は、帰りに「宇奈とと」に寄った。「宇奈とと」と言ったら、過去に何度か書いているように格安うなぎ界の実力者。そのうな丼(590円)と自販機の1800円うな重は、一体どっちが美味いのだろう?
疑問の答えは試食開始後すぐに出た。結果を先に言おう。「宇奈とと」の圧勝だ。勝因は香り。宇奈ととは実際に焼いて提供しているから、頬張るとうなぎを焼いた香りが鼻の奥に広がる。
もちろん1800円の方の「うなぎ」も焼かれているが、冷凍食品だけに食べる前に焼くわけにはいかない。そのあたりの差がモロに出たかな……という印象だった。
ここで1800円うな重の名誉のために言っておくが、うなぎがブヨっている訳ではないし、ご飯に難があるわけでもない。全体的に、冷凍とは思えないクオリティと言えるかと思う。
加えて、うなぎのサイズ感においては「宇奈とと」をまったく寄せ付けなかった。よってボリューム感も加味するとコスパが良いのは1800円の方……と言えなくもないが、やはり “香り” の差はデカすぎる。
「宇奈とと」からすると価格差3倍をはねのけたジャイアントキリング。だがこれは単純に「宇奈ととすごい!」って話ではなく、「提供する前に焼かれた うなぎはやっぱり美味いし、いくら冷凍食品が進化したからって太刀打ちできない」ってことではないだろうか。
・新しい冷凍自販機ブランド
ちなみに、その自販機をよく見ると「active DELI」のロゴが。調べたところプロ専用の冷凍食品メーカーらしく、都内に上陸したのは2022年秋頃らしい。
新しいだけに設置場所はまだ多くはないようだが、今後は増えていくかも。なお、私は東長崎駅の近く(東京都豊島区長崎4-4-8)で発見。その自販機では、「うな重」以外に「焼肉重」や「ハンバーグ」なども売られていた。
考えてみれば、うなぎは冷凍自販機にとってもっとも不利なメニューな気がするので、そのうち他の料理も試してみたい。次は「焼肉重」あたりを攻めようかな〜。
参考リンク:active DELI、宇奈とと
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
▼現金払い以外にも色々と対応している
▼自販機で買った1800円うな重
▼うなぎを裏返すとこんな感じ。左が自販機で、右が宇奈とと