新製品のGRを1日お借りして、お台場や秋葉原などで撮影してきました。とても良いカメラです。

Pentax_Ricoh GR testshot
ダイバーシティ東京前の実物大ガンダム立像。ワイドなレンズにはジャンボな被写体が似合います。
 
pentax ricoh GR

6月17日に、ペンタックスリコーの新製品「GR」を1日お借りして
銀座〜新橋〜お台場〜東京駅前〜秋葉原を巡って撮影してみました。
 
http://www.pentax.jp/japan/ringcube/camera_rental/
デジタルカメラ無料貸し出しサービスについて|RING CUBE|PENTAX RICOH IMAGING :
 
リングキューブのデジタルカメラ無料貸し出しサービスを試すのは約1年ぶり。
前回は、RICOH GXR「A16 24-85mm F3.5-5.5」を使わせて頂きました。
http://d.hatena.ne.jp/workshop/20120402/p1
RICOH GXRの最新カメラユニット「A16 24-85mm F3.5-5.5」をお借りしていろいろ撮ってみました。すごい。
 
そして、GRデジタルを使うのは約1年半ぶり、このときのレポートはこちらです
http://d.hatena.ne.jp/workshop/20111020/p1
GR DIGITAL IVを発売日前にお借りしたので、とりあえず5時間半で1000枚以上撮ってみた。
 
 
Pentax_Ricoh GR testshot
お台場の高架橋の植え込みで撮影した、細長い花。
絞りを開いて、マクロで寄って撮ると、背景から花がきれいに浮き上がります。
APS-Cサイズの感光素子と高性能なワイドレンズの組み合わせでこういう撮影もできるようになりました。
 
新しいGR、最大の話題は感光素子のサイズがAPS-Cサイズになったこと。
感光素子の面積が一気に増したことで、高感度性能やノイズ耐性がはっきりと向上しています。
そして感光素子にため込める光がぐぐっと向上して撮影時の"底力"に効いている感じがします。
 
Pentax_Ricoh GR testshot
資生堂新並木通りビルの工事現場、現場を覆う目隠しがここまで的確に撮れるのは見事なものです。
Pentax_Ricoh GR testshot
自分がよくテスト撮影に使ってる新橋駅前SL広場。ワイドで撮ると気持ちいいスポットです。
Ricoh GR testshot
夏至直前の強い光のなか、草むらの豊かなディテールをしっかり撮れています。
 
GRシリーズといえば、28mmのワイドな画角かつとてもシャープな描写のレンズ。
コンパクトカメラとしてはレンズの基本性能がとても高く、
ディテールが込み入った被写体を撮影したときにも細部を丁寧に描写してくれています。
帰宅して、PCのモニターで等倍チェックしたときに、その描写の細かさにはとても驚かされました。
  
Pentax_Ricoh GR testshot
Pentax_Ricoh GR testshot
撮影時の操作感覚は、見事に「いつものGR」です。
絞り、シャッター速度、露出補正などは、今までのGR DIGITAL同様に、ほぼ瞬時に変更できますし、
昼間の撮影だと、ストリートスナップでの合焦速度はかなりきびきびしていました。
(加えて、今回新しくTAvモードが追加されました、このモードおすすめです。)
 
P(プログラム)モード・感度autoでは低感度&f4.0の設定で押し通してきます。
GRのレンズは開放からかなりシャープな描写をするので、周辺光量落ちが気にならない人なら、
普段のスナップ撮影では絞り優先モードでf2.8〜3.5にしておくのもいいかもしれません。
NDフィルターを本体に内蔵しているので、夏の晴れた日でも積極的に絞りを開いていくことが可能です。
都市部の近接スナップを撮るときは、被写体ブレ防止のために、
auto-HIでシャッター速度の制限を標準よりも早めにかけることをおすすめします。
 
Pentax_Ricoh GR testshot
この写真、ISO感度1600相当での撮影です。
今までのGRよりも、撮影時の高感度域がかなり使えます。
自分の印象では感度800までは常用可能、1600から上は条件次第で…という印象です。
画質設定を細かく追い込めれば、より高感度での撮影も常用になるかもしれません。
 
 
Pentax_Ricoh GR testshot
 
Pentax_Ricoh GR testshot
最近のデジカメでは当たり前のように付いてる画像のエフェクト機能、
新しいGRでは独立した「プレビュー/エフェクト」ボタンが追加されました。
様々なエフェクトの選択が、このボタンを使うとかなり素早く行えます、便利です。
 

Pentax_Ricoh GR testshot
雑居ビルの谷間、銀座の路地裏は自販機密集スポットでもあります。
Pentax_Ricoh GR testshot
東京駅地下通路、ここ数年の節電の影響もあり、通路内はかなり暗いです。
Pentax_Ricoh GR testshot
夕日が射し込む、駅ガード下の自転車駐輪場、こういう場所がしっかり撮れるのが新しいGR。
(5枚の撮影画像を、microsoft ICEでパノラマ合成しています。)
 
新しいGRのjpeg撮って出しで、旧機種よりもとても描写が上手くなったなぁと感じたのが、少し薄暗いところの光景。
昼間でも薄暗い雑居ビルの谷間や、地下街、ガード下など、
地明かりは暗いのだけど、所々に日差しが差し込んだり、蛍光灯のハイライト光が入る場面では
今までのGRシリーズよりも明暗のつながりはかなり上手くなっているように感じます。
 
 
Pentax_Ricoh GR testshot
お台場の展望台から自由の女神像〜フジテレビをパノラマ撮影
(複数枚の撮影画像を、microsoft ICEでパノラマ合成しています。)
Pentax_Ricoh GR testshot
JR秋葉原駅構内の「ラブライブ!」巨大ポスター、
(手持ち撮影した複数枚の撮影画像を、microsoft ICEでパノラマ合成しています。)
 
GRのAPS-Cサイズの感光素子は、縦横比が1:2になりました。
28mmのワイドな画角とあわさって、横長パノラマ合成を撮影するのにもかなり便利です。
GRは三脚穴の位置が、レンズの光軸からは横に数センチほどずれています。
こういう遠景のパノラマを撮るときは特に問題がありませんが、
近景を含めたパノラマ合成をする場合は、ちょっとだけ三脚穴の位置補正が必要かもしれません。
 

 
Pentax_Ricoh GR testshot
Pentax_Ricoh GR testshot
GRのレンズの優れた特徴のひとつが、逆光でも積極的に撮りに行ける、描写の抜けの良さ。
このように、太陽光がレンズに直撃する条件でも、適切に露出補正を行えばしっかり被写体を捉えることが出来ます。
絞り羽根は9枚羽根の円形絞り、太陽を画角に直接入れたときの光芒の出方はこんな感じです。
 
Pentax_Ricoh GR testshot
Pentax_Ricoh GR testshot
感光素子のサイズが大きくなったことで、近接撮影は今までのGRデジタルほどには寄れなくなりました。
(GR DIGITAL4までは、レンズ前1cmまでの強力なマクロ撮影が可能でした)
ネイルやお菓子、ちょっとしたアクセサリーなどの小物の近接撮影は弱くなりました…
とはいえ、レンズ前だいたい10cm程度までは被写体に寄ることが出来ますから、
「目の前のちょっとした記録」程度ならさほど問題はありません。
 
 マクロ撮影で被写体にギリギリまで寄って撮る時は、
GRに新しく新設されたAF用スライドスイッチとボタンを上手く使うことで
簡単にピントを合わせられる撮影最短距離まで追い込むことができます。
ユーザーの皆さんはぜひ一度お試しください。
 
参照:親指AFのC-AFで最短撮影距離撮影: shiology
http://shiology.com/shiology/2013/06/3130130606-graf.html
 
 
Pentax_Ricoh GR testshot
秋葉原「カレーの市民 アルバ」のカツカレー(撮って出し状態の色味です)
Ricoh GR testshot
(彩度などをirifanviewでもち上げてます)
blogやSNS更新用の食事画像を撮ると、写る範囲はこんな感じです。
絞りを開き気味に調節すれば適度に周辺部のフォーカスが外れます。
 
標準状態での撮って出しだと、彩度などの「お化粧が薄すぎる」ので、
食事画像をupするときなどは、画像処理ソフトやエフェクトなどによる後処理が効果的だと思います。
まずはRAWで撮って、色味などの補正はカメラ内RAW現像で撮影後に色々後補正するのもいいかもしれません。
 
 
 
ローパスレスのデジカメで良く話題になるのが、偽色の発生。
GRも稀に偽色が発生します。
Pentax_Ricoh GR testshot
印刷されたポスターの「インクの網点」が感光素子の画素のサイズと重なったのかな…顔の部分に強い色モアレが発生してます。
Pentax_Ricoh GR testshot
右手前のタイル壁(寄ると微細な凹凸がある)に色モアレが発生しました。
Pentax_Ricoh GR testshot
壁面の横格子の隙間の部分を「等倍でみると」場所によって微妙なパープルや緑の偽色が出ています。
 
GRのカメラ内画像処理エンジンの偽色抑圧や色モアレ補正の機能はかなり優秀です、が、パーフェクトではありませんでした。
今回、6時間で700枚程度撮影の撮影で、数枚ほど目立ったモアレ・偽色が発生しました。
 
細部までシャープに写るGRですが、それ故、ベイヤー配列の感光素子だと、
印刷物や布目、固定パターンの人工物を撮影するときは稀に目立つモアレや偽色が発生します。
不思議なのは、モアレや偽色が起こりそうだな…と撮影時に予測した被写体では、
撮影後に等倍チェックすると偽色はさほど見つからずに、
逆に、「ここまではさすがに解像しないよね…」と考えて撮影した被写体では偽色が発生していました。
 
  
電池の持ちは、専用充電池DB-65を2本使って、6時間で700枚程度撮影したところで2本の電池が尽きました。

RICOH リチャージャブルバッテリー DB-65 174580

RICOH リチャージャブルバッテリー DB-65 174580

以前お借りしたGR DIGITAL4では、約5時間半の撮影時間にバッテリー2本で1000枚以上は撮影できたのですが、
感光素子が大型化したことが消費電力にも影響しているようです。
 
普通の使い方なら専用充電池は2本、
毎日1000枚以上の撮影ペースで、内蔵ストロボも頻繁に焚く人なら
予備も含めて3本〜4本の専用充電池を用意されることをお勧めします。
 
 
GR testshot
新しく発売されたGR、とても良く出来てます。
近接マクロ撮影以外は、いままでのGR DIGITALシリーズから、よりいろいろと撮りやすくなりました。
感光素子が大幅にサイズアップして「余裕が増した」ことが様々な画質改善に繋がってます。
 
個人的に、地味に嬉しいところは、
カメラ内RAW現像で、撮影後のプラスマイナス1EVまでの後補正がすぐにできるようになったこと
スナップショットでは露出補正などをかける前にまずシャッターを押すことも多々あるので、
こういう「救済措置」が撮影後にすぐカメラ内で出来るのは、撮るときの気分にも余裕が出ます。
 
 
 あとは価格ですね…本体に加えて、必要な予備電池や充電器、様々なアクセサリなどを揃えると、10万円コース、
これにワイコンなどを追加するとさらにいろいろと楽しめそうですが…。
他に替えが効かないカメラなので、このカメラの性能と使い勝手が必要な人は、
既にいろいろやりくりして予算を調達してることでしょう。

…う〜ん、どうしよう…(クレジットカードを見つめながら…)
 
 
今回の撮影画像(jpeg)はこちらにまとめてあります
http://www.flickr.com/photos/workshop/sets/72157634236380379/
Pentax Ricoh GR testshot - a set on Flickr
ほとんどの画像は
jpeg撮って出しを、25%縮小(各辺半分のサイズ)して、そこからごく軽めにirfanviewでシャープをかけています。