オープンリーダーシップとは何か?

Red Hatの安間です。今回はオープンリーダーシップという概念についてご説明をしたいと思います。テクノロジーの話ではありませんが、レッドハットのユニークな文化を語る上で欠かせないものですのでご紹介させてください。 f:id:tyasuma:20181121150607p:plain

この記事はDeLisa Alexander(Executive Vice President and Chief People Officer at Red Hat)によるLinkedIn記事、What is Open Leadership?を日本語訳したものです。この翻訳を快諾してくれたDeLisaに感謝します。

オープンリーダーシップとは何か?

リーダーシップはレッドハットでは異なった働きをします。 レッドハットのオープンオーガニゼーション(オープンな組織)では、リーダーの役職に任命された時や、そのタイトルが与えられた時にだけ「リーダー」の地位を受け取るのではありません。レッドハットのリーダーはこれから説明する行動とマインドセットの両方を採用するときにリーダーシップの地位を獲得していきます。

このような行動とマインドセットの特別な組み合わせは、私たちが「オープンリーダーシップ」と呼ぶもので、私たちはこれを非常によく研究しています。 私たちがオープンリーダーシップを理解し、文書化し、積極的に醸成することが出来れば、イノベーティブで情熱的な、相互に最善を尽くす人々からなる組織を構築できることを知っているからです。オープンリーダーシップによってどのように非常に強力な組織を作っているのか以下に説明していきます。

オープンに行動する

オープンリーダーシップは本を1冊読んだりチェックリストを読んだりすることで学ぶことは出来ません。オープンリーダーシップはそれよりも深く、組織文化の一部だと言えます。ジム・ホワイトハースト(レッドハットCEO)は、人々の働き方(慣行)だけでなく人々のもつ価値観(原則)にも影響するので組織文化をオープンなものに変えていくのは困難だと言います。オープンリーダーシップとは、組織文化のほかの要素と同様に、人々が受け入れる価値観や原則(マインドセット)とそれらの信念のための慣行(行動)の両方のセットと言えます。

このようなリーダーシップのスタイルをよりよく理解するために、私たちは常にリーダーを最も成功させる行動を観察することに興味を持っています - これはレッドハットだけでなく世界中のオープンな組織やオープンソースコミュニティのリーダーも含みます。私たちが気付いたのはそうしたリーダーのいくつかの行動でした:

  • オープンなリーダーは、他者にインスピレーションを与え、指導や支援を行うとき、単にオープンな原則(透明性、包括性、コミュニティなど)を採用するに留まらず、彼らは実際にこのように行動することを好んでいる。簡単に言えば彼らは「デフォルトでオープン」である。

  • オープンなリーダーは、ゴールと制約の両方について情報の透明性を保ち、データとリソースを可能な限り広く徹底的に共有する傾向がある。

  • オープンなリーダーは、多種多様なステークホルダーを生産的な会話へと引き込み、たとえ批判されたとしても尊敬すべき対話の条件を明らかにすることで、インクルーシブ(包括的)な対話環境を生み出している。

  • オープンなリーダーは、単に命令を発するのではなく、チームメンバーが直面する課題に対して十分なコンテキストを与え、チームメンバーがイノベーティブな決定を下せるような寛容さを示すことに細心の注意を払っている。

  • オープンなリーダは、チームの行動を組織のミッションとゴールに合致させるための最良の方法を絶えず模索している。

これらはとても力強いリーダーの行動と言えるでしょう。そしてレッドハットにおいて、これらは実際に機能しています。レッドハットの最も成功したリーダーたちは、オープンソースウェイ(オープンソースのやり方)に従った思考と行動によって尊敬を集めているリーダーなのです。

オープンリーダーシップのマインドセット

私たちが長年にわたりオープンリーダーシップを特徴付けるような特定の行動を研究していく中で、オープンリーダーシップを推進する一般的な原則 - マインドセット - を特定することが出来ました。私たちは一般的にオープンなリーダーは物事をオープンにすることがより良い方法だと信じている傾向にあることに気付きました。 具体的には、彼らが以下のような点を信じる傾向があることを意味します:

  • 誰もが貢献するために特別なものを持っている。誰もが組織にとってユニークな何かをもたらし、リーダーの役割はそのユニークな才能を育むようインクルーシブなやり方で行動することである。

  • 誰もが未開拓の可能性を秘めている。誰もが学び成長することができ、リーダーの役割は人々が自分自身を伸ばすための条件を生み出すことである。

  • 誰もが責任を負う。誰もがオープンな組織のリーダーになれる。しかし、彼らは自身のリーダーシップのブランドは簡単に手に入れるものではないため、自身でブランドを育成する必要がある。

  • チーム全員が(自組織でなく)会社を優先させるとき誰もが利益を得る。お互いに共通のゴールと目的を達成できるようになると誰もが勝てる。

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これらの4つのリーダーシップのマインドセットが、先に説明したリーダーシップの行動と連動するとき、非常に強力な効果が見ることができます。

リーダーシップ - 掛け合わせ

オープンなマインドセットとオープンな行動の融合は、オープンリーダーシップのエネルギー源です。そしてこの融合は、真にイノベーティブでレジリエンスのある組織を作り、自信を持って将来へ推進するための燃料とも言えます。 レッドハットでは、誰もがそのエネルギーに触れることで、最高の貢献をするリーダーになることを支援したいと考えています。そうするために、レッドハットが自らのオープンなリーダーシップ活動を指導するためのフレームワークを開発しました。これにより、組織内のどこにいても、特定の役割に適応することができます。これを「レッドハットマルチプライヤー(掛け合せ)」と呼びます。

それは5つの要素から成っています:

  • 人をつなぐ。他の人々をレッドハットのコミュニティと共通の目的へとつなぐ。

  • 信頼を広げる。貢献する他の人々の能力への信頼を示す。

  • 透明性を保つ。情報と意図を公に共有する。

  • コラボレーション。より良い解決策を生み出すために、協力と生産的な対話を もとめる。

  • インクルーシブ(包括的)な実力主義を推進する。出所に関係なく、利益に基づいてアイデアを寄与し、ソリューションを評価するよう他者に力を与える。

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最後の点は特に重要です。オープンなリーダーは、誰もが最高の状態で貢献することによって成功できるコンテキストを作り出すよう努めています。そしてオープンなリーダーは共通の目的を持ったコミュニティを作り、そこでは誰もがそれぞれの強みと才能を活かして潜在力を発揮できるようにしています。

しかし、偉大なオープンなリーダーは一晩で出現するわけではありません。彼らはオープンな行動を長期間にわたって自ら開発し、オープンなマインドセットを強化しています。今後の記事では、オープンなリーダーがレッドハットでどのように花ひらいたかを詳しく説明します。

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* 各記事は著者の見解によるものでありその所属組織を代表する公式なものではありません。その内容については非公式見解を含みます。