あまり昔 (?) の話はしないようにしていたんですが、そろそろするべきタイミングかもしれないと思ったので書いてみます。
なお、基本的には video game の意味でゲームと書いています (が、文脈によってはもっと広いときもある)。
ゲームとは何か?
私がプログラムを書き始めた理由はまぁよくある「ゲームが作りたい」というものでした。その頃好きだったゲームはなんだったかな。PS2とかだと思いますけど。
ゲームはまぁおうちになんかいろいろあったのでいろいろやってた覚えがありますが、昔から「変なもの」を好む傾向自体はあったっぽいです。エレクトロプランクトン 無限にやってた。
ここで「変」っていうのは「ゲーム性がそこまではっきりしないもの」という意味合いです。例えば戦闘とか育成とか、ではない (やってなかったわけでもない)。
その頃はまぁいわゆるコンシューマ機を触っていたわけでそこまで「変なもの」が多いわけではなかったですが、Steamに触れてからその範囲が一気に広がります。PixelJunk Eden とても綺麗で好き。
ちなみに昔から音系 (音楽系ではない) のゲームは好きだったみたいですね…。あと見た目がシンプルなものが好きですね、どうやら。
(ちょっと枠から外れたような) ゲームを遊びながら、(しょーもないような) ゲームを作りながら、まぁゲームについて考えるわけですが、大抵「どうしようもないな」という結論が出ます。
その頃の私のゲームの定義は「インタラクティブなもの、全般」でした。でもそれだと「インタラクティブコンテンツ」です、当然。
対して、「インタラクティブコンテンツがゲームになる瞬間」を感じることもあります。それは「何らかの目的を持って行動決定をはじめたとき」だと思います。
なのでそれを加味すると「可観測可制御な媒体に対して、何らかの制御目標がある状況」を、私は「ゲーム」と捉えている、と思います。これは今に至るまで変化していません。
同時にこれはゲームそのものが「媒体」であるとは限らないことを示しています。そう認識したらそれはゲーム、なのです。
で、ただ、結局これは「どんなゲームが良いのか」「ゲームの何が良いのか」を示しません。まぁそれは当然で、普遍的な定義は特殊な事柄を指し示すことはありません。
けど、そんな中で私は、「如何に観測をさせて」「如何に制御させるか」という点を重要視しながら制作をしていました。つまりそこに面白さを見出していました。
そうなった1つの転機はテトリスです。具体的に言うと テトリス ザ・グランドマスター3 -Terror Instinct- (以下 TGM Ti) です。
昔からパズルはずっと好んでいたようで、テトリスもそのうちなわけですが、ある日見つけたこのゲームのプレイ動画に文字通り度肝を抜かれます。
人間ってこの速度で認識・操作できるんだ…って思って。
私はここに「ゲームの可能性」そして「人間の可能性」を見出していました。つまり適切な学習環境を用意すれば、人は異常に成れるのです。慣れ親しんだインターフェースなんて必要なかったのです。
私も異常になりたかったので TGM Ti についていろいろと調べました。自ずと仕様に詳しくなっていきます。細かい数値とかは全然覚えてないんですけど。
わかることがいくつかあります。
- 地面から湧き出ても操作ができるのは、1段落ちたら猶予時間がリセットされるから。
- ピース出現前から左右入力の溜めが開始できて、出現直後に一瞬で端までピースを持っていける。
- 頻繁に鳴ってるピースの出現音によって「次に落下するピース」を予告してくれている。(ネクストもある)
- この「音」が好きで私は惹かれたんだと思う。
つまりあんなに理不尽なゲームに見えて、めちゃくちゃプレイヤーに寄り添った優しいシステムなのです。観測可能に、制御可能になってるのです。
そしてプレイヤーはそれに応えます。この関係性が素晴らしいと思った。
さらに言えば TGM は 3 作品あって、順番に機能が増えています (2でネクストが増え、3でホールドが増えた (ネクストの数も増えたし回転法則もゆるくなった))
そしてその分 TGM Ti はこれまでにない最高速度を要求してきます。これはシステムとプレイヤーの間の信頼関係によってできることです。
プレイヤー的には、速ければ速いほど難しいけど、そんな状態で操作ができているその事実そのものが楽しさに繋がる。
ゲームに求めているのはきっとスコアなんかではなく制御なんだ、と思うわけです。
あとジャンル分けって「違う」んだなって思いました。パズルは目的ではなく手段なのです。
そんなわけで私は「実験的なルール」「実験的な操作方法」そして「状況を明確に表現するビジュアル」を追い求めるようになります。
例えば omochi museum にある Makia 01 NL ちゃんは元々「将来の行動を適切に計画できていれば異常速度でプレイができる」ことの検証として作ったものです (Web版があります)。
複雑なルールをうまく見た目に対応付ける (=表現する) ことで理解を促進する、というのは私のUI設計の基本方針になっていますね。
で。
そういう「変なことをするゲーム」が多いのが、インディーゲームだったのです。昔は延々とSteamを漁っていました。
理由は「ガワでクオリティを上げるのではなくゲームとしてのコアで勝負をしていることが多いから」だと思います。それは大衆向けゲームの逆の方向性でもある。
まぁいわゆる「アート」の様にカウンター的な方向性が出てくるのはいつものことです。類似して確かに意味不明・不思議な作品が多い。ですが、ゲームであるが故にちゃんとプレイヤーには理解させる必要があるのです。遊べる必要がある。
だから、意味不明な法則でも明確な意思が備わっているのです。それが私は好きでした。例えば Antichamber はその1つでしょう。
理解できなければ出来ないほど、理解するのが楽しみになる。「観測と制御」の先にあるのは「知識欲・理解欲」なのかもと思いました。つまりゲームを識ることそれ自体が楽しいのです。
これは例えば「難しくてすぐ死ぬゲーム」を肯定します。すぐゲームオーバーになっても、その過程で学習があれば意欲は失われないのです。
そして逆説的に「ステージがただ多すぎるゲーム」を否定します。ステージが多くても、各ステージで新たな知識・理解が得られなければ価値がないのです。
ちなみに、最近のインディーゲームは大衆向けゲームと流れが結構混ざっていて、お互いに良い方向に成長を迎えていると感じています。例えば Splatoon は設定や操作が (当時にしては) だいぶ狂ってると思うし、Inscryption はめちゃくちゃヤバいことをやりながらビジュアルの質がめちゃ高いです (これは間違いなくSketchfabとUnityAssetStoreの恩恵ですね)。
というわけで私の考える「ゲーム」に関する考えをゆるっと書きました。一旦まとめると:
- 「如何に観測するか」「如何に制御するか」が本質的なファクターだと思っている
- それが未知・不可解・不思議であればあるほど興味を惹き、知識・理解を得ることによって楽しさが生まれる
というところです。まぁ2つ目は特にゲームに限った話ではないと思いますが、根本的に「制御の理解を実感する (=フィードバックがある) ことによる楽しさ」はやはりゲーム固有でしょう。
また、前に書いた 良さのレイヤー という記事が、私の求める「面白いゲーム」の意味を補強してくれると思います。
さて、これから具体的に好きなゲーム*1を挙げていこうかと思います。念の為もう一度言うと私は変わったゲームばかりやってるわけではないです。
ただ「変わったゲーム」、即ち「プレイして得られる異常法則の理解によって、今後の普遍的思考に影響を与えそうなゲーム」が、ゲームに溢れた現在で「大きくやる価値のあるゲーム」だと私は思っています。
ちなみにおおよそ私がプレイした順です。あ、あとネタバレはしてないです。
Portal
説明不要だと思いますが…。これは「あり得ない物理法則でもゲームなら実現できる」ことを示す最高の例だと思います。
時代的には本当に革命的だったのではないかと思いますが、現代ではもはや当たり前になっているのではないかな。
特にFPSの流れを汲んでいる為、ふわっと一応ストーリーがあるのも今となっては面白いですね。それが Portal 2 のデカ世界観に繋がっているわけで。
ミニマルにすればいい・情報があればいいというわけではない、ということがよくわかります。特にちゃんとその辺りは理由があるから良いですよね。理由は理解を促進します。
140
曲が好き。「音楽そのもの」をゲームに組み込む試みは昔からありますが、"音楽ゲーム"とは違う、「世界がリズムに従うタイプ」のゲームです。
ミニマルだしフラットだけど「感触」がめちゃくちゃ伝わるのがすごいです。音とモーションの効果ってすごいんだなあって強く感じますね。
そういえばミニマル系ゲームの良さとして、細かい要素がどれくらい演出として効果的かを測りやすいというものがありますね。
ちなみに対照的に Crypt of the NecroDancer はリズム通りに押すことを強い、ドット絵グラフィックも結構にぎやか、ゲームシステムもかなり複雑なリズム系ゲームです。
こちらは純粋な「リズム」のみではなく世界の賑やかさや複雑なシステム、それらの理解が楽しいという方向に振っていることがわかります。どちらもいいゲームです。
Antichamber
ひたすら「認識」について問うてくるゲーム、だと思っています。パズルではあるけどそれはやっぱり手段だと思う。
これも Portal のような異常空間ではありますが、格が違います。Portal は一応物理法則に従う素振りがありますが、こいつは純粋に認識に従う法則です。
こういうのを遊ぶと仮想世界での空間設計を平凡な3次元空間でやるのは勿体無いと思うんですが、如何でしょう?
Velocibox
こちらは TGM のような純粋プレイヤースキルゲーです。途中セーブが無いというのが尖った良い仕様です (それは即ち一連の体験として遊んでほしいことの表現です)。
画面がめちゃくちゃ barrel distortion してますが超速で動くゲームなので視野の外側は認識外です。大丈夫な範囲で「速度を表現」してるわけですね。
反射神経が要求される、わけでもないんです。これはちゃんと前を見てこれまでの学習結果から未来を予測し、適切に操作をするという頭をちゃんと動かすゲームです。
特に反転したときに次にどう動くべきか、というのを学習するのに時間が掛かります。そしてそれが上手く行ったときが楽しい。
Braid
これは「時間」をテーマにしたパズルゲームですが、まずその実現が非常に美しい上、それによって表現しているものが明確にあるのがすごい、と思いました。
時間逆行に留まらず、いろんな範囲で異常性を展開しています。これは知識として識っておくべきタイプのゲームだと思っています…。
ゲームって本当にいろんなことが出来るんです。
The Stanley Parable
これもだいぶ有名になってしまったのではないですか?最近 Ultra Deluxe 版が出ました。
すごい端的に言えば「予想を裏切るゲーム」だと思いますが、その多様性に驚きます。そこまで推すわけじゃないけど、世界にこのゲームが存在していることは素晴らしいと思う。
「ゲーム」の持つポテンシャルについて面白い切り口で語ってくる楽しいゲームです。
ちなみに同じ作者が The Beginner's Guide というゲーム?も作っていて、これもかなり極端な切り口で「ゲーム」そして「創作」を語ります。「VRChat の文化みたいなもの」が好きな人は好きなんじゃないかと私は思っています。
こっちはゲームというよりは、「体験」です。
Mountain
ネタゲーとして語られていたことも多かったと思いますが、私はこれはめちゃくちゃ立派な「ゲーム」だと思います。特に最もVR空間に近いとさえ思っていて、それは Amebient の頃から言っていました。
盆栽みたいなもの、という認識が近いんでしょうか。穏やかに、細やかに観察することを楽しむ体験があると私は思っています。緊張があまりにも無いのでまぁゲーム性という点では微妙なのは確かですが、これをゲームでないと言う必要性は一切感じません。
ちなみに同じところが作った Everything もそこそこ意味不明で、万物に成れるというだけのゲームです。だけどこっちは結構インタラクションが多くて賑やかかな。どっちも面白いです。
Induction
これは今度こそ純粋なパズルゲームです。本当にそれ以外の要素がありません。
こちらも時間をテーマにしてはいるんですが、これは「タイムリープ」がメインです。特に「タイムリープがどんな法則で行われているか」の理解が、ゲームの主目的だと言えます。
見た目からは思いもよらないほど…って言いたいところですがこういうのってシンプルなほうが逆に難しい法則、ありますよね。
最初から最後まで美しいゲームです。頭使いたい人には是非おすすめです。大好きなんだけど難しくて勧めにくいんですこれ。
こういう「未知の法則」に「実体験を以て対応する」能力を得られるのがゲームの素晴らしいところ、ですよね。
Rez Infinite
音がいい。一応 Rez Infinite を貼っていますが、私が最初にプレイしたのは PS2 の Rez です (いつ買ったか覚えてないけど)。
これはもう純粋に「音の楽しさ」です。Area X よりは 1~5 が「音」って感じがして好きです (Area X はちょっと音楽で盛りすぎ)。
昔は 1 が一番好きだったけど、Rez Infinite をやる頃には 5 の良さ (重みを持った時間の重要性) がわかってきた、みたいな体験もありました。
Rez をやると「音楽とゲームによる気持ちよさってもっともっと先に行ける」みたいな気持ちになりますが、同時に音楽の重要性を強く感じます…。
やっぱり仮想空間の雰囲気を支配するのは音です。VR空間で最も強いのは「音屋さん」 (作曲家とは違う意味合いで書いてます) だと本気で思ってますよ私は。適切にその能力が発揮できればね。
Thumper
これも音系ですが、まぁ自称してる「リズム・バイオレンスゲーム」がかなり正確だなと思います。ビジュアル的にも美しい中にえぐさがあって良い。
そして何より操作が気持ちいい。めちゃくちゃリアクションが帰ってきて、ヒットストップなども丁寧です。モーションのえぐみもすごい。
なんとVRにも対応してます。結構難しめですが音が楽しいのでとても良いです。
The Witness
最も好きなゲームです。
私は The Witness だけで記事書けると思うんですが抑えめにいきます。本当にこれはものすごいゲームです。
確かにパズルゲームなんですが、ここまでパズルが丁寧にあるけども、やはり目的はパズルではないと強く感じます。
これは「気づく」という概念について多角的に…あらゆる角度で語ってくる作品、だと思います。それはパズル的にもそうだし、パズル以外でもそうです。
そして体験設計が素晴らしいです。学習とその実践が至るところで行われ、「ちゃんと止まって考えないと解けない」ようになってる。
かなりゲーム自体が饒舌に語ってくれると思うので、何よりプレイするのが一番だと思います。
VRChat 始める直前にやっていたゲームがこれでした。よって、VRChat 入ってからの私の制作物には全て The Witness の影響が入っていると言っても過言ではありません。
それくらい偉大なんです。
全ての柱が白くなったら是非おしゃべりしましょう。
What Remains of Edith Finch
これもゲームというより「体験」ですが、「ゲームという媒体を通して表現できる様々な体験」を知るには最も良いゲームだと思います。
端的に「いろんな体験がある」ので。その中でもやっぱり最高峰は Lewis Finch の話ですね…。
インタラクティブな体験デザインを、複雑なストーリーと舞台の中で綺麗に展開するものすごい美しいゲームです。原題が良いんですよね。
知識としてやるべきタイプだと思います。ゲームとしても普通に好きです。
Celeste
全て (曲・キャラ・ストーリー・モーション・操作性・ギミック・体験) が良い。
アクションゲームではありますが、その本質はアクションではありません。これもまたちゃんと学習することが重要なゲームです。
元々同じ制作スタジオの TowerFall Ascension というゲームを知っていたんですが、これは「アクション」「モーション」そして「高速戦闘」が大きな要素のゲームでした。これもめちゃくちゃ楽しくて好きです。
そういう成分を物理法則の基礎として据えた上で、ストーリーとステージギミックが美しく乗っかっているのが Celeste です。本当に完成されてるゲームです。
一通りのエンディングまではそこまでアクション要素が強くない (まぁ当然ありますが) し、私はストーリー (の表現) が好きなのでとてもおすすめです。
単純に「移動の楽しさ」があるんですよね。キャラが思い通りに動かせることはゲームとして大変重要です。
The Summit の BGM 最高ですよね…。
Just Shapes & Beats
「避ける」ことがベースの音楽系ゲームです。が、私が好きなのはぶっちゃけゲーム性ではなく演出です。
もうシンプルに音ハメが丁寧なんです…。
𝙐𝙇𝙏𝙍𝘼 𝙓𝙍 𝙇𝙄𝙑𝙀 はコレを1つ参考にしたところがあります。伸び縮みの誇張とか。出現・消失とか。
そしてもう一つ、このゲーム、ストーリーモードがめちゃくちゃいいです。びっくりしました。びっくりするくらい良いです。
単純な図形はそれ自体が情報量を持たない分、アニメーションなどの「動き」によって表現をすることが比較的し易いです。その強みを上手く活かしていると思います。
Baba Is You
これもパズルゲームですが、案の定それ以上があります。端的に言えば「メタ」ですね…。
ちゃんと異常をやりながらパズルとして綺麗に成立しているのがすごいです。言語がベースだから出来る芸当っていう点もあって唯一無二な印象です。
全ステージやるにはちょっと難しいですが、そこまでいかなくともめちゃくちゃ面白いところには行けるので、是非…。
Gorogoa
これはパズルゲームに近いんですが、基礎法則が異常です。それをそのままストーリーを展開していくのもすごい。
至るところで驚きがあるという点でプレイしていてすごく楽しいです。良いゲームです。
ちなみに What Remains of Edith Finch や Gorogoa のパブリッシャーが Annapurna Interactive というところなんですが、こちら、なんだかそういう「異常な体験があるゲーム」をかなりリリースしていて信頼があります。
まぁ異常な体験があるからといって面白いかというと別問題なんですけどね… (Maquette は個人的には微妙でした、そういや Manifold Garden とか Superliminal にも似たような惜しさを感じていました)。
Inscryption
これは本当に素晴らしいです。カードゲームに見せかけた…何でしょうね。いえ、確かにカードゲームではあるんですが…やはりこれも手段だと思います。
しかしそれがあまりにも綺麗に嵌ってる。カードゲームを媒介とした、面白いゲーム体験。私はプレイ中もうずっと楽しかったです。
ゲームの本領というものがここにあります。本当に…。
ゲームのまとめ
とりあえず The Witness と Inscryption、次点で Celeste と What Remains of Edit Finch を推します。よろしくおねがいします。
まだやってない面白いゲームもいっぱいあるとは思います。これからも色々やっていきます。少なくとも Outer Wilds をやらねば…。
ちなみに私は紹介したゲームを全部やりきってるわけではありません。ゲームから概念を学習するという点において言えば全てやりきる必要性自体は無いといえます。
とは言え、そういうところに面白いものがあることも多いんですけどね! The Witness とかね!
VR空間の体験設計
これまで「ゲーム」の話をしてきましたけど、これも一種の「仮想空間」であるという点で「VR空間の設計」にかなり近いところがあると思うんです。
というよりも、VR空間の持つ本当のポテンシャルをわかる人は、今のところゲームに触れてきた人だけだと思うんです。それはこれまで述べてきた内容で十分示されてると思いますが…。
単に綺麗な世界や静的な空間設計だけではなく、もっと根本的な考え方自体が違う世界が存在しうるはずなのです。
ただこれの難しいところは「ゲームの作り方」をVR空間設計でやるとうまくいかないというポイントです。つまり「ゲームのレベルデザインが上手い人」が「VRの空間設計が上手い」とは限りません。
何故なら「プレイヤーの行動」そのものの次元が違うからです。文字通りね。
なので「VR空間の設計が出来る人間」はやはり未だに特殊技能ではあると思います。これまでに職種が存在しない。
でもさすがに5年も経ってきて、VRChatのワールドの方向性はかなり面白い流れを作りつつように見えますね。カルチャーに則ってるかそうでないかが明らかであるあたり面白いです。良いことです。
それはそうとして、「媒体を限界まで使おうとする」という態度*2はどの媒体界隈でもあることだと思うので、VR空間として特異的な面白い世界というものはこれからも出てくることと思います。
私はそういうものを作りたいです。
まぁそこまでいかずとも、シンプルに「インタラクションをどこまで作り込むか」とか「こういう空間をどう表現するか」みたいな問に対する解を探す場所としてゲームは適切ではないかと思います。
例えば私はもっと気持ちよさのあるモーションが増えてほしいと思っています…。それが 𝙐𝙇𝙏𝙍𝘼 𝙓𝙍 𝙇𝙄𝙑𝙀 でやりたかったことの1つでもあります (この話はまた書きます)。
まとめ
色々と書いてきましたが、要は「ゲームを舐めるな」という話です。
バーチャル世界のインタラクティブ性に最も真摯に長年取り組んできた界隈です。
そのままVR世界に流用できる要素は多くありませんが、そこにある哲学や構造にはいくらでも参考にできるところがあると思います。
一応書いておくと、この見方は私が私の経験から生んだものです。全ての人は自ら見方を生み出すべきだと思います。よろしくおねがいします。
おわり。