『アメリ』 ジャン=ピエール・ジュネ監督 オドレイ・トトゥ(Audrey Tautou)がかわいいっ!

アメリアメリ
オドレイ・トトゥ

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評価:★★★★☆星4つ半
(僕的主観:★★★★☆星4つ半)


■オドレイ・トトゥ(Audrey Tautou)がかわいいっ!


『ダ・ヴィンチ・コード』 米国的ハリウッド的なメディアミックス展開が悪い形で?
http://ameblo.jp/petronius/entry-10012642166.html


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↑上記のラストで書いたのだが、主演のソフィー役オドレイ・トトゥが、あまりにいい女だったので、びっくりして過去の作品を思わず見直してしまった(笑)。なぜ、びっくりしたかというと、『アメリ』に代表されるように、どちらかというと不毛な日常を描くヨーロッパ作品の代表であるフランス映画のテイストが強い作品に出ていたので、不思議子ちゃんのイメージが強くて、ソフィ役の知的でスマートな現代的な役というのを見ていなかったせいで、そのギャップにノックダウンだったよう。やっぱ、知的な女って、最高だよなー。

ミシェルミシェル
パスカル・ベイリー

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Wikiより

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%88%E3%82%A5

・主な主演作

エステサロン/ヴィーナス・ビューティ Vénus beauté (1999)
アメリ Le Fabuleux destin d'Amélie Poulain (2001)
愛してる、愛してない... À la folie... pas du tout (2002)
スパニッシュ・アパートメント L'Auberge espagnole (2002)
堕天使のパスポート Dirty Pretty Things (2002)
巴里の恋愛協奏曲(コンチェルト)Pas sur la bouche (2003)
ロング・エンゲージメント Un long dimanche de fiançailles (2004)
ダ・ヴィンチ・コード The Da Vinci Code (2006)

■ナルシシズムから脱出するお話〜他人との関係を切り結べない地獄

アメリを見直して強烈に思い出したのは、村上春樹の小説『国境の南、太陽の西』という小説だ。この作品は、何がテーマかというと、一人っ子として育つこと・・・・・そして、それに代表される他人との関係を切り結べないナルシシズムから脱出することだ。村上春樹自身も、一人っ子らしく兄弟がいない環境で育って、他者がいない全能感が持続し続けた子供時代を持った人間の内のこもりがちな精神状態を、大きなテーマの一つとして持っている。実は自分が、結婚もして、子供もいても、深い孤独の世界にいることを、あきらめとともに受け入れている主人公の前に、、、、、、その孤独を共有できる女性に出会ってしまう、というお話。別に、一人っ子に限らず、非常に物質的に豊かで、親に甘やかされて育った団塊のJr以降の世代(もちろん僕も入る)は、内面の自分が孤独のままで、閉じた世界に生きてしまう傾向が強い。閉じた世界とは、世界に「自分」しか存在しないにもかかわらず、「自分」が信じられないという脆弱な自我を持ってしまったという悲惨な状況。ナルシシズム・・・・・ナルシーというのは地獄なんですよ、出口がない世界だから、、で苦しみ続けます。このナルシシズムからの脱出が、村上春樹の最大のテーマです。『海辺のカフカ』になんか、そのあたりがあまりにストレートに出ていますよね。

国境の南、太陽の西 (講談社文庫)国境の南、太陽の西 (講談社文庫)
村上 春樹

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そして、この『アメリ』も映画のテーマは、まさに、ナルシシズムからの脱出です。学校にも行かず、神経質な両親のもとで育ったアメリは、幻想の中に逃げ込む癖を持ってしまい、現実と関係を結ぶことにひどく恐怖を覚えています。この他者との関係を切り結べない孤独な世界を、ある意味、不思議子ちゃんとして妙におかしみのある感覚で描くのは、ヨーロッパ的・・・とりわけフランス的だなぁ、と思います。日常の不毛感覚を、アメリカや日本ではまだ絶望として描くのですが、ヨーロッパ映画だともう当たり前として描いてしまうからなんですよね。意味伝わるでしょうか?。たとえば、アメリの恋人となる青年は、パスポート用の証明写真の失敗したものをゴミ箱からあさって収集したり、工事現場のバイトで生コンクリートについた足跡を収拾したりしています。これって何か分かりますか?(笑)



これは、他人の人生の断片を収集をしているのです。



他者に出会いたいと思っているのですが、直接ぶつかる勇気はないので外側からのぞき見るという臆病な行為になるのです。アメリの隣人もそうですが、ほぼ全ての登場人物が、のぞき見の癖を持っていますが、これには、他人と直接ぶつかるのが怖いという現代社会特有の臆病さを戯画化しているのです。


またアメリのお父さんが・・・・あのドワーフのシーンは、最高に笑えるのですが・・・・彼は、妻が死んで以来の引きこもりですが、ある時、アメリのある働きかけによって、世界中に旅する気概が生まれ、旅行に出かけます(笑)。彼も、自分の世界逃げていたところからの脱出ですね。全編、そういった他人と直接の関係を切り結べないナルシシズムの行き止まりの世界から現実へジャンプすることを描いています。フランス映画にしては、異様に前向きで健全な作品です(笑)。アメリも、行動力がありそうに見えて、実は世界をすべて空想と妄想でとらえています。わかりますか?、彼女は、行動が全部現実そのものとリンクしていないんですよ。すべてが妄想とのフィードバックで、行動の動機がなされている。だから不思議子ちゃんです(笑)。生の現実を直接にとらえて行動するのではなく、自分の妄想・・・コントロールできる範囲でしか、他者と現実にアクセスしない微妙な距離で世界と対峙しているのです。


けれど、それではだめだ。


それではだめなんだ、とアメリは、思い、自分を変えようとします。しかし、その変えるためのきっかけが、40年前の少年が隠した宝物箱で、その宝物箱を40年後の男性へ返すことができたら自分を変えようと決めます。この辺の、わけのわからない偶発性に人生をかけようとするところは、いかにもフランス的。僕は、エリック・ゾンカ監督の『天使が見た夢』を思い出した。ここで書いた内容ですね。

天使が見た夢天使が見た夢
エロディ・ブシェーズ

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これも、主人公の女の子が、植物人間になった子供に、病院に忍び込んで、ずっと意味もなくしゃべりつづけることが、主人公を救うことになります。このへんの、自分がナルシシズムの閉塞感から逃れるための決定的な何か!が訪れるのを待つ時に、ロシアや東欧では、すぐに虫になってみたり(カフカ!(笑))、老女を殺害してみたり(ドストエフスキー!(笑))するのに比べ、ずっと洗練されていて、そして、ずっと気が弱いと思うのが、とてもフランス的ですね。こうしてみると、このアメリという作品は、典型的なナルシシズムの地獄からの脱出物語となっているんですね。いやー見事な脚本です。

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ちなみに、現代社会の閉塞感の中で、ナルシシズムを破るのは、構造的に凄く難しい。このナルシシズム世界にいて、脱出の手掛かりがない人間は、ある「澱」のようなものを、心にためはじめます。ルサンチマンの一種ともいえるのですが、成長を称揚するビルドゥングスロマンの物語や一般的な意味での少年漫画や伝記や常識などは、この世界から抜け出して成長することを、さも当然で簡単なことのように描きますが、「ここ」から現実世界への体感感覚をリアルに戻すことは、物凄く難しい。めちゃくちゃに壊れたラジオ(=人間の体感感覚)を修理して、電波が届くようにするには、物凄い専門技術が入ります。・・・・いや、ほとんど不可能に近いといっても過言ではない難しさだ。だって、「自分」を変えろ、「自分」をリニューアルしろとってことですから、それをしなければならないのは「自分がない状態」でです。それはほとんど無理です。一部の底から這い上がった勇者を除けば、ほぼ過般・・・いや95%以上の人間は、そこから出ることなく一生を終えます。出れる人間は、ある種の選ばれたものなのだもの。何に選ばれたかというと、、、、神様とか運に、としか言いようがない。もちろん才能や努力も後付けで説明できるが、やはり世界にアクセスするきっかけを垣間見て信じて時間をかけて努力することは、本当に偶然としか思えない。努力でどうにもならないもの。・・・・だから、そういう(無駄に近い不可能へ挑戦する)努力は、基本的に全体主義や新興宗教などの、マクロ・権力を自覚的にコントロールしようとする人、組織に簡単に利用されて、駒にされてん食い物にされてしまいます。ドイツ・ファシズムを研究した、フランクフルト学派の結論ですよね。現代大衆社会分析常識的基礎分析です。
・・・・かといって、たまった澱を向ける先として、「決定的な何か」が、小学校襲撃や無差別殺人や集団自殺であったとしたら、これほど悲惨で迷惑この上ないことはない。が、向ける先がなければ、『罪と罰』のラスコーリニコフのような、「決定的な何か」に向かうものなんだ。この精神状態は、それしかブレイクスルーを見いだせなくしてしまうから。人間の闇は深い。

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