2024年のまとめと2025年の目標

🔳2024年まとめ

自分のクンフーとして最も重要な目標は、映画を100本見ることだった。それが達成できたので感無量。劇場も一月に1本見れればいい方だと思っていたけれども、19本見れて、悪くないペースだった。年の中盤忙しすぎて、3ヶ月以上、何も見ていない日が続いていることを考えると前半と後半の追い上げはすごかった。もっと年でならせれば、いけるというのもわかった。トップは、『人間の境界(Green Border)』アグニシュカ・ホランド監督でした。これも日比谷シャンテで見たんだよね。2024年は、かなりの充実した最高の年でした。やはり目標に掲げた100を超えられたのはでかい。10年間、100本継続できれば、1000本ですから、それくらい意識的に見たら、それなりのもんだと思う。

インプット

  • 映画:101
  • 劇場:(内訳:19本)

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何本かは、友人と見にいくことが習慣になりつつあるけれども、映画を見て終わったあと軽く感想会するのは、凄いインプット深まるんですよね。フィルマークスで、見た直後に感想を書くスタイルも、ノラネコさんに習って始めたんですが、これも定着してきた感じがある。ノラネコさんは、劇場+配信の計334本という高みにいらっしゃる(しかも大半劇場)ので、まだまだだけれども、目標は高く。このレベルの猛者になるには、幾つものハードルがあるけれども、いつかは・・・。

filmarks.com

日比谷シャンテで見るマイナー系の映画は、どれもすごく面白くて考察し甲斐があった。時代を感じるという意味では、メジャー級の作品を追うのも大事だけれども、分析視点では、やはりこういう渋い作品が胸を動かす。ヨーロッパ映画が、ぐっとくるのは、年齢かなぁ。

時々年休取って映画三昧の日にしたんだけど、ずっと通っていた日比谷ミッドタウンの地下って、いろいろあるので。全然知らなかった。こんなオシャレスポットだったなんて。目的地だけを目指して生きていると、2年近く通っているのに、目的以外全く目に入っていなかったんだって驚き。素敵な場所で、一人で色々散歩してみました。今度奥さんと行きたいなって思ったよ。

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アウトプット
Yutube配信:
1.物語三昧チャンネル:65本
2.アズキアライアカデミア:12本
3.Note:年間5本(有料記事を3つ!)
4.Hatena:年間138本

それとマブラヴ関連でMRで解説の記事を書かせていただきました。マンガや小説は、正直言って、あまりに読みすぎているので、メモとっていないので、分析できない。こちらももう少しちゃんと記録を取る癖をつけたいと思う今日この頃。それぞれに軽く100冊以上レベルで読んでいるとは思うのだけれども。アウトプットの形は、今年のプラットフォームの再配置というか再設定で、よく考えていかないとなぁと思う今日この頃。Noteの有料記事を設定しようとは、ずっと思っていたけれども、それができたのも、1歩前にすすんだなと嬉しい。

🔳2024年アメリカ大統領選挙レポート

2024年は、全てに最優先して、大統領選挙を、ちゃんと追うのが目標でした。「ちゃんと」の定義は、一般教書演説、ディベート、民主党党大会、共和党党大会を全てフルスピーチを直接見て聞くこと。そして、トランプ暗殺未遂事件やバイデンさん撤退など大きなイベントをちゃんと評価して観察すること。そして、もう一歩深く、踏み込んで分析すること。もう少し敷衍すれば、どっちが勝ったとか、そう言う「出来事」ではなくて、そのような現象が発生するメカニズムやマクロの原因を考察すること。この目標に対して、自分の納得度合いとしては、120%達成できたと思う。

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これで、大統領選挙は同じスタイルで、16年4回追っている。だいぶ「今のアメリカ」がよくわかってきたと思う。特に、2016年のトランプ・サンダース現象からはじまった、アメリカの大変動について、モヤモヤしていたものが全てクリアーになったのが今回の選挙だった。アメリカの今は、世界のいまでもある。トランプ・サンダース現象を解明できたことで、世界がどんな問題を抱えているのが、深く理解できるようになったと思う。特に、会田弘継先生の本は、素晴らしい出会いだった。GWの休みをガッツリとって、娘の塾の送り迎えの待ち時間で、喫茶店で毎日長時間読書できたのは、今年の大きな発見だった。喫茶店の方が、ちゃんと本を読む!って(笑)。読書の素晴らしさを再確認しましたよ。

🔳旅行〜新しいことをチャレンジする

2023年からいっているのだが、この年最も倒し勝ったこと、心に残っていることは、銀鷹さんたちと八ヶ岳を登ったことでした。僕は運動が嫌いだし、アウトドアが基本的には好きではないのですが、なぜかとて重心に残ったて、1年の終わりに優劣をつけてみたら、驚いたんですよね。そして少し考えると、「自分が普段しないことにチャレンジ」したからだってことがわかります。なので、こうした試みは、毎年チャレンジしてみようと言うことで、今年は中央アルプス、つーても駒ヶ岳ロープウェイで登って千畳敷カールを登るだけですけど、やろうとしたのですが、残念ながら悪天候で断念。急遽切り替えて、横岳にいってきました。

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こういう普段の自分とは少し違うチャレンジを、コツコツやることは大事だと本当に思いました。2022年9月にアメリカから帰国して、2年と4ヶ月たちました。当初、帰国したらこれはしておきたいとか、残りの人生を逆算すると、こういうことはしておきたいと思ってメモしていたものは、ほぼ全てやり切っているので、なかなか頑張っているな、俺と思います。そのほか、海外にいる友人に会いに行くという野望もあるのですが、それは仕事が忙し過ぎて、アップアップで行けていません。下の娘ちゃんの受験があるので、それで妻と毎月ぐらいにアップダウンしまくっているので、それどころじゃないってのもあるかもですが。。。でも、新しいことチャレンジのコンセプトに則って鯵釣りに海に行きました!。これも凄い良かった。というか、不思議なことに、友達すごい増えました。。。

この辺の、2022年の帰国の時に考えた中期の目標も、だいたい達成してしまったので、再度構築し直さなければならないなぁと思いました。いやはや、個人的には、2024年は、一つのステージが終わった感じが凄きします。まぁやはり人生って、3年くらいがサイクルなのかなぁって思います。

🔳2024年で一番良かったことは

今年一番というとなんだろう、、、と考えていたんですが、奥さんとデートしたことなんですよね。同じくらいにLDさんと、鳥貴族(笑)で飲んでたのも忘れられないくらい楽しくて・・・途中で気づいたんですが、というか50年生きていて明確に意識してなかったんですが、はっきりわかったのは、サシで話すのが好き。ということ。逆を言うと、多人数であることは全く好きじゃないんですよね。多分多人数の場合は、義務でやっている。これは、自分のかなりの気づきでした。

あと、まぁこれは趣味と思っていなくて自覚なかったのですが、ひたすら新しいBarを開拓していました。これは、プロジェクトを一緒にやっている部下の影響。彼には本当に色々なものを教わった。いやほんと、世界中飲みにまわったよ、、、(苦笑)。この写真は、東京ステーションホテルのバー。2024年は、ほんと、かなりの数のバーを回りました。実は、レストランやBarは、行った記録をかなり細かくつけている(これも彼の影響だなぁ)ので、これも自分なりの評価したり調べるともっと面白くなるんだろうなぁと思う今日この頃。2023年12月だけど、ドイツ、オランダを出張で回って、その足で空港からこのウィスキーフェスティバルにボトル買いに駆けつけたのもいい思い出。

whiskyfestival.jp

あとは、渋谷をよく通る時には、この絵を見る。岡本太郎さんの。これとても好き。なぜかこの絵を見ると、進撃の巨人を連想するんですが・・・なぜだろう(笑)。渋谷は、学生時代によく飲み歩いてたり、奥さんと恋人だった大学時代にいつもデートした街で思い出の街でしたが、あまりに変わってしまって、、、Bunkamuraが休館中なのも残念で。長い間日本を離れているうちに、全く様変わりしてしまって、ダンジョンみたいになっていて、もういくこともないなと思っていたんですが、かなり連続でここで色々飲み会やらやるようになってきて、ダンジョンが自分の中でつながりつつあるんですよね。特に、こちら側の岡本太郎さんの絵の方面は、それなりによくわかっていたんですが、、、

今回、海燕さんのコミケ上京でアズキアライアカデミアの忘年会をしたんですが、ここで行ったスペイン料理のJose Luisが良くて、渋谷スクランブルスクエアとヒカリエが、なぜだかバーンと頭の中で繋がって体感の脳内マップで接続してくれて、渋谷の全体像がつながった気がするんですよね。なんか、すごく渋谷の街が好きになりました。やはり、歩いて動いて、何度も通うって大事だし、イベントがあると記憶に残るので、記憶地理とでも言うか、繋がると幸せですよね。


🔳美術館・展覧会めぐり

今年は、かなりの頻度でいけた。もともとは、3ヶ月に一回は、まぎぃさんと美術館とかに行こうとアメリカにいる時に約束していて、それは守れていたけど、ほぼ毎月ペースで何か入れていたと思う。思いのほか展覧会見たいのが楽しくて、ほんと行きまくっていた。この辺が、東京の良さだよなぁ。本当に文化資本が充実している。今年のベストはなんといっても、巨大ロボット展。これは素晴らしかった。

イマーシブ系のイベントは面白そうなの入って見るようにしてて、これって今技術がどんどん上がっていて、色々な演出方法が生まれているところだから、見るたびに進化していて面白い。ロサンゼルスでゴッホ展を見て以来、これ系のはちゃんと見に行こうといつも見つけるとなるべくいくようにしたいます。

年末最後にも友人と世田谷文学館に行って来れました。

🔳2025年目標

インプット

  • 映画:100本以上
  • 内訳:劇場:24本以上、メジャー半分、マイナー半分(単館系を攻める)

アウトプット

  • Yutube配信:

  1.物語三昧チャンネル:12*4=48本(4配信/月)
  2.アズキアライアカデミア:12本(1配信/月)

  • 発信プラットフォームの再設計(有料化の手段を再検討)
  • 物語の物語の電子書籍版発行


🔳マクロの新世界系の次世代の物語類型は、未だ不透明〜絆の再構築を目指すには、父殺しと母殺しを踏み越えて

2024年は、三宅香帆さんの本が良かった。会田弘継先生と並んで、本を読むことでかなりの自分のアップデートにつながった気がします。来年は、もっと本を読みたい。本を読まないとダメなんだな、と実感した今日この頃です。ものを考えるには、活字で情報を取得しないとダメだ。この2冊は、僕の中では非常に思想的につながっていると言うか、「現代の社会」を見る補助線なってつながっているように感じます。三宅さんに紹介したらすぐ読んでくれて、かなりガッツリ書評を書いて、会田先生にも絶賛されてましたもの。明らかに問題意識が似通っている。これからの世界を見ていくには、共同体主義の、家族の話を考えていかなければならないのは、間違いないもの。

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それと、2025年の大きな目標は、次世代の物語の類型を考えて見る、こと。もう「新世界系」は、その文脈的なピークを過ぎたと思う。次をちゃんと考えて、テーマ出しをしていく努力をすべきだなと。自然に出るのを待っていると、5年周期で大きな文脈しか探さないので、それもダメだなと思っています。2025年は、物語の物語の電子書籍化に踏み込みますが、これを再読して確認していると、やはり群、文脈で、類型でくくる作業は、価値があると思うのですよ。

🔳2024年のイシュー〜ガザとウクライナ戦争から見える世界の問題

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緩やかに世界の構造が変わっていっている気がするんですが、その大きな震源地は、今はウクライナとガザ問題。多分本質的には、ウクライナの方が大きいだろうと思う。こう書くと非人道的、非倫理的だけど、ガザはやはり辺境問題に過ぎないと思う。ウクライナは、ロシアとEUと、世界に与える影響が桁違いだ。この問題に継続的に追っていくことは、大事なことだと思う。ウクライナはそれなりに追っていたけど、ガザ・イスラエル問題は、ここ10年くらいはほとんど追えていなかったので、今年は、『ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義』を読めてよかった。アメリカ大統領選挙の時に、若者世代、Z世代画質的に変化を起こしていて、パレスチナよりの反応をしていることから、アメリカの変化の一端として、興味を持っていたのだけれども(そうでなければ興味持たないであろうことが・・・かなり悲しいけど・・・)、なぜイスラエルよりパレスチナに、若い世代がシンパシーを感じるのかが、この本を読むとよくわかる。世の中を構造的に捉えるには、「大きなマクロ」と「小さなミクロ」を両方根気良く、骨組みを理解しない難しい。2024年の問題は、この二つだったなと思う。

この辺ももっともっと読書して、理解したいです。

さて、2025年も、良い年でありますように。

2024年総合ベスト


  • 1位:人間の境界(Green Border):アグニシュカ・ホランド監督
  • 2位:ルックバック:押山清高監督
  • 3位:86-エイティシックス-:石井 俊匡監督
  • 4位:ツレ猫 マルルとハチ:園田ゆり
  • 5位:スキップとローファー:高松美咲
  • 6位:侍タイムスリッパー:安田淳一監督
  • 7位:ボーイフレンド
  • 8位:シビル・ウォー アメリカ最後の日:アレックス・ガーランド監督
  • 9位:オルクセン王国史~野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか~:樽見京一郎
  • 10位:ソウルの春:キム・ソンス監督:2024年韓国戒厳令、尹 (ユン)大統領

番外:『ある日、お姫様になってしまった件について』

2024年の良かった本
 『それでもなぜ、トランプは支持されるのか: アメリカ地殻変動の思想史』会田弘継
 『娘が母を殺すには? 』三宅香帆

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  • 11位:推しの子:原作:赤坂アカ、作画:横槍メンゴ
  • 12位:青春18×2 君へと続く道
  • 12位:落下の解剖学
  • 13位:負けヒロインが多すぎる
  • 14位:ダイヤモンドの功罪:平井大橋
  • 15位:異世界車中泊物語 アウトランナーPHEV
  • 16位:マッドマックス:フュリオサ
  • 17位:リバー、流れないでよ
  • 18位:対峙 Mass
  • 19位:TS衛生兵の戦場日記
  • 20位:T・Pぼん
  • 21位:パドマと出会うアメリカの味SEASON1 (2020)
  • 22位:ファイアパンチ
  • 23位:りぶねす
  • 24位:ソウルメイト/七月(チーユエ)と安生(アンシェン)
  • 25位:ノースマン 導かれし復讐者
  • 26位:キラーズオブザフラワームーン
  • 27位:太陽と桃の歌

🔳2024年を見る軸(1):社会が分裂したその先にある新世界系的な北斗の拳的マッドマックス万人に対する万人の闘争状態

2024年をずっと支配していた体験は、やはりアニメーションの『86-エイティシックス-』(2021)だった。この作品によって、2010年代後半から2020年の前半にかけて「新世界系という類型」の分析が一気に進んで、そして類型としての全体像が定まった。アニメ自体は、石井俊匡(としまさ)監督による2021年の作品なので、新世界系の時期が、2010年代後半の5年(2014ー2021)くらいをベースにしていることもわかった。ある意味新世界系という世界系の後に出てきたジャンルが終焉した(=ジャンルとしての答えが定まった)象徴に思えるので、最も大きかった。マンガ『ファイアパンチ』(2016)も映画『マッドマックス:フュリオサ』(2024)も、この類型の展開として包括できるので、自分的には最重要の出会いだった。

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🔳2024年を見る軸(2):移民が先進国市民社会に与えるインパクト(もう市民社会は移民を受け入れるキャパシティの閾値を超えた)

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また振り返ると、意外に地味で、よかったけれどもそれほど気にしていなかったマイナーな映画と思っていたAgnieszka Holland(アグニェシュカ・ホラント)監督のヨーロッパ映画『人間の境界(Green Border)』(2024)の評価が自分の中で圧倒的なことに気づいて驚いた。なぜならば、2024年の全世界の最も最重要テーマは、「移民問題への態度」だったからだ。

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2024年は、第47代アメリカ合衆国大統領の選挙の年だったわけだが、ジョー・バイデン、カマラ・ハリスとドナルド・トランプの戦いの最重要イシューは、インフレによる生活苦と不法移民問題でもありました。では、この移民の問題ってのは、どういうことなの?というものの、本質を浮かび上がらせたのが、この映画だったからです。この映画で描かれる、ポーランドとベラルーシの国境で“人間の兵器”として扱われる難民家族の扱いを見ると、難民が社会に与えるインパクトを余すところなく伝えています。単純に、祖国で迫害されたり戦争で難民化した人々の過酷な運命を同情したりシンパシーを感じたりするだけではなく、その国境の街に住んでいる「普通の市民」が、どのように巻き込まれていくか、それによって、社会がどのように壊れていくかというのが、これでもかと描かれるところが圧巻。ようは、NIMBY「Not In My Backyard(我が家の裏庭には置かないで)」問題と同じ構造で、難民の数が上昇していくことによる市民社会のキャパシティを超える時に、あなたは自分の生活が壊れたり非日常化していくことに耐えられますか?という問いかけがある。

米大統領選の隠れた背景だった移民のNIMBY問題 | 佐々木俊尚「毎朝の思考」/ Voicy - 音声プラットフォーム

基本的に、先進国の中産階級、「普通の市民」は、これを許容することができなくなっている。そして、ウクライナ戦争だと思うんです。2022年2月24日、ロシアによる侵略が始まって以来3年近く時が経っている1年もかからずに収束すると思われていたウクライナ戦争の長期化で、気前よく受け入れた難民が社会のキャパシティを越え始めている。ドイツ社会が最近、社会の通常な運営能力を失いつつあることは今、盛んい騒がれています。

ドイツ人は疲れている マライ・メントライン
https://www.youtube.com/watch?v=TL_GECYbSck&feature=youtu.be

これって大きくくくると、先進各国の市民社会が、グローバリズムの進展による人々の移動・移民に対して、対応能力に限界がきていることを示しているんだと思う。アメリカ社会にける、アメリカファースト(孤立主義)の発想も、まさにこれがあると思う。移民を、不法移民を、難民を・・・・これ全部明確に違うカテゴリーなので、意識して考えないと今後はダメですね・・・・市民社会が受け入れることを拒否するために、極右が台頭するのは、当然の振り子です。人権を、左翼やリベラルが、原理主義的に掲げるほど、社会は右傾化していくでしょう。マライさんもコメントしていますが、社会の中でリベラルなレフト(国民のみを対象とする)でありながら、反移民(国民以外は排除する)でナショナリズムを煽る政党が出てきたら、これからウケると思う。ちなみに、まんまトランプさんの共和党ですね。話がかなり盛大にずれましたが、移民、難民、不法移民などを受け入れることのコストの高さが、これでもかと描かれることは、まさに今の時代の最も大事な問題意識で、流石の巨匠等なりました。


🔳2024年を見る軸(3):学園もののラブコメのフォーマットで、日本的学園空間の中で、クラスの中に生まれてくるスクールカーストの格差をどのように乗り越えていくのか?

そして『スキップとローファー』。出合小都美監督によるアニメーション(2023)。高松美咲さんによるマンガ(現在、既刊10巻)。これにはハマりました。今年何回も何回も繰り返して読んでいるから、本当に良かった。なぜかといえば、この作品が、新世界系の類型以後、そして、2024年の分極化していく社会の分裂に対して、絆の構築を描くのに解像度が高い作品だったからだと思います。この辺りの絆の再構築をメインテーマとした作品は、さまざまに表れているのですが、これを日本のエンターテイメント文脈で、福田晋一さんの『その着せ替え人形は恋をする』に並ぶ2020年代前半5年の最前線の一つだと感じました。学園もののラブコメのフォーマットで、日本的学園空間の中で、クラスの中に生まれてくるスクールカーストの格差をどのように乗り越えていくかが、繊細に見事に描かれている。アニメーションが、マンガの本質を深く理解して演出されていて、本当に傑作です。

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同じ目線で、日本の2020年代の男の子たちの、絶妙で繊細な距離感が、見事に出ているなと感動したのが、ネットフリックスのリアリティーショーである『ボーイフレンド』(2024)。これが、素晴らしかった。

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🔳2024年を見る軸(4):まとめ

これまでの世界の成長は、グローバル化、近代化というものを「個を尊重する」という多様性をセレブレイト(祝福)することで、言いかえれば、個の権利を際限なく拡張していくことで推し進めてきた運動でした。しかし、こうした絆を重視する姿勢というのは、コミュニタリアニズム(=共同体主義)や家族が復権することリンクしていると思っています。ジョー・バイデンがカソリックであったこと、副大統領のJDヴァンスがカソリックに改修していることなど、アメリカでは、この方向性がカトリシズム(Catholicism)の復権と伸長に表れていますね。もう少しやわらかくいえば、個を主張し続けることは、エゴの表出で、人々が際限なく包摂なしでぶつかり合っていくことになるので、絆による親密権の単位を見直さなければいけないとなっている時に、家族という単位や宗教共同体の単位が見直されているという流れですね。僕は、堂本裕貴さんの『りぶねす』(2013-2017)が、めちゃくちゃ好きで感動したんですが、これも、絆の見直し、再構築という大きな文脈から分岐される日本的ローカル文脈の一つとして、ラブコメの中の「妹もの」と「幼なじみもの」の展開に新しい一手を打ってくれているからです。←いきなり例が、身近になった(笑)。

ちなみに、再度、『86-エイティシックス-』『ファイアパンチ』『マッドマックス:フュリオサ』『Civil War』に戻るのですが、これらの作品を新世界系の類型で僕は見ているんですが、何を表していると考えているかというと、グローバル化が進展して、多様性を称揚するあまりに個々人がぶつかり合って、際限のない衝突、分裂の果てに殺し合いになって、殺伐としたサバイバル空間になったその結果としての「万人の万人に対する闘争」状態が現出していることの心象風景であり、イメージだと思っているんです。言ってみれば、ポリティカルコレクトネスなど多様性の尊重によるグローバル化の進展の行き着く果ては、「それ」だぜって言っているように僕には見える。「良きことをする」という出発点で始まったレフト(左翼)の行動が、共産主義の行き着いたポルポトや毛沢東になって、人々の大量殺戮していくよう。これのアンチテーゼとして出てきているのが、共同体主義の方向性なのだろうと思います・・・が、共同体主義(コミュリタリアニズム)とかあまり抽象度の高い視点で言うとわかりにくいですが、そこで絆の再構築(人間同士の紐帯はどのように生まれてくるか?)と言う探究になるので、日本のローカル文脈では、ラブコメの見直し、復権にはじまって、それがもう少しアダルトな、ぶちゃければSEXや結婚、セクシャルな問題、ゲイやれずビアン、BLなどのLGBTQをスコープに入れた物語が多く生まれ、そして、結婚もの類型の伸長につながっているのだと僕は思っています。2024年は、この流れが顕著に見れた年でしたね。

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