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2023年8月27日(日)に、滋賀県大津市の「びわこ競艇場」 (琵琶湖モーターボート競走場)にて行われた、正式名称 「第11回スモールドラゴンボート日本選手権大会」兼 「第16回アジアドラゴンボート選手権大会スモール選考会」兼 「第1回関西マスターズゲームズ2023」の模様より、後編。 本記事では、同大会での「(選手権)混合の部」および 「(選手権)オープンの部」の模様について紹介する。 まず最初に、今回の大会で起こった「魔の3号艇事件」 について説明しておこう。 本大会の予選から敗者復活戦にかけ、「赤色のプレート の3号艇」に乗艇したチームが、スート直後に転覆して しまう事件が2度続けて発生した。 同艇に乗船したチームはいくつもあるのだが、いずれも 「安定性が悪い艇だ」という話をしつつも、なんとかそれで 完走していたのだが、その2チームに関しては転覆沈没。 そして、転覆を免れたチームでも、喫水が、なんだかおかし かったり(↓)、蛇行してタイムを落とすケースが発生した。 「風の影響か?」「いや、(スタート用)ロープが絡まった に違いない」「スタート地点の水流の問題か?」等の諸説が 入り混じって、選手やスタッフ間で出てきていたのだが、 結局のところ、リプレー(録画)検証等を行っても、 スタート地点やレースの環境等に問題はなく、スタート後の レース中においても、前述のように蛇行等が発生している。 結論としては「この新型の艇は幅も細く、喫水も不自然で 安定性が低い。操船に極めて熟達している上級チームであれば、 むしろ速度が出て良いが、中堅チームくらいまでのスキルだと、 不安定で、転覆してしまう事も有り得る」という解釈となり、 この艇は、その後、艇庫に回航して、使われない事となった。 思うに、本大会が開始された2013年頃に競技用艇として 購入したタイプと、近年(2019年頃)に、前編記事で 説明した「ワールドマスターズゲームズ関西」 (当初2021年開催予定、コロナ禍で2027年に延期)に 備えて追加購入したタイプの艇で仕様が異なる模様だ。 例えば、同じ競技用艇でも、2013年型、2019年型等が あって、微妙にスペックが異なるという事だろうか? 新型艇では、細く、重心が高く、速度は出るが、明らかに 操船が難しくなっている。 まあ、今回は日本選手権であり、それでも良いとは思うが、 それでも艇による若干の環境差(有利不利)が発生している。 そして2027年に実際に「ワールドマスターズゲームズ関西」 が行われる際には、いったい、どうなる事だろうか? ドラゴンの強豪チームが、その艇に当たれば問題は無いが、 もしビギナーのチームが乗艇すると、転覆等の危険性が高い。 あるいは、今回転覆した2チームも、昨日今日にドラゴンを 始めたようなビギナーチームではなく、20年間以上も 何もアクシデントを起こさずやってきたベテランチームだ。 まあだから、ビギナーチームに限らず、危険性がある。 転覆による人的安全性は、全員ライフジャケット着用の為 あまり問題にはならないと思うが、救命活動や再レースで レース実施時間を大幅にロスしてしまう(事実、本大会でも 昼食休憩の時間が短縮された) なお、本大会では、通常のドラゴン競技のルールに 基づき「100m地点までの”衝突””転覆””進路妨害” 等のアクシデントにつていは再レース」が適用された。 だが、”レース中止”のアナウンスは先頭集団で必死 に戦っているチームの耳には、なかなか届かない。 審判艇が先行して、レースを止める措置は有り得るが 転覆チームが出ている以上、あくまで救助優先だ。 競技を継続したチームとしては、早目にレース中止 連絡を受ければ、まあそれでも良いが、もうゴール してしまった後で「再レース」と言われても大変だ。 体力も消耗するし、後で再レースを行った際には 他のカテゴリーと重複乗艇している漕手では、そもそも 時間的な余裕が無い(注:同じ漕手でのレース間隔は 最低30分を開けるという内規があるが、守る事が困難) 競技ルールでは、”転覆”の原因が、他者からの妨害で あったか? コース自然環境の問題によるものなのか? それとも、自爆(自身のチームの課題による単独事故) であるか?は、問われていない。 レースを続行完走し、それでも、再レースとなるという、 若干の不利益を被った他チームとしては「自爆(単独事故) は、もう自己責任だ」という感覚が強い事であろう。 これは競技ルールの盲点となる、なかなか難しいケース であろうか? もし現行ルールを改善するならば・・ 「自チームのみを起因とする単独事故であれば100m以内で 起こったアクシデントについても、他チームはレース成立で、 当該チームは失格となる」あたりが妥当なようにも思える。 なおスタートから100mを超えて発生した同等のアクシデント の場合は、現行ルールでも、レース成立、当該チームは失格、 となる。 今回の「魔の3号艇事件」は「日本選手権」としての競技 そのものには大きな影響を与えた状態にはならなかったが、 もし、これが決勝戦の真剣勝負で発生していたとすれば 大きな課題となっただろうから、何らかの対策・対応が 望ましいのではなかろうか・・ (注:新たに購入した20人艇も同様に、要確認と思われる) では、以下は「(選手権)混合の部」の模様に進む。 (男女)混合の部とは、漕手の性別に制限があり、 10人漕ぎの場合は、男子4名以上、女子4名以上と なっている。つまり、8名以上で参戦可能だが、勿論 漕手の数が少ないと不利になる。 通常は男子6名、女子4名の割合での参戦が多いであろう。 今年、混合の部への参加チームは15チームである。 「東京龍舟」が、トリプルエントリー(3チーム) 「関西龍舟」と香港の「Castle Peak」がダブルエントリー。 他は単独参加で、東から、静岡、滋賀(2チーム)、京都、 大阪(3チーム)、沖縄、という出身地区となっている。 (余談:ついに、念願の「東京龍舟軍団全員集合写真」 を今回撮る事に成功。多数のチーム(今回は5チーム) で参戦する事が多い「東京龍舟」軍団は、常に何処かの チームがレースに参戦している等で全員が揃わず、 「幻のツチノコを撮るよりも、東ドラ全員集合写真を 撮るのは難しい」と、私はいつも、ボヤいていた・笑) では、本大会での過去5年間(コロナ禍を挟む為、4大会) での、選手権混合の部の決勝戦上位チームを、ここで 記載しておく。 2018年:(10月21日実施、晴れ、200m戦) 第1位:東京龍舟(東京) 第2位:関西龍舟 シンバ(兵庫) 第3位:すいすい丸 トレイン(京都) 2019年:(9月22日実施、曇り、一時豪雨、250m戦) 第1位:漕遊人(沖縄、他) 第2位:東京龍舟(東京) 第3位:すいすい丸 トレイン(京都) 2020年:コロナ禍で中止 2021年:(10月22日実施、曇り時々雨、250m戦) 第1位:東京龍舟(東京) 第2位:すいすい丸 トレイン(京都) 第3位:関西龍舟 シンバ(兵庫) 2022年:(5月22日実施、晴れ、250m戦) 第1位:東京龍舟(東京) 第2位:すいすい丸 トレイン(京都) 第3位:TOKYO DRAGON(東京) 全般的に見て、「東京龍舟」(軍団)の活躍が目立つ。 また、「すいすい丸 トレイン」(主力チーム)が、 毎年入賞している。加えて「関西龍舟」も入賞常連だ。 なお「漕遊人」(そうゆうじん)(↓写真)は、 沖縄を中心とするチームで、毎回参戦する訳ではないが、 参戦した2018年には、見事優勝している。 (注:翌2019年には、オープンの部に転向して準優勝) 本大会は10人漕ぎであり、強豪・大人数チームは、 複数のチームに分割して重複参戦する事も普通だ。 だが、「すいすい丸」は、今年は、ダブルエントリー (トレイン、工場)をやめ、主力選手の一部は、今年 初めて「(選手権)シニアの部」に挑戦だ。 混合の部には、シングルエントリーとなっている。 「関西龍舟」は、今年も、いつものように「シンバ」と 「バーバリアンズ」でのダブルエントリー。 (↓写真は、「シンバ」チーム) そして「東京龍舟」は、なんとトリプルエントリーであり 今年の日本選手権で久々に魅せた「ワンツーフィニッシュ」 に続き、滅多に起こらない(→かつて「bp」系チームが 1~2度程達成した)「ワンツースリーフィニッシュ」 (表彰台独占)を密かに狙っていると思われる。 また、2018年に混合の部で優勝した「漕遊人」も、 今年は沖縄より参戦しているので、「混合の部」は、 激戦区になりそうな気配である。 具体的な注目チームは、「東京龍舟」(軍団)、 「漕遊人」、「関西龍舟」(シンバ)、「すいすい丸」、 「ビューティプレミアMIX」(bp派生)、「うみひ」 「琵琶湖ドラゴンボートクラブ」あたりの、国内強豪 チームとなるだろう。香港チーム(Castle Peak)は、 やや厳しい状態か? 予選、敗者復活戦を経て、準決勝戦(5艘建て)での 順位とタイムは以下のとおりだ。 <混合の部 準決勝 第1組 結果> 1位:1分09秒:漕遊人(沖縄) 2位:1分11秒:東京龍舟(東京) 3位:1分11秒:TOKYO DRAGON(東京) 4位:1分14秒:関西龍舟 バーバリアンズ(兵庫) 5位:1分14秒:ビューティプレミアMIX(大阪) <混合の部 準決勝 第2組 結果> 1位:1分11秒:関西龍舟 シンバ(兵庫) 2位:1分12秒:TOKYO DRAGON シゲゴオリ(東京) 3位:1分12秒:すいすい丸(京都) 4位:1分17秒:琵琶湖ドラゴンボートクラブ(滋賀) 5位:1分18秒:うみひ(静岡) 各準決勝で2位までは決勝進出確定、そして 各3位のうち速い1チームがワイルドカードで決勝進出。 決勝戦は5艘建てで争われる。 本年7月の日本選手権で、「ワンツーフィニッシュ」 を決めた「東京龍舟」軍団が、本大会でも引き続き好調。 ワイルドカードを含め、3チームが決勝進出となった。 この3位争いで、日本一を目指す「すいすい丸」は、 残念ながら敗退。まあでも、「シニアの部」では 「すいすい丸(ボンバイエ)」が初優勝している。 近畿圏で残ったのは「関西龍舟シンバ」のみである。 「関ドラ」(通称)も、近年の本大会では、準優勝や 3位の戦績に留まり優勝が無い。このあたりで是非とも 優勝しておきたい、という気持ちは強い事であろう。 そして、滋賀県(あるいは、京都、大阪を含む)の 地元チームが、ここで全て消えてしまった。 なお、余談だが、まだ本大会が「びわこスプリント大会」 であった2000年代頃では、地元滋賀県のチームも上位に よく入賞していた。また、当時で滋賀県の他の大会も 「びわこペーロン」「ドラゴンキッズ(注:小学生大会」」 「東近江大会」「高島ペーロン」「堅田船競争」等と、 いずれも地元色が強く、お祭りの雰囲気もある大会であった。 勿論、地方大会では地元滋賀県からの参戦チームが大半だ。 その時代においては、他地区の(ドラゴン専業等の)強豪 チームが地方大会に参戦し、それで地元のチームが敗退して しまうと、地元の関係者等は、その事を嫌がる風潮もあった。 (例:「ヨソモノが来て、大会を荒らされた」等) この様相は、滋賀県のみならず、他府県の大会でも似たり よったりであった。 しかし2010年代となり、それらの滋賀県(あるいは他府県) の地方大会にも、各地から多数のドラゴン専業チームが 参戦するようになる。もう、決して「ヨソモノ」ではなく、 そして「地元のお祭り」でも無い、「ボート競技大会」 としての様相に急激に変化していく。 強い(ヨソモノだった)チームが毎年参戦し、例年、上位に 入賞するようになると、地方ローカル大会のアナウンサーも、 そのチーム名を覚え、その活躍を讃えるようになっていく。 近年で言えば、MLBの大谷選手が、日本人である事は、もう どうでも良く、野球界でのスーパースターとして、米国で 認識されるようになった事と類似の状況だ。 また、その頃から「観光」や「インバウンド」が、地元に 利益をもたらす有力な産業である事に、政治家のみならず 多くの一般市民も気づくようになる。 地方の観光地に遊びに行けば、道ですれちがう小学生達が 「こんにちわ」と声をかけてくれる事も、この頃からだ。 「知らない人に話しかけてはいけません」という教育方針 ではなく、「観光客は地元を富ませてくれる人達だ」という 風に、教育の概念も変わってきたのかも知れない。 そして(東京)オリンピック誘致での「お・も・て・な・し」 がTV等で放映され、また、その頃から海外からのインバウンド 観光客が激増し、「爆買い」等で日本に利益をもたらせた。 ドラゴン界では、静岡「ツナカップ」が開始され、この大会 が典型的な「おもてなし思想」により、地元の参戦チーム数 よりも、県外からのチーム数の方が多い、という国内唯一の 大会となった。 この事が「美談」や「良い傾向」として認識されるように なると、ドラゴン界においても、「地元チームの活躍 よりも、遠方から参戦のチームに敬意を払う」という風に 意識が変化しはじめた。 しばらく「ツナカップ」のみが、地元チームよりも他府県 の参戦数が多い大会であったが、2020年代となると 京都の「宇治大会」(宇治川・源平・龍舟祭)も、同様に 他地区参戦チームが多くなるという逆転現象が生じた。 また、本「スモール選手権」でも、今年2023年の例を 見れば、37チーム中、滋賀県チームは6チームしか無い。 滋賀県だけでは狭いので、京都・大阪・兵庫のチームを 加えて「近畿圏」とした場合でも、近畿圏17チーム vs 県外(海外含む)20チームと、ここで逆転現象が起きた。 もう、滋賀県の関係者も「地元チームが(決勝に)残って いない」等で落胆したりする事は、すっかりなくなった。 いつの間にか「遠くから来てくれたチームに感謝し、 頑張ってもらいたい」と、むしろ10数年前の感覚とは 正反対になってきている模様だ。 なお、今年の高校野球(夏の甲子園)では、関西圏の チームが早々に全滅してしまって、私の周辺でも 「今年は、ちょっとつまらない」という風な話が 良く出ていた。まだ、高校野球の世界では地元尊重の 意識が強く残っているのだろう。 それと、本大会や、他の滋賀県での開催の大会には、 良く、地元系の新聞やTV等のメディアが取材に来ている。 その場合、やはり地元・滋賀県のチームが好成績を 挙げてくれた方が、読者や視聴者のウケが良い模様だ。 しかし、新聞の読者や、高校野球の視聴者は、その 活躍した地元のチームや選手とは無関係である事が 普通だ。いや、無関係であるからこそ、地元という かすかな繋がりで、それらの選手の応援をするのであろう。 ドラゴンボート界では、もはや、選手や関係者の誰もが、 他のチームの誰をも知る、という状況だ。 地元(滋賀県、あるいは近畿圏)の選手達から見ても、 「やはり東京や沖縄のチームは、一枚上手かぁ・・」 と、それで納得するし、他チームに見知った顔が居れば、 自チームの勝敗とは全く関係が無くても、必死に応援を している様相も、近年では見られるようになってきている。 これが、良い事なのかどうか?は、なんとも微妙な様相も あるが、これも「時代の変化」なのかもしれない。 さて、「混合の部」の決勝進出チームを挙げておく。 5艘建てで、レーン順に、以下のようになった。 <混合の部 決勝戦 進出チーム> 1レーン:漕遊人(沖縄) 2レーン:関西龍舟 シンバ(兵庫) 3レーン:東京龍舟(東京) 4レーン:TOKYO DRAGON シゲゴオリ(東京) 5レーン:TOKYO DRAGON(東京) 「東京龍舟」(軍団)が、3つも決勝戦に進出だ! ただ、さほど驚く状況でもなく、本年7月の日本選手権 (20人漕ぎ)では、東京龍舟がワンツーフィニッシュを 実現している。つまり「40人は、日本で1、2を争う」 選手達が居る次第だ。スモールの部決勝での計30人が、 そうであっても不思議では無い。 しかし、ここで観戦側の楽しみとしては、この状態から 概ね2つの結末(シナリオ)が考えられる。 1つは、「東京龍舟軍団が、奇跡のワンツースリー (表彰台独占)フィニッシュを実現する」というシナリオだ。 ちなみに、過去、それを実現したのは「bp」軍団が1度 (または2度あったか?)ワンツースリーとなっている。 2つ目、「東京」「兵庫」「沖縄」が3位までを分け合い 激戦、かつ無難な結末となる、というシナリオもある。 ワンツースリーは、なんだか、しゃくなので(笑) ここで私は、2つ目のシナリオが実現される事を望んだ。 その方が、公平ではなかろうか・・と。 さて、混合の部の決勝戦がスタートした! 「東京龍舟」の姉妹チーム3艇が水上で並び競う様相は 壮観で珍しいが、若干の距離差がついている模様だ、 これだと、ワンツスリーの実現は困難かも知れない。 後半、1レーンの「漕遊人」が猛烈な追い上げを魅せる。 もっとも、観戦側のデッキから近い1レーンは、角速度が 速い、つまり同じ時間でも動く角度が大きく見えるので 強烈な追い上げがあるように錯覚してしまう事が常だ。 だが、その目の錯覚を抜きにしても「漕遊人」は速い! 「東京龍舟」軍団の中では、本家の日本語「東京龍舟」 表記の3レーンが速く、「漕遊人」との一騎打ち、 または、唯一の近畿圏勢の「関西龍舟 シンバ」 (2レーン)との三つ巴、という感じだ。 終盤、「漕遊人」が若干先行する。どうやら3地区 (沖縄、東京、兵庫)拮抗による、第二のシナリオの 結末になりそうだ・・ <混合の部 決勝戦 最終順位とタイム> 1位:1分09秒:漕遊人(沖縄) 2位:1分10秒:東京龍舟(東京) 3位:1分11秒:関西龍舟 シンバ(兵庫) 4位:1分12秒:TOKYO DRAGON(東京) 5位:1分13秒:TOKYO DRAGON シゲゴオリ(東京) タイム差は非常に少なく、概ね1艇身以内で固まって ゴールした大激戦であった。 選手権級のメジャー大会の混合の部では、昔から 現代に至るまで、このような「1艇身以内の激戦」 の決勝戦が良く見られ、観戦側としては面白い。 ここまでの僅かな差であると、大会毎に大きく順位が 変動してもおかしく無いように感じるかも知れないが、 この1秒の差は意外と大きく、1秒を詰めて逆転する ようなケースはまず起こらず、最終順位は、たいてい 事前に予想される範囲に留まる。 たかが1秒、されど1秒・・ 対戦側の選手達としては、アドレナリンが放出されて 時間の進みがゆっくりに感じている対戦中では きっと、この1秒が、とてつもなく長い時間に感じて いる事であろう・・ では、以下、オープンの部の模様に進む。 まずは、過去の戦績を振りかえっておこう。 <オープンの部、過去5年間の決勝戦上位> 2018年:(10月21日実施、晴れ、200m戦) 第1位:bp(大阪) 第2位:漕遊人(沖縄/兵庫) 第3位:東京龍舟ワイルド(東京) 2019年:(9月22日実施、曇り、一時豪雨、以降250m戦) 第1位:磯風韋駄天(兵庫・相生) 第2位:津奈木海龍(熊本) 第3位:bp(大阪) 2020年:コロナ禍により中止 2021年:(10月17日開催 曇り一時小雨) 第1位:磯風韋駄天(兵庫・相生) 第2位:bp(大阪) 第3位:磯風Masters(兵庫・相生) 2022年:(5月22日実施、晴れ) 第1位:bp 第2位:沖縄龍舟A 第3位:bp next こちらのオープンの部の概要だが、「磯風漕友会」 が参戦した年は、さすがに強い。ただ、この期間 「磯風」は毎年の参戦ではなく、他大会日程との 関連で欠場した年もある。 続くは、超強豪の「bp」軍団であり、こちらは 当然のように、毎年入賞を果たしている。 「津奈木海龍」も超強豪であるが、熊本という 遠隔地につき、毎回の参戦では無い。参加した年には 当然ながら毎回の上位入賞となる。なお、今年は不参加だ。 「沖縄龍舟」は、近年からの関西圏への大会への参戦で あり、「ハーリー」系(沖縄の伝統的な舟競争、多数の 地区で極めて多い大会数がある)で、なかなか強い。 (なお、「漕遊人」も沖縄出身だが、地区が違う模様で、 「沖縄龍舟」とのメンバーの重複や関連性は無い) そして、「沖縄龍舟」のメンバーには、真っ黒に日焼け している人達が多い。話を聞いてみると、一部の選手では 沖「ここのところ、6週間連続でハーリーの大会に出場したよ」 とのことだ。まあ、それでは日焼けして当然であろうし、 その体力も、たいしたものだし、それだけの大会数がある 沖縄という環境にも驚いてしまう。 近年、「混合の部」等で圧倒的な実力値を見せ付ける 「東京龍舟」(軍団)は、オープンの部へはあまり 力を入れておらず、ここ5年間では一度の3位入賞が あるのみである。そして、昨年2022年では、4つの 実施カテゴリー中、3つまでを「東京龍舟」が優勝し、 オープンの部でも勝てれば、「全実施カテゴリーでの パ-フェクト勝利」(→過去、実現したチームは無い。 近い線まで行ったのは、「琵琶湖ドラゴンボートクラブ」 と、「海猿火組」系チームだが、10年程昔の話だ) となっていたが、2022年の当該「TOKYO DRAGON WILD」 は、残念ながら準決勝敗退となってしまっていた。 他にも、オープンの部には強豪チームが多く、 「Roa's」(千葉)、「魚橋水神龍会」(兵庫・相生、 旧:ヤンググリーン)、「潜海龍」(広島等)等が 注目チームだ。 (注:Roa's/ROA'S表記は、大会毎で異なる) しかし、強豪「潜海龍」(旧:潜水艦うんりゅう)は、 前述の「魔の3号艇」に当たってしまい(冒頭から3枚目の 写真)、蛇行によりコースアウト失格となってしまった。 今回は、予選(敗者復活戦)敗退という戦績である。 で、レースフローは、「混合の部」と同様に、 予選→敗者復活→準決勝/B決勝→決勝戦である。 準決勝の戦績を紹介しておく。 <オープンの部 準決勝 第1組 結果> 1位:1分04秒:磯風漕友会(兵庫・相生) 2位:1分04秒:bp(大阪) 3位:1分09秒:bp next(大阪) 4位:1分11秒:ROA'S (千葉) 5位:1分12秒:Castle Peak Power(香港) <オープンの部 準決勝 第2組 結果> 1位:1分07秒:沖縄龍舟(沖縄) 2位:1分11秒:魚橋水神龍会(兵庫・相生) 3位:1分14秒:池の里LAKERS!(滋賀) 4位:1分15秒:小寺製作所(滋賀) 5位:1分16秒:龍人(どらんちゅ)(滋賀) なお、準決勝第1組のレースでは、「磯風漕友会」 (2号艇)の龍の頭が何故か無い。 選「この場合、艇のどこでゴールを判断するのだ?」 という疑問が、観戦している選手達の間から出る。 まあ、決勝戦であれば、対戦しているライバルの「bp」 (1号艇)との僅差の勝負は、気になるところだが、 幸い、これは準決勝であるので、両者が1、2位の どちらであっても決勝進出は確定なので問題は無い。 (注:このケースで、ゴールを何処で判断するかは不明。 恐らくは、龍の頭を除いた艇の最前部であろう) なお、「磯風」の龍の頭が何故無かったのかは不明、 そして帰路には、いつの間にか、龍の頭部を抱えていた。 途中で落として、帰りに拾ったのだろうか? 詳しく見ていなかったが、なんとも不思議な状況だ。 さて、準決勝の3位のうち、速い方が決勝進出となる ワイルドカードは「bp next」となった。 これで、準決勝第2組に集まっていた、通称「琵琶湖の 三国志」と呼ばれる、「池の里」「小寺」「龍人」 の滋賀県の強豪3チームは、揃って準決勝敗退(汗) 3チームのいずれも、地元滋賀県等の地方大会では、 多数の優勝経験を持つ強豪だ。 (参考:2023年8月6日に、福井県で行われた 「第13回九頭龍ドラゴンボート大会」では、 「小寺製作所」(滋賀)が優勝している) だが、本「スモール選手権」は全国区の「選手権」であり 滋賀県強豪チームも、全国から集まる超強豪には少しだけ 及ばない。良く、本大会の準決勝やB決勝戦に、ズラリと 滋賀県のチーム群が並び、「びわこ決戦だ!」と言われる 事もある。 まあ、まだ今年は「びわこペーロン」を初め、「ドラゴン キッズ」(小学生の大会だが、上記、「三国志チーム」が 後見している「代理戦争」の大会だ)も残っているので そこでまた「びわこ決戦」を魅せてもらいたいと思う。 また、今回は、準決勝第1組に超強豪チームが集まり、 潰し合いをするとういう状況であったので、準決勝第2組 からの決勝進出は、若干容易な状況であった。 上写真の、「魚橋水神龍会」(旧:ヤンググリーン)は ラッキーな立場となったチームである。 もっとも、彼らは、戦術分析能力に長けたチームである。 その能力とは、対戦相手のチームのタイムや、実力値をよく 把握し、レースのフローもよく見極め、自チームがより 上位に上がれるための戦略を、しっかり検討する事である。 「そんな事は(どのスポーツでも)当たり前だ」と思うかも 知れないが、このドラゴンボートでも、あるいは他のスポーツ 競技、たとえば「高校野球」とかであっても、他チームの事 を綿密に分析するようになったのは、下手をすると、ここ 10年くらいでの話かも知れず、それ以前の時代では、対戦 相手の事など、何も知らずに戦っているケースも多々あった。 ドラゴンの世界でも、全チームが、そのような戦術分析を 行っているわけではなく、現在にいたっても、まだ、およそ 半数程度かも知れない。 今回、「魚橋」は、この準決勝第2組のレースが、自チーム にとって有利な状況である事を知っている。 しかし、同様な状況に置かれた前月の「日本選手権」では 小さいミスの積み重ねやレース環境により、同じく準決勝 で「池の里」の後塵を拝してしまっていた。 魚「今回は、天神(日本選手権)と同じ失敗はしない」 と言っていたが、まあ、運や外的環境の問題もある。 そして、無事、今回は決勝進出となったが、問題なのは、 ここからであり、決勝戦で当たる他の超強豪チーム群に どう対抗するのか? そこの戦術は大変難しい次第だ。 では、オープンの部の決勝戦の模様である。 コースの環境(風や波)に大きな変化がなく、かつ レーン間の条件もほぼ同等。であれば、ほとんど準決勝 でのタイム順と同じ順位となるだろう事は、十分に予想が つく。 もう少し好条件となれば、優勝予想タイムは1分ジャスト という感じだが、準決勝の様相を見ると、そこまでは 達せず、1分02~03秒あたりで決着がつく事であろう。 肝心の「磯風」vs「bp」の構図だが、昨年の日本選手権で 「bp」が「磯風」に勝利したのは、その大きな理由は 「磯風」が新しい漕法に挑戦中のタイミングであり、その 新漕法が、まだ未完成であったからだ。 ただ、その新漕法、すなわち、「約120回/秒の高速 レートをキープしたまま、250mを110回のストロークで 漕ぎきる」という漕法だが、これは海外の超々強豪チーム での普遍的な漕法であり、今後「磯風」が(あるいは 他の国内強豪チームが)海外の大会に参戦し、そこで 海外チームと戦い、勝つ為には必須の方法論だ。 だから、これはけっして悪い漕法や練習法では無い。 しかし、昨年(2022年)の「磯風」の場合では 超高速レートをずっと維持する事がせいいっぱいで、 どうしてもストロークが浅くなってしまっていた。 私は、2022年の日本選手権の観戦記事で、彼らの 漕法に対し「漕ぐ時に、シャリシャリと水を切る音が 一定に聞こえる、まるで「カキ氷」だ」と書いたのだが それは否定的な意見ではなく、むしろ、その漕法を完成 させてもらい、世界に通用するように、実力値を上げて もらいたい希望も多々あった次第だ。 その記事を読んだのか・・ 今年、磯風の選手達からは 磯「今年は、”カキ氷漕法”はやってません(笑) やはりストロークの浅さが課題でして、今年は、 まずストロークを深く長くする事が目標です。 それが出来たら、そこから、高速一定ピッチを 目指します」 といった、練習スケジュール(ロードマップ)を 聞く事が出来た。 なので、今年の「磯風」は正統派の漕法である。 もっとも現在の日本国内での正統派漕法が、そのまま では海外に通用しないのは前述の通り。しかし、この 状況であれば、少なくとも現在の国内チームの中では やはり「磯風」に一日の長がある状態だ。 最終順位は、以下となった。 <オープンの部 決勝戦 最終順位とタイム> 1位:1分03秒:磯風漕友会(兵庫・相生) 2位:1分05秒:bp(大阪) 3位:1分07秒:沖縄龍舟(沖縄) 4位:1分09秒:bp next(大阪) 5位:1分14秒:魚橋水神龍会(兵庫・相生) 「磯風」は、本大会2年ぶりの優勝。もっとも昨年は、 (恐らく、他大会と重複した為)本大会は欠場であったので 出場した(本)大会では、磯風は毎回優勝している状態だ。 「沖縄龍舟」も高い実力値を遺憾なく発揮しているが、 昨年(2022年)の本大会2位、昨年の宇治大会3位、 そして今年の本大会3位と、いずれも「磯風」又は「bp」に 優勝を阻まれてしまっている。それら超強豪チームとの あと数秒の差を、今後、どのように詰めていくか?そこが 当面のポイントとなるだろう。 「魚橋水神龍会」は、2010年代後半より、日本選手権 での複数回の決勝進出、KIX大会での複数回の決勝進出 (最高位は3位)、本大会での決勝進出と、悪い戦績では 無いのだが、やはり超強豪チームとの数秒から10秒の差が 詰められず、入賞(3位まで)には至らない。 同チームの長所である「戦術分析力」を活用し、どうしたら ここから一歩進めるか?が、今後の検討事項になると思う。 上写真は、オープンの部準優勝の「bp」の表彰式の模様。 通算優勝回数は、恐らく100回を超えるだろう彼らにとって 準優勝は納得がいく戦績では無いかも知れないが、それでも 何年かに一度は「日本一」の称号を得ている訳だから、 今後は「日本一であり続ける事」を目指し、またきっと 厳しい練習を続ける事であろう。 それと、「bp」の隠れた目標として、「オープンの部」と 「混合の部」での、「ダブル日本一」がある状態だ。 前人未踏の、そのタイトルは、恐らくは昨年または今年 から意識し始めたと思う。まだ当面、それは実現し難い とは思われるが、そこもまた彼らの練習のモチベーション となっているのだろう・・ ---- では、本記事はこのあたりまでで。 次回ドラゴンボート関連記事は「びわこペーロン」大会と なる予定。
by pchansblog2
| 2023-09-30 18:54
| 【熱い季節】ドラゴンボート・ペーロン
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