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旧ブログ「特殊レンズ・スーパーマニアックス」 の続編シリーズの第9回。 今回記事は「CANON廉価版(銀塩用)望遠ズーム」編 とする。 読んで字のごとし、CANON製の銀塩時代のAF望遠 ズーム(望遠端が200mm~300mmの物)を 3本と、比較参考の為、銀塩MF時代の末期の200mm 級MF望遠ズーム、計4本を紹介・検証する。 なお、今回紹介(中古)レンズ4本の合計取得金額は、 僅かに5,324円(税込み)だ。「廉価版」と言う所以が ここにある。 しかし「値段が安いから写りもダメダメに酷いのか?」 というと、そんな事も無い。本記事では、レンズ製品の どこをどうしたら価格が下がるのか?あるいは、何故 価格の安いレンズを販売するのか? それらの点に ついても、わかる限りの範囲で述べていこう。 ---- では始めよう、今回最初の望遠ズームレンズ。 レンズは、CANON EF 100-200mm/F4.5A 発売年:1988年、 発売時価格:32,900円 レンズ構成:7群10枚 最短撮影距離:1.9m 中古購入価格:324円(税込み) カメラは、CANON EOS 7D MarkⅡ(APS-C機) 非常に安価に購入できたレンズだ。しかし、別に 故障していた訳ではなく、単に時代が古い、あるいは 不人気、はたまた、購入は中古カメラ専門店では無く ハードウェアのリサイクル店であったので、相場を 知らない状態での安価な値付けだったかも知れない。 型番の「A」というのは、恐らくだが「AF専用」という 意味だ。本レンズには、MFのピントリングが存在せず (注:一応、レンズ先端部を回転させて、MFとする事は 可能であるが、シャッター半押しにAF起動をアサイン していると、MFで合わせようとしているのに、また勝手 にAFが動いてしまう)そして、他のCANON製AFレンズに ある、AF/MFの切り替えスイッチも無い(だから、常に AFモードとなる)、さらに言えば、USM等も無いので AF動作はとても遅く、シームレス(フルタイム)MFも 使えない。 MF操作が壊滅的に酷いので、もう母艦はAF性能に優れた CANON EOS 7D MarkⅡ(2014年)を出動させよう。 「超オフサイド状態」(→母艦とレンズの価格または 性能比におて、母艦が高価すぎる、または高性能すぎる 事でアンバランスとなる事を戒める、本ブログ独自の ルール。これは、自分の機材運用上の利点のみならず、 カメラの性能ばかりに気を取られ、装着するレンズの 事を何も意識していない、現代のビギナー層等への 啓蒙の為のルールでもある)となっているのだが・・ (ちなみに、EOS 7D MarkⅡは、9万円台の中古購入 価格であったので、装着レンズの300倍もの値段の比率 となる「超オフサイド」だ。少し前の時代(2010年頃迄) であれば「カメラの価格は装着レンズの価格を上回らない 事」程度のオフサイドルールで済んでいたのだが、以降の 時代ではカメラの値上げが顕著であり、ルールの遵守が とても困難になってきている。だが、できるだけ、カメラ 側を高価にしすぎて突出する事は避けなければならない) もうここは、母艦の性能でレンズの低性能をカバーする 目的での「弱点相殺型システムを組む」という別のルール を重要視し、「オフサイドルール」は緩和する事とする。 そして、母艦選択でAF性能を高めた位では、本EF100-200 /4.5のAFは、まだまだ遅くて合焦がかったるい。 いったい何故こうした仕様なのか? まあいくつかの 理由があるだろう。 1つは、本レンズ発売の1988年という時代にある。 MINOLTAが世界初の実用的AF一眼レフα-7000と、 その豊富なAF交換レンズ群の同時発売で市場に衝撃を 与えた「αショック」が1985年だ。 以降、各社はAF化に追従し、CANONもT80やT90で、 多少は、もたついたが、1987年にはEOS 620/650 を発売し、一眼レフのAF化を完了した。 その際、市場やユーザー層では「新技術のAF」に対して 過剰な期待を持ってしまい、「MFは時代遅れ」の思想も あった事から、各社の一部の製品では、MFに関わる仕様 を大幅に削減(または重要視しない)戦略を取った。 つまり「AFがあれば、MFなんかでピントを合わせない でしょう?」という観点で、MFを軽視した訳だ。 こういう世情の中で、本レンズの「AF専用」という 企画方針は、わからないでもない。 また、AF化とともに、メーカーとしては本音で言えば AF化の研究・開発に使った費用を回収するために、 製品(AF一眼レフや、AFレンズ)を値上げしたい。 だが、そうすると、新規の消費者層は「一眼レフに 自動ピント合わせが付いたから、使いやすくなった」と 思って製品を買ってくれるわけだから、あまりに高価な 製品ばかりだと、AFシステムの普及を阻害してしまう。 ましてや、CANONはAF化に際して、新規のEF(EOS) マウントは、旧来のFD/New FD系マウントとの互換性を 切り捨ててしまったので、旧来のユーザー層からは 大きな不満が生じていた状況だ。そこへ極端に値上げ された新製品ばかりでは、不満の火に油を注ぐような 状態となってしまう(汗) よって、低価格帯の商品も、この時代には必要だ。 MFを軽視した仕様とする状態で、様々な部品/機構 (例:MF切り替えスイッチ、同クラッッチ機構、 距離指標(窓)等)を省略して、その分コストダウン が出来るならば(注:本レンズの定価は安価だ) 「AF専用レンズ、だが安価」というコンセプトは、 十分に成り立つと思う。 さて、本レンズの立ち位置が理解できたところで、 仕様や性能について考察してみよう。 まず、100-200mmというのは、ズーム比が2と小さく 感じる。だが、ズーム比を広げれば、またコストの 上昇やレンズ重量の増加など、別の課題を引き起こす。 それに「100mm」という焦点距離に、CANONとしては 拘りもある。 古くは、戦後すぐの1940年代末頃から、CANONは、 レンジファインダー(L39マウント)機用の100mm 単焦点レンズを数機種発売していて、これらは、 その時代としては性能に優れ、評判が良かった。 この為、この時代からNIKONもレンジ機を発売して いるのだが、その交換レンズは、CANONでの100mm が既に好評価だったから、あえてそれを避けて NIKON(NIKKOR)では、105mm(10.5cm)の 焦点距離のレンズを中心に発売するような戦略を 取ったと想像できる。 まあつまり、「同じ土俵での勝負」を避けた訳だ。 NIKONをもビビらせた「CANONの100mm」は、 その後のMF一眼レフでのFL、FD、New FDマウント、 さらには現代のEF(EOS)、EF-R(ミラーレス)マウント にまで引き継がれていて、一部の100mmレンズは 大変良く写る事で「CANON 栄光の100mmの伝統」は 失われていない。(参考:同様に「NIKKORの105mm」 も、大変良く写るレンズが多い。本ブログ記事の レンズマニアックス・プラス第56回~第57回 「NIKKOR 105mm グランドスラム」編で、全光学系 のレンズを紹介) CANONの単焦点の100mmに栄光と伝統がある事は 理解できた。ではズームはどうか? 恐らくだが、ズームでもゲンを担ぎ、まずは 100mmという焦点距離端を持つズームレンズが、 FLマウントの時代(一眼レフ用、1960年代)から 生まれてきたのだろうと思われる。 以下、100-200mmという焦点距離範囲を持つ、 CANONの一眼レフ用での望遠ズームレンズの一覧だ。 <CANON MF/AF望遠ズーム 100-200mm> 1966年:FL 100-200mm/F5.6 (5群8枚)(未所有) 1971年:FD 100-200mm/F5.6 (5群8枚、紹介済) 1973年:FD 100-200mm/F5.6 S.C. (5群8枚)(未所有) 1979年:New FD 100-200mm/F5.6 (5群8枚、紹介済) 1988年:EF 100-200mm/F4.5A (7群10枚)(本レンズ) 内、MF時代の、開放F値がF5.6で固定式の5群8枚型 ズーム(注:全て同じ光学系)は、2本所有して いるのだが・・ はっきり言って、これらは、まったくもって酷い性能 である。 開放F値が暗いことは、まあさておき、鏡筒が恐ろしく 長く、大きく、重く、加えて最短撮影距離が2.5mも あって、全然寄れない。描写力は、解像感が低く、 コントラストも低く、ボケ質破綻も頻発する。 まあ、発売当初の1960年代であれば、この性能でも 望遠ズームとして通用したのだろうとは思うが、 問題なのは、その光学系を、ずっと踏襲したまま、 MF時代の末期(1980年代前半)まで、この低性能な ズームを(外観やマウントを変えて)販売しつづけた 事にある。 何故こんな措置を取ったのであろうか?これでは、 間違ってNew FD100-200/5.6を買ってしまった 当時のユーザーから不満は出なかったのだろうか? まあ、同じ光学系で販売しつづけたことで、確かに MF末期(1980年代前半)においては、そのレンズは 他の望遠ズームより安価な定価ではあった。 (例:NFD70-210/4が定価59,000円に対し、 NFD100-200/5.6は定価43,000円と安価である) もっと後の時代では、レンズの性能と価格は比例しなく なる。だけどまあ、この時代では安価な商品に明らかな 差別化要因を設け、「安かろう、悪かろう」という商品 としていた事も、世情としては、良くあったのだろう。 でも、この時代(まだ半世紀前にも満たない)にカメラ をやっていた人は、現代でも現役のシニア層かも知れない。 だから、そういうシニア層では「安物はダメだ、ちゃんと した有名メーカー製で、高価なモノを買わないと、性能が 低くて使っていられない」といった価値感覚を持ち続けて いる訳なのだろう・・・ (注:その後、世情は大きく変わり、近代においては、 「価格という物は、消費者が、それを買ってくれる値段」 という意味が極めて強くなり、高価な商品には消費者層 が欲しくなるような仕掛け(付加価値)が色々と施して ある。そして、それは、必ずしも高性能な訳では無い) さて、ともかくCANONの100-200/5.6は、どの時代の ものでも買ってはならない、現代の感覚ではどれも 実用レベルに満たない低性能であり、必ず、がっかり してしまうだろうからだ。 では、本100-200/4.5はどうか? 因縁のありそうな 100-200mmの焦点距離範囲なのだが、開放F値は、だいぶ 旧製品よりも明るくなっている。光学系も勿論刷新され 5群8枚というシンプルな(単純すぎる)構成は、もう やめて、7群10枚と複雑化している。 直進式ズームである事は、MF時代の旧製品と同様、 ではあるが、若干だが小さく軽くなってはいる(とは 言っても、同時代の他の200mm級ズームよりも大型だ) 描写力は、さほど悪く無い、まずまずだ。 いやむしろ、旧来の100-200mm/F5.6版と比べたら、 全くの別物の印象があり、驚く程、改善されている。 しかし・・最短撮影距離の長さは、F5.6版の2.5m ほど壊滅的な酷さでは無いが、本レンズも1.9mと かなり長く、寄れないという不満が大きいし、 加えてAF専用レンズであるから、最短の1.9mを 下回ると、AFが未合焦のまま停止してしまう。 「もうピントが合わない」と判断し撮影位置をもっと 下げるしか無いのだが、通常の200mm級ズームでは 同時代のものでも、1.2mくらいまで寄れる事は 普通なので、感覚値がずいぶんと狂い、寄れずに 撮影位置をバックする動作の繰り返しとなる。 もう「中遠距離撮影専用ズーム」と考えておいた 方が良いであろう。近接で最短撮影距離ギリギリの 攻防をしても、行ったり来たりで不毛なだけだし、 加えて、そういう近接撮影ではAFの速度のみならず 精度の不安も大きくなる、そういう場合は、MFに 切り替えて撮る事が普通だが、MF操作もままならない ならば、もう、どうしようもない。 もし、こういった様々な仕様上での撮り難さが、 CANONにおいて、「意図的な制限事項」として、 本レンズが設計されていたのならば、もうそれは 「確信犯」だったのかも知れない。 つまり、CANONからは、「それはもう、安いレンズ なので性能が低いのは、やむを得ません。ちゃんと 写真が撮りたかったら、高性能なズーム、例えば CANON EF 70-210mm/F4(1987年、後述)や、 EF100-300mm/F5.6L(1987年、未所有)は いかがでしょうか? ただし、お値段は、このレンズの、2倍または3倍と 少々お高くなりますが・・」 ・・という感じの当時の製品戦略であったのならば、 「もうわかった、このレンズを使いこなすまでだよ!」 という価値観や判断に、私の場合では(現代であっても、 仮に、その当時でも)なる事であろう。 この、性能的に未熟な本レンズであっても、「写りが まあまあ良い」という最大の長所を持つ訳だから・・ ---- さて、2本目は比較参考用のMFズームだ。 レンズは、CANON (New) FD 70-210mm/F4 発売年:1980年、 発売時価格:59,000円 レンズ構成:9群12枚 最短撮影距離:1.2m 中古購入価格:2,000円(税込み) カメラは、PANASONIC DMC-G6 (μ4/3機) この時代、1980年前後からMF時代末期(~1986年) までの、CANON製のMF望遠ズームは極めて数が多い。 まず、簡単にまとめてみよう(過去記事でも何度か まとめたが、出典によっては発売年が微妙に異なる 場合もある、以下の表はCANON CAMERA MUSEUMの 情報を引用している。→注:「公式情報だから」 と言って、その内容が正しいとは限らない。 同Webは、結構、製品名等が間違いだらけだ) <CANON New FD(MF)望遠ズーム 1980年前後> 1979年:New FD 70-150/4.5 (9群12枚、紹介済) 1979年:New FD 100-200/5.6(5群8枚、紹介済) 1979年:New FD 80-200/4(11群15枚、紹介済) 1980年:New FD 70-210/4(9群12枚、本レンズ) 1980年:New FD 100-300/5.6(9群14枚、紹介済) 1981年:New FD 50-135/3.5 (12群16枚、未所有) 1981年:New FD 85-300/4.5 (11群15枚、未所有) 1984年:New FD 75-200/4.5 (8群11枚、未所有) 1985年:New FD 80-200/4L (12群14枚、過去所有) 1985年:New FD 100-300/5.6L(10群15枚、未所有) 1980年前後のものを集中して所有しているのは、 この時代に、あまりに多くのMF望遠ズームが発売 されていたので、「それは何故か?」という研究的 な興味が出て来て、出来る限り収集を行ったからだ。 もう1つの理由は、本New FD70-210/4は、 オールドズームながら、なかなか描写力が高く、 「もしかして他の同時代のCANON MF望遠ズームの 中にも、同様に高描写力のものがあるかも?」 という期待を持って、集中して購入したからだ。 だが、その詳細は、旧ブログでの レンズマニアックス第88回「CANON New FD望遠ズーム」 編に詳しいが、結局、優秀なのは本New FD70-210/4 のみであり、他は、さほどでも無かった次第だ。 (まあ、なので、以降、この時代のNew FD望遠ズーム をさらに収集する事は、大幅に控えている状態だ) で、という訳で、本New FD70-210/4は、この時代の CANON MF望遠ズームとしては、特別に優れた描写力 を持っていると思う。 なお、その特徴(写りが良い)を、さらに強調する 為に、本レンズの母艦は基本的にμ4/3機を常用し、 周辺収差を低減し、画面中央の画質が良い部分のみ を使用する措置を取っている。 だが、他の、同時代のCANON MF望遠ズームは、 そこまでの拘りを持つ必要は無く、APS-C機やら フルサイズ機を母艦とし、画面周辺で、どこまで 画質が劣化するか?などを試す(限界性能テスト) 事もあった。でも結局、及第点であったレンズは無く、 もっぱら、このNew FD70-210/4のみを主力としている、 ちなみに、上の表に上げたMF望遠ズームは、一部は ワンハンド式(直進式のズームで、かつピントリング そのものがズーム操作子となっていて、ズーミングと ピント合わせが同時に行える)で、極めてMF操作性が 高いが、他のズームレンズにおいては、ズームリング とピントリングが、二重独立回転式であったりし、 その場合には、MF操作性が劣るので個人的には好まない。 参考過去記事:(旧ブログ) レンズマニアックス・プラス第19回「ワンハンドズーム」編 本New FD70-210/4は、ワンハンド方式であるから、 MF操作性に優れ、加えて画質が良い事、さらには μ4/3機で望遠画角を強調して得られる事(参考: DMC-G6のデジタル拡大機能を組み合わせる事で、 140-3360mm/F4の仮想的な画角を得られる) 入手価格が安価な事でコスパが良く、非常にお気に 入りのレンズとなっている。 旧ブログでの過去記事「ハイコスパ レンズ選手権」 では、本レンズは、オールド(MF)ズームレンズとしては 唯一の入賞レンズとなり、かつ第7位と高順位であった。 さて、ここまで優れたMFズームレンズであるのだが、 後年のAF時代には、どうなってしまったのであろうか? 一応、後継のAF版と目される望遠ズームを、次に 紹介する。 ---- では、次のCANON製AF望遠ズームレンズ。 レンズは、CANON EF 70-210mm/F4 発売年:1987年、 発売時価格:56,600円 レンズ構成:8群11枚 最短撮影距離:1.2m 中古購入価格:2,500円(税込み) カメラは、CANON EOS 7D (APS-C機) さて、本レンズは、前述のNew FD70-210/4の 正統な後継機種と思いきや、微妙に光学系等の スペックが変化している模様だ。 まず、CANON 望遠ズームにおいて、MF時代から AF時代にかけての、70-210mmというスペックを 持つレンズを拾い出してみよう。 <CANON望遠ズーム 70-210mm> 1980年:New FD 70-210mm/F4 (9群12枚)(上で紹介) 1987年:EF 70-210mm/F4 (8群11枚)(本レンズ) 1990年:EF 70-210mm/F3.5-4.5 USM (10群14枚)(未所有) そう機種数は多いものではなかった。 1つのポイントとしては、開放F値固定型のズームは、 様々なメリットがあるのだが(その詳細は、あまりに 長くなるので今回は割愛する。色々な過去記事でも 詳しく説明している)1990年代頃から以降では、 いわゆる小三元(開放F4固定)と大三元(開放F2.8固定) という高額ズームレンズを除き、殆どが開放F値変動型 ズームとなってしまった次第だ。 ちなみに、個人的には、小三元、大三元と定義される ズームは全く所有していない、高額すぎてコスパが悪い と思うから個人的な機材収集方針には合わないからだ。 だが、実質的には小三元/大三元と呼ばれないまでも 開放F4固定ズームや開放F2.8固定ズームは、いくつか は所有している、それらを使う際に思うのは、やはり 開放F値固定であるメリットを感じる事だ。 まあだから、簡単に言えば小三元/大三元を上級層や 職業写真家層が使うのは、開放F値固定ズームである メリットを良く理解しているからであろう。 それらを使い慣れてしまうと、開放F値変動型の一般 ズームは、撮影技法を阻害してしまう、という不安 要素も出て、怖くて使う気がしなくなってしまう。 そこを、ちゃんと理解していないと「小三元や大三元 は、高額なレンズだから高性能なのだ」と誤解して しまい、重たい、という弱点もあるから、ビギナー層 では使いこなせず、高額投資が完全に無駄になって しまいかねない。 さて、本レンズは、後年には機種数が少なくなっていく、 低価格帯の開放F値固定ズームである。 加えて、かろうじてワンハンドズーム構造(ピント合わせ とズーミングが完全に同時に出来る)ではあるのだが、 もうこの時代はAF時代であるから、こういう仕様は、 さほどの優位点にはなりにくい。 さらに言えば、このワンハンド方式は、MFのモード にしないと、その効能は発揮できず、AFモード (MACROと通常と、2種類ある)のままでは、ピント リングは空回りするだけである。 また、MF時には、ピントリングが"ギリギリ"という 嫌な音と感触で廻るので、できればMFは使いたくない。 ただ、最短撮影距離は、旧来のMF版NFD70-210/4 と同等の1.2mなので、ピント精度が怪しくなる マクロ域(1.5m以下)においては、MFを使用せざるを 得ない。なお、その場合、最短1.2mに到達した状態で さらにMFでピントリングを廻しても、空廻りするだけ であり、前述のようにMF感触が悪いから、最短への 到達感が無く、無駄な操作をしてしまう事も良くある。 ちなみにNFD70-210/4と同等の最短1.2mとは言っても 実は、そちらのレンズには、最短1.2mのさらに下に MACROモードが存在し、正確な値は不明だが、およそ 95cmあたりまで寄る事が可能だ。(注:広角端のみ) しかも、全てMFで気持ちよく撮れる訳だから、これはもう 本EF70-210mm/F4がNew FD70-210mm/F4のAF後継版 と思えたとしても、旧型の方が、あらゆる撮影シーンで 圧倒的な実用性を誇っている。(まあだから、旧型は ハイコスパ選手権で第7位に入賞したわけであり、 本レンズは、選手権にノミネートすらされなかった訳だ) 本レンズは、CANONが一眼レフをAF化した(EOSを発売した) その年の発売のレンズだ。一眼レフのAF化は、当時の市場や ユーザー層に大きな夢を与えた出来事だとは思うのだが、 実際に写真を撮る上では、様々な改良とともに、様々な 改悪もあった事は事実だと思う。でも、それは「AFに夢を 見て浮かれていた」当時のカメラ市場では、理解されなかった 事だと思う。 ここから世情は本格的なバブル経済期に突入し、世の中は AF化だとかよりも、もっと「凄いもの」を欲する世情となった。 USM(超音波モーター)を搭載し、開放F1.0やF1.2級の 超大口径レンズをCANONでも売るようになれば、もう廉価版の レンズに多少課題があったとしても、もはや誰も気にしない、 「もっと凄いもの、もっと高価なもの」を求めて市場が 浮かれていた、という変な世情になってしまった訳だ。 さて、本EF70-210/4の総括だが、 まずAF/MFの課題により実用性はあまり高く無い。 特に前機種のMF版が非常に優れていたので、それと比較 してしまうと壊滅的なまでの低評価になりそうだが、 それはちょっと偏った評価であり、世間一般での、当時の 望遠ズームと比較する事が正当な評価であろう。 そう考えると、AFやMFの課題はさておき、比較的高描写力 (前機種からの長所を引き継いでいる)な事が特徴と言える。 関連して(CANON最後の)開放F値固定型での廉価版ズーム である点も良い。 (注:他社、特にPENTAXでは、続く1990年代を通じて、 F4級の開放F値固定ズームに拘り、低価格帯製品を販売し 続けた) 発売当時の定価は、やや高額すぎたと思えるのだが、 後年の中古相場は極めて低廉であり、ほぼ二束三文だ、 AF性能に優れたローコストな母艦(例:今回使用の CANON EOS 7Dは、その代表格だ)と組み合わせて、 ピント合わせの弱点を消しながら使えば、そこそこの 実用性は得る事ができる。描写力的には大きな不満は 無いだろうが、一応、念のため、フルサイズ機では 絶対に使わず、周辺収差を低減する為に、APS-C機で 使う事が良い。CANONのデジタル一眼レフでもクロップ 機能があれば、さらに望ましかっただろうが、それが 可能な機種は高額機で極めて限られているし、APS-C 機では皆無である事が残念だ。(つまり、4/3型相当 2倍換算の画面範囲で撮る事が望ましい。 ちなみにNIKON D500(2016年)等であれば、それは 出来るが、何故か大幅に記録画素数が減少してしまう。 そして、そもそもEFマウントの本レンズは、NIKON F マウント機には装着不可である。 ・・まあ、であれば本レンズに電子マウントアダプター を介して、SONY α(APS-C)や、EOS M系等のミラーレス 機に装着した方が、まだマシか? 今度試してみよう) ---- では、今回ラストのAF望遠ズームレンズ。 レンズは、CANON EF 90-300mm/F4.5-5.6 USM 発売年:2002年、 発売時価格:40,000円 レンズ構成:9群13枚 最短撮影距離:1.5m 中古購入価格:500円(税込み) カメラは、CANON EOS 8000D(APS-C機) システムの紹介写真は、雨でズブ濡れだが、さほど 気にする必要はない。安価なシステムというのは、 こういった過酷な撮影環境での消耗用途機材としての 役割もある。 本レンズには、翌2003年発売の後継型がある模様だ。 USM(超音波モーター)を省略し、超小型DC(直流) モータで代替しているそうだが、価格は変わらず、 重量や他のスペックも同一である。 後継型は未所有なので、詳細についての言及はしないが 何故、USM無しのバージョンに変遷したか?の理由は よくわからない。もしかすると、コストダウンの為 なのかも知れない。なにせ2003年には、CANON EOS Kiss Digitalが発売され、デジタル一眼レフの新規 市場が激化し始めた状況だった世情だ。 または、詳しくは後述するが、このレンズのUSMは、 フルタイムMFには対応していない。だから、どうせ USMのメリットが得られない仕様(意図的なのか、 または、やむを得なかったのか?)ならば、USMを 搭載する必要性は無い、という観点で後継機では USMを外したのかも知れない(?) (注:後継型が、やたら早く出た点も気にかかる) 本レンズは、90-300mmというスペックであるが、 私はこのレンズを購入する際、「1990年頃のレンズか?」 と思って、これを手にしていた。理由は、その時代では 他社製品等でも、300mm級望遠ズームの焦点距離範囲は 少しづつ拡張されていき、例えば、100-300mm→ 90-300mm→75-300mm→70-300mmのように、 広角端が変化してきた変遷を知っていたからだ。 だから、90-300mmは「70mm-300mmになるまでの、 なりかけの時代だから1990年頃か?」と推察した訳だ。 でも、購入後に、このレンズが2002年に発売された 事を知った際には少し驚いた。 そうであれば、1990年代後半にあったCANON製の 75-300mm等と比べて、スペックダウンしている 訳だからだ。 だがスペックの詳細を見ていくと、広角端を、あえて (75mmではなく)90mmにまで留めた事で、軽量化と コストダウンを実現している事がわかった。 つまり、ここもまた、デジタル転換期、あるいは銀塩末期 の時代において、他社製品(自社製品も含む)よりも、 できるだけ安価な商品をラインナップし、来るデジタル化の 際に、自社のシステムのユーザーとして「囲い込む」為の、 エントリー(=入門者を対象とした)戦略が実施されていた 次第だ。 参考の為、少し前の時代(1990年代)の、CANONの 廉価版300mm級のAF望遠ズームのラインナップを見て みよう。 <CANON望遠ズーム 1990年代廉価版300mm級>(全て未所有) 1991年:EF 75-300mm/F4-5.6 (9群12枚、定価37,000円) 1992年:EF 75-300mm/F4-5.6 USM (9群13枚、定価41,000円) 1995年:EF 75-300mm/F4-5.6 Ⅱ USM (9群13枚、定価43,800円) 1995年:EF 75-300mm/F4-5.6 IS USM (10群15枚、定価88,000円) 1999年:EF 75-300mm/F4-5.6 Ⅲ USM (9群13枚、定価43,800円) 全て未所有だったのは、この時代のCANONの300mm級の 望遠ズームは、収集の対象にしていなかったからだ。 ただ、こうして一覧にしてみると、色々とわかる事も ある。 まず1995年のIS版は、世界初の手ブレ補正内蔵レンズだ、 手ブレ補正段数は僅かに2段、だけど歴史的価値は高い。 そして、手ブレ補正無し版に比べて、2倍ほど高価だ。 レンズ構成が廉価版とは異なる(増えている)のは、 手ブレ補正専用の光学系(そこがブレに応じて動く) を追加したからだと思われる。 そして、CANONは、売れ筋のレンズ(廉価版の標準 ズームや、望遠ズーム)に対しては、短期間で小改良 を繰り返す事が多い。それは世情の変化(例:バブルが 崩壊したり、阪神淡路大震災が起こったり、新技術が 出来たり)に細かく対応する為もあっただろうし、 価格の改定(僅かな値上げや、稀に値下げ)もあった 事だろう。(注:この措置は、1990年代と2000年代 前半に集中している。それ以前では、冒頭部分で 紹介の100-200mm/F5.6のように、20年近くも 光学系を改良せずに、ほったらかしな事もあった) 他社では、あまりここまで細かくは(短期間で) 売れ筋商品の仕様改定を行わない事が普通なので、 そのあたりが興味深い。 なお、以降の時代(2000年代からのデジタル時代) では、ズーム焦点距離範囲は主に70-300mmとなり、 基本的に高付加価値型(=高価な)レンズが主力と なっている模様で、かつ、2000年代後半からは、 あまり頻繁な仕様改定戦略も行っていない。 <CANON望遠ズーム デジタル時代300mm級>(全て未所有) 2004年:EF 28-300mm/F3.5-5.6L USM (定価330,000円) 2004年:EF 70-300mm/F4-5.6 DO IS USM (定価174,000円) 2005年:EF 70-300mm/F4-5.6 IS USM (定価88,000円) 2010年:EF 70-300mm/F4-5.6L IS USM (定価158,000円) 2016年:EF 70-300mm/F4-5.6 IS Ⅱ USM (定価72,000円) なお、2016年版の新製品で価格がダウンしているのは、 1つは、もうこの時代では、デジタル一眼レフの市場が 縮退している事からの、低価格帯レンズでの拡販施策。 そして、新型モーター「ナノUSM」も、コストダウンを 図れる要因となっているのかも知れない(?詳細不明) ただ、2016年版は、総合的にコスパが良さそうなので、 いずれ(注:現状では品薄で、中古も比較的高価) 相場が下がったら、中古品を物色してみようかとも 思っている。 (以下余談だが、上記のように、様々な製品を調べ、 一覧表に纏める事自体には、あまり意味は無い。 調べる方も、纏めた事で「調査をした気になる」し、 それを読む方も「勉強した気になる」だけかも知れない。 恐らく1日~2日もすれば、一覧表の内容も、すっかり 忘れてしまう事だろう。まあ”自分で調べて書く事”で、 少しは忘れ難くなるケースも、あるかも知れないのだが、 そもそも、これらは「二次情報」だ。つまり、何処か 他のWeb上や書籍の上に記載されている情報を転記した だけのものであり、情報価値が少ない。 --- 本来であれば、こういう基本情報から、何か新たな分析 や解釈を行う事が望ましい。そうすれば、他の何処にも 存在しない「一次情報」に成り得る。 --- だけど、一次情報が提供できているような文献等は、 Web上などでは、万に一つも存在しない。、 それでは有益とは言えないし、そもそも、二次情報ですら 転記時の間違いだらけで、とても信憑性が低い。 --- それから例えば、準公式的なサイト等でも、そうした間違い に加えて、何らかの出典の引用を要求される事があるが、 出典自体が間違い、あるいは古い時代での著作者の思い込み だらけ(例:日本製のレンズを「さすが、世界に冠たる 独国の有名ブランド銘に恥じない高性能だ」と手放しで 褒める等)の評価であったり、あまり好ましくない) さて、状況を理解したところで、本EF90-300である。 ローコストな望遠ズームである。しかし300mmの 望遠端は、初級者層の「望遠が欲しい」というニーズ に応えるには十分である。 初級者にとって最大の問題点は「手ブレ補正なし」 という仕様であろう。適切なシャッター速度を 選んだり、自身の手ブレ限界シャッター速度を理解や 意識していなければ、このレンズは、まず確実に手ブレ してしまう、ましてや銀塩時代の末期だ、高感度と 言ってもISO400程度のフィルムを使うのでは、 日中の屋外明所で撮らない限り、手ブレ必至だ。 まあ、ここも仕様的差別化、あるいはISレンズ (手ブレ補正内蔵レンズ)を買わせるための戦略で あった可能性もある。 すなわち「ほらね、手ブレ補正が入っていないと 望遠レンズは難しいのですよ、だから、この4万円 の安物ズームでは無く、ISレンズを買ってください、 ただし、お値段は約2倍と少々お高くなりますが・・」 という販売戦略だった事も、十分有り得る話だ。 ただ、その銀塩時代での手ブレの恐怖も、もう ほんの数年で解消できる。翌2003年にはEOS Kiss Digitalが発売、未所有につき高感度のノイズ性能は 知らないが、一応ISO1600まで使う事ができる。 今回使用のEOS 8000Dは、2015年発売と10年以上も 後の機種だ、初級機とは言え、ISO感度はISO12800 までが使えるので、ISO感度を適正に設定すれば、 手ブレは起こりようが無い。 欲を言えば、CANONの上級機以上に搭載されている 「ISOオート低速限界」機能があれば良かった。 例えばそれを1/500秒に設定しておけば、本レンズ の望遠端300mmは、CANONのAPS-C機では1.6倍相当 になる為に300x1.6=480、初級者の手ブレ限界 シャッター速度を「焦点距離分の1秒」と仮定 するのであれば、1/500秒のシャッター速度を 維持すれば手ブレは起きない。 だからISOオートのままでも、暗所でなければ 絶対に1/500秒以上のシャッター速度になるから 手ブレ補正機能の十分すぎる代用となり、日中撮影 では手ブレ補正は不要で、その機能だけで十分だ。 だが、EOS 8000Dでは、残念ながら、その機能は 省略されている。 何故か? それは、ここも仕様的 差別化があるからだ。EOS 8000Dには、低速限界 設定の機能が無く、当然ながら手ブレ補正機能も無く、 かつ、自身の手ブレ限界速度がわかっていない ビギナー層が使えば、多くの確率で手ブレを起こす。 よって、ここでもまた販売側の悪魔の囁きが・・ 「ほらね、だから、このカメラでは性能が低いので やむを得ないのですよ。だとしたら、CANON EOS 7D MarkⅡ(2014年)は、いかがでしょうか? そのカメラならば、手ブレはしないですよ。 ああ、お値段は11万円程高くなりますが・・・」 という風に、ビギナーであればあるほどに、高額 機材の購入に誘導されてしまう訳だ。 もう答えはわかっているだろう 「そんな高いカメラはいらないよ、このカメラを 使いこなすまでさ!」 つまり究極的には、どんなレンズでも、どんなカメラ でも、ピントを合わせて、露出を合わせて(絞りと シャッター速度と感度)、しかるべきタイミングで 撮る、という銀塩時代からの「カメラの三要素」 (ピント、絞り、シャッター)を満足してさえいれば、 普通に写真は撮れる訳だ。 撮れないのは、写真の基本原理を理解しておらず、 かつ技能(技法)にも精通していないからだ、まあ それ故にビギナーなのであり、中上級層であれば、 たいていの場合、どんなカメラでもレンズでも、 使いこなせると思う。 (注:近年では、カメラが高性能になりすぎていて 現代の中級層あたりでも、カメラの性能に頼りきり であり、旧来での初級層あたりのスキル(技能や 知識)しか持っていなかったりする。 まあなので、この話は現代では、上級層以上、と 限定するのが良いかも知れない) さて、本レンズEF90-300の長所短所だが、もう 古い時代のレンズなので、そのあたりの詳細を 述べていても無意味だとは思うが、一応は・・ <長所> *比較的近代のレンズではあるが、中古相場が安価。 *300mm級ズームとしては、トップクラスに軽量だ。 *写り(解像感、コントラスト特性、諸収差)も まずまず良い。 <短所> *USM搭載であるのに、シームレス(フルタイム) MFが不可、という不可解な仕様。 (注:中上級者以上には、手ブレ補正無しは なんとかカバーできても、この問題は深刻だ。 撮影者の技能で回避できないので「重欠点」と 呼んでも良いかも知れない) *上記の理由で、MF時には、一々レンズ側の AF/MF切り替えスイッチをMF側にする必要がある。 *若干のボケ質破綻の発生。 まあ、これもまた一種の「AF専用レンズ」なので 本来はAF性能に優れる母艦をあてがうのが正解で あっただろう、だが、EOS 7D MarkⅡは、本レンズ より、もっと低性能な冒頭のEF100-200mm/F4.5A で使っている、別に、重複使用がいけない訳では 無いのだが、個々のレンズの特性に見合う母艦を 選択する事は、本(旧)ブログでの慣習であり、 そういう啓蒙活動でもある(つまり、初級中級層 において、高性能な高額機体を、たった1台しか 所有せず、なんでもかんでも、どんなレンズでも、 その特徴を鑑みずに同じ機体だけに装着してしまう、 という世情には、個人的には賛同していないから) なお、どうせAFオンリーでしか使えないので、 今回の母艦EOS 8000Dは、MF性能が壊滅的にNG (つまり、低性能なファインダーとスクリーン により、MFでピントを合わせる事が事実上不可能) なので、もうそこは逆に「AFオンリーで使う」 という観点から、一応はこれでも「弱点相殺型 システム」(→EOS 8000D側の弱点を消している) となっている訳だ。 結局、本記事の総括だが、安価なレンズには、 多くのケースにおいて、安価な理由がある、という 訳である。だけど重要なのは、何処が低性能なのか? という要素を良く理解した上で、その低い性能が オーナーが写真を撮る行為を阻害しないように、 注意して、システム(カメラ+レンズ)を組んだり、 苦手となる被写体に向けない、などの措置を行う 必然性がある、という訳だ。 この事が、現実的かつ実用的な「使いこなし」であり、 その真の「使いこなし」が出来るならば、レンズや カメラの低性能は、あまり問題では無くなり、究極的 には、レンズやカメラの性能と、その価格との比率、 つまり「コスパ」により、全ての撮影機材の価値判断 を行うようにするのが良い、という事である。 「コスパ」の観点から言えば、高性能な機材であっても 高額すぎるものはNGであるし、逆に、低価格な機材でも 低性能すぎるものもNGだ。でも、低性能は、ある程度は それを使う人のスキルで回避できる部分もある。 そうであれば「コスパ」の評価も、結局のところは使う 人(ユーザー、オーナー)次第となる。 撮影の為のスキルが無く、高額機材の高性能に頼らない と写真が撮れないのでは、それは残念ながらビギナーと 言わざるを得ないし、近代のカメラ市場が大きく縮退した 世情においては、もう、そういうユーザー層が大多数 (殆ど全てが初心者)という状態となってしまっている。 くれぐれも、「高額な新鋭機材を買えば、それで済む」 とは思うなかれ、あくまで機材を「使いこなす」のは、 それを買ったオーナー自身の責任範囲である。 最後に、今回紹介した4本のCANON製廉価版望遠 ズームの、個人評価データベースの得点を引用しておく。 <点数:レンズ名(省略表記)、高得点順> 3.9点:New FD 70-210mm/F4 3.3点:EF 70-210mm/F4 3.0点:EF 90-300mm/F4.5-5.6 2.8点:EF 100-200/F4.5 ---- では、今回の記事は、このあたりまで。 このシリーズについては不定期掲載とする。
by pchansblog2
| 2023-06-29 19:05
| 完了:続・特殊レンズマニアックス
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