特集
GeForce RTX 50シリーズと従来のGeForce RTX 40を仕様比較
2025年1月8日 06:08
GeForce RTX 50の新機能
GeForce RTX 50ならではの新機能として、マルチフレーム生成によりゲームのフレームレートを向上させる「DLSS 4」の対応が挙げられる。従来のDLSS 3は2つのフレーム間で1フレームを生成していたが、DLSS 4では最大3フレーム生成できるようになり、さらにフレームレートが向上する。
一方で、レイテンシを削減する「Reflex」技術は「2」に進化し、マウス入力に基づいて、ディスプレイに送信される直前のフレームレートを更新することで応答速度を向上させる「Reflex フレームワープ」に対応した。この機能は近日公開で、GeForce RTX 20シリーズまで遡って利用できる見込み。
AI関連では、Tensorコアが第4世代から第5世代に進化し、FP4をサポートしたことで、対応生成AIモデルにおける性能が大幅に向上する。
このほか、動画エンコーダのNVENCは第8世代から第9世代、デコーダのNVDECは第5世代から第6世代へと進化。また、PCI Expressも4.0から5.0となり帯域幅が倍増している。
GeForce RTX 5090対4090
最上位のGeForce RTX 5090対4090の比較として目立つのはメモリ容量が24GBから32GBへと大幅に増えた点と、それに伴うバス幅向上、それからメモリがGDDR6XからGDDR7に変更されたことによるメモリ帯域幅の増加である。
その一方で、従来のグラフィックス処理や汎用処理を司るCUDAコア数の増加は“控えめ”。TensorコアのAI TOPSは大幅に向上しているが、これは新たに精度が低いFP4がサポートされたためだと考えていい。5090のNVENCは3基で、シリーズ最多となっている。
性能向上に伴い、消費電力は450Wから575Wへと向上した。ちなみに従来通りなら、NVIDIAによるFounders Editionは日本で販売されないので、あまり意味がないかもしれないが、4090は3スロット占有であったのに対し5090は2スロットになっているので、“消費電力は増したがクーラーは小さくなった”と言える。
GPU | GeForce RTX 5090 | GeForce RTX 4090 |
---|---|---|
CUDAコア数 | 21,760基 | 16,384基 |
RTコア | 第4世代 318TFLOPS | 第3世代 191TFLOPS |
Tensorコア | 第5世代 3,352AI TOPS | 第4世代 1,321 AI TOPS |
ブーストクロック | 2.41GHz | 2.52GHz |
ベースクロック | 2.01GHz | 2.23GHz |
メモリ | GDDR7 | GDDR6X |
メモリ容量 | 32GB | 24GB |
バス幅 | 512bit | 384bit |
NVENC | 第9世代×3 | 第8世代×2 |
NVDEC | 第6世代×2 | 第5世代×1 |
最大GPU温度 | 90℃ | 90℃ |
TGP | 575W | 450W |
システム要件電力 | 1,000W | 850W |
販売価格目安(発売時) | 39万3,800円 | 29万8,000円 |
GeForce RTX 5080対4080
GeForce RTX 5080以下に関して、本来は新しめの“40 SUPER”シリーズと比較すべき……だと思うのだが、NVIDIA公式でも無印との比較になっているのでここでも無印と比較する。
5080対4080ではCUDAコア数の増加は控えめで、4080 SUPERの10,240基などと比べるとさらに顕著。性能向上のほとんどは、RTコアの性能向上、Tensorコアの進化に伴うDLSS 4/FP4対応に由来するものだと思われる。
なお、40シリーズの動画デコーダであるNVDECは最上位の4090をもってしても1基だけだったが、50シリーズは5090および5080のみ2基となっていて、それ以下は1基になっている。
発売時にNVIDIAが公開した販売価格の目安についてはGeForce RTX 4080より安くなっているので、“生成AIをやらないゲーマーにとって現実的なチョイスはここまで”といった雰囲気だろうか。
GPU | GeForce RTX 5080 | GeForce RTX 4080 |
---|---|---|
CUDAコア数 | 10,752基 | 9,728基 |
RTコア | 第4世代 171TFLOPS | 第3世代 113TFLOPS |
Tensorコア | 第5世代 1,801AI TOPS | 第4世代 780AI TOPS |
ブーストクロック | 2.62GHz | 2.55GHz |
ベースクロック | 2.3GHz | 2.29GHz |
メモリ | GDDR7 | GDDR6X |
メモリ容量 | 16GB | 16GB |
バス幅 | 256bit | 256bit |
NVENC | 第9世代×2 | 第8世代×2 |
NVDEC | 第6世代×2 | 第5世代×1 |
最大GPU温度 | 88℃ | 90℃ |
TGP | 360W | 320W |
システム要件電力 | 850W | 750W |
販売価格目安(発売時) | 19万8,800円 | 21万9,800円 |
GeForce RTX 5070 Ti対4070 Ti
売れ筋とも言える70 Ti同士の比較では、メモリバス幅が192bitから256bitと増え、メモリもGDDR6XからGDDR7になって容量が4GB増えたので進化は目覚ましい。……が、これはGeForce RTX 4070 Ti SUPERで既になされた改善なので、4070 Ti SUPERから見れば順当なアップグレードである。
GPU | GeForce RTX 5070 Ti | GeForce RTX 4070 Ti |
---|---|---|
CUDAコア数 | 8,960基 | 7,680基 |
RTコア | 第4世代 133TFLOPS | 第3世代 93TFLOPS |
Tensorコア | 第5世代 1,406AI TOPS | 第4世代 641AI TOPS |
ブーストクロック | 2.45GHz | 2.61GHz |
ベースクロック | 2.3GHz | 2.34GHz |
メモリ | GDDR7 | GDDR6X |
メモリ容量 | 16GB | 12GB |
バス幅 | 256bit | 192bit |
NVENC | 第9世代×2 | 第8世代×2 |
NVDEC | 第6世代×1 | 第5世代×1 |
最大GPU温度 | 88℃ | 90℃ |
TGP | 300W | 285W |
システム要件電力 | 750W | 700W |
販売価格目安(発売時) | 14万8,800円 | 14万9,800円 |
GeForce RTX 5070対4070
ミドルレンジの5070対4070だが、こちらは順当な進化といったところか。なお、いずれの世代もNVENCは70 Tiの2基から1基に減らされているので注意が必要。
ちなみに4070無印は登場当初GDDR6Xメモリを搭載していたが、後になってひっそりとGDDR6版が登場した。
GPU | GeForce RTX 5070 | GeForce RTX 4070 |
---|---|---|
CUDAコア数 | 6,144基 | 5,888基 |
RTコア | 第4世代 94TFLOPS | 第3世代 67TFLOPS |
Tensorコア | 第5世代 988AI TOPS | 第4世代 353AI TOPS |
ブーストクロック | 2.51GHz | 2.48GHz |
ベースクロック | 2.16GHz | 1.92GHz |
メモリ | GDDR7 | GDDR6X/GDDR6 |
メモリ容量 | 12GB | 12GB |
バス幅 | 192bit | 192bit |
NVENC | 第9世代×1 | 第8世代×1 |
NVDEC | 第6世代×1 | 第5世代×1 |
最大GPU温度 | 85℃ | 90℃ |
TGP | 250W | 200W |
システム要件電力 | 650W | 650W |
販売価格目安(発売時) | 10万8,800円 | 9万9,800円 |
まとめ
こうして並べてみると、GeForce RTX 5090“だけ”が従来から大幅に仕様が向上していることが分かる。メモリが8GB増えてバス幅が広くなったのはもちろんだが、大幅に向上したTGPや3基のNVENCなど、かなり特別な存在だ。数世代前で言う“TITAN”的な位置づけの印象だ。これでは、価格が10万円アップしたのも無理はない。
一方、そのほかのモデルについては、旧3Dゲーム性能の向上云々よりも、リアルタイムレイトレーシングやDLSS 4といった新技術を活用したゲーム、FP4精度の生成AIの利用といった、近未来的なソフトウェアを見据えたアーキテクチャ的な進化であると言える。
新しいソフトウェア技術のニーズがあるから、新しいGPUアーキテクチャが誕生する。新しいGPUアーキテクチャがあるからこそ、新しいソフトウェア技術が生まれてくる。GeForce RTX 50シリーズはこの好循環を象徴するGPUだと言えるかもしれない。