薄っぺらい感想かもしれないが『Go!プリ』39話がとても素晴らしかったので…。

『Go!プリンセスプリキュア』39話「夢の花ひらく時!舞え、復活のプリンセス!」がとにかく素晴らしかった。新作映画でも観に行こうと思っていたが、プリキュアに引きずられてしまったのでそんな気分にもなれず4回目の鑑賞を終えた。

今回は二週間ぶりの放送となったわけだけど『Go!プリ』の中でもかなり重要度の高い回だったと感じた。その訳というのも今回のプリキュアって優等生ってところが大きい。はるかは「プリンセスになりたい」って一心だけで、受験の難しいお嬢様学校に入りポンコツ感出しながらも呑み込みが早い。みなみは令嬢で生徒会長(少し天然だけど)、きららはモデルとしても活躍しながら学業もこなす(しかもなんでもできてしまう)。トワはプリンセスだしね(笑)。自分の夢を目指しながら、優等生たちの夢を応援してきた、はるかという存在。38話「怪しいワナ…!ひとりぼっちのプリンセス!」ではその根底を覆すほどのショックを与えたわけだ。(優等生の挫折)
すごく私的な話をすればトワがトワイライトからプリキュア側に移ってから『Go!プリ』の全体的なトーンは下がってきた気がしていて、3人のバランス感ってのが優等生なりにも取れていたのに対して、トワは天然だけど少しノイズになっていたと感じる。数話は面白い回があったもののこれ以上のものは見れないのかな…「遊び心」のようなものが抜け落ちて番組自身も真面目な「優等生」になってしまったな、と感じていたのですが、38話「はるかが絶望する」→39話「はるかが復活する」の流れ、彼女が一人で立ち直ったのは「優等生」だからこそ…なんだなと思うと、すごく感動したんですね。

38話と39話は陸続きな回ながらも、まったく違う魅力が詰まっている。ただ、違うだけでなく陸続きの物語だからこそ互いが影響し合い38話は39話のために、その機能を全うしていたように感じる。38話は「物質的な孤立」を、39話は「精神的な孤立」を演出する。


38話。夢を応援することで一人になっていくショットの連鎖。際立ってるのが、ロングショットとクローズアップを多用して孤立感を強調していますね。敵がクローズだけに、クローズアップを多用してはるはるの心をクローズさせる妙技。ただそれもロングショットがバッチリ決まっているからなのですが。こうして38話では技巧的なショットで「物質的な孤立」を描いています。特にクローズとはるかの森でのシークエンスは緊張感があった。

対して39話は、はるかの回想が入ることにより「精神的な孤立」を描いている。旅先から帰ってきた、きららやみなみの声はまったく聞こえない。また、はるか以外のプリキュアが街を救いに行こうとしているのに、はるかは俯いて現実が見えていない。彼女は内へ内へとどん底まで落ちていく。ただそんなどん底から救いの手を差し伸べたのは「幼い頃の自分」だった。どん底まで落ちて見つかった「光」。そしてキュアフローラへ変身する。

彼女が心の内を閉ざしてしまったことにより、変身した瞬間に何か世界が開かれてような感動があった。これはアニメ的な感動であるなと。通常こういった変身シーンにはバンクを使い回すのですが、今回の変身ではバンクは使われずに実在する現実世界で変身する。それまで閉ざされていた世界が急に広がっていく感覚。アニメは所詮「絵を連続して繋げたもの」であって、一枚の絵に描かれた以上の情報なんてないはずで、本来それがフレーム外まで無限大に広がっていく訳がないはずである。しかし、このシーンには決定的な広がりを感じた。それはなぜだろうか?
それは一つに38話で「物質的な孤立」39話が「精神的な孤立」を描いていたため、我々視聴者に「閉ざされる」感覚が植えつけられていたからかもしれない。しかもその後、その広がった感覚がアクション(運動)に活きてきている。38話がロングとアップのモンタージュによって「アニメであること」を効果的に利用していたが、39話のBパートでは運動に転じている。これはアニメーション「動く」という感覚だ。動くはずがないものが動く感覚。

そうあってはならない感覚の作用が感情に訴えかけてくる。なんだろうか、ジャン・ルノワール『ピクニック』の窓が開いたあの瞬間の感覚に近しいだろうか。あの映画はスタンダートによって、フレーム内(奥行き)とフレームの外の感覚を味わいやすかったから余計にその作用が強いと思っていたが、テレビアニメ(16:9)であんな感覚が得られるとは思わなかった。多分、僕がアニメというものを見くびっていたんだろうな。。やり方次第でフレーム内から外への広がりなんて、いくらでも感じられるものなんだ。ただ最もこれまでの38話の積み重ねがあったアニメ的な手法だろうなこれは…。(Blu-ray BOX買おうかな)まとまりのない文章でしたが、素晴らしいアニメが見れました。とだけ報告…。ありがとうプリキュア。

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