【書評】『強者の流儀』から読み取る、朝倉未来が勝てる理由

「僕は意志が弱く、非常に飽きっぽくて、一つのことをやり通すなんてほとんどできませんでした。

そんな僕でも、総合格闘家として成果を上げ、一年未満でチャンネル登録者数70万人を超えるYouTuberになることができた。

その背景には、僕なりの様々な工夫や考えがありました」

『強者の流儀』は朝倉未来の“弱者の告白”から始まる。


日本最大の格闘技の舞台「RIZIN」の看板選手であり、日本で一番人気のある格闘家でもある朝倉未来が、実は意志が弱く、飽きっぽくて、一つのことをやり通せない人間だったという。

そんな朝倉未来が、

「何もしないでいたら弱い存在である自分が、それでも強くあり続けるために持ち続けている考え方と習慣」

を本に綴ったのが『強者の流儀』である。

強者になるために朝倉未来は何をしてきたのか。
どういう習慣を持って日々を生きてきたのか。


2019年5月から始まったYouTubeチャンネルは、2020年3月時点でチャンネル登録者数96万人に達した。

いくら朝倉未来が格闘家として実績があるからといって、チャンネル登録者数100万に迫る成功は偶然ではない。

綿密な研究と分析、日々の軌道修正の繰り返しによって成功したのだ。

『強者の流儀』は朝倉未来の初めての書籍で、彼が成功を手に入れるまでに考えてきたことの全てが語られている。


「変わりたい」と願う人はたくさんいる。
僕も「変わりたい」と思っている。

こんな自分を変えたい。もっと良くなりたい。
いつもそんなことを考えている。

それでも人間は弱くて、自分を変えるには時間がかかる。
変わったことを証明するにはもっと時間がかかる。

なぜなら、証明するためには他人の評価を覆さなければいけないから。

朝倉未来は言う。

「自分の人生を自分の意志で切り拓いていきたいという人や、弱い自分を克服したい人であれば、この本の内容はヒントになる」

「朝倉未来の成り立ちや考えを知るだけでなく、そこから学んで自分の人生に取り入れたいと思うなら、僕はあなたの背中を押したい」


朝倉未来の魂がこもった『強者の流儀』

この記事では、『強者の流儀』から読み取った、「朝倉未来が勝ち続ける理由」を考えていく。

自分を客観視する

強さを求める上で、朝倉未来が大切にしているのは、

「自分を客観視すること」

だった。

自分の強みばかりに目を向けて「俺は最強だ」と自惚れるのでもなく、逆に自分の弱みばかりに注目して過度に自虐的になるわけでもない。

正しく前に進むために、自分を客観視する。

「自分を客観視できるようになったのは、僕の人生の中で一番大きな収穫でした」

と朝倉は言う。

自分の動きをビデオカメラで撮って研究した

小学生の頃、親が買ってきたビデオカメラで自分を撮影したことがあった。
その映像を見たら、自分が認識している体の動きと映像に映っている自分の動きが全く違っていた。

その瞬間、自己認識と等身大の自分が一致していないと気付いた。


朝倉未来が自分を客観視する癖をつけたのはそこからだった。
ビデオで自分を撮り、自己認識と等身大の自分の差分を客観的に理解する。

他人の意見も聞いて、第三者からの見え方を意識する。

そうやって現実とイメージのギャップを正確に把握し、埋めていくことで朝倉未来は強くなっていったのだ。

強い格闘家の4つの要素

強い格闘家が共通して持っている4つの要素がある。

  • 頭がいい
  • 基礎的な身体能力が高い
  • 努力を継続している
  • 意志が強い

今、この瞬間は無名の選手であっても、上で述べた4つの要素を持ち合わせているのであれば、強い格闘家になれる可能性がある。

そして上の4つの要素は他のスポーツやビジネスの成功者にも当てはまっているのではないか、と朝倉未来は述べている。

たとえば野球のイチロー選手も、考えて野球をすることの大切さを強調していたし、強い意志で努力し続けているのは誰もが知るところだ。

練習は量より質

朝倉未来は「練習アピール」するような動画は出さない。
そのせいか、あまり練習していないイメージを持たれている。

朝倉には信念がある。

練習は量より質だということ。
大事なのは質の高い練習を長期に渡って継続することであると。

1日24時間あるからといって、ダラダラと何時間もやっていては効果が低くなる。
だから朝倉は、練習を1、2時間に区切ってその時間内で集中するようにしているそうだ。

練習の質を高めるための考え方

練習のクオリティを保つための考え方はビジネスにも参考になる。

練習の質を高める方法はシンプルで、無駄なことはしない、ということに尽きる。

朝倉未来はランニングをしない。
なぜなら、総合格闘技の勝利に直接結びつかないから。
ランニングが速かったとしても、リング上で徒競走をするわけではない。

ベンチプレスやランニングはとりあえず体に負荷はかかるため、練習をやった気になってしまう。
朝倉未来はこのような「やった気になる」のが危険だと述べている。

余計なトレーニングをして無駄な負荷がかかっているばかりに、スパーリングの練習の質や量が落ちている可能性もあるのだ。

自分に必要なトレーニングを見極め、本当に必要なものに集中する。


無駄な資料を作ってばかりのビジネスマンや、何でも大量の本を読んで勉強してからでないと行動しない頭でっかち、教科書ばかり読んで過去問に一切手を付けない受験生などには響く考え方だろう。

新倉未来のYouTubeが面白い理由

朝倉がYouTubeを始めるときは迷いもあったという。
格闘家としての箔みたいなものが落ちてしまうかもしれないし、有名になったらどこに行っても見つかってしまい、不自由になってしまう。

朝倉は「自由を獲得するために」行動してきたのに、YouTubeによって不自由になってしまう。

それでもYouTubeを始めたのは、もっと格闘技を盛り上げたかったから。
自分の人生を変えた素晴らしい格闘技をより広い人たちに知ってもらいたかったから。


朝倉未来はYouTubeを始める前に徹底的に準備をした。
この姿勢は、格闘技で対戦相手の全ての試合のビデオを観るときと変わらない。

朝倉未来は闘う前に相手をよく研究するのだ。


チャンネル登録者数が100万人を超えるトップYouTuberたちの動画は全部見て研究した。
それと同時に、全く再生数が伸びない底辺YouTuberの動画も見て、何がいけないのかを比較した。

そこに対する自分の強みやパーソナリティを比較して、いけるかどうかを考えて、最終的にはいけると判断したから、YouTubeを始めた。

いけると判断したらすぐに、機材を揃えた。
その額はなんと、200万円。やると決めたら全力で突っ走るのが朝倉である。

YouTubeを始めて1ヶ月後には投資資金の回収に成功した。

YouTube開始1ヶ月で月収400万を達成したのは伝説として語られている。

朝倉未来は細かいところにも気を使っている。
初期のサムネイルは画面に赤文字で内容に即したタイトルをわかりやすく大きく載せていた。

今ではサムネから文字をなくして、動画タイトルを見てもらうようにしている。
動画タイトルを長くすることで、動画の中身にアクセスしないと内容がわからないようにしているのだ。

ちなみに朝倉未来のYouTubeは動画の始めに広告が入っているので、視聴者が中身を見た瞬間に収益化できる仕組みになっている。

その他にも新倉未来が工夫してきた本には内容が詰め込まれているので、YouTubeに興味がある人、情報発信力を向上させたい人は一度『強者の流儀』を読んでみてほしい。

朝倉未来はなぜインストラクターの仕事を辞めないのか

格闘技のファイトマネーもあって、YouTubeの莫大な収入もあるのになぜジムの正社員として働き続けているのか?

一つは正社員として働くことを軸にした規則正しい生活が大切なものだから。
もう一つは、勤務先であるトライフォース赤坂のオーナー、堀鉄平さんをとても尊敬しているから。

堀鉄平氏は弁護士であり、格闘家であり、不動産投資や保育所の経営も手掛ける超人である。

「30歳で格闘技を引退する」と公言する朝倉未来にとって、将来のお手本ともなるべき人間だ。

朝倉未来は「堀さんと出会えたことが僕の人生のターニングポイントでした」と語る。

朝倉が手放しで「すごい」「尊敬する」と公言するのは少し珍しいような気もするが、堀鉄平に対しては称賛を惜しまない。

朝倉未来の睡眠時間

朝倉未来の睡眠時間は7時間30分。

21時30分から5時まで眠る。

朝倉未来が忙しそうなのは僕たちから見てもわかるだろう。
『強者の流儀』では朝倉未来の日々の過ごし方も公開されている。

朝は5時30分に起きて、コーヒーを飲みながらスマホを確認。
その後ジムに向かい、7時から9時まで朝練のスパーリングを行う。

その後、昼食をとって、プロの格闘家の練習に行くか、インストラクター業務を行う。
ジムではHIIT(High Intensity Interval Training)を行っている。

朝倉未来が所属するヒートジム赤坂→ヒートジム赤坂 朝倉未来

インストラクター業務やトレーニングが早めに終わった場合は、14時くらいからプロ格闘家だけの練習(プロ練)に行くこともある。

プロ練では1時間くらいのスパーリングをする。

17時頃には練習も含めてオフになるので、帰宅したら家事や洗濯を行い、21時半くらいに眠る。

YouTubeを始めてからは日曜に2、3本動画を撮影している。

朝倉未来のナイトルーティーンは動画でも公開されている。

→朝倉未来のナイトルーティンを撮ってみた

普段からほとんど遊ばないで、早寝早起きしているのがわかる。
ちなみに東京に出てきてからは自炊もしている。

「良質な睡眠を取るコツは食事に気をつけることです。

食事は遅くとも寝る2、3時間前までにしておいて、残り1時間になったら絶対に食べないようにしています」

朝倉未来は睡眠を大切にしている。
人生で調子が悪かった時期を振り返ってみると、睡眠不足のせいでコンディションが乱れていたことが多かったからだ。

基本的には同じ就寝時間を守るようにしていて、たとえ前日に夜更かしして3時まで起きていたとしても、5時半には必ず起きる生活を10年以上続けている。

強者の流儀

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