ツイッターで炎上したときの対処方法を考える

昔はよくツイッターで炎上していたゴッホさんが、ツイッターの炎上についてブログを書いていました。
Twitter炎上を乗り切ってフォロワーを増やす

ネットで情報発信を続けていると、意図せず炎上してしまうことがあります。

ツイッターの場合は2000RTを超えたくらいから見えない角度からパンチが飛んでくるようになり、悪意を持った攻撃が増える傾向があります。

はてなブックマークだと300を超えたあたりから、辛辣な言葉を投げつけてくる人が現れます。

これをネットスラングでは「マサカリを持ってくる男」とか「イナゴの集団」と呼びます。
マサカリは北斗の拳の雑魚キャラを揶揄したもののようです。

僕はネットの世界で発信を続けて5年以上経つのですが、未だに炎上すると心が落ち着きません。

はてなブログで初めて炎上したときは、通知を見るたびに心拍数が上がり、はてなブックマークのコメントを見ては心を痛めていました。
Google Analyticsのリアルタイム閲覧数が500以上になり、書いた記事は曲解され、予想していなかったコメントを投げつけられ、このままだとネットの業火に焼かれて死んでしまうのではないかと不安になったことを今でも鮮明に覚えています。

ツイッターで炎上したこともありました。

引用リツイートでディスられ、リプでディスられ、リツイートした後に一言コメントを残してディスられ、スクリーンショットを撮られてディスられ、くまのプーさんの4コマでディスられ、人類はよくもここまで様々なバリエーションのディスを発明したものだと感動するレベルでディスられまくりました。


このように、とにかく心に優しくない炎上ですが、露出を増やしたいツイッタラーにとってはチャンスでもあります。

たまに炎上することに定評があるゴッホさんもブログで述べているように、炎上することでフォロワーが増え、マネタイズを目的としている人にとっては収益を増やすチャンスにもなります。

100人の人が炎上を見に来て、99人が石を投げつけてきたとしても、1人がお金を払ってくれれば儲けになるわけです。

Google Adsenseのように、ページビューがそのまま収益につながるものもあります。
炎上したツイートのリプ欄にAmazonのアフィリエイトリンクを貼れば、そのリンク経由で買い物をしてくれることもあるようです。

炎上をピンチと捉えるか、チャンスと捉えるかはアカウント運営者の「リスク許容度」に依存すると言えるでしょう。

裸一貫で、

「炎上気持ちい"い"ィィ!俺は誰から殴られても俺は気にしねぇぜぇ!金だ!PVだ!金とフォロワーが増えりゃあいいんだよォォ!」

なんて人にとっては、炎上は心が痛むものではなく、むしろ美味しいものです。

一方、ネットでの評判を重んじて、なるべく危険を冒したくない人にとっては、炎上はできるだけ避けるべきものとなります。

炎上を考える上で、ポイントとなるものは2つ。

「リスク許容度」

と

「ヘイト値」

です。
リスク許容度は、自分のアカウントをどれだけ危険に晒すことができるかです(リターンの不確実性という意味ではありません)
できるだけ安全に、敵を増やさずに安定運用したい人はリスク許容度を低めに見積もり、多少炎上してでもバズらせてフォロワーを増やしたい、という人はリスク許容度を高めに設定すると良いでしょう。

ヘイト値というのは、ネット上に溜め込んだカルマのことです。
炎上を繰り返すとヘイト値が溜まり、ちょっとしたことでも発火しやすくなります。

敵に囲まれている状態と言ってもいいかもしれません。
ヘイト値が高いアカウントの周りには多数のウォッチャーが集まり、寝首をかこうと息を潜めて待ち伏せています。

アカウントを安定運用させたい人は、できるだけヘイト値を低く保つよう努力をする必要があります。

炎上とどう付き合っていくかは自分のリスク許容度に依存します。
そして、炎上を防ぐにはヘイト値が高まらないように注意してツイートしていかなければいけません。

とにかく炎上を沈静化させたい場合

意図せずに炎上して、突然知らない人からバチボコに叩かれた場合のケースを考えます。
第一の判断ポイントは

「炎上の原因が法的、社会規範的にNGかどうか」

です。

2010年の始めの頃は、コンビニの冷蔵庫に入ったり、万引きした商品をツイートした人が炎上するような事件がたびたび発生しました。

「明らかにやってはいけないこと」で炎上した場合は、2ちゃんねる(今は5ちゃんねる)で住所や本名が晒され、まとめサイトにまとめられ、今後の人生に悪影響を与えてしまう場合があります。

この場合の対策は、謝罪と対策、反省を表明して、

まとめられる前にアカウントを消す

くらいの覚悟が必要です。誰が見ても悪いことをしてしまった場合は、正直どうしようもありません。
心の底から反省し、謝り続けるしかないです。謝罪の際は具体的に行動を起こし、言葉だけではない誠意を見せる必要があります。

とはいえ、2018年の今では冷蔵庫に入ったり吉野家の牛丼でイタズラするなどで炎上する人はほとんどいなくなりましたね。
昔は不倫の内容をツイートして炎上する人もいましたが、そういうことを表立ってツイートする人は本当に少なくなりました。


それよりも多いのは、賛否両論が分かれるツイートに対して一方的に意見を投げつけられるケースや、誰に対して発したでもないツイートにブチ切れる人が現れるケースです。
このように、他人の発信内容を自分のことのように考えてキレる人を指して、昔の記事では「過度の自己投影」と紹介していました。

oreno-yuigon.hatenablog.com

予期せぬところから怒りをぶつけられたとき、多くの人は反論したくなると思います。

「違う。俺が言いたかったのはそうではない」
「あなたは勘違いしている」
「お前は一体何を言っているんだ」

でも、知らないところから現れて批判の言葉を投げかけてくる人が求めているのは「議論」ではありません。

「相手の屈服」です。

ツイッターで辛辣な批判を投げかけてくる人の目的の多くは

「自分が正しいことを知らしめ、相手を屈服させ、反省させること」

であって、議論してより良い結論を導くことではないのです。

双方で目的を共有していないと、良い議論にはならないですよね。

なので、どうしても炎上したくない人は、何か言われたときには早めに謝って、反省することが一番の対処法となります。
できれば形だけではなく、自分が悪かった部分を振り返り、今後の糧にするつもりで謝罪するのがいいでしょう。

炎上の原因となった文章を削除することも一つの手です。謝罪したあとはネットからしばらく離れるのもいいと思います。
一度離れることで、炎上を客観的に見ることができます。
頭に血が上った状態で何かを判断すると、だいたい良くない結果を招いてしまいます。一度離れて落ち着きましょう。

「イナゴ」と呼ばれる人たちは、炎上している火の周りには飛び回りますが、火が消えかかってくると、別の炎上を求めてすぐに消えていきます。
死体を蹴り続ける人がいないように、反応されない相手にリプライを送り続けるイナゴもいません。

謝って、沈黙することは、炎上沈静化の第一の対処法となります。

ツイッターで議論したくなったときは、坂本龍馬が語っていたという言葉を思い出しましょう。

「議論などは、よほど重大なときでないかぎり、してはならぬといいきかせている。
もし議論に勝ったとせよ、相手の名誉をうばうだけのことである。
通常、人間は議論に負けても自分の所論や生き方は変えぬ生きものだし、負けたあと持つのは負けた恨みだけである」

人間の恨みは思っているよりも根が深く、一度恨みを持ったらなかなか忘れてくれない人がいます。
目に見えない誰かに恨みを持たれ、刃を向けられていては、落ち着いてツイッターもできないでしょう。

恨みを残さないように沈静化させた方が楽です。
ヘイト値を溜めない運用です。

ツイッターでは有名人でもたびたび炎上しますが、有名人の炎上が広がっていく原因は、炎上のきっかけとなったツイートよりも、何かを言われたときにカッとなって言い返したものに起因する場合がとても多いです。

特に社会的に成功している人は「謝れない病」にかかっている人が多いように見えます。

はあちゅうさんがパワハラを告発した後に、童貞事件で炎上していましたが、誰かに指摘されたときにすぐに謝っていれば、あそこまで炎上が大きくなることはなかったでしょう。


どうしても譲れない部分で意見を表明したいときは、

「第三者からどう見えるか」

を意識して反論する必要があります。

・論理的に整合性が取れているか
・感情的に他の読者が共感したくなるものか
・反論される相手の感情に配慮しているか

の3点をチェックしましょう。

ブロックは余計な敵を生む可能性がある

悪口ばかり言ってくる人をブロックしたくなる気持ちは良くわかります。
嫌なものは目に入れたくないし、関わりたくないですよね。

でも、僕の経験上、悪口を言ってくる人をブロックすると、その人はブロック以前よりもっと悪口を言うようになります。

「こいつにブロックされたww」

とブロックされたことをネタにしたり、別のアカウントでウォッチして悪口を言い続けるパターンが多いです。

ブロックが粘着を生む可能性がある

ということは覚えておいた方がいいでしょう。

精神力が試されますが、「ヤバイ人はミュート」という方針を取ったほうが敵を作りません。
とはいえ、どうしても見たくない人をブロックするのは仕方ないと思いますが。

ちきりんさんのように、「自分の意見と少しでも違う人間は即ブロック」というのはやりすぎのように思います。
ブロックの乱用はいらぬ反発を招くので、あまりおすすめできません。

炎上を避ける方法

炎上を避けるのは簡単です。

一つ目の方法は、断定調を避け、緩い言葉を使うこと。

具体的には「〜と思います」「個人的には〜」「〜かもしれない」「〜のように見える」みたいに、全員に当てはまるような書き方を避け、あくまで自分の意見を表明しているような書き方をすることです。

こういうボカした書き方をするとほとんど炎上しなくなりますが、デメリットもあります。

言葉に重みがなくなることです。

「〜だと思う」とか「〜だろう」とか、逃げ腰な言葉を使うと、ツイートにパンチが効かなくなります。
その結果、誰も怒らせない代わりに、誰の心にも響かない無難な内容になってしまいます。

断定せずに炎上を避けるか、言いたいことを言い切ってファンを増やすか。
フォロワーが増えてきたツイッタラーの多くは、このようなジレンマに陥ります。

表現の強さをどのレベルに落ち着かせるかは、前にも書いたように、アカウントのリスク許容度によるでしょう。
リスクを許容できる人は、ガンガン断定して発信していくのがいいと思います。そっちの方が絶対にアカウントとしては面白いからです。

簡単な例を挙げます。

「童貞は甘え。今までの人生何やってきたの?20歳以上で童貞の男はこれまでの人生を振り返って猛省すべき」

「低学歴になる人の気持ちが理解できない。私の周りは東大ばかりだから。
なんで浪人してでも良い大学入らないの?怠けてる?」

みたいに断定調かつ挑発気味で厳しい言葉を発していたら、早い段階で火がつくでしょう。
僕は怖いから絶対やりません。

これはあくまで炎上しやすいツイートの例です。
人のコンプレックスを刺激して、反論できる隙を作り、突っ込まれやすくするのが炎上のコツです。

上のツイートの例だと、

「家庭の事情で浪人できない人もいる。みんながお前の環境と同じだと思うな!」
「学歴を誇る割にお前のツイートは頭悪そうだねw」

みたいに炎上することが予想できます。


炎上を避ける二つ目のコツは、反論を予想して、あらかじめ潰しておくことです。

「こういう文章を書いたら、他の人はこう感じて、こんな反論があるだろうな」
というのをあらかじめシミュレーションし、反論されやすい部分を潰してツイートすると炎上しにくいです。

とはいえ、この反論を潰す手法も行き過ぎると全く面白みのない当たり前のことしか言わないツイートになりがちです。


「赤信号を渡ってはいけない」
「空は青いし、海は広い」

みたいな、たしかに反論しようがないけどクソも面白くないツイートになってしまう可能性もあるので、ちょっと隙があるくらいがちょうどいいと思います。

付け入る隙がない美女には誰もアプローチしないように、ツッコミどころのない無難なツイートには誰も反応しません。

余談ですが、ネタツイッタラーには天性の才能とリズム感によって、書く文章全てが人の心を躍らせる天才型ツイッタラーと、
入念にツイート内容を脳内でシミュレートして意識してヒットを狙うシミュレーション型ツイッタラーがいます。

ネタツイッタラーの9割はシミュレーション型だと思いますが、天才型はその天真爛漫さゆえに、時に大きな炎上を巻き起こします。
シミュレーション型は事前に炎上の可能性もシミュレートしているため、大きな事故を起こしづらいイメージがあります。


炎上を避ける三つ目のコツは、人の傷をえぐらないことです。

ネット上では、目には映らない見知らぬ誰かが僕たちの文章を読んでいます。

その人は僕たちが知り得ないコンプレックスを持っているかもしれないし、心の傷を抱えているかもしれません。
そのような、見えない傷にはできるだけ触れないように配慮する必要があります。

人は触れられたくない傷をつついてくる文章に対して怒りを覚えるからです。

簡単な例で言うと、巨乳を愛する人に対してブチ切れる人はほとんどいませんが、貧乳をディスる人に怒る人はけっこういます。
年収、学歴、容姿、非モテ、身長、体重、年齢など。

特に年収や学歴のように、

「努力すればなんとかなるけど、自分が及ばなかったもの」

については人の心を傷つける可能性があります。
よくよく注意する必要があります。


ネットでは毎日毎日、至る所で炎上が発生しています。
もしかしたら明日は自分に炎上の神が降りてくるかもしれません。

それでも一つ、覚えておいてほしいのは、炎上したとしても、よっぽどのことが無い限りはリアルの自分には影響がないということです。
炎上するとネットの全ての人が敵のように見えたりもするし、リアルでは言われないような辛辣な言葉もぶつけられます。
心が落ち着かず、憂鬱になってしまうかもしれません。

それでも、法を犯すようなことさえしていなければ、大きな問題にはならないはずです。安心してください。

一度深呼吸して、スマホから目を離し、ネットから距離を置き、自分の目に映る世界を楽しんでいれば、炎上を忘れることができます。
ネットから距離を置いて冷静になると、なんで自分はあんなに焦ってたんだろう、と落ち着くことができます。

何回も炎上してる僕が言うんだから、間違いないです。

ネットライフを楽しんでいきましょう。



【追記】


2018年2月中旬。
炎上対応の教科書のような事例を見つけてしまったので追記します。


軽く経緯を説明します。

2月15日に発信された

「バレンタインのお返しはシャネルかディオールのコットンがオススメ」

というツイートが炎上しました。
最初はボヤだったのが、影響力の大きい女子垢に言及され、徐々に火事が広がっていった形です。
2月17日には8000リツイートを超え、ちょっとしたお祭りになっていました。


8000RTを超えると通知はお祭り騒ぎで、普通の人なら気になって動揺するところです。

しかし、コットンマンこと藤原綿男さんは一切動じることなく、淡々と自身のコンテンツを紹介したり、ペアーズのノウハウを紹介していました。

恐ろしい胆力です。


そして僕が感動したのは2月17日夕方頃のことです。

なんと、藤原さんは自らアカウント名に「@コットンマン」を付与。

リプの「絶対陰でコットンマンって呼ばれてる」を汲み取ったものと考えられます。

「コットンマンと呼ばれている」を拾って、自らコットンマンを名乗る流れを見て、コットンマンへの愛を感じる人が現れ始めます。

さらに、コットンマンを名乗る藤原さんに

「いや、藤原綿男にしろよ」

というツッコミが入ります。


そしてそれに応えるコットンマン。
僕はここの流れに正直感動してしまったのですが、なんと、コットンマンを批判していた人々が、コットンマンを好きになり始めていたのです。





これは本当にすごいことだと思います。
ペアーズ全国1位にも納得してしまいました。

自分をネタにして、敵すらも味方に変えてしまうそのスキルはあっぱれと言わざるを得ません。
この大人の余裕こそが、彼をペアーズ全国1位に押し上げたのかもしれません。


批判されても応戦せず、動揺を見せることなく、徹頭徹尾「サービスする」気持ちを持ち続けることが、炎上を上手に乗り切るコツのように思いました。

2月18日朝の段階ではまだコットンマン炎上事件が鎮静したとは言えませんが、今後は徐々に静かになり、忘れ去られていくものと思われます。

人は殴ったことは忘れますが、殴られたことは絶対に忘れません。
炎上して殴られても殴り返さなければ、いずれ忘れられるのではないでしょうか。

キリストの言う

「右の頬を殴られたら左の頬を差し出せ」

が普段の生活で大事なことだとは思いませんが、少なくともネットの世界では左の頬を差し出した人は愛される傾向にあるようです。