odd_hatchの読書ノート

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夢野久作

夢野久作 INDEX

2020/06/11 夢野久作「街頭から見た新東京の裏面」「東京人の堕落時代」(青空文庫) 1924年2020/06/09 夢野久作「日本探偵小説全集 4」(創元推理文庫)「瓶詰の地獄「氷の涯」「死後の恋」「爆弾太平記」 2020/06/08 夢野久作「少女地獄」(角川文庫)「…

夢野久作「街頭から見た新東京の裏面」「東京人の堕落時代」(青空文庫) 福岡に残された京風貴族文化からみた東京の野蛮で閉鎖的な新興文化批判

夢野久作は1923年、関東大震災の一年後に地方新聞の記者として東京を訪れた。1889年生まれなので当時34歳。「勤倹尚武思想を幾分なりとも持っている明治人は、科学文明で煎じ詰められた深刻な享楽主義をとても理解し得ない」と考える夢野は、取材の末に東京…

夢野久作「日本探偵小説全集 4」(創元推理文庫)「瓶詰の地獄「氷の涯」「死後の恋」「爆弾太平記」 植民地を舞台にしたのに日本人しかでてこない探偵小説

創元推理文庫の「日本探偵小説全集」に収録された中短編を読む。併録の「ドグラ・マグラ」は別のエントリーで。 瓶詰の地獄 1928.10 ・・・ 「神様からも人間からも救われ得ぬ」二人の若者の漂流譚。ロビンソン・クルーソーは聖書を読んで孤島を社会にしたが…

夢野久作「少女地獄」(角川文庫)「あやかしの鼓」「押絵の奇蹟」「冗談に殺す」「悪魔祈祷書」 九州男児のミソジニー(女性蔑視)で書かれた探偵小説

青空文庫で夢野久作を読む。タイトルはかつて読んだ角川文庫を使った。文庫の収録作と以下のリストは一致しない。あしからず。 あやかしの鼓 1926.10 ・・・ 先祖の名人が鼓の名器を作って奉納した。その妖しい響きは受け取った夫婦に悲劇をもたらした。以来…

夢野久作「ドグラ・マグラ 上」(角川文庫)-1 なんらの社会との関係をもてない男は自己同一性の懐疑にとらわれる。自我に固執する「私小説」を裏返した自分探しの探偵小説。

夢野久作が完成に10年を要し、1935年に自費出版で世に問うた畢生の大作。自分は好みではないので使わないが、「三大奇書」と呼ばれ、その中でもとくに難解といわれている。読破できないとか、理解できないとか言われている。そうか?という疑問をもったうえ…

夢野久作「ドグラ・マグラ 上」(角川文庫)-2 心理遺伝、脳髄論、胎児の夢などの夢野の奇怪な学問の多くはヘッケルの霊的進化論の借用

2020/06/05 夢野久作「ドグラ・マグラ 上」(角川文庫)-1 1935年 ここからは若林教授が読ませた原稿綴り。長いぞ、奇態な文章が続くぞ。たぶん多くの読者を挫折させた難所。 このパートは夢野の多彩な文体を楽しまなければならない。すなわち、「私」の標準…

夢野久作「ドグラ・マグラ 下」(角川文庫)-1 夢野の目論見は日本の怪談を最新知見と科学技術を使って探偵小説の形式にして書き直すことだったが、すぐに陳腐化したのは夢野の誤算。

2020/06/05 夢野久作「ドグラ・マグラ 上」(角川文庫)-1 1935年2020/06/04 夢野久作「ドグラ・マグラ 上」(角川文庫)-2 1935年 膨大な資料を読み終わると、目の前にいたのは正木教授。今は10月20日であるという。教授室から治療場を見下ろすと、そこには…

夢野久作「ドグラ・マグラ 下」(角川文庫)-2 自分が怪物であることを発見する探偵小説。最大の謎はだれが文書を編集したか。

2020/06/05 夢野久作「ドグラ・マグラ 上」(角川文庫)-1 1935年2020/06/04 夢野久作「ドグラ・マグラ 上」(角川文庫)-2 1935年2020/06/02 夢野久作「ドグラ・マグラ 下」(角川文庫)-1 1935年 というわけで、「ドグラ・マグラ」全巻が幕を閉じる。最後…