
ここ数年、コロナ禍の影響でデジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation、DX)が
『3ヶ月の間に10年分の成長・変化』と言われるほど急速に進み、また、Googleがサード・パーティのCookieを段階的に削除し始めたため、米国のマーケティング業界では、独自にデータを収集し活用しようとする様々な試みが進められています。
そんなワケで、米国ではあらゆるメディアがデータ分析やターゲティング能力の重要性を強調。アナリティクス(データ分析)とそのためのソフトウェアは、今やマーケティング部門の主力になりました。
でも、ガートナーの新しい調査では、これらの投資が報われているのかどうか疑問を投げかけています。
そのため、CMOの60%が"約束された改善の失敗"(failed promised improvements)により、2023年までに分析部門の規模を半減させるとガートナーは予測しています。なお、意思決定の際にデータ分析(アナリティクス)が利用されない(利用されにくい)理由の上位には、一貫性のなさ(Inconsistency)やアクセスの難しさ(difficulty of access)が挙げられています。
また、アナリティクス(データ分析)がどれだけ意思決定に関与していても、マーケティング部門が常にリターンを見出せているとは限りません。アナリティクスが意思決定の50%未満にしか使用されていない場合、組織はマーケティングの価値を証明できないことに同意する可能性が高くなります。逆に、アナリティクスが意思決定の50%以上に影響した場合、組織にとってのリターンが減少している可能性が高いと、ガートナーの調査結果は述べています。
ガートナーのマーケティング・プラクティス担当シニア・ディレクター・アナリストであるジョセフ・エネバー(Joseph Enever)は、「CMOは、マーケティングデータの統合目標を達成することで、マーケティング分析の影響力が高まり、価値が高まると考えていることが多い」と語り、しかし、「現実には、より良いデータだけではマーケティング・アナリティクスの意思決定への影響力を高めることはできません。CMOは真の課題である認知バイアス(cognitive biases、要するに、根拠のない偏見や、偏った差別的な意識・認識、無意識)やデータに基づくカルチャーの必要性(the need for a data-informed culture)に取り組む必要があります。」と述べています。
この調査では、回答者の3分の1が、意思決定者はすでに形成した意思決定や意見をサポートするデータを選んでいると回答しています。マーケティングアナリティクスの影響力を阻む大きな要因として、認知バイアスが挙げられています。
さらに、情報が提供されても、それが常に利用されているとは限りません。回答者の26%が、意思決定者は提供されたデータを確認しなかったと答え、24%が意思決定者は自分の提案を拒否したと答え、24%が意思決定者は「直感」で選択を行ったと答えました。
このレポートによると、CMOがアナリティクスを成功させたいのであれば、いくつかの点を考慮する必要があるそうです。まず、アナリティクスで行われた意思決定を追跡して、改善すべき点を突き止める必要があります。その上で、「選択と集中」を避ける必要があります。また、模範を示して指導することや、アナリティクスのスキルアップ・プログラムを確立することも推奨されています。
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