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「95%、監督業から引退する」J2降格・札幌を退任したミシャ監督の真意は? 「J1指揮600試合」は見られないのか…直撃に語った「残り5%」の意味
posted2024/12/14 17:00
text by
佐藤景Kei Sato
photograph by
Kei Sato
北海道コンサドーレ札幌のJ2降格が決まった直後のサンフレッチェ広島戦。試合後の記者会見で、ミシャことミハイロ・ペトロヴィッチ監督は、「95パーセントは(監督の仕事を)終える」と自身の「引退」について言及した。
その直後から親しい記者数人に「本当にミシャさんは監督を辞めるの?」と聞かれた。あれほどサッカーに情熱を注いできた人が、このまま辞めてしまうのか。誰もがそう感じていたのだろう。真相を確かめるために、引退発言の3日後、ミシャのもとを訪れた。
本当に引退してしまうのか?
筆者は来春発売予定の『ミシャ自伝(仮)』(ベースボール・マガジン社刊)を制作する過程で、今年だけでも10回ほどインタビューする機会に恵まれた。今回のインタビューも、そのために予定されていたものだった。ただ、聞かずにはいられない。テーマとは違ったものの、単刀直入に尋ねた。本当に監督を引退するつもりなのか。発言の真意は、どこにあるのか。
「私は19シーズン、日本で仕事をしてきた。広島で6年、浦和で6年、札幌では7年。1つのクラブでこれほど長く仕事をするのは難しいものだが、それが、私がやってきた仕事だ。そのことを考えたら、分かるだろう。1年、2年のスパンで仕事をすることは難しい。
一方で、次のチームを率いるにあたって、ここから6シーズン、7シーズンというスパンで仕事をするのも、今の私の年齢を考えれば困難だろう。もし仕事を引き受けるならプロとしての仕事をしなくてはいけない。だから自分が力になれる形でなければならない」
今年10月に67歳になったミシャは、いつもと変わらぬ冷静な口調で言った。
監督業を続けるものだと…
今季の札幌はシーズン開幕からなかなか勝ち点を積むことができなかった。数年来続く主力の流出に加えて、ケガ人が続出。負のサイクルに陥った。低空飛行を続ける中、5月末には三上大勝代表取締役GMが、今季が現体制の「集大成」になると表明。ミシャがシーズン終了後に札幌を去ることが明らかになった。
前述の書籍の企画はミシャが来年、来日20年目を迎えること、そして日本サッカーへの多大なる貢献を称える意味もあって立ち上がった。仮にシーズン終了後に札幌を退団したとしても、当然、監督業を続けるものだと思っていた。10月初旬のインタビュー時の雑談では、こんな言葉を口にしていた。