ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
「ミトマにドウアン、クボ…今は欧州で韓国以上の評価だ」トルシエが“世界トップ級”と断言「日本サッカーのエコシステム」その正体とは
posted2024/12/15 11:05
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Kiichi Matsumoto
フィリップ・トルシエインタビューの第3回(最終回)である。
アジアカップ以降、アジアで無類の強さを発揮した日本は、10月にはFIFAランキング15位まで上昇し、11月も同じ地位を保っている。今日の日本の実力と実績を鑑みれば、妥当であると国内では受け止められているが、トルシエは現在の日本を客観的な視点からどう評価しているのであろうか。日本と世界的なサッカー大国とは何が違い、どんな差があるのか……。日本サッカーの今日と明日をトルシエが語った。〈全3回の3回目〉
ベスト8に到達できればW杯優勝も現実味が
――日本がFIFAランキング15位というのは妥当だと思いますか。
「一発勝負であれば、日本は世界のトップ5にも勝つことができる。しかしまだまだ努力は必要で、15位というのは名誉以上のものだ。素晴らしい順位だが、ヨーロッパや南米には日本以上に文化や歴史・経験のある国々がある。本当の意味で15位に入るためには、日本はW杯で準々決勝に進むことが求められるだろう。だから今の日本の具体的な目標は、壁を突き破って準々決勝に進むことだ。
たしかに日本には優れた選手が数多く存在し、FIFAランキングも15位まで上がった。唯一欠けているのがベスト16の壁を破ってベスト8に進出することだ。ベスト8に到達できれば、2050年までのW杯優勝という目標も現実味を帯びてくる」
――見える景色も変わってくるわけですね。
「日本人のメンタリティ、選手や指導者たちのメンタリティ、成功を願う若い世代のメンタリティも変化する。スタッド・ランスやリバプール、レアル・ソシエダでプレーする選手たちの態度や行動ですら変わっていくだろう。
それは心理面だけのことではない。フィジカルや戦術、統一性や連帯感などの問題でもある。またそれぞれの頭の中の問題だ。なかなか説明が難しいが、たださらに先に進むためにまだ何かが欠けているのは間違いない」
日本人への評価は以前とは…20年間で全く変わった
――あなたは日本代表監督当時から「日本人は能力で劣っているのではない。自分たちが自信を欠いているのと、ヨーロッパで日本人の能力が正当に認識されずに評価されていないから、ヨーロッパでプレーする日本人が少ないのだ」と述べていました。今日は100人を超える日本人がヨーロッパのクラブに所属して、コートジボワールやナイジェリア、南米諸国などと同じ状況になりました。