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推定20億円イニエスタを除くと…“Jリーガー年俸の実情”「J1日本人中央値は2200万円、最頻値は460万円」「一生分稼げる選手はほぼいない」
posted2024/12/13 11:02
text by
阿部博一/小野ヒデコHirokazu Abe/Hideko Ono
photograph by
Takuya Sugiyama
Jリーガーの年収を読み解く
ABC契約(※)の厳しい側面に触れましたが、それでも2023年のJ1リーグ選手の平均年俸は3755万円です。これは日本人の所得トップ1%以内に入ります。
〈※1999年から続く選手契約制度の通称。基本報酬の下限がない契約形態があるなどの課題が指摘されていたが、2024年9月24日に、Jリーグは2026シーズンからのABC契約撤廃・選手契約制度の改定を発表している〉
「ABC契約の弊害は色々あるものの、J1まで行けば結局はかなり稼げる」という結論になるのか、もう少し検証していきたいと思います。
2023年のJ1リーグ選手の平均年俸は3755万円ですが、「J1の普通のプロサッカー選手」が現実的にどの程度稼げるのか考えるためには、平均だけではなく、もう少し深くデータを読み解いていく必要があります。
まずは、平均年俸3755万円には年俸が高くなりがちな外国人選手が含まれている点に着目します。例えば、2023シーズンの途中で移籍してしまいましたが、当時ヴィッセル神戸でプレーしていたイニエスタ選手の年俸は20億円と推定されており、他にC契約の基本給0円の選手がいたとしても、「(20億円+0円)÷2」で単純に平均を求めてしまうと平均年俸は10億円ということになってしまいます。
ここでは日本人のプロサッカー選手がいくら稼げるかの実態が知りたいので、外国人選手を外して、日本人選手のみで計算する必要があります。そうすると、平均年俸は「2562万円」に引き下がります。ちなみに外国人選手のみの平均年俸は1億289万円なので、やはり平均をかなり吊り上げていることが確認できます。
サッカー選手の年俸のように、とび抜けた値(外れ値)を含むデータの場合、データ全体の平均が外れ値により歪んでしまい、適切にデータの真ん中を把握できないことがあります。そのような場合には、中央値(データを順番に並べたときに真ん中にくる値)や最頻値(最も頻繁に出現する値)も参考にします。J1日本人選手の中央値は2200万円、最頻値は460万円となっています。