2002年公開の『マイノリティ・リポート』。
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』などのSF作品で有名なフィリップ・K・ディック氏の短編小説を原作とした映画です。
監督は『E.T.』『ジュラシック・パーク』などでも有名なスティーヴン・スピルバーグ監督。
そして主演はトム・クルーズ。更にはコリン・ファレルなども共演しているこの映画、SF好きであれば名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
予知能力者を利用した犯罪予知システムが確立され、殺人が無くなった世界。
つまり犯罪を予知することで実際に行われる前に逮捕し、被害者を出さずに解決するというもの。
もちろん、疑念を持つ者もいます。
「あくまで予知であって、実際には犯していない」
「土壇場で犯罪を踏みとどまる場合があったかもしれないのでは?」
それでも結果として「犯罪が起きなかった」ことが大事と捉え、このシステムは支持されていました。
そんな中、隠されていたある事件の秘密に無自覚にも気づいてしまった捜査官(トム・クルーズ)は、陰謀により「殺人を犯す」と予知され追われる身となってしまいます。
最終的に予知能力者を巻き込みながら逃亡を続ける内に、システムの欠陥が露わになっていき…。
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序盤から透明なスクリーンに映し出されるデータやファイルを、触れることなく空中で操作するシーンがあるのですが…当時は近未来感があってワクワクしたものです。(今でこそ当たり前に映画の中に出てきますが)
更には道路の上を滑るように全自動で動く車が出てきたりと、まさにTHE・SF!って感じの世界観です。
そうは言えど一歩奥に踏み込めばスラムのような場所も出てくるので、その辺は『ブレードランナー』っぽさもある感じがします。
今作では「システムの欠陥」=「マイノリティ・リポート」…つまり、抹消された少数の意見(バグ)を中心に話が進んでいきますが、テーマとしてはもっと奥が深いですよね。
「犯罪を犯す予定がある」からと言って、「犯罪者」としてこの先の未来が奪われてもいいものか?
もちろんシステムの信憑性による部分もありますし、わたし自身擁護するとかそういった意図はありませんが…もし真剣に議論するとしたら簡単には答えが出ないところだと思います。
なので、この映画ではさらっと触れるに留められていますが。
そんなテーマでありながらもストーリーの論点は別に置いてあり、そういう点ではSFアクション映画としてはよくできた面白い作品です。
しかし個人的には大元のテーマに対して何らかの答えが出ていたら面白かったな、と思いました。