第15回東北大学男女共同参画シンポジウムで学んだこと

イベントウィークで行事が続く。12月8日(土)は第15回目となる東北大学男女共同参画シンポジウムを開催。今回のテーマは「Dual Career Couple 今と未来の「共働き」を考える」。大野総長には開会のご挨拶から終了後の茶話会までご出席頂いた。ご来賓としてお迎えしたお茶の水女子大学学長の室伏きみ子先生には、シンポジウム前に東北メディカル・メガバンクをご視察頂き、星陵キャンパスから会場の青葉山コモンズまでお連れし、ご挨拶から茶話会途中までご出席賜り、数少ない女性学長というロールモデルとしてのプレゼンスを示して下さった。

男女共同参画委員長として第5回澤柳政太郎記念東北大学男女共同参画賞ならびに奨励賞の概要と講評を紹介した後、前者は「女性枠設定による教員採用・養成システム」による先導的取組の推進とその成果」として九州大学研究戦略委員会を代表して上瀧英里子教授に、後者は「理系女子大学院生チームIRIS(アイリス)による地域における理系進路支援の取り組み」として大阪府立大学 理系女子大学院生チームIRISの代表として参加した4名の女子大学院生に大野総長より表彰状が授与された。

全体の報告記事は追って本学男女共同参画推進センターHPに公開されるので、拙ブログではフレッシュなうちに感想を記す。

今回の基調講演は本学理学部卒、理学研究科で修士まで修めた福島りえこ氏。東芝でグラスレス3Dテレビレグザの開発に関わり、2011年に日経ウーマン・オブ・ザ・イヤーを受賞された後、2017年の都議選で都民ファーストの会より立候補し、世田谷区でトップ当選を果たし、現在は東京都議員として活躍。画像はシンポジウム第3部でパネルディスカッションのときに撮影。都民ファーストのシンボルカラーであるグリーンのスーツで自己ブランディング。
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興味深かったのが、自分の気持ちと他人からの評価の年次推移グラフ。気持ちがどん底のときは、もう失うものは何もないので、後は上がるだけ、評価が高いときには不安になる。産休・育休の間は立ち止まって考える時間になった。30代は少しずつ責任の思い仕事をしながら成長する、視野が広がる大切な時期であり、サブの仕事に甘んじないことが大事。「共働きができる社会」は多様性が受容され活かされる社会。子どもにとっても多くの大人を見ることができ、親の夢を背負わされることがないなどのメリットがある。現在、政治への女性参画も推進。

パネル討論では学部の男子学生、修士の女子学生も参加し、よく練られたプレゼンをした。男子学生は自分の母親が専業主婦であり、小さな頃に家に母がいてくれたことが有難かったので、共働きをする場合にその点をどうするかに不安があると述べ、ファザーリング・ジャパン東北代表の横田 智史氏(保育園経営もされている)から、「それ、自分が先に家に帰るという選択肢もあるよね?」と、台本ができていたのかと思うくらいの突っ込み。

女子学生はいろいろな選択肢を挙げて、将来の共働きへの不安を話した。「経済的にどうしても共働きをしなければならない、という選択は嫌。望んで共働きできるような社会であってほしい」。おそらくそれは同世代の多くの女性の気持ちをまとめているのだと思う。そういう気持ちを持てる程度には、まだ日本社会は豊かなのかもしれない。

ただ、「結局自分では制御できない」という点に囚われすぎではないかと会場の大人たちは感じており、コーディネータの山内正憲教授@麻酔科から突然、コメントを求められた室伏先生は「社会は変えていくことができるものです」と優しく話されていた。「共働きと専業主婦のどちらがいいか」ではなく、自分が稼いでパートナーが主に家事育児に携わるという選択肢もありえる。茶話会後の懇親会に残った関係者の間では、「結局、本人が何をしたいか、本当にやりたい仕事が無いのであれば、そういう発想になるのかもしれないとも話していた。

今回のパネル討論でもっとも強く感じたことは、本学の男女共同参画の活動としては、女性研究者の育成支援に軸足があるが、大学なのだから、もう少し学生への啓発アプローチを行うべきかもしれないという点。お茶の水女子大学は国立大学で2校しかない女子校(ただし、LGBTの学生を受け入れることを宣言)であり、女性のリーダーシップ育成に尽力している。本学でも男女ともに働くことが当たり前、外国人、障害者、性的マイノリティの方もそれぞれが貢献できる社会を一緒に創ることに学生さんも参画できることを伝えていけると良い。


by osumi1128 | 2018-12-08 09:58 | 若い方々へ

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