先日の土日は合宿イベントに参加しました。(正式な集合写真は末尾のイベント報告サイトに載っています♬)
東北大学知のフォーラム特別企画として、東北大学知の創出センターが主催し、男女共同参画推進センター(TUMUG)と東京エレクトロン株式会社が共催でした。東京エレクトロンさんから「女性研究者を支援するようなイベントを支援したい」というお申し越しを頂き企画を始め、本学の女性教授、准教授によるご講演と、東北大学サイエンス・エンジェル(SA)のファシリテーションによるグループワークを行うというプログラムでwebで募集を行い、北は岩手県、南は愛媛県まで、23名の女子高校生が「知の館」に集まりました。私は司会進行役として参加。
研究担当の伊藤理事による力強いメッセージと、東京エレクトロンの先端半導体技術部門開発企画部長の瀬川澄江様によるご来賓のご挨拶の後、医工学研究科教授の田中真美先生による「触覚メカニズムの解明と触覚センサシステムの開発」について、その後、薬学研究科准教授の矢野環先生による「昆虫というモデル動物からのヒトの病気の解明」についての講演が為されました。さらに、5名のSAが自己紹介をし、その後、仙台市郊外の秋保へバスで移動。場所を変えて「高校において、リケジョ・理系進学者の数を拡大するための具体的取り組みについて」というお題で、5つのグループに分かれて意見を出してもらいました。その内容は翌日にそれぞれのグループからの発表となったのですが、皆、的確な現状分析と、とても具体的な提言をしてくれました。以下にいくつか記しておきます。
現状の問題点:
・そもそも理系・文系に分けるのが問題、またその時期が早い
・理系は(実際はそうでもないのに)科目数が多いなどの思い込みがある
・実験が楽しくなさそうなイメージがある、男子に任せる風潮がある
・理系の仕事のイメージがわかない
・高校の数学で挫折する
・奨学金制度が足らない
・出産の年齢を考えた場合の大学院進学のハンディ
解決策:
・文理を分けないコースや入試の導入
・理系の良いイメージがわくようなロールモデル(TVヒロイン、アニメキャラ含む)
・ファッション誌で理系職業(医師・看護師・薬剤師以外の)を取り上げる
・「科学の甲子園」などをTV放映
・OGの母校訪問でキャリアの紹介
・理系の先生の教え方の改善
・研究室の見学ツアー、理系研究者による講演会
・小さな子どもへの理科教室
すでに私たちがSA制度により行っている「オープンキャンパスfor女子高校生」、「高校への出張セミナー」や「科学イベント」や、JSTの支援による理科教員を対象とした「サイエンスキャンプ」等は確かにニーズに応えるものであることを確認しつつも、まだまだ全国的にみれば足りていないのだと実感しました。また、理系のキャリアの「見える化」はとても大事だと、改めて実感しました。
こちらは前日のグループワーク最中の様子。SAがファシリテーターとして意見が出やすいようにリード。
各グループ5分のプレゼンは、交代交代で行っていました。これも「平等」を大事にする女子の特徴。
質問は2分で、田中先生、矢野先生、瀬川様、SAさんから頂きました。
発表終わってグループ写真をパチリ。お疲れ様でした♬ちなみに、理系のキャリア情報については、決して女性だけに足りていない訳ではありません。『13歳のハローワーク』という本が2003年に出たときに、パティシェやとび職など、けっこうレアな職業が挙がっているのに対して、いわゆる理系の職業がほとんど無いことに愕然としたことを思い出します。このブログを書くにあたり、検索してみたら、「13歳のハローワーク公式サイト」というwebサイトがあることに気づきました。ところがやっぱり、”「分野」で調べる”というリンク先の「科学技術・ものづくり」に関する分野は、「機械・電気・化学」と「コンピュータ・IT」の2ジャンルしかなく、その中身は結構、偏っているように思われます……(例えば「モデルガンの製造」「武器・兵器評論家」などが載っているなど)。
大学の理学部や農学部に進学したら、どういうキャリアに繋がるのかが知りたい場合には、「自然」というカテゴリーが近そうです。でもそのリンク先を開いてみると、我々のような大学の研究者にとって身近なキャリアは挙がってきません。あるいは、「医療・福祉ー保険・薬」というカテゴリーの中に薬剤師やMRという職業はあっても、「創薬研究者」などは見当たらないのです……。
広告満載のこのサイトがどのように運営されているのかは不明なので、国としては、もっと現状に即した中高生向けのキャリア選択支援サイトを構築しても良いのではないでしょうか? 何度となく主張していますが、資源に乏しい我が国では「人財」こそが礎です。文系よりも少ない理系で、さらにマイノリティである女性がもっと増えることが、この分野の活性化に繋がると信じます。
将来的に文理の壁を取り払っていくことは重要ですが、直近では理系のキャリアパスを若い方々に示すことが求められていると思います。女子高校生の言葉を借りれば「理系バリアフリーを目指す!」のが大切でしょう。今回参加してくれた女子高校生たちが、未来のリケジョとして活躍することを期待しています。
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ちなみに、2日めの発表の後は、バスで「
せんだい3.11メモリアル交流館」と閖上の朝市を見学して、仙台駅にて解散。遠くから参加された生徒さんにインパクトを残したようでした。
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