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カレーそばは鈍重である。かけそばの整然も、もりそばの清冽もない。ルーの粘質に包まれた麺はのたくるように喉をずり落ちていく。一般的にカレーと麺を合わせるならうどん。うどんはアレンジレシピも多い。小麦粉から成るだけあってパンやピザと似た汎用性がある。対して蕎麦は蕎麦である。アレンジの幅が狭く、蕎麦でございという面でいる。しかし敢えてカレーそばを選ぶ。鈍重な麺を啜る。半分ほど減ったところで葱を入れる。すべてを塗り潰すはずのカレーさえかき分けて青さが鼻に抜ける。残り半分を空にしても出汁に緩和された辛さでは汗もかかない。