🗡22〗─3─B29爆撃機撃墜用「和製地対空誘導弾」。日本海軍の秘密ロケット兵器・奮龍。~No.70 

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 2025年3月7日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス 潮書房光人新社「太平洋戦争に”間に合わなかった”日本軍の「秘密ロケット兵器・奮龍」、元海軍技術少佐の「手記」が明かすB29爆撃機撃墜用「和製地対空誘導弾」の”知られざる開発秘話”…!
 太平洋戦争に”間に合わなかった”日本軍の「秘密ロケット兵器・奮龍」、元海軍技術少佐の「手記」が明かすB29爆撃機撃墜用「和製地対空誘導弾」の”知られざる開発秘話”…!
 太平洋戦争終結から80年。各種メディアで特集記事が出される中、戦争に間に合わなかった日本軍の秘密兵器として、日本本土に襲来するB29爆撃機撃墜用の切り札「奮龍」が注目されている。電波でマーキングしたB29を自動追尾可能とする和製地対空誘導弾だ。老舗軍事雑誌「丸」4月号がこの秘密兵器を特集したところ、人気を博しているという。元海軍技術少佐・吉田隆が1957年に寄稿した長文手記「極秘ロケット兵器『奮龍』成功せり」から、実験成功までの秘話を一部抜粋・再構成してお届けする。
 次々と散る特攻隊員、技術屋の不甲斐なさと奮起
 戦局の切迫化に伴い、起死回生の望みをかけられたロケット戦闘機「秋水」のほか、ロケット機「桜花」、敵艦に体当たりする「震洋」艇、人間魚雷「回天」などが研究されていた。この中で人間の乗らない機械を考えるということが、どんなに間抜けに見えたことか。機械に頭脳を与えるなんて単なる技術屋の寝言だとさえ言う人があった。
 だが、その技術屋として、私は次々と散っていく特攻隊の若い生命を見て、誇張ではなく、いてもたってもいられないような辛さにさいなまれた。人の生命を捨てなくても、そのくらいのことならば、機械でもできるはずである。できる機械を造らずに、人間の崇高な献身にオンブするのは、いかにも技術屋として不甲斐ない限りである。
 浅間山で極秘実験、発射日には登山口を通行止め
試験発射を行う場所は、どうしても人里離れた広大なところでなければならなかった。海岸から海に撃ち込めば簡単だが、記録が取りにくい。どうしても山の裾野という条件になる。それに撃ったものはできるだけ壊してしまわないように記録を取り出したいので、できれば砂のような、やわらない火山灰のところが望ましい。もちろん、人が滅多に近寄らないところでなければならない。結局、浅間山に決まった。
 「気をつけろよ。B29が浅間の偵察を続けているらしい兆候があるぞ」。ある中佐から注意を受け、万一の危機に備えて発射の日は登山口を通行止めにしていた。それでもロケットの凄まじい轟音はどうすることもできなかった。
 実験は成功、目標落下地点からわずか20mのずれ
 いよいよ誘導弾総合発射の日が来た。ジャイロが起動され、無線のスイッチが入り、「奮龍」は完全な作動状態になる。
 10秒前、5秒前。用意、撃て―。
 一瞬固唾をのむうち、尾部から白煙が勢いよく噴き出すと、轟然たる音と一緒に、「奮龍」はスルスルと発射台を上った。
 ものすごい煙の尾を曳きながら浅間の頂上をはるかに越えて吸い込まれ、ごうごうたる轟きが全山を震わせるうちに、瞬く間に小さい点となり、やがて視界から消え去った。右旋回、つづいて左旋回。やがて舵中央と電波が誘導する。「奮龍」はその都度、応答のシグナルを自動的に打ち返してくる。「目標地点落下――」。無線で入った報告に方々から「万歳」の声が沸き起こった。
 落下地点は予定の地点から20メートルは離れていなかった。時に1945年7月末のことだった。そして8月15日、全ては終わった。
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🐟24〗─8・②─スルメイカを日本人が食べられなくなる深刻事態。日本近海の海面水温平年差+1.44℃。~No.102 

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 2025年3月6日4:24 YAHOO!JAPANニュース TBS NEWS DIG Powered by JNN「日本近海の2024年の年平均海面水温が過去最高を更新 平年差+1.44℃
 日本近海の去年1年間の平均海面水温が、統計を取り始めてから最も高くなったことがわかりました。
 気象庁によりますと、2024年の日本近海の年平均海面水温は、平年と比較してプラス1.44℃となり、記録的に高かった2023年のプラス1.10℃を大きく上回り、統計を開始した1908年以降で最も高くなりました。
 その理由について、気象庁は、▼日本付近が暖かい空気に覆われやすかったこと、▼おととしの春ごろから、黒潮の房総半島から東側の流れが三陸沖まで北上していることなどを挙げています。
 長期的にみると、日本近海の年平均海面水温は100年あたりプラス1.33℃の割合で上昇していて、気象庁は、二酸化炭素など温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化の影響と考えられるとしています。
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 3月4日 YAHOO!JAPANニュース 東洋経済オンライン「「絶滅への道を確実にだどっている…」スルメイカを日本人が食べられなくなる深刻事態
 スルメイカ(写真:筆者提供)
 以前はあれだけ店頭に並んでいたのに見かけなくなった、もしくは見かけても、小さかったり、見た目が貧相だったりで、しかも価格が高い――そんな水産物を思い浮かべてください。普段ご家庭で魚をよく食べる方なら、何種類も思い浮かべることでしょう。
 【画像でわかる】スルメイカが漁獲量が激減している!
 その代表格の1つがスルメイカではないでしょうか。10年前(2015年)には13万トンの漁獲がありましたが、今では2万トン弱と6分の1弱です。筆者が生のスルメイカを買って写真を撮ろうとしてもなかなか見つからない。そんな深刻な状態になっています。
■スルメイカはなぜ減ってしまったのか
 減少の理由は後述しますが、珍しい原因だけに注目する報道が多く、科学的に考えると思わず首をかしげてしまう内容が散見されます。資源管理制度の不備で獲りすぎているという本質的な問題は、ほとんど報じられていません。そのため過剰な漁業が続き、資源はさらに減っていきます。これは将来にとって大変な事態です。
 水産資源を回復させる手段として、漁業を成長産業にしている国々で大きな結果を出しているのがTAC(漁獲可能量)制度です。2020年の70年ぶりといわれる漁業法改正の中にも取り入れられています。しかしながら、その運用方法がよく理解されておらず骨抜きにされてしまう傾向にあります。
 これでは国際的な圧力で運用が改善されたクロマグロ以外の魚種については、資源管理の効果が期待できません。さらに、問題があるとわかっていても声に出せない重い雰囲気を感じます。そこで必要なのが世論の後押しです。
■「獲り切れない」漁獲枠を設定する日本
 漁獲量の減少は年々深刻化しています。このため、ブリ、スルメイカ、サバをめぐり、「TAC(漁獲可能量)」という資源管理に不可欠な言葉がニュースでも散見されるようになりました。
 ところが現状では、TACを削減して、あたかも効果がありそうな資源管理を行っているような報道になっています。実際には資源量が減って、それに伴って漁獲量が減り、それに合わせてTACを減らして獲り切れない漁獲枠を設定するという「いたちごっこ」になっているのです。
 日本の場合、北欧・北米・オセアニアなどの、漁業・水産業を成長産業にしている国々とは、TACの運用が「似て非なるもの」になっています。筆者は20年以上、北欧を中心とした国々のさまざまなTACと毎年にらめっこしながら最前線で買い付けをしてきました。
 海外の現場ではTACの増減は、買い付け価格に大きく影響するのは当たり前でした。なぜならば、ノルウェーサバをはじめTACと実際の漁獲量とが、ほぼ100%同じであるケースがほとんどだからです。TACが2〜3割上下すると価格に大きく影響してきます。
 ところが、日本はまったく事情が異なります。もともと「獲り切れないTAC」が設定されているため、その数値が多くても少なくても、市況には影響がほとんどないのです。TACが5割減っても市況に影響はなく、相場は日々の水揚げ状況に左右されます。海外の最前線で競争してきた立場からすると、漁獲前のTAC設定で漁獲量が予想できる海外の漁業と、「大漁祈願」に頼る日本の漁業はあまりにも仕組みが異なっています。
 獲り切れないTACがもたらす末路は、乱獲と漁獲量激減です。スルメイカに限らず、サバでもアジでも国際的な圧力で設定されたクロマグロ以外は、どれもこれも効果がないという意味で同じです。
 獲り切れない量をTACに設定しても資源管理は機能せず、漁業者は実質これまでどおり、できるだけ獲ろうとします。TACを守っているのに資源が回復しないといった意見を聞いたことがあります。しかしもともとTACの上限に達しない「ザルのような漁獲枠」なので、TACを守っても効果などありません。さらに言えば、肝心の数量管理は表面上のことです。多くの場合は従来と同じように漁が続けられていることは、漁業者の皆さんが一番わかっているはずです。
 しかしながら、これをもって漁業者を批判するなどできません。なぜなら問題の根幹は、「資源管理制度」の不備にあるからです。魚が獲れなくなれば単価が上がります。そうなれば、小さい価値がない魚であろうが産卵期であろうが、できるだけ獲ろうとするインセンティブが働きます。自分ごとに置き換えればわかりますが、仕事として魚を獲る立場からみれば、ある意味当然の行動なのです。
■スルメイカの例でみるTAC設定の変化
 恐ろしいことに、スルメイカの資源は確実に絶滅状態に近づいています。2025年の漁期(2025年4月〜2026年3月)の枠が1.92万トンと前年比76%減となりました。ただし、もともとの漁獲量は減少前の7.9万トンどころか1.6万トンしか漁獲されていません。76%減といっても、表面上の数字だけで、実際には漁はこれまでどおりなのです。つまり、漁獲枠の削減自体ではなく、過剰な漁獲によって資源そのものがすでに激減しており、そのための資源管理制度が機能していないことが本質的な問題なのです。
 スルメイカに設定されているTACは、依然資源管理に効果がない獲り切れない形式的な枠です。以下のグラフは漁獲量(青)とTAC(オレンジ)の推移を示しています。
 スルメイカ資源を獲りすぎでつぶしてしまっており、TACがまったく機能しないことを関係者の一部の方はわかっているはずです。
 中国や韓国の漁業が原因とする声もありますが、実際にはそれらの国々も含めて獲れなくなっています。海水温が低い・高い、黒潮大蛇行のせい、クロマグロが食べてしまうなど、さまざまな意見が出てきます。もちろん影響がないとは言いませんが、漁業という最も影響がある肝心のファクターを避けての責任転嫁では問題の本質を見失わせるだけです。その結果、状況の悪化が進むだけで何の解決にもなりません。
 これまでまったく獲り切れない量の枠が配分され続けてきました。依然として肝心の効果はないものの、留保枠といった苦肉の策で効果が出るようにしようという姿勢は感じます。
 苦肉の策であっても、留保枠を増やして実際には獲れないようにするなど、効果が出る管理に変えていく必要があります。そして、漁獲枠の抑制と漁獲圧の減少が必要だという事実を国民にも理解してもらわなければなりません。
■環境要因への責任転嫁は悪化を促進させるだけ
 次のグラフは水産白書で海洋環境と資源変動を説明するために使われたものです。それによると北太平洋の水温には「レジームシフト」と呼ばれる数十年規模の変動が認められるとあります。さらに日本の周辺海域では水温が温かい「温暖レジーム」の時期にカタクチイワシやスルメイカなどの漁獲量が増え、逆に「寒冷レジーム」にはマイワシやスケトウダラの漁獲量が増える傾向にあると述べられています。
 このデータは2016年までとなっています。それでは2025年の現在はどうなっているでしょうか。まず海水温上昇が話題になっているのはご存じのとおりです。そうであればスルメイカは増えるはずですが、逆に激減しています。こういった矛盾が起きてしまうのは「漁業」という最も影響力がある要素を考慮せずに、資源の増減を語ろうとするからです。
 また、日本の周りは魚種を問わず漁獲量がほぼ減少していますが、同じ太平洋でもアラスカ側や、大西洋では、多くの水産資源が持続的になっています。
 資源の変動は、環境による影響はもちろんあります。しかしながら、それは人間の力ではどうにもなりません。一方できることはあります。それは、漁獲量を制限して資源量を持続させることに他なりません。
 ある漁業者の方が「漁業者になるのに試験が必要ではないか」と話していました。実際、「少しでも獲れるようになったら漁をさせてほしい」といった意見が、これだけ水産資源が最悪の状態になっていても出てきます。こうなってしまうのは「教育」の問題です。そこで漁業者になるには、まず「科学的根拠に基づく資源管理」を理解して、その試験に合格することを前提にする必要があると思います。
 資源が少しでも回復したら、その貴重な資源をまた獲り尽くしてしまう……という負の循環からは脱却することが不可欠です。
 漁業者の方が、魚をたくさん獲りたいと考えるのは仕事なので当たり前です。しかしながら科学的根拠に基づく資源管理の知識なくして漁業をすれば、今の日本が示しているように世界に例を見ない大失敗が続き、水産資源の枯渇という大きな社会問題へと進んでしまいます。
■「魚が消えていく本当の理由」を正しく理解する必要
 もちろんTACでの管理がすべてではありません。日本がズワイガニを輸入しているカナダ、ロシアとなどの国々と同様にメスを漁獲しないルールを設けたり、アラスカのようにサケは稚魚放流ではなく自然産卵を重視したり、ノルウェーのようにマダラでは40センチ以下は漁獲しないなど、TAC以外に効果が出ている施策もいくつかあります。
 TACは、1996年に日本が批准している国連海洋法に明記されています。また漁業法改正でようやく導入されSDGs14に明記されているMSY(最大持続生産量=魚種を減らさずに獲り続けられる最大量)とも大きく関係があります。
 資源管理を進め、将来これ以上に魚が獲れなくなるという負の遺産にしてしまわないよう、社会が「魚が消えていく本当の理由」を正しく理解する必要があります。そして正しい前提のもとに水産資源を回復させる政策が実現していく必要があります。また勇気をもって本当のことを言おうとしている方々の根拠にもなれば幸いです。
 片野 歩 :Fisk Japan CEO
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 1月23日 YAHOO!JAPANニュース 東洋経済ONLNE「日本の漁業が「自滅」に向かっていく根本原因
 資源管理制度の不備が原因で魚はもっと高額に…
 片野 歩 : Fisk Japan CEO
 サケ、スルメイカ、シシャモ、ハタハタをはじめ、魚が獲れないという報道を耳にしない年はありません。全国主要漁港の上位10港における水揚げ数量の合計は前年比9%減となっており、2024年度の水揚げ量は、同じ形で統計を取り始めた1956年以来の過去最低数量をさらに下回る見通しです。しかも恐るべきことに、過去最低記録の更新は毎年続いてしまっています。
 世界の水産物生産量(漁業+養殖)の日本の順位は、2022年時点で12位まで下がり続けています。1970年代から80年代の約20年にわたって世界1位を長年維持してきたかつての姿はありません。一方で、対照的に世界全体の水産物生産量は、毎年過去最高を更新し続けています。
 魚の価格がさらに高くなっていく
 こうした状況は、すでにわれわれが日常食べている魚の供給や価格にも大きく影響しています。輸入に関しては、世界全体の需要量が人口増加とともにタイトになることが確実です。このため、自国の水産資源管理の制度を持続可能なものに早急に変えていかねばなりませんが、すでに多くの魚種で危険水域に達しています。SDGs14(海の豊かさを守ろう)の目標からどんどん離れています。
 このままでは国内漁獲量が減少して供給量が減り、まず魚の価格がさらに高くなります。そして、これまで価値が低いとされてきた小さな魚でも価格が高くなっていきます。サヨリのように細いサンマが高い値段で販売されていけば魚離れも起きてきます。ただしその原因は、輸入水産物が国際需要の増加による価格上昇とは状況が異なり、わが国の場合は資源管理制度の不備がもたらす自滅です。
 政府は魚の資源を回復すべく漁業法改正をはじめとする改革を進めようとしています。本来なら国を挙げて応援すべきなのですが、「魚が減った本当の理由」に関する誤った情報が社会に蔓延しているのが実情です。
 このため、本来は科学的根拠に基づく資源管理が実施されれば、最も恩恵を受けるはずの漁業者の方々が反対してしまう事態が起きています。まるで大本営発表のような社会をミスリードする情報を改めていくことが急務です。そのための一助として筆者は発信を続けています。
 魚が減ったことを景気に例えると
 魚が減り続けている今の状態を企業にたとえるなら、「業績が悪いのは景気が悪いから」と主張しているのとほぼ同じです。もちろん企業業績に景気が影響するのは確かです。しかしながら景気が悪くても、環境の変化に対応して改革して生き残りをかけて必死に努力する。これが生き残っていく企業ではないでしょうか。
 景気が悪いという外部要因のせいにする。しかし周りを見渡せば、同じ環境下で好成績を出している企業がたくさんあることを考えると、経営陣の責任が追及されます。ビジネスの世界では当たり前のことで、世界全体では水産業は「成長産業」です。ただし、その前提となるのは資源がサステナブルになっていることです。
 景気が悪い(例:海水温の上昇や外国の影響など)という同じ環境下であっても、好成績を維持している企業(例:魚の資源が減っておらず、漁獲量も維持している国々)がたくさんあるのです。1企業(日本)だけでなく、北欧・北米・オセアニアをはじめ他国と比較すると、その問題点がはっきり出ます。
 ところが日本では、世界中の水産業の状況を客観的に見ずに、近隣だけのとても狭い範囲であれこれ責任転嫁したり、自画自賛したりしてしまう傾向があります。外国の成功例を「日本は事情が違う」と言って受け入れないのでは、間違った処方箋で薬を飲んでいるのと同じで良くなるはずがありません。しかしそれが、残念ながら全国で魚が獲れなくなっているわが国の実態なのです。
 「自主管理」という今までのやり方でよいという耳触りがいい言葉の代償は、全国で魚が獲れなくなって起きている地域社会の崩壊です。しかし漁業者の方々も何かおかしいことに気づき始めました。
 それ本当に増えていますか?
 ある地域や県でサケが獲れた、スルメイカが豊漁だった、などと報道されることがあります。全国では漁獲量が大きく減っていても、地域によって今年は獲れたという事例があります。個々の事象は事実としても、ミクロではなく、マクロで判断することがとても重要です。
 同じ魚種でもがA県で豊漁でもB県では不漁といったケースがあります。これは同じ資源の回遊経路による影響にすぎないことが多いので、あくまでも同じ資源の全体量で考えないと誤解が起きてしまいます。
 また漁獲量が激減してしまっているのに、翌年に漁獲量が増加するとその数量に対して「前年比何割増」とか「何倍」と報道されることがあります。これも数字自体は合っていても、実質的な量はまだまだ少ない場合がほとんどです。「豊漁」「大漁」といった言葉の響きはいいかもしれません。しかしながら根本的に、資源管理制度の不備で何もよくなっていないケースばかりです。
 昨年(2024年)はサンマの漁獲量が年間約4万トンとなり、前年比58%増と報じられましたがつい10年ほど前かそれ以前の20~30万トンという漁獲量に比べればたいしたことはなく、大漁にはほぼ遠いのです。マスコミも少しずつ、過去に比べて解説するケースが出てきています。そのためにも、本質的なことが理解されるまで、繰り返し発信し続けます。
 ギラギラと銀色に光るタチウオは、かつて東シナ海などで大漁に漁獲され、韓国・中国などでも人気の魚です。近年、三陸などで漁獲量が増えているといった報道もあります。確かに増えてはいます。下のグラフをご覧ください。まず右のグラフです。緑の折れ線グラフの宮城県はすごい伸びに見えます。しかしその数量はたったの500トンに過ぎません。
 (出所)海洋環境の変化に対応した漁業の在り方に対する検討会
 次に左のグラフの赤丸の部分をご覧ください。右のグラフだけでは増えているように見えますが、全体からすると大した数量ではないのです。
 さらに下のグラフをご覧ください。上の左のグラフは2003年(H15)からですが、この時期(H15~H19)の1.4~1.8万トンといった数量は、多い数量に見えます。
 しかしながら、1950年代からの下のグラフの数量と比べると、ピーク時の1968年の6.8万トンの4分の1程度にすぎないのです。しかも、直近の2023年の全国のタチウオの漁獲量は、5400トンに激減しています。増えたといわれている三陸の分を足してもピークの10分の1以下です。これをもって海水温上昇でタチウオの漁獲量が増えたと言えるのでしょうか。
 タチウオには資源管理のための漁獲枠がありません。獲れればお金になるため、漁業者はたくさん獲ろうとします。漁業が仕事なので当たり前です。獲れなくなると、ひものような細いタチウオまで獲ってしまいます。そして最後はほとんどいなくなります。こうした事態は他魚種でも同様ですが、漁業者ではなく、資源管理制度に問題があるのです。
 科学的根拠に基づく資源管理が行われていない漁業の末路は同じです。獲りすぎで魚がいなくなってから、海水温上昇や外国などに責任転嫁しても何も解決にならないのです。
 どんな魚種が減っているのか
 最後に水産資源管理の記事を書いていると、以下のような疑問が寄せられるので回答しておきます。
・どの魚種が減っているのでしょうか?
 (回答)上の表でご覧いただくとわかります。10年前(2022/2012)に比べるとほぼ全魚種減っており全滅状態です。マイワシとホタテガイくらいですが、増えている魚種を探すこと自体が困難です。またマイワシは変動が激しいので、過去のデータから数年経つと大きく減り始めます。その時はさらに大変なことになりますが、そう遠くない未来です。
・漁業者が減ったからでは?
 (回答)誤りです。実際には資源管理制度の不備で資源量が減り、漁獲量が減って漁業者が減るという悪循環です。漁業者が減って漁獲量が減るという理屈は、沿岸漁業の極々限られた地域ではあるかもしれません。ただし、その数量は全体の漁獲量からすれば、ゼロに近いことでしょう。資源量が同じであれば、減った分は残った漁業者が漁獲できます。資源管理制度が機能しているノルウェーでは漁業者が減っても漁獲量は減少していません。あくまでも漁獲量の増減は、資源量次第なのです。
・消費量が減ったから漁獲量が減っているのでは?
 (回答)誤りです。もし価格が高くなって消費が減ったという理由の場合は、資源量が減って漁獲量が減り、その結果で価格が高くなったからではないでしょうか。逆においしい魚が安定した価格で供給されていれば、消費量は減らないのではないでしょうか。どこに問題があるのか? それは水産資源管理制度の不備にあります。
 海水温上昇や外国が悪いについてはとても多くのコメントをいただいています。「地球温暖化 科学者が言いたがらない日本の魚の真実」で説明しているように、影響がないとは言いませんが、誤解がとても多いのが現状です。
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 片野 歩 Fisk Japan CEO
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🌌49}─4・③─技術者不足で南海トラフ巨大地震で停電しても電気が復旧できない。~No.247 

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 2025年3月2日YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「停電でも電気が復旧しなくなる…「技術者不足」の悲惨すぎる未来
 この国の人口はどこまで減っていくのだろうか。今年1年間の出生数が70万人割れになるかもしれず、大きな話題となっている。
 【写真】日本人は「絶滅」するのか…2030年に百貨店や銀行が消える「未来」
 そんな衝撃的な現実を前にしてもなお、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。
 100万部ベストセラーシリーズの最新作『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。
 ※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。
 発電方法を選んでいる余裕はない
 政府のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議が、脱炭素社会の実現に向けた基本方針をまとめ、原子力発電所の建て替えや原則40年としてきた運転期間の延長を打ち出した。
 政府は東日本大震災を受けて原発の新増設や建て替えを「想定しない」としてきていたが、基本方針では「将来にわたって持続的に原子力を活用する」と明記しており、百八十度の政策転換である。
 ロシアのウクライナ侵攻によって世界はなりふり構わぬエネルギー獲得競争に突入した。もはや日本も「きれい事」を言っていられなくなったということだ。
 火力発電所は老朽化して休止・停止が相次ぎ、ロシアからの液化天然ガス(LNG)の供給もいつ途絶するか分からない情勢にある。昨夏に続き、今冬も電力不足に伴う大停電の不安がぬぐえない。
 他方、異常気象による自然災害は頻発しており、地球温暖化対策も待ったなしだ。脱炭素とエネルギーの安定供給を同時に成立させるには原子力への回帰しかないという判断である。
 原発に対する国民の不信感は根強いが、電気代などの相次ぐ値上げは企業活動や国民生活を直撃しており、「拙速」や「強引」との批判を覚悟の上で原発の積極活用へと大きく舵を切ったということであろう。
 言うまでもなく、エネルギーは社会生活の基盤中の基盤である。多くの機器が電化された現在、とりわけ電気の安定供給は国家としての最重要課題である。切羽詰まった日本に発電方法を選んでいる余裕などないというのが現実だ。
 6000人弱で8万キロの送電線を点検できるか
 だが、積極的な原子力発電に踏み出せば、日本の電力事情がただちに好転するわけではない。
 発電方法ばかりに関心が集まっているが、日本のエネルギー問題にはもう一つ大きなアキレス腱がある。全国に張り巡らされた送配電網を維持・管理する技術者の不足だ。
 どのようなエネルギーで発電しようとも、利用者に安定的に電気が届かなければ意味をなさず、われわれは「便利な生活」を手に入れることはできない。
 電気に関連するあらゆる分野で人手不足が進んでいるが、例えば送電線だ。
 「ラインマン」と呼ばれる建設や保守・点検を担う技術者は、新規就職者が少ないだけでなく、若手社員が早期退職するため人手不足が慢性化している。
 山奥に分け入るだけでも重労働だが、鉄塔に登り、電線に宙乗りとなって作業を行う業務のため長期間の訓練を要する。適性が問われ、誰でもできる仕事ではないこともハードルとなっている。
 一般社団法人送電線建設技術研究会の資料によれば、2000年度には7406人を数えたが、2020年度は5786人(うち作業員3948人、作業責任者1838人)だ。ここまで減った背景には少子化の影響がある。どの職種もそうであるように、ラインマンの人手不足もより深刻になることが予想される。
 一方で、国内の鉄塔と送電線の老朽化は著しく、現在は毎年1000基のペースで更新が必要になっている。送電線鉄塔は約24万基、電線総延長(亘長)は約8万キロにおよぶが、経済産業省の資料によれば鉄塔の3割弱にあたる6万5000基は1970年代の建設だ。同省はこれから建て替えや大規模修繕の必要性が高まるとしている。
 わずか6000人弱で8万キロもの送電線を保守・点検するだけでも大変だというのに、こうした需要増が加わったのでは人手不足はさらに深刻化しよう。
 最近はドローンでの点検や、傾斜地にも対応する鉄塔建設用のクレーンが登場して作業の省力化も進んではいるが、すべてを機械任せとは行かない。
 送電線と樹木が接触すると大規模な停電を起こすため定期的な伐採作業が必要で、これなどは技術者が現場に出向かなければならない作業の1つである。
 ベテラン技術者引退で技術の承継が進まない
 さらに問題なのは、大型新設工事を経験してきたベテラン技術者の多くが引退時期に差し掛かっていることだ。技術者の絶対数が減るだけでなく、経験に裏打ちされた熟練技術の承継が進んでいないケースもみられる。
 送配電以外でも技術者の不足は深刻化している。経産省の資料によれば、2030年度時点で第2種電気主任技術者が1000人程度、第3種電気主任技術者(外部委託)が800人程度不足するという。
 再生可能エネルギーなど新しい電源の接続によって送変電容量が足りなくなる場合には送電線や変圧器の新設といった設備の補強工事が必要となることなどもあって、将来的にはさらにこれらの技術者の不足は拡大する見通しだ。
 経産省は、第2種電気主任技術者について地域偏在も懸念している。風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーは、風量や日射量などの自然条件によって適地が選ばれる。このため、その発電施設は地方の山間地に立地することが多い。
 ところが、人口減少が先行する地方では若い技術者を確保することは困難で、都市部に住宅を取得しているベテラン技術者にはいまさら転勤したがらない人が多いのだという。この結果、都市部の現場に技術者が集中し、地方では採用が困難な状況が生じている。
 技術者不足は地方だけの話ではない。都市部での再開発に伴うビルの建設ラッシュも要因となっているためだ。新しいビルが建っても電気主任技術者がいなければ、そのビルは利用することができない。
 年末の大雪では各地で停電が起きたが、電気主任技術者が少なくなったならば復旧までの時間はこれまで以上にかかる。これらの事例だけでも分かるように、技術者不足が社会に及ぼす影響はかなり大きい。
 先述した鉄塔や送電線の老朽化に伴う建て替えや大規模修繕に加えて、再生可能エネルギー導入に伴う新設や、地方から電力需要の大きい三大都市圏などに電気を送れるようする地域間の連係線増強もあり、電気事業をめぐる工事の需要は増加する一方だ。
 もしこのまま技術者の人手不足や地域偏在を放置したならば、日本は2050年までの温暖化ガス排出量実質ゼロという目標を達成する前に、電気が不安定な「貧しい国」へと陥ることとなる。
 つづく「日本人はこのまま絶滅するのか…2030年に地方から百貨店や銀行が消える「衝撃の未来」」では、「ポツンと5軒家はやめるべき」「ショッピングモールの閉店ラッシュ」などこれから日本を襲う大変化を掘り下げて解説する。
 河合 雅司(作家・ジャーナリスト)
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📉38】─2・②─少子化で多くの大学が存亡の危機に!定員割れでも「選抜」は必要?~No.82 ~No.82 

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 2025年3月3日 YAHOO!JAPANニュース 東洋経済オンライン「少子化で多くの大学が存亡の危機に! 定員割れでも「選抜」は必要? 岐路に立つ大学入試を考える
 難関大学を除く多くの大学では、早期に入学予定者を確保するなどし、定員割れにならないよう四苦八苦している(写真:recep-bg/Getty Images)
 前回の記事でも述べたとおり、日本の大学は「ユニバーサル段階」にあり、1970年代以前のようなエリートのための存在ではなく、万人に開かれたものになっている。
 【画像】大学進学率の推移を見ると、昭和50年と比べて女性の大学進学率は44ポイント増加!一方、短大進学率は…?
 第二次ベビーブーム世代が大学入学を迎えた頃から進学者が増加した。18歳人口のピークを過ぎて以降、18歳人口は減少の一途であるが、就職氷河期等を背景に大学進学率は上昇し、いまや短期大学を含む大学進学率は6割を超えるようになった。
 一方、2024年度には大学入学総定員を大学入学者が1万人以上下回り、大学は「全入化」の状態にある。そのため、私立大学の約6割が定員割れになった。人口が多い都市圏でも定員割れを起こす大学が増えている。
 こうした中で、2025年4月に入学する学生の2025年度入試、翌年の2026年度入試は18歳人口があまり減らなかったり増えたりするため、大学としてはひと息つけるだろうが、2027年度からはまた18歳人口が減り始める。2040年度あたりには大学入学者は、大学進学率が上がらない限り、3割程度減る可能性がある。
 この2027年度を迎える準備を大学はできているだろうか。学部を再編して定員を減らすところもあるだろう。郊外のキャンパスを閉鎖して都心部でキャンパスを統合するところも出てくるだろう。定員割れを起こし、今後の対策を考えなければいけない私立大学が6割もあるのが現状である。
■定員割れを避けたい大学の現状
 さて、いま行われている2025年度入試で、難関大学を除く多くの大学が目指すのは定員割れの解消と防止である。そのためには早期の入学予定者確保が必要であり、「年内入試」と言われる「総合型選抜」「学校推薦型選抜」で、できる限り入学定員に近いところまで入学手続きをしてくれる受験生を獲得することを求められている。
 その影響で、2月から始まった「一般選抜」での合格者を絞り込むことになった大学は多いはずだ。しかし、総合型や学校推薦型選抜で十分な受験生を確保するのは、定員割れが激しい大学にはなかなか難しく、一般選抜も合格者を多く出さざるをえない。
 だが、そもそも受験者が少なくて限界があるため、今年度も継続して定員割れを起こすだけでなく、存亡の危機に陥る。このような状態では再び人口減少が起きる2027年度以降に募集が改善する見込みはない。何らかの大なたを振るうことになるだろう。
 一方で、東洋大学では、実質的には一般選抜の前倒しと批判される学校推薦型で2万人の志願者を集めており、この影響は少なくない。この試験の受験者の中でどのくらいが滑り止めとして受験しているかだ。
 東洋大学よりも志望順位の高い大学から合格通知が届くまでは、東洋大学に籍を確保しておきたい受験者もいるだろう。もちろん東洋大学も上位大学に合格者を抜かれることを見越して合格者を多めに出しているだろうが、初めての試みゆえに動向を読めない。
 東洋大学の一般選抜の合格者数にも影響するだろう。東洋大学が他大学への迷惑を考えて自重すればいいが、定員割れは困るので欠員が多く出れば追加合格を出さざるをえない。追加合格の動向によっては、東洋大学の併願先となっていた志望順位の低い大学はせっかく確保した入学予定者を引き抜かれてしまう。
 そして、その東洋大学に入学予定者を引き抜かれた大学も追加合格を出してほかの大学から入学予定者を引き抜く。これが続くと3月31日までに無事に入学者を確保できるか、気が気でない大学も出てくるだろう。
 2025年度、2026年度の大学入試は、人口減が再び始まる2027年度以降に向けた大学の生き残りの篩(ふるい)になる。18歳人口が減らないにもかかわらず、募集が改善されないのだから2027年度以降は定員充足がかなり厳しくなる大学も出てくる。
■「大学教育にふさわしい準備ができているか」
 また、入学者を8割以上確保した大学であっても、入試の難度はいかがなものだろうか。合否のボーダーラインを引けない「ボーダーフリー」になっていることだろう。「全入化」ゆえに、出願者は全員合格となり、不合格者を出せない大学もいずれ登場することになるだろう。そうした大学では申し込み順に入学者を受け付けることになるのだろうか。いや、そうではないだろう。
 どのような状況であったとしても、大学入試の元来の目的である「大学教育にふさわしい準備ができているか」を審査する必要はあるのではないか。それをいかに審査するか。
 高校からの推薦に頼ることは考えられる。そうなったときには、現行の「大学入学者選抜実施要項」で定められている「学校推薦型選抜の募集人員は、附属高等学校長からの推薦に係るものも含め、学部等募集単位ごとの入学定員の5割を超えない範囲において各大学が定める」を見直す必要がある。
 短期大学同様にこうした制限を取り払い「学校推薦型選抜以外の入試方法における受験機会の確保にも配慮して」募集定員を定めることになるだろう。
 学校推薦型だけの選抜にしてしまうと、高校に通わず「高等学校卒業程度認定試験」によって大学入学資格を得る人や社会人、過年度卒業生(浪人生)などは受験できなくなってしまう。「ユニバーサル段階」にある大学は、広く万人に開かれたものなのだから、他の審査方法を用意しておく必要がある。
■求められるのは「学ぶ姿勢」
 それに、大学は、高校新卒者を対象とした教育機関から、生涯学習の場としてもこれまで以上に活用されるべきだろう。「リスキリング」などと政府が号令をかけなくても、生涯にわたって学び続ける風土を築きたい。そのためにも働きながら学べるように「働き方改革」によって十分な余白時間を確保できるような社会になることを期待したい。
 全入化した大学とはいえ、大学教育は高校までの学校教育とは異なる。学校教育では、与えられた目標や方法に準じて学習する。一方、大学では、自ら学ぶ目的やテーマを設定して学習する。つまり、大学ではより主体性を求められるのだ。
 よって、「大学教育にふさわしい準備」とは、大学で主体的に学ぶ姿勢であり、全入化した大学であっても学生には学ぶ姿勢が求められる。しかし、主体的に学ぶかどうかは学生の問題であり、全入化した大学では、それができるという受験生の申し出には入学を許可してもいいのではないだろうか。
 受験生の申し出だけではダメだというのであれば、高校に限らず、身近で受験生本人をよく知る人からの推薦が得られればいいのではないか。全入化している大学でわざわざ大学が「意欲」を審査する必要はないだろう。これがこれからの全入化した大学の選抜試験になるのだろう。
 こうしたことを、前々回で言及した「東洋大学問題」をきっかけに、今後、大学と高校が協議をして、文科省の調整の下、2027年度以降の「大学入学者選抜実施要項」を策定してもらいたい。
  後藤 健夫 :教育ジャーナリスト
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🌌33}─6・②─中国大陸の<吸虫>が侵入して利根川水系の在来淡水魚に寄生し始めている。~No.168 

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 2025年2月28日 YAHOO!JAPANニュース「外来寄生虫は在来淡水魚にも寄生する? 中国大陸の<吸虫>が利根川水系に侵入していることが判明
 チャネルキャットフィッシュ(提供:PhotoAC)
 外来種というとチャネルキャットフィッシュやブルーギルなどを思い浮かべますが、我々の目では見ることが難しい、寄生虫にも外来種がいるのをご存知でしょうか?
 例えば、ウシガエル斜睾吸虫(Glypthelmins quieta)は北米原産の吸虫ですが、ウシガエルとサカマキガイを宿主として日本で生存しています。
 東邦大学、水産研究・教育機構水産技術研究所、日本大学なその研究グループは新たな外来種の寄生虫が利根川水系の在来種に寄生していることを明らかにしました。
 寄生虫にも外来種がいる
 現在、日本の内水面にはチャネルキャットフィッシュやブルーギルなどをはじめとする、様々な外来種が生息しています。
 外来種問題では比較的目に付きやすい生物たちが取り上げられますが、実は生物の体内に住む寄生虫にも外来種がいるのです。
 ブルーギル(提供:PhotoAC)
 外来寄生虫は主に宿主と共に侵入するケースが多いと考えられており、実際にウシガエル斜睾吸虫の侵入経路はサカマキガイの持続的な導入の可能性が高いとされています。
 一方、寄生虫は生物の体内に住むため、宿主の外見で区別することが困難であり、外来寄生虫が日本に侵入した経緯を把握することができないのが現状だそうです。
 利根川水系の<腹口吸虫>
 かつて、日本に生息していなかった腹口吸虫も、1999年には淀川水系に侵入し定着したことが知られています。
 この腹口吸虫は中国大陸などを原産とするカワヒバリガイが、シジミの種苗に紛れて放流されたことにより侵入したと考えられているようです。
 さらに、2019年には霞ヶ浦など利根川水系でも腹口吸虫の仲間(尾崎腹口吸虫)が侵入したことが知られています。
 正体は日本から侵入報告のない寄生虫
 2019年から寄生虫調査を行ってきた研究グループですが、2022年になってタモロコなどの淡水魚から見慣れない寄生虫が出てくることに気づきました。寄生部位である鰭やその基部には黄色の虫体が確認されています。
 タモロコ(提供:PhotoAC)
 この寄生虫(成虫)の形態を調べたところ、まだ日本から侵入報告のない中国大陸原産の腹口吸虫であることが明らかになったのです。
 加えて、この吸虫に有効な学名がなかったことからDollfustrema invadensとして新種記載されました。種小名のinvadensは本種が日本に侵入した(invaded)外来種であることに因み、和名は「ドルフス腹口吸虫」と命名しています。
 本種は尾崎腹口吸虫に続き、利根川水系における2例目の侵入例となりました。
 利根川水系における<ドルフス腹口吸虫>の生活史
 今回の研究ではDNAを用いた調査の結果、2021年のサンプルからドルフス腹口吸虫が出現していることが判明。さらに利根川水系におけるドルフス腹口吸虫の生活史も明らかになっています。
 まず、スポロシスト幼虫がカワヒバリガイに寄生し、スポロシスト幼虫はセルカリア幼虫と呼ばれる感染ステージを水中に放出します。
 放出されたセルカリア幼虫はヌマチチブやヨシノボリ、ブルーギルなどに経皮感染し、魚の組織でメタセルカリア幼虫に発達。この幼虫はしばらくすると成虫に成長しますが、感染した魚がチャネルキャットフィッシュに食べられても、腸内で成虫になることが分かりました。
 この成長した成虫は産卵し、水中へ放出された卵が再びカワヒバリガイに感染します。
 外来種が主要な宿主になっている
 利根川水系ではこのような生活史を送るドルフス腹口吸虫ですが、スポロシスト幼虫の時は外で特定外来生物るカワヒバリガイを宿主とし、同様に特定外来生物であるチャネルキャットフィッシュは本種の主要な宿主となっていると考えられています。
 チャネルキャットフィッシュ(提供:PhotoAC)
 つまり、ドルフス腹口吸虫の生活は特定外来生物の貝類、魚類によって支えられており、その中でヌマチチブやヨシノボリ類等の在来淡水魚への感染を引き起こしていることが判明しました。
 ドルフス腹口吸虫の病害性はまだ不明ですが、外来寄生虫は在来種への病害性が高い傾向になることら、在来魚への影響が懸念されています。
 まだ利根川水系にしか侵入していない
中国大陸と日本列島は海で隔てられていることから、ドルフス腹口吸虫は人為的に持ち込まれたと推測されいます。
 また、本種は2020年に個体群を拡大したと考えられていますが、この時期に大陸から利根川水系へカワヒバリガイが直接侵入した記録がないようです。一方で、この頃にカラドンコ等の淡水魚が大陸から直接持ち込まれた可能性があり、これが侵入要因の可能性と考えられています。
 現在、ドルフス腹口吸虫は利根川水系にしか侵入していません。しかし、宿主となるカワヒバリガイや魚類は各地に生息しています。
 魚の放流してはいけない理由はいくつかありますが、このような寄生虫を拡大させないためにも動植物の放流は絶対に行ってはいけません。
 (サカナト編集部)
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⚡37】─4・①─日産は「第二のシャープ」となり海外企業に買収される。~No.162 

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 2025年2月21日 MicrosoftStartニュース 現代ビジネス「日産はホンダとの統合拒否で「第二のシャープ」になる…海外企業に買収される「これからのシナリオ」
 近藤 大介 日産はホンダとの統合拒否で「第二のシャープ」になる…海外企業に買収される「これからのシナリオ」
 ゴーン氏はまるで「黒猫」だった
 中国を世界第2位の経済大国に押し上げた最大の功労者・鄧小平元中央軍事委主席は、こんな箴言を遺している。
 「白猫でも黒猫でもネズミを捕る猫はよい猫だ」
 話はズーンと飛んで、今月6日のホンダと日産の経営統合の「破談劇」。ホンダが株式時価総額で2割に過ぎない日産を子会社化しようとしたが、「日産のプライド」が許さなかったという話だ。
 私は日産のクルマを買ったこともないが、いまから15年ほど前に北京で駐在員をしていた時分、頻繁に訪中していたカルロス・ゴーン会長(当時)のスピーチを何度も聴いた。そしてこの方を間近で見るたびに「鄧小平の黒猫」を想起したものだ。
 非情で独裁的、おまけに公私混同も甚だしいゴーン会長は、その魁偉な容貌もあいまって、どう見ても「黒猫」の部類だ(失礼)。だが実に巧みにネズミを捕った(儲けた)。
 日産は「負け組の代名詞」
 日産の純利益は、2018年3月期決算の7469億円が頂点だ。同年11月にゴーン会長が羽田空港で「電撃逮捕」されてから急降下。いまや世界2大市場である中国とアメリカで「負け組の代名詞」だ。
 なぜ「ダメ日産」かと言えば、「決められない男」内田誠社長以下、52人もの頭でっかちの取締役たちが指揮を執り、顧客がさして魅力を感じないクルマを量産しているからだ。私には、会見に出てくる内田社長の相貌が、フジテレビの港浩一前社長と重なってしまう(こちらも失礼)。
 そもそもなぜ、ホンダと日産が慌てて「政略結婚」を目指したかと言えば、ホンハイ(鴻海精密工業)という台湾最大の企業(昨年の売上高は約32兆円)が日産を買収しようとしたからだ。日本の「最後の基幹産業の柱」が外資に買われてはならぬということで、経済産業省が「仲人」になって「見合い」させたのだ。
 日産は「第二のシャープ」か
 実は2016年にも類似例があった。経営危機に陥ったシャープをホンハイが買収しようとしたら、経産省が待ったをかけた。
 だが結局、ホンハイが3888億円をはたいて買収。送り込まれた戴正呉という名経営者が、見事にV字回復させた。その経緯は著書『シャープ再生への道』に詳しい。
 経産省は同じ台湾のTSMC(台湾積体電路製造)の工場を熊本に誘致した時は、4760億円もの補助金を積んで三顧の礼で迎えた。昨年末に本格始動したTSMCの熊本工場は私も視察したが、九州全体の経済を活性化させるインパクトだ。
 日台の連携は現在、防衛産業分野でも進んでいる。中国という「共通の敵」を前に、ドローンなどハイテク兵器での協業が始まっているのだ。
 私の見立てでは、日産も早晩、シャープと同様の運命を辿るだろう。すなわちどちらも頭に「ホン」が付くが、買収するのはホンハイの方だ。それでも「ホンチー」(紅企=中国共産党系企業)に買われるよりマシだ。
 「週刊現代」2025年2月22・3月1日合併号より
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 【もっと読む】日産やフジテレビの凋落を予言!10年前に予想した「10年後に大きくなる会社」の答え合わせをしてわかった「衝撃の結果」と「今後の10年間」
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 2月21日 MicrosoftStartニュース TBS NEWS「菅元総理らのグループ 日産救済のためテスラに投資呼び掛けを計画 英メディア報道
菅元総理らのグループ 日産救済のためテスラに投資呼び掛けを計画 英メディア報道
 © TBS NEWS DIG_Microsoft
 ホンダとの経営統合が破談した日産自動車について、菅義偉元総理らのグループがアメリカの電気自動車メーカー・テスラに投資を呼び掛けることを計画していると海外メディアが伝えました。
 これはイギリスの「フィナンシャル・タイムズ」が21日、関係者の話として伝えたもので、テスラに日産への投資を呼び掛ける計画は、テスラの社外取締役を務めた経歴もある水野弘道氏が主導し、菅元総理も支持しているといいます。
 日産はアメリカに複数の工場を抱えていることから、テスラが関心を示すと菅元総理らのグループは考えていると記事は伝えていて、テスラが将来的に日産の事業拡大につながる戦略的投資家になることを期待しているといいます。
 現在、衆院議員の菅元総理は横浜市の一部からなる神奈川2区選出で、日産が本社を構えています。
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💫4}─6─太平洋の深海で見つかった“ベリリウム10”の異常。1,000万年前に何があった。~No.38No.39No.40 

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 2025年2月25日 MicrosoftStartニュース ギズモード・ジャパン「太平洋の深海で見つかった“異常”。1,000万年前、何があった?
 ひとつの発見が壮大なスケールの異なる可能性を提示する。だから科学はやめらんない。
 科学者たちがまた興味深い発見をしたようです。太平洋の海底から採取されたサンプルを調べたところ、異常なレベルのベリリウム10(宇宙線が大気と反応して生成される放射性同位体)を検出。これはただの偶然じゃなく、地球の歴史に刻まれた大きな出来事を示している可能性があるそうですよ!
 深海で発見された異常なレベルのベリリウム10
 ドイツの独立研究機関Helmholtz-Zentrum Dresden-Rossendorf(HZDR)、ドレスデン工科大学、オーストラリア国立大学からなる研究チームが太平洋の海底から採取したサンプルを分析したところ、予想の2倍近い濃度のベリリウム10が検出されました。
 ベリリウム10は、宇宙線が地球の大気と衝突すると生成される希少な放射性同位体。半減期が約140万年と長いため、通常は地質学的な年代測定に活用されます。しかし、今回の異常な蓄積は、過去に地球規模の大きな変化があったことを示しているのかもしれないのだとか。
 HZDRの物理学者であり、本研究を主導したDominik Koll氏は
 「約1,000万年前の層で、予想していた量のほぼ2倍のベリリウム10を発見しました。私たちは、これまで知られていなかった異常を目の当たりにしたのです」
 と述べています。
 説明がつかないレベルのベリリウム10はいったいどこからやってきたのでしょうか? これにはふたつの説が浮上しています。ひとつは、古代の海流の大きな変化によって特定の海域にベリリウム10がたまったというもの。もうひとつは、宇宙で起こった超新星爆発が地球に影響を与え、宇宙線が大量に降り注いだ可能性です。どちらにせよ、地球の歴史をより深く理解する新たな手がかりになりそうですね。
 可能性その1: 古代の海流変化が影響?
 この異常なベリリウム10の蓄積、実は地球の海流が大きく変化した結果かもしれないそうです。海流は単なる水の流れではなく、地球全体に物質を運搬する重要な役割を持っています。
 そのため、大規模な気候変動や地殻変動が起こると、特定のエリアに特定の同位体がたまる可能性があるんです。
 Koll氏は次のように説明します。
 「海流の変化によって、一時的にベリリウム10の分布が地球全体で不均一になった可能性があります。その結果、特に太平洋でベリリウム10の濃度が高まったのかもしれません」
 もしこの説が正しければ、過去の気候変動が海洋化学に与えた影響を解明する重要なヒントになりそうです。
 可能性その2: 超新星爆発が地球に影響?
 もうひとつの説は、宇宙で起きた超新星爆発が原因かもしれないというもの。約1000万年前に近くで超新星が爆発し、その影響で地球に降り注ぐ宇宙線の量が大幅に増加した可能性があります。
 宇宙線(高エネルギー粒子)は、深宇宙から地球に飛来し、大気中の窒素や酸素原子と反応してベリリウム10を作り出すといいます。もしその時期に宇宙線の量が一気に増えていたとしたら、それが今回の異常な蓄積につながったと考えられるそう。
 この説が証明されれば、超新星爆発が地球の環境にどれほど影響を与えてきたのかを測定できるようになるかもしれません。つまり、地球と宇宙のつながりが、これまで以上に明らかになる可能性があります。
 科学の進歩がもたらす新たな可能性
 今回の発見は、古気候学、天体物理学、地球科学の分野にも影響を与えそうです。研究チームはさらに調査を進めるため、太平洋以外の海域からも追加のサンプルを採取し、比較分析を行なう予定です。
 Koll氏は次のように述べています。
 「このベリリウムの異常がどのようにして発生したのかを特定するには、新たな測定データが不可欠です。そのために今後さらに多くのサンプルを分析する予定であり、他の研究チームにも同様の分析を行なってもらえることを期待しています」
 もし、世界中の地質記録で同じベリリウム10の急増が確認されれば、それは単なる局所的な変化ではなく、地球全体に影響を及ぼす出来事が起こった証拠となります。そうなると、今回の発見が地球の年代表記の新たな基準になるかもしれません。今後のさらなる研究がどんな新しい事実を明らかにしてくれるのか、楽しみに待ちましょう。
 Source: Daily Galaxy
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