スズキがジャパンモビリティショー2023年出品概要で、「e-choinori(イーチョイノリ)」を参考出品車として発表した。チョイノリと言えば2003年に価格破壊モデルとして話題になったが、電動版で再現するだろうか。
e-チョイノリのバッテリーとモーターは自転車用
チョイノリは、2003年に税抜5万9800円という自転車並みの価格で発売され、話題になった原付スクーター。デフレ時代を象徴するモデルとして知られるが、国産でこれを実現したことがポイント。「近距離移動」に的を絞って徹底的に装備を合理化したコンセプトが特徴となる。
部品点数は30%、ボルトやナット類は50%削減され、当時の一般的なスクーターより40%の軽量化で車重は39kg(乾燥)を実現。リアサスペンションまで省略されていたが、厚みのあるシートと低い速度域で乗り心地は悪くないレベルにバランスされていた。
これが20年ぶりに電動e-チョイノリになって復活。電動版も「近距離移動」に特化したコンセプトを掲げており、動力を電動に変更することで部品点数をより削減できるはず。さらに軽さを追求している自転車用モーターとバッテリーの採用で軽量化も期待できそうだ。
コストに関しては、年間80万台規模となる電動アシスト自転車用のパーツを使うことで調達費用を抑える狙いだろう。その分航続距離や性能が制限されると思われるが、「自宅から数kmの身近な移動の足(スズキ談)」として、割り切ったちょい乗り用途に活用されるはず。
まだ参考出品だが、発売の際は電動スクーターの価格帯を覆すことに期待!
スズキとパナソニックサイクルテックが共同開発に合意
日本の原付1種は、2025年10月末までに令和2年排ガス規制に対応する必要があり、「2025年問題」として取り組まれている。50ccエンジンのままでは規制対応が難しいことから、制度面とハード面の両方から解決に向けて様々な団体、企業、省庁が動いている。
制度面では、125ccまでのエンジンで5.4PS以下を原付1種に区分する案が警察庁を中心に検討されている。ハード面では、今回のe-チョイノリのように排気ガスを出さない電動モデルの開発が各メーカーで進められており、2023年にはホンダがEM1e:を発売したばかりだ。
9月15日にスズキとパナソニックサイクルテックは、「電動アシスト自転車の駆動ユニットを活用した新しいモビリティの共同開発に合意」しており、スズキは自転車の延長線上として新しい原付開発に取り組もうとしている。その一つがe-チョイノリなのだ。
なお、スズキは1999年にパナソニックサイクルテックとOEM供給契約を締結しており、現在は電動アシスト自転車「ラブ SNA24/26」のOEM供給車を販売している。この関係をさらに発展させることで、新しいコンセプトの原付モデルが登場することに期待だ。
e-チョイノリ主要諸元
・全長×全幅×全高:1500×600×1015mm
・シート高:680mm
・タイヤ:F=80/90-10、R=80/90-10
・ジャパンモビリティショー参考出品車
2003年型チョイノリ主要諸元(参考)
・全長×全幅×全高:1500×620×975mm
・ホイールベース:1055mm
・シート高:680mm
・車重:39kg(乾燥)
・エンジン:空冷4ストローク単気筒OHV2バルブ 49cc
・最高出力:2PS/5500rpm
・最大トルク:0.3kg-m/3500rpm
・燃料タンク容量:3L
・変速機:Vベルト無段変速
・ブレーキ:F=ドラム、R=ドラム
・タイヤ:F=80/90-10、R=80/90-10
・当時価格:5万9800円(税抜)※e-チョイノリの価格ではありません
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