ドゥカティはとても小さなメーカー。本社を訪れてその事実を思い出す

僕がドゥカティ本社を訪れるのは6年ぶり、そしてWDW(ワールド・ドゥカティ・ウィーク)は8年ぶり。それだけに僕の気分はこの旅が決まって以来、ずっと高揚していた。そしてイタリアに飛ぶ数日前に守秘義務の契約書が送られてきて、さらに気分が昂った。なぜなら、今回のWDWの前日にNEWパニガーレV4Sの発表があることを知ったからだ。ただただ楽しみでしかなかった。

WDWは、2年に1度ドゥカティがリミニの街にあるミザノ・ワールド・サーキット マルコ・シモンチェリで開催する、世界中からドゥカティファンが集るイベントだ。今回はせっかくなので、まずはボローニャの本社を訪問。工場を見学し、ムゼオ(ミュージアム)を楽しむ。ちなみにボローニャとリミニは、車で1時間ほどの距離だ。

工場見学(撮影は禁止)の説明を聞いていると、改めて気づきがあった。ドゥカティの現社員は約1200人、そのうち120人がコルセ(レース部門)だという。国産メーカーと比較すると、驚くほど会社の規模は小さい。そんな少数精鋭がつくるバイクは世界のレースに挑み、勝ち続けているのである。レーサーも市販車も新しいものを作り出す力を持ち、多くのモデルで貪欲にパフォーマンスを追求。そしてレースにも挑み、そのフィードバックや世界観を上手に使ってきちんとブランディングを構築している。改めて面白いメーカーだなぁ、と思う。ムゼオには4〜5回ほど来ているが、何度来ても何時間でもいたくなる至福の空間を今回も堪能した。

この日の夕方からは、ボローニャの街を散策。イタリアも日本と同じ真夏だが、夕方以降は湿気がなくとても涼しい。翌日はミザノサーキットのあるリミニに向かう。

デザインとテクノロジーを最高のエンジニアリングで融合させたNEWパニガーレV4S、アンベール!

車でボローニャからリミニへ向かう道中、何台ものドゥカティに抜かれた。さまざまなナンバーをつけたドゥカティを見ると、欧州各国からWDWに向けてファンが集まっていることがよくわかる。リミニのホテルにチェックインしたら、プレスカンファレンス参加のためミザノサーキットへ。すでにリミニの街中はドゥカティだらけで、翌日から始まる祭り(WDW)の興奮がそこかしこに感じられる。

サーキットのエントランスは加藤大治郎通りになっていて、やっぱり久しぶりにこの標識を見ると色々と思い出す。サーキットのパッドックには「Wonder Engineered」と書かれたボードがあり、その奥のドーム状の部屋に進むと、真っ赤な空間が広がっていた。

予定時間を15分ほど過ぎたところで、CEOのクラウディオ・ドメニカーリさんがプレゼンを開始。NEWパニガーレV4Sがアンベールされた。噂の両持ちスイングアームに釘付けになる。デザインとテクノロジーを今ある最高のエンジニアリングで融合させたというそのコンセプトは明快。次々と発表される新しいアイデアと技術を見ると、NEWパニガーレV4Sが既存のスーパースポーツの常識を打ち破ることを予感させてくれる。

発表会の後はメインタワーの屋上でパニガーレーV4Sを眺めながら、ワインやシャンパンを嗜む。20:30になると、みんなが一斉にSNSに先ほどの発表会の模様をアップ。食事はメインストレートで21時から予定だが、始まったのは22時近くなってから。まあ、ヨーロッパではよくあることだ。

メディアやインフルエンサー、各国のインポーターが集まった食事会には、ドメニカーリさんを筆頭にドゥカティの重鎮が揃って参加。しかし、ここからが凄くて、しばらくすると4台のパニガーレV4Sが突然走行しながら出現。ライダーはタキシードを着た、バニャイヤ、バスティアニーニ、バウティスタ、ブレガというファクトリーメンバーで会場は騒然。同時に8台のパニガーレV4Sのレプリカカラーも発表された。土曜日にこのレプリカカラーのパニガーレV4Sでレースを行うのである。

最高の時間を過ごしつつも、デザートが出てきたのは0時近く。時差ボケもあり眠さはマックス。すでにイタリア&ドゥカティを十分に満喫した気持ちになっていたが、明日からがWDW本番である……。

事前に色々と調べて、たくさんのコンテンツを楽しみたい!

WDWの初日となる金曜日。朝からものすごい数のドゥカティがメインゲートから流れ込んでくる。パドックは、終日ドゥカティが川の水のように流れ、いたるところにドゥカティが浸透していく。秩序はないが暗黙のルールはある感じで、人とバイクが絶妙に共存している感じ。歴代ドゥカティが集まるが、やはりムルティストラーダが目立つ。

朝のプレスカンファレンスでは、ファクトリーライダーが集結。明日開催される「レース・オブ・チャンピオンズ」の意気込みやモトクロス選手権の模様を語った。その後、僕はディアベルV4のテストライドへ。これは事前に申し込んでおいたもので、ディアベルV4をお借りして、リミニ郊外をツーリングするというもの。のんびりと夏のイタリアの景色を1時間ほど楽しんだ。

みんな大好き!? ランボルギーニカラーの自由すぎるカスタムを発見

スクランブラーパーティでもおもてなし上手なイタリアを堪能

その後は会場内を散策。まずはグルリと1周してどこにどんなコンテンツがあるのか確認。とはいえこれだけでも2時間ほどかかる。背中にJAPANと書いたTシャツを着ていたため、「日本から来たのか!」と声をかけられることも多々。

食事をしたりしながら、この日はとにかく散策。自由すぎるカスタムを見つけたり、916/996/998エリアで昔に思いを馳せたりしていると、あっという間に夕方だ。

夜は、リミニの海岸でスクランブラーパーティが催された。驚いたのはドメニカーリ社長、ミリシア副社長を筆頭にドゥカティジャパンのマッツ・リンドストレーム社長も「KING OF THE BARBECUE」のTシャツにエプロンをつけてゲストに料理を振る舞っていることだ。みんなで最高のもてなしを!そして一緒に楽しもう!という雰囲気で、こんなパッションが面白いバイクを生み出すんだろうなぁと感心した。

WDWが開催されたこの週末、リミニの街はドゥカティが縦横無尽に走り回っている。夜中も度々ドゥカティサウンドが響くが、もはやそれが心地よく感じるほど僕はドゥカティに陶酔していた。朝もドゥカティサウンドで目が覚める。

翌日も再び朝からミザノに繰り出し、DREアドヴェンチャーに参加。デザートXで専用コースを楽しむ。こちらはブリーフィングと走行を合わせて1時間ほどのコンテンツ。とにかく暑い…。この日もパドックを散策していると、あっという間に1日は過ぎていく。レース・オブ・チャンピオンズでは皆の本気走りに会場内は騒然。夕方からはDJパーティが始まり、盛り上がりはさらに加熱。23時から花火らしいが、連日の疲労もあり、この日は晩ご飯を早めに食べて退散した。

翌朝、僕は1人でリミニからボローニャまでバスで移動。参加者の皆も帰るのだろう。多くのドゥカティがバスを抜いていく。2年後、またこの地に集うであろうライダーたちの背中を見つめながら、ドゥカティと過ごした2024年夏の1週間を想った。

次回は2年後の2026年!この回はドゥカティ創業100周年祭!

今回は、86カ国以上から9万4000人が参加。第7世代のスーパーバイクであるNEWパニガーレV4Sの発表、レース・オブ・チャンピオンズなど多くのコンテンツが用意されたWDWに参加し、ドゥカティの上手さと気遣いを体感。さらにドゥカティが好きになった1週間だった。言葉は通じなくても、世界中のドゥカティ好きと同じ気持ちや場所を共有できる喜びはかけがえのない時間である。

「100周年は行くぞ!」。世界中のドゥカティファンがそんな気持ちになっていると思う。ドゥカティのことだからインパクトのあるイベントを計画しているはずだ。ただ、リミニの街にそんなキャパシティ(宿とか…)はあるのだろうかと少し心配になる。気になる方は今からWDW貯金をして、しっかりした計画を立てるといいだろう。2026年は、ぜひドゥカテファンの皆でイタリアへ行き、このパッションを感じていただきたい!

【YouTube】 World Ducati Week 2024 | Highlights

2026年のドゥカティ100周年祭は、ぜひ皆でイタリアへ!【ドゥカティ最大の祭典WDW 2024に参加】ギャラリーへ (36枚)

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