オリックス生命保険は9月26日、コンタクトセンターシステムの開発で大規模アジャイルフレームワーク「Scaled Agile Framework(SAFe)の活用領域でアジャイルプランニングのSaaSプラットフォーム「IBM Targetprocess」を採用したと発表した。これにより、オリックス生命はアジャイル開発の体制を強化し、変化するビジネス価値に対応し続けるシステムを実現するための環境を整備した。

システム移行の変遷

オリックス生命では、コンタクトセンターは重要な顧客接点となっており、昨年にそれまで利用してきたオンプレミス型コンタクトセンターシステムのサービス終了に伴い、SaaS型の新システムへ移行した。

移行にあたり、短期間で成果を積み重ねられるアジャイル開発手法を採用し、ビジネスアジリティーの実現に向けてSAFeを導入した。また、SAFeに準拠したアジャイル開発管理ツールを内製。

さらに、コンタクトセンターシステムの継続的な機能改善のため、SAFeに基づくエンタープライズレベルでのアジャイル開発を強化するため、2024年11月から1カ月間の試験導入を経て、2025年1月からアジャイル・プランニングのSaaSプラットフォームであるIBM Targetprocessを正式導入し、本格的な運用を進めている。導入・運用で日本IBMは、利用状況に合わせたIBM Targetprocessの環境設定を支援している。

IBM Targetprocessは、企業全体の戦略策定から、ビジネスの成果に合わせた開発リソースの計画や調整、プロジェクト・プロダクト開発の進捗管理などを支援するアジャイルプランニングのためのSaaSソリューション。金融業界やIT業界をはじめ、幅広い業界で採用されており、SAFeに準拠したカスタマイズが可能なレポートでタスク間の依存関係や予定を可視化・共有することができ、組織管理の強化に役立つという。

採用の評価ポイント

オリックス生命による、IBM Targetprocess採用の主な評価ポイントとして「ART Planning Board の優位性」「リーンポートフォリオ管理への対応力」「OKR(Objectives and Key Results)との連携機能」の3点を挙げている。

ART Planning Board の優位性では、複数のアジャイルチームの作業と依存関係を、2週間単位のイテレーションで時系列に可視化するプランニングボードが、視認性・操作性に優れている点を評価。

  • ART Planning Boardイメージ

    ART Planning Boardイメージ

また、リーンポートフォリオ管理への対応力は企業におけるバリュー・ストリームごとのエピック(大規模なソリューション機能や目標)、フィーチャー(ニーズを満たすソリューションの機能)のロードマップの可視化と共有が行えるほか、リーン・ポートフォリオ管理を推進するうえで、ポートフォリオの投資を短期、中期、長期の視点および時間軸で整理し、戦略的な目標に沿って投資の時間軸に基づく予算ガードレールを可視化し、組織内で共有できるという。

  • ロードマップのイメージ

    ロードマップのイメージ

OKRとの連携機能では、将来的なOKRの導入を見据え、日々の業務と組織の最優先課題をつなぎ、目標達成に対する予算・リソースの貢献度を可視化できるとしている。

  • OKRのイメージ

    OKRのイメージ

現在、オリックス生命では、IBM Targetprocessを通じて、ポートフォリオ全体のロードマップを起点に依存関係や進捗を共有している。各チームやメンバー間でインタラクティブに調整することで、組織のアジリティーを高め、現場のメンバーが計画変更にも納得感を持って迅速に対応できる体制を実現しているという。