水島臨海鉄道は9月3日、水島地域と倉敷市の中心部を結ぶ鉄道の運行情報をリアルタイムに確認できる両備システムズのロケーション管理システム「Bus-Vision(バスビジョン)」を、利便性(日本語・英語)と緊急時を含めた安全性の向上を目的に導入したと発表した。

  • 左からアプリケーション利用イメージ、管理画面による運行状況確認の様子

    左からアプリケーション利用イメージ、管理画面による運行状況確認の様子

水島臨海鉄道が抱える課題

水島臨海鉄道は、美観地区で知られる倉敷市中心街と水島臨海工業地帯を結ぶ、旅客と貨物の輸送を担い、1943年に旧三菱重工水島航空機製作所により開業し、1952に倉敷市交通局が運営する公営鉄道となり、1970年に国鉄(現JR貨物)、岡山県、倉敷市などの出資で第3セクター形式の企業として設立された。

倉敷市の中心部と水島地域を約20分間で結ぶ公共交通機関として旅客営業を行うほか、東水島駅を拠点とした鉄道コンテナ輸送を中心に貨物営業を展開している。

  • 水島臨海鉄道 倉敷市駅

    水島臨海鉄道 倉敷市駅

水島臨海鉄道水島本線は、沿線住民の日常生活を支える重要な公共交通機関ではあるものの、旅客列車や貨物列車、臨時列車などの接近を知らせる表示や放送設備が整備されておらず、安全面での対応が急務となっていた。

また、沿線には倉敷美観地区などの観光地があり、さらに国際貿易港である水島港周辺にはグローバル化が進む大手企業も立地しており、訪日外国人への英語対応の必要性も高まっていた。

「Bus-Vision」の概要と導入の決め手

Bus-Visionは、列車の運行状況をスマートフォンやパソコンを使い、現在位置や到着予定時刻を簡単に把握できるサービスを提供し、GPS位置と運行計画を紐づけることにより、システム運用における運行管理者や乗務員の負担を軽減。

水島臨海鉄道では、デジタルサイネージで列車(貨物・旅客)の接近情報や到着時刻、遅延状況などを表示できること、訪日外国人への英語対応が可能なこと、放送設備の整備で列車接近放送などを行い利便性と安全性の向上が期待できることを評価した。

また、同サービスは運転手が位置情報送信装置を持ち込む運用方式を採用し、車両への工事が不要なため臨時列車などの不定期運用にも柔軟に対応でき、コスト面でも優れている点が導入の決め手となった。

導入の効果

導入後は列車の接近状況を把握できるようになり、乗客が列車をのぞき込むことがなくなり、安全性の向上につながっているほか、現在運行している列車の状況をアカウントを持つパソコンから確認できるようになったため、運行管理が容易になったという。

  • 左から英語対応されたデジタルサイネージ、倉敷市駅設置の様子

    左から英語対応されたデジタルサイネージ、倉敷市駅設置の様子

さらに、これまで遅延や運休などの緊急情報を発信する手段がなかったが、今後は駅のホームだけでなく、Web上でも情報を確認できるようになるため利用者に対して、便利で安全なサービスの提供を可能としている。

今後、鉄道の運用や管理などに寄り添ったシステム開発を行うほか、システムから得られる運行実績データの分析・活用などでサービス向上を図る考えだ。