HPの法人向けノートPC「HP EliteBook」シリーズは、最新テクノロジーによる高性能と、先進のセキュリティ機能や管理機能を、優れたユーザビリティで提供するハイエンドシリーズとして位置付けられている。その最新モデルとなる「HP EliteBook X G1a 14 AI」は、AMDの最新プロセッサ「Ryzen AI PRO 300」シリーズの採用により、パフォーマンス、セキュリティ、AI対応など、今まさに企業がPCに求めている要素を高いレベルで満たすことで、広範囲のビジネスワークを快適にこなせる製品に仕上がっている。そこで、その魅力を複数回に分けてじっくり見ていきたいと思う。

初回となる今回は、HP EliteBook X G1a 14 AIの基本性能をチェックしていこう。

  • HP EliteBook X G1a 14 AI

    HP EliteBook X G1a 14 AI

Ryzen AI PRO 300シリーズを採用し、基本スペックも充実

HP EliteBook X G1a 14 AIは、冒頭でも紹介したように、プロセッサにAMDの「Ryzen AI PRO 300」シリーズを採用。Ryzen AI PRO 300は、一般向けの「Ryzen AI 300」シリーズをベースとしつつ、より高度なハードウェアセキュリティ機能やリモート管理機能などの企業向けの機能を追加したプロセッサとなっている。

ハードウェアセキュリティ機能では、OSやハードウェア、BIOSまでシステム全体を網羅するマルチレイヤーでのセキュリティ機能を提供。Microsoftが提唱する「Secured-Core PC」にも準拠している。

リモート管理機能は、業界標準の管理機能「DASH」をサポートし、DASH対応管理プラットフォームを利用した遠隔管理が可能となっている。

こういった、優れたセキュリティ性や管理機能は、企業が導入するPCにとって欠かせない要素であり、Ryzen AI PRO 300シリーズ搭載のHP EliteBook X G1a 14 AIなら、その点に全く不安がない。

もちろん、セキュリティ性や管理機能だけでなく、純粋なパフォーマンスも申し分ないものとなっている。

そして、今回試用したHP EliteBook X G1a 14 AIの最上位モデルでは、Ryzen AI PRO 300シリーズの中で最上位となる「Ryzen AI 9 HX PRO 375」を搭載する。

Ryzen AI 9 HX PRO 375は、最大5.1GHzで動作するCPUコアを12コア内蔵し、最大24スレッドのマルチスレッド処理に対応するなど、非常に優れた処理能力を備えている。

また、AI処理に特化したNPUも内蔵。NPUの処理能力は最大55TOPSで、Microsoftが定義するCopilot+ PCの要件を満たしており、Copilot+ PCで利用できる様々なAI機能も活用可能だ。

実際のパフォーマンスについては、のちほどベンチマークテストでじっくり検証する。

  • タスクマネージャーのCPU情報画面

    今回試用したHP EliteBook X G1a 14 AIの最上位モデルは、Ryzen AI PRO 300シリーズの中で最上位となる、12コア24スレッド処理対応の「Ryzen AI 9 HX PRO 375」を搭載しており、優れた処理能力を発揮する

この他の基本スペックも、かなり充実している。試用機の仕様は下記にまとめているが、メモリは標準で64GBと余裕の容量を搭載。内蔵ストレージは容量512GBのPCIe SSDと、必要十分な容量の高速SSDを搭載。ビジネスPCでは、ローカルに必要以上のデータを保存できないよう、あまり大容量の内蔵ストレージを搭載しないことも多いが、作業内容によっては大容量データを利用しなければならない場面もあり、これだけの容量ならそういった場合でも安心だ。

無線機能は、Wi-Fi 7準拠の無線LANとBluetooth 5.4を標準搭載。Wi-Fi 7は普及が始まった段階だが、従来の無線LANより速度が高速化しているだけでなく、接続機器数が多く混雑している状態でも安定して高速なデータ通信が行えることから、今後ビジネスシーンでの対応が加速すると考えられている。そういった意味でも、Wi-Fi 7搭載はありがたい。

拡張ポートも充実。Thunderbolt 4を左右側面に1ポートずつ計2ポート用意するだけでなく、USB 3.2 Gen2 Type-Cも1ポート用意し、USB Type-Cは計3ポート備える。しかも、全てのUSB Type-CがUSB PDおよびDisplayPort ALT Modeに対応。この他にもHDMI 2.1やUSB 3.2 Gen2 Type-Aも備えており、拡張性や利便性にも全く不安がない。

生体認証機能は、ディスプレイ上部に顔認証カメラ、キーボード右上に電源ボタン一体型の指紋認証センサーを搭載。状況に応じて顔認証と指紋認証を使い分けられるため、セキュリティ性と利便性を高いレベルで両立できる。また、顔認証カメラは5MPの高精細Webカメラとしても利用でき、カメラを物理的に覆うプライバシーシャッターも搭載している点も安心だ。

本体サイズは312.2×214.7×18.3mmと、14型ビジネスモバイルPCとして標準的な大きさだ。外に持ち出す場合でも、カバンに余裕で収納して楽々持ち出せる。

重量は約1.497kg。14型モバイルPCでは1kg前後の軽量モデルが増えていることを考えると少々重い印象もある。

表1:HP EliteBook X G1a 14 AI(試用機)の主なスペック

プロセッサー Ryzen AI 9HX PRO 375(12コア24スレッド/ブースト時5.1GHz)
メモリ LPDDR5x 64GB
ストレージ 512GB PCIe SSD
OS Windows 11 Home 64bit
ディスプレイ 14型有機EL、2,880×1,800ドット
無線機能 Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)、Bluetooth 5.4
生体認証 顔認証、指紋認証
インタフェース Thunderbolt 4×2、USB 3.2 Gen2 Type-C×1、USB 3.2 Gen2 Type-A×1、HDMI 2.1、3.5mmオーディオジャック
サイズ/重量 312.2×214.7×18.3mm/約1.497kg
  • 正面(オープン時)

    ディスプレイを開いて本体を正面から見た様子

  • 天板

    天板はHPロゴが目をひくが、全体的にはシンプルでスタイリッシュな印象だ

  • 本体正面

    本体正面

  • 左側面

    左側面

  • 背面

    背面

  • 右側面

    右側面

  • 底面

    底面

  • 左側面のインタフェース部

    左側面には、HDMI 2.1、USB 3.2 Gen2 Type-C、Thunderbolt 4、3.5mmオーディオジャックを配置

  • 右側面のインタフェース部

    右側面には、Thunderbolt 4、USB 3.2 Gen2 Type-A×2を配置。左右にThunderbolt 4が用意される点は、拡張性という点でもありがたい

  • ディスプレイ上部のカメラ

    ディスプレイ上部にはWindows Hello対応の顔認証カメラを搭載。5MPの高精細Webカメラとしても利用できる

  • プライバシーシャッターを閉じた状態

    顔認証カメラにはプライバシーシャッターを搭載している点も安心だ

  • キーボード右上の電源ボタン一体型指紋認証センサー

    キーボード右上に電源ボタン一体型指紋認証センサーを搭載。顔認証と使い分けることで、セキュリティ性と利便性を高いレベルで両立できる