うちの子流~発達障害と生きる

発達障害を持つ子供たちとの日々をつづります。

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「うちの子は発達障害じゃなくてよかったです」

しばらく前にこのような意味のコメントをいただきました。

正確には「私の子どもたちは、みな、健常で本当に良かったです。 」とだけ書かれていました。

最初は(はぁ?けんか売ってんの?)って一日くらい爆発してツイッターに愚痴をぶちまけていましたが、ちょっとまてよ?と考えるようになりました。

 

コメントの背景にある不安

発達障害児の子育てについて書いている私のブログにこのようなコメントを書き込んだ匿名のコメント主さんについて、本当の気持ちを知ることはできません。

でも同じような気持ちで読んでいる方は多いのではと思いました。

私のブログのアクセスはほとんどが検索からです。コメントがつけられた記事もSNSで共有した最新のものではなく、しばらく前に書いた記事でした。ということはたぶんわざわざ検索して発達障害のブログにたどり着いているのです。

おそらく理由はひとつ。お子さんの発達について不安を抱えていらっしゃるのではと思います。

検診や幼稚園、保育園、学校などからお子さんの発達について気になる点があると指摘された、子育てに困っている、もしくは周りの子と比べて違いに不安を感じている。

(もしかしてうちの子は発達障害なの?)という気持ちとは裏腹に、そうではないという「否定するための理由」を探しているのだろうと思います。不安でしかたがないから安心できる材料を探している。

そりゃそうですよね。わが子に障害があることを喜ぶ親はいません。

発達障害の傾向がある、と専門家からはっきり言われた後だとしても、それが間違いであって欲しいと願うのは、わが子を思う親として当然の気持ちだと思います。

それをわざわざ発達障害と確定している子供の保護者である私に対してコメントとして書き込むのはどうかとは思いますが、それほど他者に対して考えるほどの余裕がなかった可能性も考えられます。

※コメントは承認制にさせていただいているので該当するコメントは承認しておりません。その記事を単独で読まれる方にひとつの意見としてメリットがあるとは思えませんでした。このブログは頂いたコメントもその後に読まれる方へのコンテンツのひとつとして考えております。たいていは承認しておりますが内容とあまりに乖離しているもの、読む方の不利益に繋がるかもと私が判断したものなどは承認いたしておりません。何卒ご了承ください。

 

「この子とは違う=うちの子は大丈夫」ではない現実

あなたと隣に住む人があらゆることに対して違うように、発達障害児も千差万別です。発達障害は発達凸凹といわれますが、個人の中での能力の差が大きいことが特徴のひとつであって、どこに現れるかは人によって全く違います。もちろん普通と呼ばれる人の中にも得意や不得意があります。その差が大きいということはもっとタイプに多様性があるということです。

うちには二人の発達障害児がいますが、タイプは正反対。それでも多くの発達障害児の中のたった2つのパターンにすぎません。私の子供たちと特徴や行動が違うといってもそれがすなわち発達障害児ではないという証明にはならないのです。

もしも、その不安が本当かどうかを確かめたいと思われるのであれば、専門医にかかるしか方法はありません。発達障害があるかどうか診断ができるのは医師だけなのです。

不安はあるけども専門医にかかって診断を受けるのが怖い。障害といわれたらこの子の人生はどうなってしまうの?ほら、こんなことはできないけども、あれもできるこれもできているじゃない。大丈夫。きっとそのうち・・・。

お子さんの育ちに不安を覚えたことがある方ならこんな気持ちになった経験はあるのではないでしょうか。ごく自然な感情だと思います。

もしもその不安から抜け出すことができなかったとしても、今目の前のお子さんが困っていること、育てる保護者の方が困っていることに対して、できることがあります。

全ての困難に対応することは難しいけども、障害であるか否かに関わらず日々の中で対応できることはたくさんあるのです。

発達障害児に対する子育てはその大きなヒントとなるはずです。

 

発達障害児かそうでないかの境目

たとえばADHDによく見られる特性として、片付けられない、落ち着きがない、忘れ物が多い、集中できない。自閉症によく見られる特性として、特定のものにこだわる、同じ行動を繰り返す、初めての出来事や場所に不安がある、気持ちを上手く伝えられない、などがあります。

もちろんこれらが全てではありませんが、こういうことってほとんどの小さなお子さんにどれか当てはまることですよね?

自閉症はスペクトラム(連続体)と呼ばれ、その他ADHDなどの特性もおそらく連続体になっていると思います。その特徴の濃淡により全ての人が繋がっていると考えられています。だから多くの子供が似たような特徴の一部を持っているのは不思議なことではありません。そして成長の過程でそれらを克服していくことも多いはずです。

発達障害児も発達しない障害ではないので、もちろん成長によりできることは増えていきます。できないことも工夫で補い適応していく場合も多くあります。

ではどこに発達障害かどうかの境目があるのか?

正式な診断ができるのは専門の医師だけですが、要はその特性の濃さにより、日常生活や社会生活を送る上において明確な困難があるかどうか、子供の場合は現状も含めこれから先に困難をきたす可能性があるかどうかによって診断がついたりグレーゾーンであると言われたりするようです。

診断は発達検査などと一緒に、生育歴を含めお子さんの様子を専門医が見て判断されます。

 

発達障害と診断されることによる不利益はなにか

差別を受けるのではないか、わが子の人生はこれからどうなってしまうのか。診断を受けるには大きな不安があると思います。

「診断をうけること」に対して起きる不利益はほとんどありません。

だって黙っていれば周囲に知れることはありませんから。診断によって支援を受けるかどうかはその後決めればよい話です。診断を受けたからといってなにもしなければ目の前のお子さんはなにも変わりません。知られることがなければ差別を受けることもありません。

我が家の場合は息子を支援学級に入れていることもあり周囲は言わなくてもなんらの障害をもつことは知られていると思いますが、恵まれた環境もあり障害への偏見による差別で子供たちが傷つけられたことは今のところありません。

周りの子供たちとうまくコミュニケーションがとれないなどということはありますが、これは診断がついたかどうかは関係なく元々うちの子が生まれ持っている特性です。診断を受け療育などトレーニングを受けていなければ、適切な環境がなければ今よりは厳しい状態であったと思われます。

娘はADHDとアスペルガー症候群と診断がついていますが、通常学級で特に大きな問題もなく学校生活を送っています。周りの子供たちにも娘に障害があることはおそらく知られていません。通常学級に入れたか支援学級に入れたかの違いは、子供の特性やスキルによって合う環境を選んだだけのことです。

これは診断がついたことによって療育や医療措置を受け、学校や園とも連携をし適切な支援を受けてきたおかげだと思っています。

ただ一点だけ、私の知る限りでは、診断を受けることによる不利益があります。

発達障害の診断があれば一般の生命保険には入れません。損保会社による傷害保険、がん保険、学資保険、個人年金保険などには入れます。

しかしぜんち共済など発達障害でも入れる専用の生命保険はあるので特に問題はないと思います。

障がい者保険-知的障がい・発達障がい・ダウン症・自閉症の方に安心の4大保障。ぜんち共済株式会社

 

 逆に傾向があるにも関わらず診断を受けないことの不利益はなにか

もし、お子さんに似たような特性があっても、日常生活や社会生活に困っていなければ診断は必要ありません。将来自立できるスキルを身につけられるのであれば不利益はなにもないと思います。ただ小さいお子さんではそれがわかりにくいですよね。先々に困難が出てくるかもしれない。

もしもお子さんが困り続けているとしたら、サポートを受けないでいることは本来持つお子さんの力が発揮できないなどの弊害が出る可能性があります。

発達障害は早期発見・早期療育と言われています。できるだけ小さいときに発見し、療育などでトレーニングを受けたほうがその後の伸びが大きく違うといわれているからです。

小さいうちは確定的な診断が出ない場合も多々ありますが、支援環境がある地域では、疑いがある段階から療育を受けることができます。もし、発達障害でなかったとしても療育は小さなお子さんの育ちにとって大きくプラスになる可能性が高いものです。受けて損はないと思います。

逆に、発達障害があるけれどとても発見されにくいタイプがいます。大人しく周りにも迷惑をかけない、いうことをよく聞いて育てやすい、でも自分ひとりでとても困っている。大きくなるごとに困りごとが大きくなっていく。受動型と呼ばれるタイプです。息子がそれに該当します。うちの場合は娘の件がなければ息子の障害に気づくのはもっと遅くなっていたと思います。ADHDで派手に困難が見えやすい姉がいたから偶然に早期発見に至りました。

もしも、発達障害児を普通の子として普通の子と同じになるよう育てようとしたらどうなるか。

障害と名がつくということは得意なことがあったとしても一部分は人とは同じやり方では習得できない、もしくは全くできないことがあります。これは脳の認知機能の違い、生まれもってのタイプの違いによるものです。それを他の子供たちと同じ方法で習得させようとすれば当然無理があります。

視力が悪い子供に眼鏡もない状態で「みんな見えてるのにあなただけ見えないのはおかしい。やる気がないんじゃない?ほらがんばればできるでしょ!」といわれ続けるのと同じようなものなのです。必要なのは叱咤激励ではなく眼鏡なのです。そんな環境の中で子供が育てばどうなるのか。

どうして自分だけ出来ないの?本当に見えないのに誰もわかってくれない。私ががんばっていないから?私は怠け者なの?ダメな人間なの?がんばっているつもりなのにみんなはもっとがんばっているの?どうせ私はダメなんだ・・どうがんばってもみんなと同じに出来ない。。

なんでうちの子はこんなこともできないの?他の同じ年の子はみんな出来ているのに。私の育て方が悪いの?甘やかしすぎているの?何度言っても言うことを聞かない、周りに迷惑ばかりかけてしまう、親として失格なの?私はダメな親かもしれない・・。

どっちもそうじゃないんです。そのお子さんにあった方法を知らないだけにすぎません。お子さんが悪いんじゃない。そしてあなたが悪いんじゃないんです。

発達障害の確定診断をもつ子の親として、一番怖いのは子供がうつ病をはじめとする二次障害に至ってしまうこと。発達障害の特性を持つことは生まれつきの認知機能の違いですし病気ではありません。そして人間の優劣ではないと私は思っています。

でも二次障害は心の病気です。発達障害の特性による社会生活の困難から心が病気になってしまう。これは診断がついていてもなりやすいものですし、まして診断がなければ適切なサポートを受けることができずそのリスクが非常に高くなる可能性があります。

心の傷を癒すためにはとても辛く長い時間がかかってしまいます。避けられるものであれば避けたい。 

早期発見・早期療育と言われても実際にできない状況は多々あります。なかなか受け入れられないのは当然のことです。それでも、お子さんや保護者の方が困っている状況が現実にあるならば、障害であるないには関わらず、そのお子さんの困難を解決する方法を探ってみませんか。そのお子さんにあった方法を探してみませんか。

今、この瞬間も、お子さんは困っているのかもしれません。

 

どんな子供にも有効な子育て

発達障害児の子育ては「丁寧な子育て」とよく言われます。細かくお世話を焼くという意味ではなく、子供ひとりひとりの特性を把握し、合う方法を探していきます。

なんか難しそうですが、ほんのちょっと声のかけ方を変えるだけで大きな変化があることも多々あります。ひとつひとつの困難に対応するためのコツがあります。

これは発達障害をもたないお子さんにももちろん有効な方法です。おそらく苦手なことに対応するには発達障害を持つお子さんよりもより早く効果があがるかもしれません。

私の子供たちと似た特性を持っているのなら、私が見聞きしてきた実際に試してきた情報はこのブログの中に書いてきています。

わかりやすい書籍もたくさん出ています。どれも簡単に実践できる方法ばかりです。

発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ (健康ライブラリー)

発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ (健康ライブラリー)

 

 お子さんへの声のかけ方でしたらこの本が一番わかりやすく実践的だと思います。内容は幼児の方向けですが、大きな子供でも十分対応できる具体的な方法がたくさん書かれています。

発達障害の子の立ち直り力「レジリエンス」を育てる本 (健康ライブラリー)

発達障害の子の立ち直り力「レジリエンス」を育てる本 (健康ライブラリー)

 

 気持ちの切り替えが苦手、感情のコントロールが難しい、失敗から立ち直る力を育てるコツが載った本です。折れないしなやかな心を育てるヒントがたくさん。

発達障害のある子どもができることを伸ばす!  幼児編

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  • 作者: 杉山登志郎,辻井正次,アスペ・エルデの会
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  • 発売日: 2011/09/17
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 これは幼児編だけではなくシリーズで学童編と思春期編があります。その時期に身につけたいことを具体例としてひとつずつ、その対策が書かれています。

 

もしもこれを読んでくださっているあなたが、子育てに悩んでいる、お子さんの発達に心配を抱えているのなら、診断を受ける受けないに関わらず、お子さんが発達障害かどうかに関係なく、これらの本にも載っている具体的な方法で、できることを少しずつやってみませんか?

お子さんに変化が現れるかもしれません。あなたが前向きに、少し楽に、子育てに向き合えるかもしれません。

学校や園などでお子さんに対してサポートが必要だと感じれば、診断が必要になる場合も出てきます。それは今できることを試した後でも遅くはありません。

診断は療育や医療、福祉、特別支援教育を受けるためのパスポートのようなものです。

障害という事実があったとしても、それをなかなか受け入れられないのは当然のことです。焦ることも無理をすることもないと思います。

ただ、そうしている間もお子さんが何かに困っていることは忘れないで下さい。

無理のない範囲でできることを試してみてください。

お子さんの困っている気持ちに寄り添うだけでも、きっとそれはお子さんの心に大きな安心感として伝わりますよ。

suminotiger.hatenadiary.jp

 スズコさんのこのエントリーを読んで、私も自分なりに伝えたいことを書いたのですが、結末も同じようになってしまいました(テヘペロ

topisyu.hatenablog.com

 スズコさんの記事で紹介されていたトピシュさんのこちらのエントリもとても具体的でわかりやすいです。

家庭で無理なく楽しくできる生活・学習課題46 (ヒューマンケアブックス)

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nanaio.hatenablog.com

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