致命傷


「サンデージャポン」に鈴木亜美登場。復帰後テレビ初出演。

新聞には「鈴木亜美がスタジオに生出演で真相全部告白生歌も聴けちゃいます」と書かれていた。しかし、実際の放送を見てみればなんて事は無い。確かに生歌は歌ったが、最初の15分に申し訳程度に鈴木亜美が固めて放送されて、あとはいつものサンジャポだった。

サンジャポそのものの下らなさはここでは置いておくとして、鈴木亜美に話題を絞って文章を続ける。

3年半ぶりにテレビに出演した鈴木亜美はさほど劇的な変化を見せたわけではなく、年相応に大人びた感じするが、休養のブランクとは恐ろしいもので、やはりアイドル時代に放っていた「芸能人のオーラ」がすっかり見えなくなっていた。

そんでまた、復帰明けがいきなり「サンデージャポン」という日本芸能界の胡散臭い部分を一手に集めたような番組であったから、鈴木亜美もやりづらそうなことこの上ない、という感じであった。これは鈴木亜美が悪いわけじゃなくて、この番組そのものが悪い。飯島愛はやたら喋るし、テリー伊藤は以前一緒に仕事をやっていたらしくやたら鈴木亜美を応援しているし。見ていてちょっと気持ちが悪いくらいに鈴木亜美を持ち上げていた。

そんな「非常にやりづらい環境」にあっても、鈴木亜美は生放送のこの番組に出演せざるを得なかった。復帰したからには大々的にメディア露出したいのは本人も望むところであろうに、どうしてこの番組を選んだのだろうか。答えは言うまでも無く、この番組にしか出ることが出来ないからだろう。歌番組に出ることができないから、B級ワイドショーまがいのサンデージャポンに出るしかない。本人だって決して乗り気ではなかろうが、出してくれる番組がここしかないのだから仕方がない。

ここは推論の域を出ないけども、きっと各局有力の歌番組には何らかの我々の知る事のない強力な力が働いているのだろう。話題性もあり、初版で7万部(CDつきの写真集なので書籍扱い)、さらに3万部増刷が決まり累計10万部も出ているCDというのは、現在のCD不況を考えるに大ヒットの部類であり、それほど売れている彼女を歌番組に出演させない手はないはずなのに、出れないということは、やはりそういうことなのだと思う。(ただ、本当に7万部も売れているのかは疑問の余地が大有りなのだけども)

つまり、鈴木亜美がサンジャポに出演するというのは、本人にしてみれば抗いたくても抗うことの出来ない「辛い部分」である。それは鈴木本人でなくても、サンジャポの出演者から視聴者まで周知であると言っても差し支えないのではなかろうか。


しかし、そんな鈴木亜美に対してあってはいけない失言をした人物がいる。爆笑問題の田中裕二だ。

サンジャポの司会である爆笑問題の田中は、この番組だけではなく爆笑問題が出演する番組においてたいていは番組回しを受け持っている。地味ではあるが重要なポジションである。太田がボケ一辺倒で進行が出来るのもひとえに田中のおかげである。

だが、今回田中はやらかした。何を思ったか鈴木亜美に対して「復帰後テレビ初出演がサンジャポでいいんですか?」と質問してしまったのである。

はっきり言おう。良い訳がないじゃないか。

田中の立場がわからないわけでもない。司会として鈴木亜美に気を使った進行が出来なければならないし、この発言にしても自分の番組をへりくだる為の発言であり、決して鈴木に対して何か含みを持たせたわけではあるまい。

ただ、あまりに軽率な発言だ。他の番組に出たくても出られない鈴木亜美に対して、田中のこの発言はあまりに思慮がなさすぎる。

この発言に対し、鈴木は明言することはなく笑顔でごまかしていたが、内心は「誰も好きでこんな番組出てるわけじゃねえよ」と思っていたことだろう。鈴木を擁護するつもりはないけども、あまりに気の毒だった。


爆笑田中は取り立てて芸があるわけではないが、お笑いとしてちょっとした司会を任せるには貴重な人材である。ただ、普通にこなしている分には問題ないのだが、こういう時にやらかすミスを見るにつけ、田中には司会としての致命傷があるという点が垣間見れてしまうことに一抹の不安を感じずにはおれない。


結局今日の文章でネタにしたかったのは最初から田中の話であり、鈴木亜美の復帰にはそれほど興味がない。歌も別に普通だったし。