MENU

冬休みのおでかけ年末編(世田谷文学館、国立現代美術館、東京都庭園美術館、日本科学未来館、麻布台ヒルズギャラリー)

今年の冬休みは12月20日から1月5日。18歳の犬様が医療ケアと介護を必要とする状態になってしまい、3日に一度病院に行くような状況だったので旅行や遠出はできなかったが、可能な限りいろいろとおでかけをした。

この冬休みの間に出かけた展示について、年末編と年始編で分けてまとめたい。

世田谷文学館「森薫と入江亜季展-ペン先が描く緻密なる世界」

千歳烏山駅から数分、住宅街、団地、高級そうなマンションを通ってたどり着く。庭には池があって、やたらにでかい鯉がたくさん泳いでいる。酸素は足りるのだろうかなど心配になるが、足りてるんだろう、生きてるんだから。

さて、森薫は「エマ」や「乙嫁語り」の作者、入江亜季は「乱と灰色の世界」「北北西に雲と往け」の作者。この二人の企画展に行ってきた。

展示は原画の展示がメイン。森薫の描き込みやばすぎるじゃろ。

二人が影響を受けたものや好きなものなどもたくさん置いてあり、「やっぱアウトプットしっかり出す人はインプットもちゃんとやってるんだよな」とか「同人でこのレヴェルか、そりゃデビューするよな」とか「そりゃ人の心掴むよな、これだけ魂がこもってれば」とか考えたりした。

自分も創作したくなる。森薫が「漫画は読者がいて完成だから、いっぱい描いて同人誌作って、できるだけポジティヴなフィードバックがもらえる場で発表し、練度を高めていくべき(大意)」というようなことを言っていて、まったくその通りだよなあと思った。

漫画を描く人も描かない人も、創作をしている人もしていない人も、何か感じ入るものがある展示だと思う。やはり、いい仕事を丁寧にすれば人はついてくるよなあとか、リーマン時代の自分が思っていた。

www.setabun.or.jp

国立現代美術館「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」

清澄白河駅からどうしてこんなに歩かなくてはならないの?というくらい歩かされて着く国立現代美術館(13分らしい)。建物はとてもかっこよく、土地も広く、隣は木場公園なので緑も多い。まあそれは13分くらい歩かせるわね。

ということで、エッジの効いた企画展で名高い国立現代美術館の「坂本龍一展」に行ってきた。

坂本龍一がキャリアの後半で繰り返してきた、イメージ。長尺の映像作品が多く、椅子に座れないと立ち見になるので、立っているのがつらいって人や疲れやすい人はちょっとつらいかもしれない。
映像作品はどれも音楽がかぶっているのに静謐で、時のうつろいの加虐性や不可逆性(韻を踏んだ)を感じるものが多かった。

が、あれです、言います、いきます。「現代アートさっぱりわかんねえ」

でも面白かったものもいくつもあった。

最後の作品だったと思うのだが、坂本龍一の弾くピアノに合わせてノーツが壁を流れていく展示がよかった。

しかしわたしにとって坂本龍一といえば運動会で踊った「ライディーン」だった。「GEISHA GIRLS」だった。そして「戦場のメリークリスマス」であり「energy flow」だった。それらを期待してこの展示に行くと「待て、さっぱり意味がわからねえ、きょ、教授……!」となるが、展示の中の坂本龍一の読んできた書物とかインプット兼アウトプットのメモのノートとか見ると、やっぱり一線で活躍するにはここまでやらないとだめなんだよなあと思う。

現代アートとしての坂本龍一はさっぱりわからなかったが(目で見て驚きがあったり興味を引く展示はあった)、でもこれが結局やりたかったんだろうなと思った。オペラとかもやっていたし。

やっぱり繊細だよなとは思った。

www.mot-art-museum.jp

東京都庭園美術館「そこに光が降りてくる 青木野枝 / 三嶋りつ惠」

東京都庭園美術館はまじでおすすめの美術館で、それは建物が理由である。この建物は、旧朝香宮邸、つまり昔は皇族がお住まいになっていた邸宅だ。詳しくないから詳しくは書けないが、端的にめちゃくちゃかっこいい作りになっている。眺めているだけで飽きない。寝室に入るだろう東からの朝日を想像するのも楽しいし、冬にここでティータイムでもしたのかなというウィンターガーデンにそそぐ光も心地よい。

その庭園美術館で今は「そこに光が降りてくる」という展示がやっている。青木野枝と三嶋りつ惠の「光」をテーマにした作品が各部屋に設置されている。

中でも青木野枝はすべての作品に「ふりそそぐもの」というタイトルをつけていて面白い。

三嶋りつ惠のガラス作品は、本当に「どうやって作っているのだろう」と想像もできないような自由な造形をしていて、そこにふりそそぐ光が作品を透過してテーブルに、床に、屈折して注ぐ。その美しさはずっと観ていられるほどだった。

ちなみに、職人さんたちとチームで作っているらしい。職人に適切な指示を出せる三嶋さんもすげぇし、意図を汲みとって形を理解して作り出せる職人もまじですげぇ。

一方で青木野枝はすべてのものに「ふりそそぐもの」とタイトルをつけていて、鉄の丸と赤い色の入ったグラスでできた作品が主な作品だった。

これもどうやって作っているのだろうと思ったがのだが、全部自分で切って溶接しているらしい。1万個は輪っか作ってきたと言っていたが、わたしが思うにもっともっといっているだろう。どういうことよ。これ作るのにわたしなら机ぶん投げちゃう。

そしてそうした質実剛健とした作品群の中で、一つだけかわいらしいお菓子のような作品があった。

 

 

二人とも鬼才だと思った。

www.teien-art-museum.ne.jp

日本科学未来館「パリ・ノートルダム大聖堂展」

ゆりかもめでお台場を通り過ぎ、テレコムセンター駅というなんかセンターがあるらしい駅で降りて少し歩くと、日本科学未来館がある。

今回はこちらの「パリ・ノートルダム大聖堂展」を鑑賞してきた。

この展示では、来場者の一人に一台タブレット端末が貸し出され、その端末で会場内にあるさまざまな写真を読み込むという形式で展示が進む。タブレット端末にはいろいろな時代のノートルダム大聖堂の様子が映し出され、大聖堂に何が起こったのか、大聖堂で何が行われてきたのかなどを3Dで見ることができる。タブレット端末を掲げて回すといろんな角度から大聖堂を見ることができたりもする。工事に様子などは時間経過を追って見ることもできる。

科学未来館への道は閑散としてインバウンドしかいなかったのだが、いざ入館して見てみると子連れで溢れていた。ノートルダム大聖堂展も目玉展示なのでちゃんと混んでいたが、これ休日もっとかーと思うと平日に行くことをお勧めしたい。

タブレット端末を用いた展示は、その場にいることの意味が希薄になる。体験として「家で見てもかわんなくない?」となってしまう。もちろん臨場感は大事なのだが、結局みんな端末見て下向いたり前向いたり回ったりしてるだけだもんなあとなる。この辺をもう一歩踏み込んだ、何か画期的な展示が出てくることを期待したい。

でも今回の展示もとてもよかった。ノートルダム大聖堂がこんなにも苦難の道を歩んできたのかとか、ナポレオンの結婚のことなども詳しくしれて楽しかったし。普通にお勧めですが、いかんせん遠い。

www.miraikan.jst.go.jp

麻布台ヒルズギャラリー「ポケモン×工芸 - 美と技の大発見」

麻布台ヒルズは大垣書店が入っているので好きだ。今回も散財してしまった。ペリカンが入っているので好きだ。地元でいけよ感しかない。

そんな麻布台ヒルズのギャラリーでポケモンと工芸のコラボレーション企画展がやっているということで見に行ってきた。

ら、ガチ工芸作家がガチ工芸を作ってきていてガチびっくりしたガチィ。

のっけから心を持っていかれた。細かい仕事の積み重ねでこの迫力を出している。やばい。

フシギバナエディションのGBAspを使っていたので思い入れがある。この質感。そこに本当に生きているようで、しかし生きていないこともはっきりとわかる。そこが好き。

信楽焼のロコンかわいいゆ。本気の仕上がり。

 

こうした本気の工芸作品が並ぶ。中には70歳を超えて「初めてゲームをプレイして作った」という方もいて、プロってそういうことだよなあと思った。

しかしこれ企画してどこに話持って行ったんだろう。どこかに書いてあったかもしれないが見落としている。工芸協会みたいなところに企画を持ち込んだのかしら。

いやーよかった。麻布台ヒルズはそこまで混んでいないのでいいのだが、ユニクロ着て行くと気後れするのは確か……

www.azabudai-hills.com

以上

以上が冬休みのおでかけ年末編だ。お出かけ自体は他にも東証とかホテルでのナイトティーとかいろいろあったのだが、まあ共有しておきたいのはやはり美術館・博物館周りなのでそこに絞ってお送りした。

今年もたくさんいろいろな展示を見に行きたいなあなどと、この記事を書いていて思っていた。そうしたい。そうする。そうしよう。そうだよ。