2024-01-01から1年間の記事一覧

「展評」

子供だった時分、楽しげな時間に「魔を指す」ものが数々あった。その中の一つに「霊柩車が通る」というものがある。「霊柩車」を先頭にした車列が眼の前を通過し、それらが視界から消え去るまで「親指を隠す」という事も行われたりもした。 「親指を『隠す』…

「風流」

水は低きに流れ、人は高きに集まる。世界各国の近世経済史は、一次産業人口の二次、三次産業への流出、つまり、人口や産業の都市集中をつうじて、国民総生産の拡大と国民所得の増加が達成されてきたことを示している。農村から都市へ、高い所得と便利な暮ら…

「公表」

アルベルト・ジャコメッティ「ネコと犬」1951年 そもそも「展覧会」の「告知」や「案内」というのは些か「婉曲」な表現であり、実際のところは「展覧会」の「告知」や「案内」のほぼ全ては、「展覧会」の「広告」/「宣伝」以上でも以下でも無いものである。…

「失われた『作品』」

「美術評論家」建畠晢氏の回顧譚でしばしば氏の口から語られている話がある。「父親」である「彫刻家」建畠覚造氏に関するものだ。 (略)抽象彫刻は売れないのね。で、展覧会に出した作品が帰って来ると、置く場所がなくなってくるわけよ。大きな作品なんか…

「アート/ワーカーズ」

It stands to reason that art works are made by art workers, but in this searching account of artistic labor in the 1960s and 1970s, Julia Bryan-Wilson shows us that reason is supplanted by ambivalence and ambiguity as artists grappled with…

「障壁」

大谷翔平から始まる以下の文もまた「美術」の話、とりわけ「『日本』の『美術』」の話である。 ==== 2024年度の小学校の教科書(小学5年生算数:東京書籍)に、大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)がフィーチャーされるという。大谷翔平が日本の義務教…

「喪失」

《千の注釈》長過ぎる注 ==== Elle : C'est beau, hein... Cet homme avec son chien... Regardez : ils ont h même démarche.Lui : C'est vrai. Vous avez entendu parler du sculpteur Giacometti ?Elle : Oh ! oui, j'ai trouvé très beau !Lui : Vou…