With Us, You Can というコーポレート・メッセージについて思うこと
弊社はコーポレート・メッセージとして「With Us, You Can」を掲げています。
結論は「僕はこのコーポレート・メッセージが大好き」だ。です。
「ニフティグループは、お客様、株主、社員、パートナー企業、地域社会等の夢をかなえるため、常にお客様起点で行動し、チャレンジャーとしてサービスを開拓し、社会に役立つ企業として、新しい価値の創造に取り組み続けます。」と堅苦しく書かれていますが、つまるところ
- 自社単独でやるよりも、多くのステークホルダーと一緒に仕事をする方が大きなことができるし、その結果としてより広い社会的な貢献ができるから
- ぶっちゃけリスク減るし、メリットあるし ( muddydixon 解釈
プラスアルファとして後付で「パソ通時代はパソ通の個人・法人ユーザの足回りとして」「ISPでは個人・法人の足回りとして」「クラウドではICTビジネスを立ち上げたい/成長させたいお客様の足回りとして」の役割を担ってきたからより強いメッセージになった、というのがあるかと思っています。
コーポレート・メッセージとは
Wikipedia を確認すると、
コーポレート・アイデンティティ (以下 CI ) は、企業が掲げてきた理念や事業内容、また企業の社会的責任 (CSR) 等に基づいて自らの存在価値を体系的に整理し、改めて定めた理念やそれに基づく行動指針を企業内外で共有することでより良い企業活動を行っていこうとするもの。またそれを実施するための計画である。 主に社会における企業イメージの構築を行うために計画・実行されるが、企業内部においても価値の共有による意識の向上、また品質や生産性、就職希望者の増加などの効果が期待できる。
役割はいくつかあるとは思いますが、大別すると
- 企業理念/存在価値の体系的な整理
- 上記や上記に基づく行動指針の内外への共有
- 企業イメージの構築(ブランディング)
- 企業内部への価値の共有による意識の向上、品質や生産性向上の効果を期待する
Wikipedia ではこれらをまとめてCIの3つの構成要素としてまとめてあります。
- MI:マインド・アイデンティティ (Mind Identity) 理念の統一
- BI:ビヘイビア・アイデンティティ (Behavior Identity) 行動の統一
- VI:ビジュアル・アイデンティティ (Visual Identity) 視覚の統一
理念、それに基づいた企業活動という行動、(情報の伝達経路で大きな割合を占める視覚的な)イメージ・デザインを統一する事が大事だとあります
内部ガバナンスにおけるコーポレート・メッセージ
チームマネジメントの観点で、非常に重要かつガバナンスのためのツールとして重要視しているのは特に「企業内部への価値の共有による意識の向上、品質や生産性向上の効果を期待する」です。
知識創造企業の中でも(意訳が含まれていた場合には申し訳ありません)、トップがビジョンを示し、ミドルマネジメント層はそれを具体的にブレークダウン/解釈し、最前線の価値観を説明・共有するとありましたが、重要なことは
- ミドルマネジメント層に自事業における「解釈」「具体化」の幅を持たせる
- 共有化(体験としてイメージしやすく)しやすい
- 様々な知識の中でどれを「価値」として判断するかの、正当化基準として機能する
だと考えています。
- 作者: 野中郁次郎,竹内弘高,梅本勝博
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 1996/03/01
- メディア: 単行本
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これらを整理すると
- 価値の基準点としての機能
- 解釈の多様性
- 共有しやすさ
こういった観点で他社のコーポレート・メッセージ/コーポレート・アイデンティティを眺めてみると
(こういうまとめは最近話題の記事の盗作でなくて手間を掛けての本当の価値だと思っています)
キッコーマンの「おいしい記憶をつくりたい。」、バンダイナムコエンターテイメントの「アソビきれない毎日を。」などは、価値のグラウンディング(正当化・基準点)、イメージがし易い、そして何より「解釈に幅がある」という点で、非常に優れたコーポレート・メッセージだと思います。
さて、上記観点で弊社のコーポレート・メッセージを振り返ってみます
価値の基準点としての機能
「With Us, You Can」は、お客様とともに私達があり、お客様へ価値を提供することでその価値への正当な対価として見返りをいただくという解釈を私はしています。 この観点に立つと、私達の利益を増やすためには、お客様がまず利益を得ていただかなければならない、つまり、お客さまのビジネスが自分たちの土俵であるという ATI (圧倒的当事者意識) の高まりが不可欠になります。
悪い言い方をすると他人の褌で相撲を取る、という表現にもなるかと思いますが、少なくとも私が現在自部署での活動においてはこの ATI をかなり強く意識しています。
解釈の多様性
PRESS RELEASE FROM NOSIGNER 2016
ギンザ・グラフィック・ギャラリーでの展示「ノザイナー かたちと理由」の「De(construct)sign」で「木は葉・実・枝・根の4種類で非常に多様性があるが、扇風機は100を超える多くの部品で構成されている」との展示がありました。 この中の説明文の中に
優れたデザインは、要素が少なく、かつ多くの理由を備えているものだ。自然は我々よりも遥かに優れたデザイナーであり、我々は自然から多くのことを学べるだろう
翻ってみると、「With Us, You Can」は 「Us」とは?、「You」とは?、という明示的なプレースホルダーに加え、ここに「How」「What」などの非明示的なプレースホルダーを想像することは容易です。解釈の幅を許しているだけではなく、明示的・非明示的なプレースホルダーを備えている、ある意味陳腐と捉えられるかもしれませんが、 解釈を促す コーポレート・メッセージは他社を探してもそれほど多くは見つかりません。
これはコーポレート・メッセージの多様性=タフさとも考えています。各事業・各社員の中で様々な解釈・具体化をされたとしてもそこから「With Us, You Can」の要素が見て取れることはコーポレート・メッセージとしてとても強いのではないでしょうか。
共有のしやすさ
「With Us, You Can」は Us を含むことにより、「自分たちはなにができるだろう」という想像を喚起します。 また、(多くの)ヒトはヒトの役に立つ、認められることを望む生き物である(承認欲求)ことを踏まえると、自分が役に立つ、というイメージは共有がし易いものでもあります。 また、各事業においてはメッセージはプレースホルダーを埋めることで具体性を持たされ、その際により一層、役に立つ姿、 ATI は高まります。
その他
最近ベンチャーの方々のお話を伺い恥ずかしながらアドバイスをしていたりしています。 その中で感じているのが、創業メンバはビジョンなどなくとも共有している時間・想いがあるとは思います。 ですが、人数が増えた際の企業文化うんぬんが起きた時に、ビジョンがコーポレート・メッセージとして表現されていると、「これに合わない」という話ができると思います。 在籍期間によるマウンティングをするわけではないですが、意地を張る/張らねばならないタイミングはあると思っており、この際の拠り所とになるのではないかと考えています。
まとめ
ニフティのコーポレート・メッセージは 1) 価値の基準点としても、2) 解釈多様性の幅の面でも、 3) 共有のしやすさ、の面でも最強だと思ってる
これからコーポレート・メッセージを作成される方々の一助になればと思います。
おまけ
こんな感じでやっていますので、興味を持たれた方はぜひ仲間になってください。
私の所属する IoT デザインセンターでは電気回路の設計、基盤の設計・実装(ハンダゴテ含む)、API サーバ・フロントエンドの設計・実装・運用、 データ解析・レポート作成、お客様への技術企画の提案を含むコンサルティングまで幅広くやっています。興味がある方は 特にぜひ 助けてくださるとうれしいです。(2回目