ご挨拶
一般社団法人文字情報技術促進協議会会長
小林龍生
2009年に任意団体IVS技術促進協議会として発足した本協議会は、任意団体としての名称の文字情報技術促進協議会への変更を経て、2019年2019年7月から一般社団法人文字情報技術促進協議会として、新たなスタートを切りました。
本協議会は、その発足当時の名称が端的に示すように、ユニコード標準に含まれるIVS(Ideographic Variation Selector)と呼ばれる文字の微細な差異を使い分けることの出来る仕組みを利用して、いわば必要悪として長く日本においてIT化を促進する上での障害となってきた外字問題を解消することを目指して出発しました。
当初、フォントベンダー、大手印刷会社、オフィス用アプリケーションベンダーなどの会員を中心として活動を進めていましたが、外字問題が最も深刻な行政分野における人名表記の問題に積極的に取り組むためもあり、公共分野における主要システムインテグレーション企業の参画も得て、名称をより一般的な文字情報技術促進協議会と変更しました。
この時点で、本協議会は、フォントベンダー、印刷関連企業、オフィス用アプリケーションベンダー、システムインテグレーターという、文字コードとフォントに係わるほぼすべての業態をカバーする世界でも希有な業界団体としての陣容を整えることが出来ました。
一般社団法人格の取得も、このような業界横断的な組織に対するユーザー企業や行政からの、より実務に即した活発な活動に対する期待感にお答えするためという意味合いが強くありました。
今般のコロナウィルスの世界的な流行と、それに伴う社会生活の大きな変動は、はしなくも、さまざまな分野における情報通信化を著しく推し進めることとなりました。外字の存在は、このような局面においても、地域や業務分野を超えた情報交換の際の、大きな障害となっていることは言を俟ちません。現在の緊急事態が収束した後も、情報通信化の波は、より高まることこそあれ、弱くなることは考えられません。今後求められていくのは、単なる恣意的な外字の利用ではなく、公共性と社会的コスト低減を実現するための、国際標準に則った情報交換性の担保を前提としたうえでの、多様な文字表現技術のより一層のの普及にあると考えられます。この理想を実現するためには、「外字を作る、から、国際標準から探す」という大きな意識変革が不可欠です。
本協議会としても、このような文化的芳醇さと経済合理性をかねそなえた社会の実現のため、微力を尽くす所存です。