MMA ROOKIE OF THE YEAR 2024

 今年も数多くのプロスペクトがMMAという競技でプロの舞台に立ちました。そんなMMA界の次世代を担う彼らの活躍を振り返ると同時に来年へ向けて整理しようという試みです。

 あくまで今年の活躍度合い(勝利数,対戦相手の質,パフォーマンス)を軸に評価するので実力順ではありません。

1.30位‐21位

2.惜しくも枠

3.20位‐6位

4.ランキングには載らないが来年に向けて注目の新人選手

5.5位‐1位

 

1.30位~21位

【30位】Nikola Gradinac(20)3-0 3ko ミドル級 身長188 対戦相手合計戦績0-4
 セルビアの秒殺新人。2023年のセルビアカップで勝利し,今年7月に地元のARMMADAでプロデビュー。デビューから3戦連続秒殺KO勝利(20秒,16秒,39秒)をあげた。筋骨隆々の身体に非常に長いリーチを備えている。対戦相手の質はかなり低くまだまだ未知数ではあるが来年以降化けの皮が剝がされるのか,幻想を強めるのか。

youtu.be

最新試合1:46:00~

 

【29位】Tiarnan Loughran(23)3-0 2ko  フェザー級 身長176 リーチ182 対戦相手合計戦績2-2
 UFCファイターCaolán Loughranの弟。アマチュア時代にIURとCage Conflictのフェザー級王者に輝いている。今年4月にオランダ最大の団体LFLでデビューし,同団体で3試合行い全勝で今年を走り切った。トータルバランスの良いファイターで引き出しは今年の新人の中でも多い。しかし,小さくまとまってしまう感じもあり特に直近のJandarbaev戦の1Rでは打撃で押され苦戦を強いられた。カットしやすいのか2戦目と3戦目では早い段階で流血している。

youtu.be  プロ2戦目

 

【28位】Eduardo Dutra(20)3-0 2sub フェザー級 身長178  対戦相手合計戦績5-0
 ブラジルの若手柔術家。ブラジリアン柔術黒帯でCampeonato Paulista2連覇。Babuino Gold Teamでムエタイのコーチも行っている。アマチュア6-0で今年6月にブラジルNo1団体Jungle Fightでデビュー。年間3勝を記録した。中でもデビュー戦のパフォーマンスは圧巻でした。バックテイクが非常に上手く2戦目ではケージを上手く使ってバックテイクを成功させていました。キープ力やスタンドにはまだまだ課題も多く完成度は高くないものの,まだ若く今後が楽しみな選手です。

youtu.be  デビュー戦

 

【27位】Zakaria Hamou(23)3-0 1ko 1sub フェザー級 身長181 リーチ181 対戦相手合計戦績4-3
 モロッコとアルジェリアにルーツを持つストライカー。100%Fight中心にアマチュアで実績を積み,1月にフランスの新興団体HEXAGONEでプロデビュー。そこから年間3戦を全勝で終えた。最終的には欧州メジャーKSWに参戦した。カウンターパンチャーとして抜群のパフォーマンスを見せており,右のストレートの精度が非常に高い。前足のミドルキックも得意としている。現状自分から作るシーンが少なくその辺が今後の課題か。今年のベストパフォーマンスはKSWデビュー戦でKarkulaを右のカウンターストレートで1RKOした試合でしょう。修羅のKSWで来年以降どういった活躍をしてくれるか。

www.youtube.com  最新試合41:45~

 

【26位】Kyle Mayocchi(21)3-0 1ko 2sub フェザー級 身長170 対戦相手合計戦績7-6
 オーストラリア出身。IMMAFでも活躍し,豊富なアマチュア実績を積み今年4月にニュージーランドのShuriken Fight Seriesでデビュー。年間3試合を安定したパフォーマンスで全勝全フィニッシュで終えた。BJJ茶帯を持ち,国内大会で結果を残しているが,スタンドも被弾が少なく落ち着いており,特に左フックは生命線となっている。デビュー戦では左フックでぐらつかせ追撃のパウンドで2RKO勝利をあげた。最も印象的だったのはBeatdownでの2戦目でSantos(4-2)相手に見せたパフォーマンス。ダブルレッグでテイクダウンを奪ってからRNCまでの流れが非常に美しかった。フェザー級としては小柄ながら今後も目が離せないプロスペクト。

youtu.be  2戦目

 

【25位】Ibragim Kartoev(22)2-0 2sub フライ級 身長165 対戦相手合計戦績2-1
 Petr Mineev Memorial 2023優勝,ロシアカップ2023優勝,Championship in Memory of Abdulmanap Nurmagomedov 2023優勝。競争力の非常に高いロシアのアマチュアシーンで素晴らしい実績を残し,今年1月のACAYEでプロデビュー。強力なレスリングを武器にデビューから2試合連続で肩固めを極めている。12月にはChampionship in Memory of Abdulmanap Nurmagomedov 2024を優勝し,連覇を果たした。

youtu.be  2戦目サムネは年齢と戦績が相手と逆に表示されている。

 

【24位】Mahamed Aly(30)3-0 3ko ヘビー級 身長191 対戦相手合計戦績17-31
 抜群の実績を残している柔術家。IBJJF世界選手権(優勝2018,準優勝2019,3位2017)IBJJF世界選手権NOGI(優勝2015)。総合格闘家を目指し,チーム・ノゲイラに加入。当初はMMAをメインでやる予定ではあったが,大会出場をきっかけにブラジリアン柔術に本格転向。今年1月にようやくMMAデビューを果たした。デビュー戦を開始54秒ハイキックでKOし,鮮烈なデビューを飾った。6月の2戦目もハイキックでKOし,連続でハイライトリールを残した。8月にはCraig Jones Invitational 1にも出場している。

youtu.be  デビュー戦

 

【23位】Tagir Machumudov(21)2-0 1ko 1sub ミドル級 身長185 対戦相手合計戦績5-4
 ダゲスタン出身。7歳の時に家族とチェコに移住。IMMAF世界選手権ジュニア(優勝2022準優勝2023),IMMAF欧州選手権ジュニア(優勝2022)。元トップアマがプロでも期待通りのパフォーマンスを見せている。今年5月に地元チェコで行われたFusionでデビュー。当時5-3のPalaを開始10数秒でダブルレッグからTDを奪い,約4分トップで完全にコントロールしキムラロックでフィニッシュした。二戦目はかなりの実力差があり23秒で秒殺。やや不完全燃焼気味であった。過去にKSWとOKTAGONからの複数試合オファーを断っており,今後の動向が気になる選手。

 

【22位】Theo Ulrich(22)3-0 2ko ライト級 身長185 対戦相手合計戦績2-3
 アマチュア12-1の戦績を残し,今年1月にHEXAGONEでデビュー。年間3試合すべてをHEXAGONEで行った。ズンズンと前進し,プレッシャーをかけ,相手にケージを背負わせた所でフックやアッパー系のパンチをまとめるスタイル。デビュー戦では同じくデビュー戦でアマチュア8-2のBourgoisを終始圧倒し,試合残り20秒で顔面に膝をぶち当てKO勝ち。2戦目ではキックとムエタイで実績のあるMebenga相手に1,3Rでテイクダウンを奪い組技でコントロールし,判定勝ち。直近のPolydor戦では右ストレート一閃33秒KO勝ちのパフォーマンスを見せた。

youtu.be デビュー戦

【21位】Jack Humphries(21)2-0 1ko 1sub バンタム級 身長173 対戦相手合計戦績4-2
 昨年末のIMMAF世界選手権ジュニアで銀メダル(決勝負傷欠場)を獲得した後,プロ転向。今年5月のCage Warriorsでデビューし,圧倒的なパフォーマンスで2戦連続1Rフィニッシュ勝利。打投極のバランスが良く,隙のないオールラウンダー。IMMAF→Cage Warriorsという欧州MMAの王道路線を駆け抜ける。

youtu.be 2戦目

 

2.惜しくも枠

・20歳になったばかりで年間4勝全フィニッシュのDzhamal Mavliudovはパフォーマンスが微妙だと感じ惜しくも圏外

・2021IMMAF世界選手権王者Fergus Jenkinsはデビュー戦の映像が見つからず,2戦目も打撃の印象が悪く圏外

・2023IMMAF世界選手権3位Sirojiddin Sarabeckiは対戦相手の質も悪くなく2勝をあげたが,試合映像が見つからず圏外

・アイルランドの最新ストライカーConor McCarthyは2戦目までは素晴らしいパフォーマンスを見せていたものの,最新試合で苦戦し惜しくも圏外

・元海兵隊の身体能力お化けSaheeb Jacksonは3-0の戦績も相手の質が悪く圏外

・2022IMMAF欧州選手権準優勝,イスラエル王者×3のMoshe Aladi。年間3勝全フィニッシュではあったが,試合映像が見つからず。

 

3.20位~6位

【20位】Umronjon Mansurov(20)2-0 1ko 1sub ライト級 対戦相手合計戦績1-1
 IMMAFアジア選手権ジュニア(優勝2022),ロシアカップ2023王者。今年5月にブレンダン・アレン主催のAll In Combatでプロデビュー。テイクダウンを奪われる場面もあったが,終始落ち着いて対応。高いレスリング力で切り返しバックテイクから1Rバックチョークで一本勝ち。さらに2戦目では,DDFCに出場し,49秒でKO勝利。この試合でのストライキングパフォーマンスはかなり印象的であった。9月にLFA193に出場予定だったが,直前でキャンセルとなった。

youtu.be 2戦目

 

【19位】Davi Cabral de Souza(25)3-0 1ko 2sub ミドル級 対戦相手合計戦績6-19
 BJJ黒帯初段。IBJJF世界選手権NOGI(青帯準優勝2018,茶帯準優勝2019,青帯3位2017),IBJJF世界選手権(紫帯3位2019)。Grandola,Julio Cesar Pereiraの下で成長し,2020年に黒帯昇格。今年4月にデビューし,開始37秒ボディロックTDからバックを奪いパウンドアウトで白星デビュー。2戦目はPFCに出場し,カーフキックを効かせ倒れた所でトップを奪い,肩固めで1R一本勝ち。直近の試合では右ミドルをバシバシ蹴りこみ,2R開始早々シングルレッグからTDを奪いバックテイクを成功させRNCで2R一本勝ち。11歳の頃からムエタイも練習しており,粗さはあるが打撃にも対応してきている。

youtu.be プロでの試合映像は本人のIGにしかなく,YouTubeにあったのはアマチュアの試合のみ

 

【18位】Akhmed Makaev(19)2-0 2ko バンタム級 身長173 リーチ175 対戦相手合計戦績4-0
 MMA World Cup優勝,SAFOキックボクシング王者。今年2月のACAYEでデビューすると2戦連続で秒殺KO勝利をあげたロシアの新鋭ストライカー。見せているパフォーマンスは今年の新人の中でもトップクラス。下半期は稼働がなかったものの,来年以降も要注目のプロスペクト。

youtu.be 2戦目

 


【17位】Mathys Duragrin(22)4-0 2ko フェザー級 対戦相手合計戦績7-5
  アマチュア戦績13-4AEF2階級制覇,VMTライト級王者の肩書を引っ提げ今年1月にプロデビュー。AEFで3連勝した後PFLEuropeにワンマッチで参戦し,年間4勝を積み上げ充実した1年を送った。レスリングが最大の武器でテイクダウンを奪ってトップキープで削り,GnPで仕留める。2戦目のパフォーマンスが印象的でAEF6のKOTNに輝いている。

youtu.be 2戦目

 

【16位】Ezra Elliot(24)3-0 3sub フェザー級 対戦相手合計戦績2-3
  高校のトップレスラーで44-0というレコードを残し,2019 1A IHSAレスリング王者に輝いた。ブラジリアン柔術紫帯でADCCアリゾナオープン優勝。MMALabでオマリー等とトレーニングしている。アマチュアで4戦4勝4Subという結果を残し,今年4月にFusion Fight Leagueでデビューし,同団体の旗本で年間3勝をオール一本勝ちで終えた。特に控室で練習していたダースチョークを開始61秒で極め切った2戦目のパフォーマンスが印象的。対戦相手の質は高くないものの,パフォーマンスは素晴らしいものを見せている。

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【15位】Connor Walsh(21)3-0 2ko 1sub フライ級 身長165 対戦相手合計戦績6-4
 アマチュア戦績8-2。FCCアマチュアフライ級タイトルを3度防衛し,3月に同団体でプロデビュー。そこから3連続1Rフィニッシュを成し遂げた。すべての試合でセンセーショナルなパフォーマンスを見せており,新人の中でもかなり評価を上げた選手。特にFCC40のWillian戦はUFC Fight PassのPOTNを受賞した。

ufcfightpass.com 最新試合1:28:30~

 

【14位】Lester Batres Jr(21)4-0 2sub ライト級 身長178 対戦相手合計戦績7-7
 アマチュア13-2IMMAFパンアメリカン選手権2連覇。ブラジリアン柔術黒帯。今年2月にFury Challenger Seriesでデビューすると2試合連続でアームバー秒殺一本勝ちでインパクトを残した。結局今年1年を通してFuryの旗本で4連勝。後半の2試合はそこまで印象的なパフォーマンスではなかったものの,北米フィーダーショーで年間4勝は評価に値する。

youtu.be 2戦目

 

【13位】Kasib Murdoch(23)4-0 3ko 1sub バンタム級 対戦相手合計戦績10-6
 格闘エリートで幼い頃からボクシングとレスリングに取り組んできた。2016年にはジュニアボクシングの国内王者に輝き,アルゼンチンで開催されたユースオリンピックにも出場している。レスリングでも3つの全国タイトル,地域タイトルを12個ほど獲得している。ブラジリアン柔術も紫帯でマナ選手権で金メダルを獲得した。総合格闘技でも素晴らしいキャリアを築いており,アマチュア無敗でIMMAF世界選手権優勝(2022)IMMAFオセアニア選手権優勝(2022)。今年5月にインドネシアのCanggu Fight Nightでデビューし同団体を中心に年間4勝をオールフィニッシュで完走した。しつこいレスリングでテイクダウンを奪いGnPで仕留めるスタイル。年末に5戦目が予定されていたが,感染症で欠場となった。

youtu.be 最新試合

 

【12位】Shalbuz Esedullaev(21)4-0 3ko 1sub ライト級 身長187 対戦相手合計戦績11-12
 ライト級屈指のサイズを持つオールラウンダー。今年5月のOpen Fighting Championshipでデビュー。2戦目で衝撃的なハイキック失神KO勝ちでインパクトを残した。年間4試合をオールフィニッシュで終え,特に10月~12月にかけて3か月連続で勝利し大きくキャリアを前進させた。スタンドではリーチを生かしたジャブや前蹴りを軸に組み立てバックテイクも非常に上手い選手。直近のKhaziakhmetov戦では2R開始早々ギロチンで仕留め,素晴らしい極め力を披露した。

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【11位】Perdekhan Shyndaliyev(24)3-0 3ko フライ級 対戦相手合計戦績2-2
 2023年のパンクラチオン世界選手権で大活躍。エリート(打撃あり)部門では決勝でMMAでかなりの実力を見せているヤキメンコをポイント9-3で上回り優勝。トラディショナル(打撃なし)部門では準決勝でNaizaフライ級王者エレンガイポフと対戦し,お互いポイントを奪えず,マスト判定で敗れ3位。2部門で世界選手権メダリストとなった。今年2月のOctagon Selection36でデビューするとOctagon Selection41,Octagon66と3試合連続1RKO勝利を収めた。特にOctagon本戦デビューとなったDulatbekov戦では,試合開始10秒ジャブ一発でダウンを奪いパウンドアウトで仕留める衝撃的なパフォーマンスを披露した。

www.youtube.com 最新試合43:00~

 

【10位】Otabek Rajabov(22)1-0 1sub バンタム級 対戦相手合計戦績9-3
 アマチュア戦績18-1。IMMAF世界選手権ジュニア2連覇(2021,2022),2023年IMMAF世界選手権優勝。長くアマチュアPFPの一角とみなされてきた男がまさかのPANCRASEでデビュー。初戦でランキング6位の高城光弘と対戦し,全局面で圧倒3Rバックチョークで一本勝ちし,鮮烈なデビューを飾った。12月14日に田嶋涼との対戦が予定されていたものの,体重超過で中止になった。

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【9位】Marwan Rahiki(22)3-0 3ko フェザー級  対戦相手合計戦績10-5
 モロッコにルーツを持つオセアニアのNEXTブレイクストライカー。アマチュア5-1の戦績を残し,2月にEternalでデビュー。多彩な技を披露し,2R開始直後にジャブのフェイントから左ボディアッパー→右ローキックのコンビネーションで仕留めた。2戦目もボディへのスピニングバックキックで1RKO勝利を果たした。何といっても今年のベストパフォーマンスを見せたのはHEX32で行われたMannu戦。オセアニアのMMAシーンで長く活躍し,前Eternalフライ級王者のDrilichにも勝っているベテランストライカー相手に打撃の真っ向勝負で1RKO勝ちを収めた。2025年の初陣が3月1日のHEX34で決定している。

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【8位】Boris Mbarga Atangana(25)4-0 3ko 1sub ライトヘビー級 身長184 対戦相手合計戦績8-6
 アマチュア8-0。西欧アマチュアNo1ヘビー級と目されていた男が5月にプロ転向。年間4勝全フィニッシュと充実した1年を送った。野性味溢れるパワフルな打撃を武器に最初の3試合をALL1RKO。特に3戦目で当時6-2のSalazarを開始78秒左ハイキック→パウンドで仕留めた試合は圧巻。KOF8のKOTNを獲得している。

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【7位】Adam Alexander Posener(20)4-0 4sub ウェルター級 対戦相手合計戦績9-4
 18歳でアマチュアデビューし,5-0全フィニッシュの成績を残し,2月にプロデビュー。地元カナダの団体BFL&SamouraiMMAで年間4勝をオール一本であげた。BJJ茶帯で多彩な仕掛けを持っている。弱冠20歳とは思えない落ち着いた試合運びを見せる。直近の試合では同じく無敗(4-0)だったCarsonを試合残り5秒で仕留めている。今カナダで最もホットなプロスペクトの1人。

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【6位】Kurban Zaynukov(25)2-0 1ko 1sub フェザー級 対戦相手合計戦績5-1
 Magomed Zaynukov(6-0)の弟でアブドゥルマナプ・ヌルマゴメドフスクール出身。アマチュア18-2ロシア選手権連覇(2022&2021)ロシアカップ2021王者。アマチュア時代から圧倒的な実力を見せていた男がプロでも素晴らしいパフォーマンスを見せている。1月のKingdom Professional Fight 8でデビュー。2戦目でUAE Warriorsに参戦。当時5-1のMakhmedov相手に圧倒的な実力を見せ3R一本勝ち。稼働が少なくこの順位になったが,個人的に実力は2024デビュー組の中でも間違いなくTop3に入ると思っている。

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4.稼働が少ない等の理由でランキングには載らなかったが来季以降注目の新人紹介

①コンバットサンボアフリカ選手権準優勝Abdoullah Kane

②ADCC欧州Open王者Danielius Grebliunas

③キックボクシング16‐1 CFS王者 Patryk Czart

④2023IMMAF世界選手権準優勝,2023パンクラチオン世界選手権優勝Oleksandr Huliaiev

⑤Unifight世界選手権準優勝Kambarbek Shyndaulet

⑥2021IMMAF世界選手権ジュニア準優勝,2019ロシアカップ優勝Sunatullo Azizov

⑦アマチュア戦績15-4,U-21フランスMMA選手権優勝Owen Jason

⑧スペインの新星Yaman Mjahed

⑨アマチュア9-1,元AEFウェルター級王者,Amaury Wako Zabo Assiga

⑩アマチュア15-1,元Cage Conflict2階級制覇王者Keith Keogh

⑪2023IMMAF世界選手権王者Ze Machado

⑫アマチュア12-1,100%Fightバンタム級トーナメント覇者Mouraz Kotchoyan

⑬2023IMMAF世界選手権ジュニア優勝Bezhan Khojaliev

⑭アマチュア28-4,元Mistrzostwa MMA Polskaジュニアライト級王者Kacper Fornalski

⑮アマチュア7-0,元ALMMAライトヘビー級王者Szymon Kasprzynski

⑯ボクシング欧州選手権3位Dylan Rajic

⑰フリースタイルレスリングオセアニア選手権優勝,GAMMA世界王者Artemios Trepca

⑱2024IMMAF欧州選手権王者Tiriel Luka Abramovic

⑲NCAAディビジョン1優勝×2,NCAAディビジョン1オールアメリカン×5Austin O'Connor

⑳アマチュア10-1,元UNFフェザー級王者,元SSPフェザー級王者Hamzeh Trad

㉑2021IMMAF世界選手権ジュニア3位Dmitriy Pankov

㉒グレコローマンレスリング欧州選手権優勝&U-23世界選手権優勝Rajbek Bisultanov

㉓Jekpe-jekカザフスタン王者Nurkanat Sagatbek

㉔アマチュア5-0,元XKOフライ級王者,元ElevateFCフライ級王者Chuy Lopes

㉕2024ロシアMMA選手権3位Magomed Malsagov

 

5.5位~1位

【5位】Alvi Dasuyev(22)3-0 1ko 2sub ウェルター級 身長185 対戦相手合計戦績7-7
 アマチュア戦績13-3。IMMAF世界選手権2023準優勝,VersusMMAウェルター級王者,CWLowlandsウェルター級王者。今年5月にAEFでプロデビュー。年間を通して3勝ALLフィニッシュで終えた。アマチュアエリートだけあって何でもそつなくこなす選手。特にAEC10でのパフォーマンスが印象的で1Rスタンドギロチンでフィニッシュし,SOTNを獲得した。以前のTapologyの宣材写真がホロウェイに激似だったが変更されてしまった。アマチュア時代にHabiroraに勝利しており,プロでもライバル関係となるか。

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【4位】Movsar Ibragimov(26)4-0 3ko 1sub バンタム級 身長173 対戦相手合計戦績7-5
 アマチュア戦績21-5。IMMAF欧州選手権2022優勝,AEFバンタム級王者,SFCバンタム級王者という実績を引っ提げ今年2月にプロデビュー。フランスを中心に4戦4勝4フィニッシュ。非常に安定感のあるパフォーマンスを見せており,特にAEF9でのMatyszewski戦が印象的でKOTNを獲得している。来年中にビッグプロモーションデビューなるか。

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【3位】Thomas Gantt(31)8-0 3ko 4sub ウェルター級 身長183 対戦相手合計戦績51-95
 今年最もプロでの実績を積み重ねた選手。2019USA World Cup3位,2016年NCAAディビジョン1オールアメリカン,2016ACC王者,2021フリースタイルレスリングパンアメリカン選手権2021優勝等レスリングで素晴らしい実績を残しており昨年30歳という年齢でアマチュアでMMAデビュー。5-0 5koという素晴らしい成績を残し,今年4月にプロデビューすると驚異的なペースで試合をし続け,9戦8勝1NCフィニッシュ率87.5%と対戦相手の質は高くないものの,存在感を示した。既にローカルのベルトを2本獲得しており,早くも来年のDWCSが射程圏に入っている。レスリングからの転向組ではあるが,打撃が全くできないわけではなく,器用にスイッチしたりする場面もある。

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【2位】Omar Tugarev(23)5-0 2ko 3sub ライト級 身長183 リーチ191 対戦相手合計戦績14-10
 IMMAFを中心に長くアマチュアの最前線で戦っており,2022年の欧州選手権ジュニアでは欧州トップアマのYushchenkoやMicovicといった強豪を破り優勝している。昨年末のIMMAF世界選手権2回戦でHabiroraに敗れたのを最後にプロ転向。今年2月に地元フィンランドのCageでデビュー。CageとUAE Warriorsを渡り歩き5勝全1Rフィニッシュ。テイクダウン能力の高いグラップラーでブラジリアン柔術紫帯。安定感はあるものの,現在のところやや爆発力にかける印象。

youtu.be 3戦目

 

【1位】Patrick Habirora(23)5-0 4ko ウェルター級 身長185 リーチ191 対戦相手合計戦績15-10
 欧州のアマチュアシーンで長く存在感を示していた選手。昨年末に3度目の挑戦となったIMMAF世界選手権で優勝し,プロ転向。AEFでデビューし,1R右ストレートで沈めて素晴らしいスタートも切った。PFLにも早い段階で目をかけられ,PFLEuropeのワンマッチに2度出場した。年間を通して5勝としっかり稼働し,一気に欧州スター候補へと駆け上がった。来年2月のFight And Furious in Octogon 2でJoziro Boye(20-8)との対戦が決まっている。

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隠れ格闘技強豪国ウクライナのプロスペクト紹介(10選)

 格闘技大国ロシアや化け物揃いの中央アジアの影に隠れあまり目立っていないもののウクライナは非常に格闘技の盛んな国です。とくにカザフスタンと並んで近代パンクラチオンの強豪国として知られおり,昨年行われたパンクラチオン世界選手権では全36のカテゴリーで22個の金メダルを獲得しました。そんな隠れ格闘技大国ウクライナのプロスペクトを10人紹介したいと思います。(今回はGnidkoやYakimenkoといったある程度知名度のあるプロスペクトは除いています。)

 

1.Oleksii Kryvets(27)フライ級 6-0 1ko 5sub 身長168 リーチ/
 最後に試合をしてから一年半以上経過していますが,2021-2022年頃に彼のことを見ていた人は今も彼の復帰を待ちわびています。極めの強いグラップラーで2022に行われたTMSチャリティーオープン67.5Kgで優勝しています。中間距離でのパンチに対する反応が良く相手の打撃を掻い潜って組み付き柔道系の投げ技でテイクダウンを奪います。2021年の暮れに当時6-0でイタリアフライ級のトッププロスペクトの一人であったSantoro相手にファーストコンタクトでテイクダウンを奪い1R序盤で仕留めきったことで評価を高めました。前戦のAlmayo戦ではグラウンドでの攻めを凌がれ若干スタミナ切れしてきたところでのアクシデントKO勝利とやや不完全燃焼気味で終えており早く復帰して欲しいと思っています。

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2.Artur Minev(20)ライト級 2-0 1ko 1sub 身長175 リーチ178
 知名度はほとんど無いですが,個人的に注目している選手です。アマチュア時代にNEFライト級王者になっています。シンジゲート所属で先日イリディウムと契約したことを発表しました。キックボクシングに長け,回転蹴りや相手のガードの内側を通す左フックを得意としています。四つのTDDも優れており有望なストライカーです。アマチュア時代,プロデビュー戦と危なげなく完勝してきましたが,前戦のPike戦では相手の右オーバーに対して目線を切って対応し続けざまの左フックを被弾しピンチに陥る場面をみせたもののすぐにリカバリー。いい経験になったと思います。前回の試合からもうすぐ一年が経ちます。そろそろ次戦が決まってほしいなと思っています。

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3.Egor Kostyuchenko(26)ウェルター級 5-0 1ko 2sub 身長185 リーチ185
 2019GAMMA世界選手権優勝,2021パンクラチオン世界選手権準優勝とプロデビュー前から輝かしい実績を残しており,元Bellatorウェルター級王者アモソフの練習仲間でもあります。レスリングが強力な選手で,低く鋭いタックルで相手を捕まえるとグラウンドゲームに引きずり込んで肩固めやRNCでフィニッシュを狙います。2022年以降しばらく試合から遠ざかっていましたが,今年5月のXFCで復帰。フレームの長いストライカーStargel相手に右のミドルキックで主導権を握り,タックルからしつこいケージレスリングを展開。しんどい試合をやり切って判定勝ちしています。

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4.Adam Zhaudat El-Faran(21)ウェルター級 3-0 3ko 身長184 リーチ/
 21歳とは思えない風格を漂わせているウクライナの重戦車です。スポーツマスターの称号を持っており,トルコで行われたBudo世界選手権で優勝しています。Naizaを主戦場にしており,過去2試合は対戦相手に何もさせずに1RKO勝利しています。Makhkamboev戦ではカウンターのジャブでダウンを奪い,サイドポジションで圧倒的な安定感を見せています。これまでの対戦相手はどれもかなりの格下相手のため実力がどの程度か分からない選手です。今後のNaizaのマッチメイクに期待しています。

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5.Artem Afanasenko(24)フェザー級 3-0 2ko 1sub 身長165 リーチ/
 2019IMMAF欧州選手権の準決勝で当時17-0二年連続でIMMAF世界選手権を制し,アマチュア最強の一人と目されていたGeorgievを破って決勝に進出(結果は準優勝)したことで名前を知られるようになった選手です。他にもアマ時代にはOktagonで活躍中のKexel,Tichotaにも勝利しています。非常にバランスの良い選手で,スタンドではローキックと左ハイキックを中心に組み立てカウンターの右ストレートも得意としています。2021年にプロ転向すると年一試合ペースで試合を行っていますが,非アクティブなのもあり出世が遅れています。フェザー級としてはかなり小柄で将来的にはバンタム級を主戦場にしていくのではないかと思います。シンジゲート所属でメジャー団体に多数の選手を送り込んでいるRuby Sportsとマネジメント契約しています。

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6.Oleksandr Huliaiev(21)ウェルター級 1-0 1ko 身長/ リーチ/
 今年6月にプロデビューした元アマチュアウェルター級のトップ選手です。2022年にはIMMAF世界ジュニアと欧州ジュニアの二冠を達成。翌2023年のIMMAF世界ジュニアでも準優勝に輝いています。さらに昨年開催されたパンクラチオン世界選手権では,エリート71kg優勝,トランジション71kg準優勝という好成績を残しています。特にエリート71kgでは2022IMMAF世界選手権準優勝のKurelaruやNaizaを主戦場にMMAで11-3の戦績を残しているZhasulan Akimzhanovも出場していたなかで優勝を果たしています。しつこいグラップリングゲームが得意でアマチュア屈指の極め力を持っています。特に印象的なのは2021IMMAF世界選手権一回戦で強豪Furuheim相手にカウンターの左フックでダウンを奪い,肩固めを極めた試合です。グラウンドの方が得意ですが,スタンドでも戦える選手で,2023年のIMMAF世界選手権ではアマチュア屈指のストライカーの一人Charlie Lynch-Spenceと打撃で互角以上に渡り合い勝利しています。

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7.David Allakhverdiev(23)ミドル級 5-0 1ko 4sub 身長187 リーチ/
 2022コンバットサンボ世界選手権ユースジュニアで優勝しているサンビストです。スタンドでは強烈なローキックを放ち,組むとウクライナ王者に輝いているバックボーンの柔道仕込みの足技でテイクダウンを奪い多彩な極め技でフィニッシュを狙います。まだまともな相手とやっていないので評価は難しいですが,今後が楽しみなプロスペクトです。

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8.Roman Kiziuk(23)ライトヘビー級 am7-1 1ko 身長/ リーチ/
 欧州最強のアマチュアライトヘビー級の選手です。2023年のIMMAF世界シニアを圧倒的な強さで優勝しています。特に決勝戦で当時15勝2敗2018年のIMMAF欧州選手権優勝者であるCrocker相手にレスリングで圧倒。一度も主導権を渡すことなく文字通り完封して見せた試合が印象的です。またパンクラチオンのPFPの一人でもあり92kgで世界選手権を連覇しています。特に2021年のパンクラチオン世界選手権ではNaizaやEagleFCで王者に輝いているErmekov(19-6)を破って優勝しています。全局面ハイレベルな選手で早期のプロ転向が期待されます。

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9.Kyrylo Kolomiets(23)ウェルター級 4-0 4ko 身長189 リーチ/
  組技主体の選手が多いウクライナ勢のなかで異彩を放つ長身ストライカーです。アマチュアでも11-2の戦績を残しており,GAMMAの欧州選手権を二連覇しています。特に2022年の欧州選手権はロシアウクライナ戦争に参加し前線で戦うなかで戦場を一時離れて参加し,5試合中4試合でKO勝ちし,圧倒的な強さで連覇を達成しました。2023年にプロデビューし,ここまで4試合全てKO勝利しています。卓越したキックボクシング技術を有しており,強烈なローキックと回転蹴りを多用し,長身から打ち下ろす右ストレートが強力です。相手が頭を下げるとアッパーを狙います。タイクリンチからの膝も非常に強力です。ハイペースで手数の多いストライキングゲームを展開します。

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10.Ivan Yushchenko(20)ライト級 am12-1 2sub 身長/ リーチ/
 ウクライナの未来を背負う若き天才です。2021IMMAFユースの世界選手権で優勝し,頭角を現すと,2022年のIMMAF欧州選手権で準優勝し,同年のIMMAF世界ジュニアを18歳の若さで制覇。昨年のIMMAF世界ジュニアでは前年度以上の強さを見せて連覇を達成しています。アマチュア最強のジャバーでレスリングにも優れています。2022年のIMMAF世界ジュニア決勝のMikayelyan戦では拮抗した試合をスタンドの正確性と3R終盤のテイクダウンで勝ち切りましたが,昨年のIMMAF世界ジュニアでは進化したリードジャブを存分に操り圧倒的な強さで優勝しています。またコンバットサンボでも2021年欧州王者に輝いています。まだ若くプロ転向は先になるかもしれませんが将来的にウクライナMMA界を引っ張っていく存在になることは間違いないでしょう。

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今季屈指の豊作週。北米屈指のプロスペクトが参戦!

 DWCSweek4は今季屈指の豊作週だと思います。先週があまり良くないカード揃いだっためかなり落差がありますね。最大の注目はやはりBashiですが,SalkilldやCavalcanti, Youngも見どころのあるプロスペクトです。私は女子の試合には疎いので,今回は全4試合の予想になります。

第一試合Quillan Salkilld vs Gauge Young

Quillan Salkilld(24)6-1 2ko 3sub 身長183 リーチ/ 個人的注目度B
 EternalMMAライト級王者です。過去にはRoad to UFCのワンマッチが決まっていましたが,原口選手の対戦相手が体重超過した代役としてSalkilldの対戦相手が抜擢されたため試合が自然消滅してしまったという悲しい過去があります。ブラジリアン柔術茶帯を保持しており,スタンドでもグラウンドでも決定力のあるオールラウンドフィニッシャーです。オーソドックススタイルで対オーソに対しては膝裏へのローキックと前蹴り,対サウスには右ミドルで組み立てます。ボクシングが上手く右ストレートは伸びがあり,左アッパーや左フックも殺傷力があります。コンビネーションも多彩でボディを混ぜたりパンチと蹴りを混ぜたコンビネーションも使用します。テイクダウンはダブルレッグで奪うことが多く,リストコントロールを上手く使って相手を立たせず,強力なパウンドを放ってきます。ケージレスリングも上手く,スタンドバックからの崩しが非常に上手いです。極めも強く,肩固めとRNCをよく狙います。Pastore戦で5Rを戦い抜きカーディオについての疑問も解消済みです。TDDはあまり良くないものの下になっても足が効く選手で三角や腕十字も積極的に狙ってきます。スタンドでは蹴りにパンチを合わせられるシーンが見られましたが,明確に効かされる場面などはありません。

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最近の試合はFightPassで見ることが出来ます。

 

Gauge Young(24)8-1 5ko 1sub 身長175 リーチ/ 個人的注目度C
 キックボクシングをバックボーンに持つストライカーです。最近はキャッチウェイトでの試合が多くライト級(155LBS)体重で試合するのは約一年半ぶりになります。基本オーソドックスで強力なカーフキックとジャブを軸に組み立てる選手です。個人的にはカーフキックの印象が強くFAC22のEverett戦ではほぼカーフキック2発で試合を決めています。その他には前蹴りと右オーバーを多用します。スイッチはほとんど使わないですが,瞬時にサウスにスイッチしての右のリードフックが非常にコンパクトです。前手のガードが低く,右フックを被弾する場面が何度か見られました。頻度は多くないものの,テイクダウンも混ぜる選手で,右のオーバーを振ってからシングルレッグに行く動きは繋ぎがスムーズで質の高い攻撃です。組みで相手をコントロールする力はそこまでなく,寝かせても極めがある選手ではないので自分から積極的にTDに行くことはあまりないです。

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【カード注目度】B
 SalkilldがYoungのカーフキックに適切に対応出来れば,スタンドではかなり有利に進めるのではないかと思います。やはりボクシング勝負ではSalkildの方が一枚上手だと思います。Youngはカーフキックと右オーバーに活路を見出したいです。基本的にストライカーですが,この試合に関してはYoungが組みを選択する可能性も大いにあると思います。階級を下げて出てくるYoungの方がフィジカル面で上回っている可能性も高く,右オーバーからのシングルレッグでTDを奪う場面は作れると思います。ただ寝かせてもSalkilldはうるさくYoungのトップキープ力も未知数であるため三角や腕十字を極める可能性も考えられます。私の予想としては,スタンドでYoungのカーフキックを被弾する場面も見られるものの,Salkilldの左アッパーや右フックがYoungを捉え,スタンドで劣勢になってきたYoungがTDを奪う場面も見られるも,ラウンドを取れるほどトップコントロールし続けることは出来ず,Youngのガスが切れてきた終盤にSalkilldがパンチをまとめてKOすると思います。

 

第三試合 Austin Bashi vs Tommy McMillen

Austin Bashi(22)12-0 3ko 4sub 身長160 リーチ/ 個人的注目度A
 元Shamrock FCバンタム級王者で現Lights Out Championship2階級王者(バンタム級&フェザー級)北米トップクラスの有望株です。ネイティブMMA世代で8歳からMMAのトレーニングを行っています。幼いころから,柔術やムエタイの試合を行っており,高校時代にはレスリングでも実績を残しています。柔術ではIBJJFNogiWorlds茶帯優勝という実績を残しています。選手タイプとしては,ボクシング&レスリングという典型的な北米スタイルです。基本的にはオーソドックススタイルですがスイッチを多用する選手で,サウスポーはどちらかというとディフェンス重視の際に使うことが多いです。スタンドではジャブやカーフで組み立て前蹴りも効果的に使用します。両スタンス共に奥手のストレートが上手く,特にオーソドックスでは前後にステップを踏みながら早い踏み込みで飛び込み右ストレートを放ってきます。蹴りの打ち分けも得意で,右のハイキックとサウスにスイッチしての右ミドルが良い印象を受けました。ディフェンス面での課題もいくつかあり,特にケージ際で止まることが多く,パンチをまとめられるシーンもたびたび見られました。またAskar戦ではアッパーをクリーンに貰う場面があり,そこの対応を気になります。最大の武器はレスリングでどちらのスタンスからも低く早いタックルをすることが出来ます。シングルレッグやダブルレッグで多くテイクダウンを多く奪っていますが,タックルで取り切れなくてもケージ際までドライブしてケージレスリングの展開から崩して寝かせることも得意です。ただ打撃とレスリングはあまり連動しておらず,タックルは単発で入ることが多いです。グラウンドではバックテイクが上手く,非常にタイトな四の字ロックから得意のRNCを狙います。RNCはパームトゥーパームでも極めることが出来ます。体重のかけ方が上手くバランス感覚もいいためトップコントロールも上手いです。パウンドは一発の威力はそこまで無いものの,手数が非常に多いです。5Rの経験もありカーディオにも不安はありません。22歳にしては完成度がずば抜けていて,レジュメも充実しており元CageTitans暫定バンタム級王者のPenafielや元CageSpotバンタム級王者で対戦当時8-1のSan Jose,LFA5-2でメインイベンターも務め対戦当時14-3のAskarに勝利しています。元々はフィニッシュ力が課題の選手でしたが,現在は4戦連続フィニッシュ中でどんどん完成されていっています。ただ今回は最大の不安として主戦場のバンタム級ではなくフェザー級での試合ということがあり若干きがかりです。

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Tommy McMillen(26)6-0 3ko 3sub 身長180 リーチ/ 個人的注目度D
 デビュー以来Fusion Fight Leagueで戦っており,非常に試合映像が少ない選手です。前戦ではFFL150LBSのキャッチウェイト王者に戴冠しています。レスリングがバックボーンにあるようですが,ハイライトではレスリングの展開は見られず未知数です。スタンドではオーソドックスからの右のハイとミドルを蹴っていてパワーはありそうでしたが,モーションが大きく,遅かったです。前手の打撃は見せておらず,右のストレートとアッパーを放っていました。リーチが長くアッパーが良く届く印象です。同じ理由からパウンドもよく届きます。全体的に粗く映像も少なく伸びしろ十分という感じですが,まだUFCどうこうといったレベルではないように感じます。

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試合映像がないためPV的なやつを載せてます。

 

【カード注目度】B
 この試合で最大の鍵になってくるのが両者のサイズ差です。元々バンタム級でもかなり小柄な部類のBashiは常に自分より大きな相手と戦ってきていますが,McMillenは過去最大クラスの相手です。今まで以上に踏み込まないと打撃は当たらず,完全に寝かしつけるのもいつも以上に大変になってくると思います。ただ選手としての完成度にかなり差があるためBashiにはここをしっかり超えてもらいたいなと思います。スタンドは喧嘩四つで進行し,BashiはカーフキックMcMillenは右ハイキックや右ストレートといった大きな攻撃でプレッシャーをかけてくると思います。BashiはMcMillenが詰めてきたところにカウンターのタックルを合わせTDを奪いたいと思います。寝かせてさえしまえばBashiが圧倒すると思いますが,怖いのはMcMillenの右アッパーです。Askar戦でアッパーへの対応に不安があるBashiなのでケージ背負わされた時やタックルにアッパーを合わされるのは非常に怖いですが,McMillenは奥手奥足の攻撃偏重なので右の攻撃だけしっかりケアしていれば容易に対応できると思います。私の予想としては,BashiがMcMillenの打撃のプレッシャーを受けながらもカウンタータックルでテイクダウンを奪いパウンドを打ちつつ削る展開が続き,3RにバックテイクからRNCでフィニッシュすると思います。

 

第四試合 Will Currie vs Djorden Santos

Will Currie(25)12-3 4ko 6sub 身長191 リーチ/ 個人的注目度D
 Cage Warriorsのレギュラーメンバーで,若いながらも長い間CWミドル級の上位陣と鎬を削ってきている選手です。サウスポーで極めの強い選手です。基本的な攻撃は左ミドルや前蹴りで,時折オーソドックスにスイッチしてのカーフキックも使います。シングルレッグやケージレスリングから崩してグラウンドに持ち込むことが多く,バックテイクが非常に上手です。あまりポジションに拘らない選手で,積極的に相手を動かしながらサブミッションを狙う攻撃的なグラップリングを展開します。ハーフバックの状態で脇の下から打ち込むパウンドやトップを取っての肘のパウンドも強力です。リストコントロールも上手くグラップリングは攻守共にハイレベルです。課題は打撃とレスリングです。蹴りの時のガードはしっかり上げていることが多いのですが,蹴り終わりに体が正面を向いてしまうことが多くです。パンチに対してもガードを上げて対応するものの,受け方が悪く印象が良くないです。レスリングは弱くはないものの,トップに比べると一枚も二枚も足りていない印象で,Stanton戦ではスクランブルで競り負けたのが敗因に一つになっていました。これまでタイトル目前のCLDとの2戦やStantonとのチャンピオンシップでの敗戦と自身が目標に掲げていたCWのベルトを取り切れずに今回参戦となっています。トップ層には及ばないという評価を覆すことが出来るのか注目です。

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Djorden Santos(27)9-1 3k 4sub 身長183 リーチ/ 個人的注目度E
 Thunder Fightミドル級王者です。元々2021年まではヘビー級・ライトヘビー級を主戦場にしており,2023年約一年半の空白期間を経てミドル級ファイターとして復帰しています。そこから今回までまた1年半ほど空いており,かなり未知数な選手です。スタンドではオーソドックススタイルからジャブを多用しますが,命中率はかなり低い印象です。その他には膝裏へのローキックもよく使っています。真っすぐ系の攻撃を多用しますが,全体的に伸びが無くワンツーも全く伸びません。距離が近くなると組み付いてケージレスリングの展開からスタンドバックを奪うのが得意ですが,ケージレスリングで膠着状態になることも多いです。打撃のDFで気になるのは左フックのDFです。全体的に小さくまとまった選手の印象で,怖さはない印象です。ブラジル勢は人材豊富なだけにもっとブッキング頑張れよ!と思ってしまうような選手です。この1年半で何が変わっているのか。

www.youtube.com

試合は動画1:49:00ごろからです。

 

【カード注目度】E
 スタンドでは基本的に喧嘩四つで進んでいくと思うので,Currieの左ミドルが刺さると思います。蹴りにカウンターを合わせられるのが怖いですが,Santosのパンチの伸びを考えるとさほど警戒する必要はないのかなと思います。Santosはワンツーをヒットさせたいですが,距離も遠く,ガードも堅いCurrieを効かせるのは難しいと思います。Santosが勝利するパターンとしてはスタンドでCurrieを押し込みケージ際で組み付いてクリンチコントロールで長時間キープもしくは,ケージレスリングからTDしてトップキープして判定勝ちするパターンが考えられますが,レスリングで上回ることと,スタンドで距離を潰すことの2点が必要になってきますが,私は,レスリング力でCurrieの方が上回っていると思います。私の予想としては,Currieが左ミドルを軸にスタンドで上回り,シングルレッグからTDを奪いトップからパウンドで削り,中盤以降でRNCで一本勝ちを奪うと考えます。

 

第五試合 Igor Cavalcanti vs Seok Hyun Ko

Igor Cavalcanti(26)9-0 7ko 2sub 身長181 リーチ202 個人的注目度C+
 Inside Fighter's Leagueウェルター級王者です。試合映像はおろかハイライト映像すらほとんどなく過去最高レベルで未知数な選手です。しかし以前からちらほら海外格オタ間で名前は聞いており,私自身も試合を見たことすらない状態でDWCS出場者予想に名前を挙げていました。ブラジリアン柔術茶帯で多くの実績を上げており,Brasileiro De Jiu-Jitsu2019優勝,Champions League de Jiu-Jitsu2020優勝,そしてムンジアルでも優勝しています。ウェルター級屈指のリーチも持っていて未知の大器です。

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Seok Hyun Ko(28)10-2 6ko 身長178 リーチ/ 個人的注目度D
 AFCのウェルター級とミドル級の2階級制覇している選手です。サウスポースタイルのストライカーで,右のリードジャブを多用します。サウス相手にはカーフキックも使ってきます。左のストレートが最大の武器でカウンターパンチとしても機能します。コンビネーションは左ストレートからの右フックが多いです。スタンドで気になる点としては,打撃の打ち終わりに体が流れて相手に背中や側面を向ける場面が何度か見られた点と自身から見て右側の攻撃(特にサウスポーの左オーバー)の被弾が多い点です。Yun Jae Jung戦ではボディロックからTDしてトップを取る場面も見られましたが,すぐに立たれているうえ,ダブルレッグから複数回TDを許しており,レスリング力はそこまで高くないと思います。グラウンドで下になる場面は映像では確認できませんでしたが,Cavalcantiの柔術実績を踏まえると寝技勝負に持ち込まれると分が悪いと思います。

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【カード注目度】C
 Cavalcantiが未知数すぎるため予想のしようがないですが,Cavalcantiの未知の幻想に乗っかって1RSub勝ちを予想します。唯一見た試合でCavalcantiがオーソドックスだったため喧嘩四つの展開を想定するとHyun Koはカーフもジャブも使いづらいと思います。またHyun KoはTDDがあまり良くないためCavalcantiがダブルレッグからテイクダウンし,素早いバックテイクからRNCを極めるのではないかと思います。

 

個人的に期待値の高い週です。bashiとSalkilldにはぜひ良いパフォーマンスを見せて契約してほしいと思っています。Cavalcantiはどうなるか分からないですが,その未知数な感じが非常にワクワクします。今週はWellmakerとDuffyがいい意味で期待を裏切ってくれました。来週はCurrieがその枠になるかもしれません。非常に待ち遠しい一週間になりそうです。

DWCS Week 3 今季最大の谷間週も見どころある選手もちらほら...

 現時点で発表されているDWCSカードで考えると最も薄い週といっていいでしょう。UFC参戦へ準備が出来ている選手は2,3人ほどしかいません。勝敗もそうですが,勝者にもDanaが契約を与えるかどうか注目したいです。

第一試合 Jack Duffy vs Nick Piccininni

Jack Duffy(28)7-0 2ko 4sub 身長170 リーチ/ 個人的注目度D
 アルファメールとNexus Jiu Jitsu所属のグラップラーです。ブラジリアン柔術黒帯を有しており,素早いバックテイクからのRNCが得意パターンです。スタンドでは時折スイッチする動きを見せますが,スイッチの精度はさほど高くないです。蹴りを軸に組み立てる選手で,オーソでの右ハイキックや右ローキックを多用します。蹴り終わりのガードが空きがちで,蹴りにカウンターパンチを合わされる場面が多く見られました。ダブルレッグでTDを奪うパターンが多いですが,これまでの対戦相手はレベルが低く,実際に見せているTDのパターンも少ないためレスリング力が未知数です。TD後は積極的にパスガードを狙うアグレッシブなグラウンドゲームを展開します。パウンドも上手で相手をしっかり削ることが出来ますが,極めを積極的に狙うためポジションを奪われることもある選手です。グラウンドゲームを好む選手ですが,カーディオにも不安があり,3Rまでいくと動きがかなり落ちる印象です。キャリアの途中で3年半ほど空白期間があり,2023年に復帰したばかりでプロキャリアのわりに戦績が浅いため情報があまりなく未知要素も多い選手です。

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かなり古い映像しかYouTubeには無かったので,簡単な彼の紹介動画を貼っておきました

 

Nick Piccininni(27)6-0 5sub 身長178 リーチ/ 個人的注目度C
 大学レスリング通算112-17でNCAAD1のオールアメリカンに3度輝いており,強力なフォークスタイルレスリングのバックボーンを持っている選手でデビュー当時からかなり注目度が高かった選手です。最大の武器は当然レスリングですが,打撃も様になってきている印象です。オーソドックスでスタンドではジャブを軸に戦います。前戦からは前蹴りも使い始めています。パワーパンチはほとんどが右のストレートです。武器が少ないため対応されるとカウンターを浴びることもあり,Rodriguez戦では右のストレートの打ち終わりにカウンターの左フックを浴びてダウンを喫しています。ローキックへの対応が気になりましたが,ガードを高く上げた構えに加え細かなボディワークを非常に多く入れており,2戦前からは右のストレートの打ち終わりに頭を潜らせる動きを加えており,DFの意識はかなり高いように感じます。チェーンレスリングが強力でシングルレッグからダブルレッグへの移行など流れるような動きでTDを奪います。グラウンドゲームは非常に上手で,強力なパウンドと得意技の肩固めでフィニッシュを狙います。攻撃的なオフェンシブグラップリングを展開し,TD後は積極的にパスガードを狙ってきます。特にニーオンベリーからのマウント奪取がスムーズです。

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彼の直近の試合はほとんどFightPassで見れるので,ここでは練習映像を貼ってます

 

【カード注目度】D
 どちらもグラウンドゲームを強みとしているグラップラーですが,スタンドとレスリング力でPiccininniがかなり上回っているように感じます。DuffyがPiccininniからTDを奪うのはかなり困難であるため,スタンドとグラウンドどちらで戦うかの決定権はPiccininniにあると思います。私の予想としては,Piccininniがジャブを突きつつ,蹴りの距離を潰し,距離が近づいたところで右のストレートを振りながらダブルレッグでTDを奪いに来ると思います。DuffyのTDDは未知数ですが,Piccininniのレスリング力を考えるとTDを奪われると考えるのが自然でしょう。Duffyは黒帯柔術家のため下からの仕掛けもある程度持っていると思われますが,Piccininniのトップを取った時の圧力が素晴らしいことに加えて,Gonzalez戦でアームバーへの完璧な対処を見せていたため,仕掛けは潰されると思います。Piccininniがトップポジションをキープしつつパウンドで削り,Duffyのガスが切れてきた2R終盤以降に肩固めでのフィニッシュを予想します。

 

第二試合 Malcom Wellmaker vs Adam Bramhald

Malcom Wellmaker(30)7-0 3ko 2sub 身長175 リーチ/ 個人的注目度D
 ConflictMMAバンタム級王者です。選手タイプとしてはまとまったオールラウンダーで基本的になんでもそつなくこなしますが,どれも明確に強みになるほどではない印象です。スイッチファイターで相手のスタンスに合わせて相四つで戦うことを好みます。どちらのスタンスでも基本的にローとジャブを中心に組み立てる選手で,サウスだと前手のフック,オーソだと奥手のフックを多用します。近距離ではエルボーを積極的に狙ってきます。また蹴りにカウンターを合わせるのも得意です。スタンドの不安点はローキックへの対処があまり良くないことが挙げられます。組みも混ぜる選手ですが,タックルでTDを取るというより組んでから崩してTDするタイプで特に足技が多彩な印象。大内刈やボディロックからの小外掛けでTDを奪う場面が見られました。極めがあるイメージはないですが,グラウンドでのコントロールはそこそこ出来る選手です。TDDはまだあまり見せていませんが,シングルレッグへの対応は良いです。ただ,組まれると簡単に背中を見せてしまうという懸念点もあります。レジュメは薄く,一応DWCS出場経験のあるMooreに辛勝していますが,そこまで価値のある相手ではないです。

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Adam Bramhald(30)13-2 6ko 4sub 身長178 リーチ/ 個人的注目度D
 11連勝中の現Caged Steelバンタム級王者です。オーソドックスのストライカーで自身のスタイルをムエタイや空手などの伝統的な打撃技術と,現代の西洋ボクシング,オランダ式キックボクシング,日本のキックボクシングのゲームを融合したスタイルであると語っています。フレームの大きな選手で,長いジャブが特徴です。手数の多いアグレッシブなファイトスタイルで,ジャブ以外にも前手のうるさい選手です。打撃は単発で終わらず,ワンツースリーまで繋げてくることも多く,最近はコンビネーションの終撃に膝裏へのローキックを持ってくるパターンが多いです。際でのエルボーも得意としています。懸念点としては頭があまり動かないことと,カウンターの被弾が多いことです。止まって打ち合うことも多く,打撃のディフェンスは結構危なっかしい印象です。TDDはそこそこで小手を巻いて投げてディフェンスすることが多いです。寝かされても長い足を活かした三角の仕掛けが厄介で,ダース系のチョークも得意としています。

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【カード注目度】D
 BramhaldがオーソドックスのためWellmakerはサウスポーでくる可能性が高いと思います。喧嘩四つで距離が遠いためお互いに前手のパンチ交換と奥足の蹴りがカギになってくると思います。ジャブの精度ではフレームでも優っており,相手のインサイドを取るのが上手なBramhaldが上だと思います。Wellmakerはジャブを刺し合うよりもジャブに前手のフックを引っ掛けることを狙ってくるのではないでしょうか。それと同時にインローの蹴り合いも注目です。ここでもWellmakerはローの対処に不安があります。私の予想としては,スタンドで劣勢を強いられたWellmakerが組みに行き,Bramhaldはクリンチからの膝などで削っていきます。ここでTD取れないと苦しくなりますが,ボディロックからのTDは何度か成功する場面もあると思います。しかし,WellmakerがBramhaldを漬けきるイメージはあまり湧きません。そんため私は,判定でBramhaldの勝利を予想します。

 

第三試合 Marco Tulio vs Matthieu Duclos

Marco Tulio(29)11-1 7ko 1sub 身長185 リーチ189  個人的注目度C+
 昨年に続き2年連続での参戦となるシュートボクセ・ディエゴリマ所属のオールラウンダーです。昨年のDWCSではGrory戦士Belgaroui相手に判定勝ちしたものの,契約は結べませんでした。オーソドックスでスタンドでは上下に散らせるジャブとカーフ&インローで組み立てることが多いです。右のオーバーが非常に強力でプレッシャーをかけると右に回って逃げる相手を左フックで追いかけることが多いです。また回転蹴りも得意でボディに叩き込むことが多いです。距離が近づくとシングルレッグやボディロックからの小外掛けでTDを狙います。レスリング力は中の上くらいだと思いますが,寝かしたあとのコントロールが非常に上手です。極めはないものの,ニーオンベリーなどを使い巧みなマウントコントロールから強力な肘のパウンドを落としてきます。ロープで行われたFranca戦ではTDを何度か取られていましたが,ケージで寝かされている場面はあまりなくTDDは未知数です。DWCS組のなかでもレジュメは充実しており,UFCレベルの実力を持ち合わせていることは証明済みです。

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Matthieu Duclos(29)6-2 5ko 身長191 リーチ196 個人的注目度E
 フランス圏を中心に非常に人気の高いストライカーです。登録者100万人以上と欧州圏で高い影響力を誇るフランスの格闘技雑誌Karate Bushidoの公式YouTubeチャンネルに何度も出演しており,その中でストリートファイトなども行っています。MMAファイターとしての実力はかなり微妙で人気や知名度がDWCS出場の大きな要因になっていると思います。スタンドはパワー頼みでかなり粗いです。精度はかなり低いですが,時折スイッチを見せます。どちらかというとサウスポーの方が安定しているように見えます。どちらのスタンスでも奥手のストレートと前手のフックを多用しますが,パターンは少なく攻撃は淡泊な印象です。組みも混ぜてくる選手で,ボディロックからの小外掛けやシングルレッグでTDを奪い,パウンドアウトを狙い,ハーフバックの状態からでも強力なパウンドを放ってきます。ガードの低さとアクションの大きさによって動きが緩慢に見えることから打撃のDFにはかなり不安があります。サブミッションDFに関しても足関節への対応が遅れるシーンがあり懸念材料は多いです。レジュメは薄く倒してきた相手はほとんど評価出来ない選手たちですが,唯一GFC王者のEgnatashvili(8-2対戦当時3-0)に勝利しています。

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【カード注目度】D
 この試合は両者の実力差がかなりあるように感じます。Duclosはパワーと勢いにまかせた一発を狙ってくると思いますが,昨年のDWCSで元Gloryのトップ選手であるBelgaroui相手にスタンドで完封して見せたTurioを仕留めきれるとは思えないです。Turioは組んでも戦えますが,おそらく打撃主体でくるのではないかと思います。予想としては,Turioがカーフとジャブで圧力をかけつつ,ケージ際で右のオーバーや左フックを当ててKOするのではないかと思います。

 

第四試合 Michael Aswell vs Bogdan Grad

Michael Aswell(23)9-1 5ko 身長173 リーチ178 個人的注目度E
 Texas Kidの異名を持つ現Fury Fcフェザー級王者です。選手のタイプとしては,オーソドックスのストライカーで,ワンツーをかなりの高頻度で使います。蹴りはほとんど使わない選手で,パンチのみで戦うスタイルですが,8割の攻撃がジャブと右ストレートで構成されています。2戦前から若干ボディワークが増えた印象で,ジャブの質も上がったように感じます。最大の武器である右ストレートは上下に打ち分けてきます。近い距離になるとアッパーを放ってくることもあります。ディフェンスはかなり改善点が多い印象です。頭が動かない印象で,特にストレートの打ち終わりが危険で,Altum戦では右オーバーのカウンターを貰いかなり効かされていました。またフック系のパンチへの反応が悪く,蹴りのDFもよくない印象です。TDDは微妙で,DelValle戦ではシングルレッグからTDされていました。寝かされるとすぐにバックを見せる傾向がありますが,これまで見せたグラウンドの展開の多くは北米屈指のグラップラーDelValleとの対戦で見せたものであり,必要以上に評価が下がっている可能性があります。

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試合開始は動画1:36:00ほどから

 

Bogdan Grad(28)13-2 8ko 3sub 身長173 リーチ178 個人的注目度D
 昨年のDWCSでNolanに1RKO負けを喫してから,Cage FSで2戦連続良い内容のフィニッシュ勝ちを収めて2年連続の参戦を手繰り寄せました。選手のタイプとしては割となんでもそつなくこなすオールラウンダーという印象です。スタンドではジャブを軸に組み立て,レベルチェンジの動きを時折混ぜてきます。回転蹴りや飛び膝といった一発のある攻撃も備えています。スタンドでのDFは危ない場面も多く,右の強打を打つ際に体が開きがちで,返しを貰いがちな印象です。また前蹴りにもパンチを合わされる場面がありました。カーフキックへの対応もあまり良くない印象です。グラウンドではボトムポジションからの仕掛けが多彩でオモプラッタやラバーガードも使ってきます。下からのエルボーやアップキックなどうるさい攻撃もあり,寝かされるのを嫌がらないゆえにTDDはかなり疎かにしている印象です。

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直近の試合はほとんどFightPassで見れます

 

【カード注目度】E
 Aswellは割とやることが決まっている選手なので,Gradの出方が試合の展開を決めると思います。Gradは前蹴りやミドルで距離を取りつつ,Aswellのワンツーの飛び込みに対応してくると思います。Gradはスタンドでのポジション取りが上手くケージを背負う場面が少なく中央で戦えるためAswellのワンツーは当たらないと思います。そのままスタンドでコントロールすることも出来ますし,飛び込みにカウンターで組み付いて得意のバックテイクからコントロールすることも考えられます。いずれにせよ私の予想としては,スタンドでもグラウンドでもGradがコントロールしての判定勝ちを予想します。

 

第五試合 Andrey Pulyaev vs Liam Anderson

Andrey Pulyaev(26)8-2 5ko 2sub 身長196 リーチ/ 個人的注目度E
 今季二人目のロシア人ファイターでキャリアの多くをShlemenko FCで過ごしています。2020年には,RCCのリアリティーショーであるRoad to RCCにも出場していました。長身サウスポーで彼のことは今回のDWCS参戦のニュースで知り,過去の試合を数試合見てみましたが,全然良く見えませんでした。人材豊富なロシアのなかで選ばれたのが彼だったのは非常に残念です。レジュメはかなり薄く大勝している試合はどれも相手がかなり酷いためまったく参考になりません。スタンドでは左ミドルが良く見えました。長さがありやりようによっては厄介ですが,過去の試合を見る限り,打撃はローカルでも並のレベルに感じました。グラウンドゲームの方が決定力があり,長いリーチを生かしたパウンドは厄介です。打撃のディフェンスとレスリング力に懸念があり,打撃は右に回って対処することが多いですが,サウスの左オーバーをかなり被弾していました。またタックルは基本的に高く,フィジカルがあるタイプでもないので,グレコローマンレスリングも弱いです。シングルレッグを多用しますが,クリーンに取っている場面はほとんどないです。足のロックが上手く,バックキープは上手い選手なので,ポジションを取るまでが課題の選手です。

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この試合で彼の底が見えた気がします

 

Liam Anderson(29)6-2 2ko 4sub 身長191 リーチ188 個人的注目度E
 10th Planet Rochester所属のオールラウンダーです。スイッチファイターで,どちらのスタンスでも奥足の蹴りを上中下に散らしてきます。蹴りに比べ,パンチはかなり雑な印象で,単発で終わることが多いです。中間距離でのパンチにはある程度対応できますが,至近距離でのパンチのDFはあまり良くない印象です。全体的に自分が攻撃に意識がいってる際にDFがかなり疎かになるように思えます。テイクダウンも混ぜてくる選手で,ケージ際でのダブルレッグや出足払いなど組んでからの足技でテイクダウンを奪います。極めは強いわけではないものの平均以上で過去には肩固めやRNC,三角絞めで勝利しています。ディフェンシブグラップリングはあまり良くない印象で,過去にはシングルレッグや小手投げでTDを許しており,下になるとハーフガードで固められる場面が見られました。レジュメは薄く,評価出来るような選手には勝利していません。

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【カード注目度】E
 この試合も喧嘩四つで展開していくと思われます。互いにミドルキックを軸に組み立てるタイプですが,パワーでAndersonが上回っているように見えます。Pulyaevはこれまでフレームでかなりアドバンテージを取れる相手との対戦が多く大型のAndersonの打撃には苦戦すると思います。PulyaevはシングルレッグからのTDを狙ってくると思いますが,フィジカルでAndersonが上回っているためTDを取るのは難しいと思います。シングルレッグからケージ際に押し込んで膠着状態になる場面が増えるのではないでしょうか。そうなるとPulyaevの方が先に消耗し,Andersonが打撃で仕留めると思います。私の予想としては,3RでのAndersonのKO勝ちを予想します。

 

正直必見の試合は無いですが,PiccininniとTurioくらいは抑えておいてもいいかもしれません。

MMA界に風穴を開けることは出来るのか?2025年始動の新団体Global Fight League

 ちょこちょこ情報は出ていたのですが,正式に来年スタートする旨の発表があったのでここらへんで現在出ている情報をさらっておきたいと思います。

MMA Events & Fighters: Global Fight League

 Global Fight League(GFL)は元を辿れば数年前に構想が上がっていたWorld Fight Leagueが母体となっています。創設者でありコミッショナーを務めるのはAFCやWPCを手掛けたDarren OwenでF3エナジーのCEOで新興団体UFLのCEOも務めるHarrison Rogersも多額の出資をしています。

 GFLは世界初のチーム制国際総合格闘技リーグを目指すとしており,プロリーグ構想を持っています。複数のチームがファイターをドラフトし,リーグ戦を行うというのが大枠ですが,プレリリースによると48人の男性ファイターと16人の女性ファイターがファーストチーム契約を争い3大会に分けて開かれる8つのトーナメントの1つに出場すると説明されており,このトーナメントを勝ち抜いた選手がドラフトにエントリーするのかと思っていましたが,既に2人の選手のドラフトエントリーが決定しているうえ,2025年の1月にドラフトが開始されるようなのでこのトーナメントがどのような位置づけになるかよく分からないことになっています。

 チームと契約した選手は従業員に分類され,契約,健康保険,年金制度が保障されるようです。またGFLはリーグの収益の50%を選手に還元すると宣言しています。UFCの収益還元率が17%,旧Bellatorの還元率が45%ほどであることを考えるとこれだけ聞くとかなり選手ファーストの団体のようにも思えます。現在4つのチームが発表されていて公募によって名前が決定されています。(California Assassins,LasVegas Gladiators,Phoenix Outlaws,Texas Diablos)

 最近の発表で2025年の1月にドラフトが開始され,2025年の4月にシーズンが始まるというのが分かりました。

mmagfl.com

【現在ドラフトエントリー済みのファイター】

Dominick Meriweather(32)ウェルター級 8-1 4ko 3sub

www.tapology.com

Cleiton Silva(38)ライトヘビー級 16-4 8ko 4sub

www.tapology.com

 同じように国際的なMMAリーグ構想を持って始動したUFLはコロナの影響もあり徐々にスケールダウンし,そこそこいい選手を揃えていたものの全く業界で存在感をアピールできず...既に厳しい状況になってきています。果たしてこのGFLの挑戦は上手くいくのか見守っていきたいと思います。

↓ GFLのドラフト応募フォームです。参戦希望の方は是非!

mmagfl.com

DWCS Week2 今シーズン最注目選手の一人が登場!

 先週開幕したDWCS Season8。開幕週は4人のファイターが契約を手にし,非常に素晴らしい興行になりました。Week2では今季最注目ファイターの一人Cody Haddonが出場します。彼だけでも絶対に見ておくべきだと思います。

第一試合 Billy Brand vs Cody Haddon

Billy Brand(28)5-1 3ko 身長168 リーチ/ 個人的注目度C+
 チームアルファメールとメインイベントムエタイ所属のストライカーです。彼のことはDWCS参戦のニュースで初めて知りましたが,思ったよりいい動きをする選手だなという印象を受けました。基本的にはオーソドックススタイルで,ジャブとローを中心に攻める王道スタイルです。オフェンス面の武器はなかなか豊富な印象です。特に頭を左に傾けながら打つ右ストレートと打ち合いや接近戦で自身が右にステップしながら引っ掛けるように打ってくる左フックが得意な攻撃です。相手を効かせたあとは,ガードを叩き割る縦肘やガードの隙間を狙う左アッパーで追撃します。ラッシュ時には大振りだけでなく軽打もしっかりと混ぜてくる冷静さも持ち合わせています。このようにオフェンス面ではなかなか厄介な選手であると感じました。直近の試合からサウスにスイッチしたり組みも混ぜてきており引き出しも増やしている印象です。一方で打撃のディフェンスに関しては穴があるように感じました。顔面のパンチに対してはヘッドスリップや半身になって前手と型をL字気味に構えてサイドへ回るディフェンスを多用します。ヘッドスリップでよける動きは過度にやりすぎると相手の圧力を捌ききれずケージ際でパンチを受ける危険があります。またボディに対するディフェンスが甘く唯一の敗戦であるタルボット戦では終盤にボディを効かされました。また私は好みではないのですが試合中に相手を挑発することが非常に多い選手でもあります。特にGuidry戦は目に余るものがありました。ただし実力を証明できれば人気が出そうなキャラクターともいえますね。

 

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Cody Haddon(25)6-1 5ko 1sub 身長170 リーチ177 個人的注目度S
 かなり前から注目プロスペクトとして紹介していた私の推し選手の一人で個人的に今年のDWCS出場者の中でトップクラスに期待している選手です。彼は6歳のころから格闘技を始めており,テコンドー,ムエタイ,レスリング,ボクシング,ブラジリアン柔術と様々な競技を行ってきました。その過程でオーストラリアのジュニアボクシング王者に3度,ブラジリアン柔術のパシフィック王者に4度輝いています。彼の唯一の敗戦は当時Eternalフライ級王者で対戦相手の欠場で防衛戦が消滅したエルセグとショートノーティスで戦って喫したものです。彼はオーソドックスでストライカー寄りのオールラウンダーです。組み立ての重要なカギとなっているのが精度の高いスティッフジャブで打ったあとのポジショニングも上手く攻守両面でハイレベルな打撃になっています。もう一つ得意な武器として左ボディアッパーが挙げられます。これをMMAの距離感で正確に当てられる選手は希少だと思います。また,右のパンチ(フック,オーバー)も当て勘が非常によくこれらを組み合わせた2種類のコンビネーションを多用します。一つ目が右フックから左ボディへ繋げる対角線コンビネーションで二つ目が顔面への右ジャブから入ってクラウチの動きで沈み込んで相手のカウンターをかわしボディを叩いて再び顔面への右オーバーへと繋げるコンビネーションですどちらも非常にハンドスピードが速く強力な武器になっています。また組み際でのダーティーボクシングも非常に得意にしています。スタンドでプレッシャーをかけて相手にケージを背負わせるとダブルレッグやボディロックからの小外掛けでTDを奪うパターンも持っています。TD後は正確なパウンドで削りながら得意のRNCでフィニッシュを狙います。弱点としてTDDが挙げられますがスクランブルも強くフックエスケープなども得意なため漬けられることはほとんどありません。エルセグとフルラウンド戦っている経験からカーディオの心配も少ないです。レジュメはそこまで厚くないですが,オーストラリア屈指のフェザー級WilbrahamをKOしていたり,アマデビュー戦ではのちのONEランカーWilliamsに秒殺勝ち。さらにはエルセグと接戦を演じるなどどれも対戦相手が適正条件ではなかったとはいえ一定の実力を証明していると思います。

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ローカル屈指のベストバウトです。是非ご覧ください!


【カード注目度】S
 この試合は今年のDWCS屈指の好カードだと思います。注目したいのはどちらがジャブの差し合いを制すかという所でしょう。互いにジャブを軸に組み立てを行う選手ですが,Haddonのジャブの方がより精度が高くジャブからツースリーへと繋げる攻撃が多いのでBrandが圧を受けて下がる展開になると思います。最近は組んでくることも多いBrandが距離をリセットするために組んでくるとHaddon得意のダーティーボクシングを展開し左で相手を抑えながらの右ボディアッパーが有効になってくると思います。BrandとしてはHaddonの沈み込む動きに合わせてアッパーを狙うのが効果的かなと思います。HaddonのTDDは良くないとはいえBrandにTDされるのはあまり考えられないので仮にグラウンドの展開が起きるとすればHaddonがTDした場合になると思います。またグラウンドの展開でもHaddonの方が一枚も二枚も上手だと思います。予想としては,2RにHaddonのパウンドアウトかRNCでのフィニッシュを予想します。

 

第二試合 Cameron Rowston vs Torrez Finney

Cameron Rowston(28)8-2 4ko 4sub 身長188 リーチ/ 個人的注目度E
 シティキックボクシングから参戦。フッカーやアデサニヤ,アルバーグなども制したニュージーランドのキックボクシングトーナメントKing in the Ringを二度制しているキックボクシング技術とADCCNZ2位に輝いているグラップリングスキルを持っている長身ストライカーです。長いリーチを生かしたストレート系の連打と軽く上げただけで顔面付近を捉える膝が脅威です。ディフェンス面ではキックボクサーらしくローへの対処が上手い印象ですが前手の攻撃は結構貰っている印象です。TDDは良くないですが,寝かされても長い脚を活かした三角の仕掛けなどを持っています。自らタックルに行くこともありますがそこまで上手くはない印象です。グラウンドの展開でトップを取ると強烈な肘のパウンドで相手を削ります。しかしここ4年間でMMAの試合を一度しか行っておらず,今回も二年ぶりの試合ということで現在の姿はかなり未知数です。

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Torrez Finney(25)8-0 6ko 1sub 身長173 リーチ192 個人的注目度D
 昨年のDWCSにも出場し勝利したものの,契約出来ず2年連続での参戦です。高校レスリングで実績を残していて,高校3年時に40勝0敗の成績を残し二度の州王者に輝いています。文武両道で大学でも高校でも学業優秀者として表彰されています。またブラジリアン柔術の紫帯でもあります。経歴からもわかる通り彼はTDからのGnPを得意としているレスラーです。身長は階級でも最低クラスですがリーチは非常に長く,組手が多少悪くてもクラッチを組むことが出来ます。しつこいレスリングが信条のためケージレスリングで膠着状態になることも多い選手です。スタンドは武器がほとんど無いですが,前戦で強烈な失神KOを見せた右のオーバーは当たれば強力です。ディフェンス面では前腕と肘を顔の前に振り上げてかざすクレージーモンキーディフェンスを多用しますが,下アングルからの攻撃には弱い印象です。

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【カード注目度】E
 この試合は両者の得意な展開が真逆なので非常に分かりやすい試合になると思います。スタンドで戦いたいRowstonですが,膝を見せながらタックルに入りづらい意識を植え付けさせ,中間距離でストレート系のパンチを放ってくると思います。それに対してFinneyは頑丈さを活かして遠い距離でも多少強引に組んでくると思います。一度捕まってしまうとRowstonが組みを切るのはかなり難しいと思います。Rowstonはボトムから三角や腕十字を狙ってくると思いますが,Finneyにも柔術の心得はあるうえ,フィジカルはかなりありそうなので食らうというのはあまり考えられません。トップからコツコツパウンドで削ってバックを向いたところでRNCという展開が想像しやすいです。またRowstonがタックルへの警戒心を強く持ちすぎると,タックルのフェイントからの右オーバーを貰う可能性もあります。Rowstonが勝つには,TDDの向上が必須だと思いますが,FinneyのDFは決してうまくないので,Rowstonが早々にKOする可能性も全然あると思います。今のところ私は,Finneyの中盤から終盤でのパウンドアウトを予想します。

 

第三試合 Cortavious Romious vs Michael Imperato

Cortavious Romious(30)8-2 2ko 5sub 身長163 リーチ173 個人的注目度E
 昨年に続き二年連続の参戦となるPura Vida BJJ/MMA所属の選手です。ブラジリアン柔術の紫帯を持っていてアームバーとRNCを得意としているグラップラーです。スタンドではサウスポースタンスからの左ミドルを多用します。距離が近くなると打ち合いを好む傾向があり,特に左ストレートから右のリードフックに繋げるコンビネーションを多用します。しかし打撃は攻守ともに粗雑なため打ち気になって振り回すと昨年のDWCSもようにKOされてしまう可能性も高いです。必勝パターンは中間距離からダブルレッグやニータップでTDを奪い,バックテイクからアームバーやRNCでとらえるパターンです。レジュメは薄く,LugoやTaverasのようにメジャー団体で活躍する選手にはしっかり負けています。

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Michael Imperato(36)12-6 9sub 身長173 リーチ/ 個人的注目度H
 今年の年始にLookin’For a Fightとして行われたUnified MMA 55にて元BellatorのBandejasを秒殺一本勝ちで切って落としたことがDanaの目に留まり今回参戦が決定しました。正直年齢も高く戦績も悪い彼をDWCSに呼ぶというのには反対でしたが,実際に彼の過去の試合を見るとその思いが強まりました。UFCはおろか準メジャー以上の団体のどこでも活躍できないレベルだと思いました。彼のような選手にDWCSの枠が一つ消費されるのは非常に残念です。彼にDanaの眼前で敗れたBandejasの罪はデカいと思います。彼はMalcom GordonのセコンドとしてUFCの会場にも何度か来ています。彼もグラップラーです。スタンドでは,威力の弱い相手に触るだけのようなカーフキックと右のストレートを多用しますが,ストレートは伸びが無く,打撃の打ち終わりは体が止まり被弾も多いです。ハンドスピードは遅いですが,思い切りはよく一定のプレッシャーをかけることは出来ています。右を打ちながらシングルレッグなどでTDを試みるパターンが多いですが,フィジカルが弱くレスリング力は決して高くないです。過去の試合を見ると自分から引き込んで足関節を狙う場面も見られましたが,ボトムポジションで一度落ち着いてしまうと漬けられてしまうことが多いです。三試合前のToliver戦では全ラウンドボトムポジションで漬けられていましたが下からのパウンドが評価されたのか不可解な判定で勝利していました。

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疑惑の判定勝ちした試合です。

 

【カード注目度】F
 今年のDWCSでもダントツで興味の無いカードです。お互いに年齢も高く,Romiousは昨年の敗北後15-28というレコードの選手から一本勝ちしただけでセカンドチャンスを貰い,Imperatoに関しては全くUFCレベルの選手ではないものの運よくDanaに気に入られ参戦と非常に期待値の低い両者の対戦でどちらがUFCとの契約を掴んでも即連敗リリースの流れが既定路線のように感じます。お互いグラップラーですが,今回に関してはRomiousが打撃勝負に出てもいいのではないかと思います。そのくらいImperatoのスタンドは酷いです。ImperatoがRomiousからTDを取るというのは体格差もあり難しいのではないかと思います。打撃勝負にしろ寝技勝負にしても展開の選択権はRomiousにあると思います。私の予想としてはRomiousが打撃の展開で優勢に進め,判定勝ちを予想します。

 

第四試合 Rizvan Kuniev vs Hugo Cunha

Rizvan Kuniev(31)12-2-1 5ko 3sub 身長193 リーチ193 個人的注目度B
 3年ぶり2度目のDWCS参戦。前戦はPFLで昨年のリーグ戦王者フェレイラに勝利したものの,薬物検査に引っ掛かりノーコンテストになりました。蹴りが多彩な選手で,特に相手の前脚を狙う間接蹴りとローキックが印象的です。蹴りでペースを握り,ケージ際でパンチを振りながら組み付きにいくことが多い選手で,ボディロックやシングルレッグからテイクダウンを奪い,サイドポジションから強力なパウンドを落としてきます。一本勝ちはほとんどないものの,ブラジリアン柔術青帯で過去にはアームロックや肩固めを狙う動きがみられました。懸念材料はスタンドの方が多い気がします。特にローキックのディフェンスが良くないのとパンチを振りながら組み行く際に下を向いて視線を切ることが多くここに何か合わせてくる選手がいると危険かなと思いました。フェレイラ戦ではグラウンドで下になる場面も見られましたが,サブミッションにもしっかり対応するディフェンス力を見せ,漬けらえることなく上を取り返していました。レジュメは格別厚いわけではないですが,今年のDWCS出場者の中では上位のものを持っていると思います。ただ,ここ3年間は年1ペースとあまりアクティブに戦っていない選手なので未知な要素も多い選手です。

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Hugo Cunha(31)8-1 4ko 4sub 身長193 リーチ198 個人的注目度C
 強力なレスリングのバックボーンを持っている現LFAヘビー級王者です。前述した通りレスリング出身の選手で,2015年のレスリング世界選手権にブラジル代表として出場し一回戦で日本の荒木田選手に敗れています。またブラジリアン柔術黒帯でもあり極めもある選手です。スタンドではカーフや左ミドルを軸に組み立て,長いリーチを生かした左フックから右ストレートに繋げるコンビネーションを多用します。打撃は全くできないわけではないですが,攻撃のバリエーションは少なく,パンチに対する警戒心が強すぎるがゆえに相手のパンチに対してすぐにガードを固めて後退するシーンなどがみられました。強みはもちろんグラウンドで,右の強打を振ってからのシングルレッグやボディロックから小外掛けでテイクダウンを奪い強力なパウンドを浴びせながら肩固めやRNCを狙ってきます。上を取った時のバランス感覚と圧力を素晴らしくマウントで相手をコントロールするのが上手いです。弱点としてカーディオに不安があり,2R中盤から一気に出力が落ちる印象です。レジュメはヘビー級の中では厚いほうですが,ONEでJoynsonに負けているのが気になります。

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【カード注目度】C
 すでに実績のあるヘビー級ファイター同士のカードとあってこの週のなかでも注目度は高いと思います。互いにグラウンドのほうが強い選手同士なのでやはりスタンドの展開が重要になってくると思います。互いに蹴りで作る印象なので,序盤はある程度遠い距離での蹴り合いが続くのではないかと予想します。この蹴り合いでKunievのほうが優勢に進めると思います。Cunhaはジリ貧になりかなり粗めにテイクダウンを狙ってくると思いますが,Kunievからテイクダウンを奪うことは出来ず,ガス欠した中盤以降は完封され,大差判定勝ちを予想します。

 

第五試合 Pat Pytlik vs Andreas Berg Gustafsson

Pat Pytlik(35)9-1 9ko 身長185 リーチ/ 個人的注目度D
 元UnifiedMMAウェルター級王者。Lookin' For a Fightとして行われたUnified MMA 55で印象的なKO勝ちをおさめてDWCS参戦が決定。35歳とかなりの高齢ファイターですが,10年のプロキャリアで10戦しか行っておらず,経験値はあまり高くありません。特に2019年3月から2022年12月まで3年半以上試合をしていない時期があります。16歳から始めたムエタイがベースのストライカーでKO率は100%を誇っています。ムエタイはプロ3-0アマ27-7のレコードを持っており,アマチュアタイトルを複数獲得しています。試合映像が少なく未知数な部分も多い選手ですが,際が強い選手という印象を受けました。クリンチアッパーや首相撲からの膝が得意で,中間距離では右のミドルキックを多用します。グラウンドの展開は映像がなく全くの未知数です。

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Ansreas Berg Gustafsson(33)10-2 7ko 2sub 身長182 リーチ188 個人的注目度E
 多くの団体を渡り歩いているジャーニーマンで2敗は強豪Lutterbachとレスリング五輪メダリストJanikowskiに喫したものでどちらもスプリットでの判定負けです。バックボーンはグレコローマンレスリングでIMMAF世界選手権2018年で銀メダルを獲得しています。レスリング出身ですが,試合でレスリングを使うことはあまりないです。GustafssonもPytlikと同じで際が強い選手という印象です。クリンチパワーがあり,接近戦でのエルボーが得意です。中間距離での打撃のディフェンスはかなり酷いですが,タフネスと気持ちの強さでカバーしている印象です。加えて前手のジャブがうるさく苦しくなってきた中盤以降非常に彼を助ける武器になっています。左右のフックを振り回してくることも多く,勢いで飲み込むことも多いです。レスリングの場面は少ないですが,スタンドバックからリフトしてテイクダウンを奪う場面が見られました。

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【カード注目度】E
 互いに高齢なうえ,レジュメも厚くない選手ということで期待感はあまりないカードですが,勝負論は大いにあるカードです。互いにレスリングはほとんど使わない選手で,DWCSという舞台も相まってスタンドの展開で勝負がつくのではないかと思います。互いに強い部分が似ている選手同士で,どちらが首相撲・クリンチ際の展開で上回るのかが注目です。フィジカル面でより有利なのはGustafssonな気がしますが,ムエタイの実績・経験値を考えるとPytlikの方が上回る気がしています。しかしGustafssonのタフネスとハートの強さはかなりのものがあると思います。また,苦しくなった時に頼れる武器(レスリングとジャブ)を持っているのはGustafssonの方かなと思います。なので私の予想としては,序盤スタンドでPytlikが優勢に進めるものの,Gustafssonがしのぎ切り,ジャブを中心に盛り返し,ガスに不安があるPytlikが徐々にスローダウン。2,3Rを取ったGustafssonが判定勝ちすると予想します。

 

この週は開幕週に比べてかなり質の低いカードが並んでいますが,第一試合は注目です。特にHaddonはDWCS出場者の中でも屈指の注目株だと思います。一方でImperatoのようになぜ出場しているのか分からないような選手もいるのがDWCSの不思議なところです。第四試合のヘビー級バウトもかなり注目です。すべての試合がいい内容になることを祈ります。

いよいよ開幕DWCS2024  Week1

 いよいよこの季節がやってきました。プロスペクト好きにとっては一年で一番楽しみなシリーズといっても過言ではないでしょう。今年のDWCSは注目選手が多数参戦予定で非常に楽しみです。そんなDWCS2024の開幕週のカード予想をしていきたいと思います。

第一試合 An Ho VS Lone'er Kavanagh

An Ho(23)ベトナム 6-0 3ko 1sub 身長168 リーチ169 個人的注目度 A 
 一昨年のデビュー時からずっと注目されてきたアジアフライ級屈指のプロスペクトが満を持して参戦!個人的には昨年のクリマコのようにRTUに参戦するのではと思っていましたが,こちらに出てきました。身体能力の非常に高いアスリート型の選手で,デビュー当初は派手なフィニッシュを連発するハイライトマシーンといった印象でしたが,最近はグラウンドでも泥臭くスクランブルで競り勝つなどオールラウンダーとして総合力が高い選手になってきています。レジュメはまだまだ薄いですが,前戦では強豪レスラーサンソン相手に判定勝ちし,実績面も着々と伸ばしてきています。

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Lonn'er Kavanagh(25)イングランド,中国 6-0 4ko 身長163 リーチ163 個人的注目度 A
  コアなMMAファンの間ではかなり前から注目されていたCWのライジングスターが参戦!CW169でShawn da Silvaとのヤングストライカー対決を完勝し勢いに乗っています。打撃のレベルはすでにUFCでも充分に強みとなるくらいのレベルに達していると思います。純粋なストライキング勝負で彼に勝つのは至難の業だと思います。ただ顎はそこまでではなく前戦でも左フックを効かされる場面があり,Sanchez戦ではダウンも喫しています。

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【カード注目度】S
 DWCS2024年はいきなりもの凄いカードから始まります。前述したとおり以前から注目度の高い二人を潰し合わせるのは勿体ないとも感じますが,決まったからには楽しみたいと思います。An HoといえどKavanagh相手に真正面からスタンド勝負を仕掛けるのは分が悪いと思うので,出来ればグラウンドの展開に持ち込みたい最低でもTDの意識でスタンドを弱体化させることを狙ってくると思います。予想としてはKavanaghからTDを奪うのは難しいのではと思っています。過去の試合をみるとある程度腰の重さを感じますし,サイドステップやスイッチをうまく使えるので,ケージを背負わされてもすぐに脱出できます。Kavanaghは左右の強力な蹴りを上下に散らしてくるのがかなり厄介ですが,An Hoはローカット上手いイメージなので割と対応してくる気がします。しかし真のKavanagh最大の武器は左フックだと思っています。精度・殺傷力共に非常に高いレベルで備えており,多くのダウンを奪ってきています。An Hoはこれまでにハイレベルなストライカーとの対戦経験がなく左フックに完璧に対応出来るかはかなり未知数だと思います。An HoはTDさえ奪えれば一気に有利になると思います。私としては,終始スタンドでKavanaghが優勢に進め,An Hoは何度かTDを狙うも寝かしきれずに徐々に手詰まりになり判定負けを予想します。
 

第二試合 Icaro Brito VS Ernie Juarez

Icaro Brito(25)7-1 5ko  身長178 リーチ  個人的注目度 B
 人材の宝庫であるLFAのブラジル勢からの参戦組です。スイッチャーストライカーでオーソドックスではカーフキック,サウスポーではサイドキック・関節蹴りを中心に組み立ててきます。強力な武器として両足のハイキックと右のストレートを持っています。TDDはあまり試されていないですが,寝かされているのは見たことが無いです。そのためグラウンドは未知数な部分が多いです。この選手もレジュメは薄めですが,R1FSでLaraに勝利しているのは評価できると思います。(残念ながら試合映像は見つからず...)

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Ernie Juarez(26)8-0 2ko 2sub 身長175 リーチ 個人的注目度 C
 Young Titanの異名を持つUrijah Faber's A1 Combatフェザー級王者です。低重心の構えが特徴的なストライカーで既にA1Combatのベルトを二度防衛しています。ストライカーではありますが,打撃が突出しているという印象はあまりないです。彼の強みはハイプレッシャーです。上下にジャブを刺しながらとにかく前に前に圧力をかけてきてケージ際で打撃をまとめるのが得意パターンです。レジュメはそこまで充実していないですが,Vogel,Coyneといった北米中堅クラスに勝利しています。

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【カード注目度】C
 この試合は両者ストライカー寄りの選手なのでスタンドの時間が長くなると思います。Juarezはジャブ,Britoは多彩な下半身への蹴りで主導権を掴みたいところでしょうか。ここでキーになってくるのがJuarezの得意な蹴り足キャッチです。グラウンド未知数のBritoにとって蹴り足を掴まれるのはかなりのストレスになると思います。Juarez側は蹴り足キャッチでリズムを崩したいところですが,Britoはハイキックが非常に強力です。一歩間違えればKOされる可能性があるため普段以上に蹴り足キャッチを狙うのには慎重になりそうです。その他の武器をみると注目したいのはBritoのストレートです。オーソでもサウスでも伸びるストレートは非常に有効です。Juarezは右オーバーは強力ですが,ストレートはあまり伸びない印象なので直線的な差し合いはBritoが有利だと思います。Juarezは直線的な攻撃が多くこの点厳しい戦いになりそうですが,打撃にこだわらずレスリングを混ぜつつなるべく近い距離でドロドロした展開に持ち込んだほうが勝機があるのではないかと思います。この試合で発生する可能性は低いと思いますが,Juarez側の弱点としてはTDDがあまり良くないことと背中をつかされるとなかなか立てないところも挙げられます。Juarezとしてはエリートレスラーとぶつけられるよりは良かったのではないかと思いますが,予想としてはBritoの中盤以降KO勝ちを予想します。

 

第三試合 Bruno Lopes VS Mikheil Sazhiniani

Bruno Lopes(31)12-1 5ko 5sub 身長188 リーチ189 個人的注目度C
 昨年に続き二年連続の出場となる現LFAライトヘビー級王者です。無敗のLFA王者という実績を引っ提げ参戦した昨年のDWCSでは格下のリベイロにまさかのアップセットを許し,契約を逃しています。そこからLFAでの防衛戦を一度挟んで再び参戦という流れです。昨年勝利したものの契約を逃したDaniel James AllenやMario Piazzonよりも早く再チャンスを得たのはそれだけ彼のファイトスタイルがUFCの趣向と一致しているのでしょう。スタンドでもグラウンドでも戦える選手で,スタンドではカーフを蹴りつつ,前手の軽打から奥手のパワーパンチに繋げてくるという場面が多いです。TDは脇を差してからの投げやダブルレッグで奪います。寝かし切ると安定したトップコントロールから肘のパウンドを落としてきます。得意技は肩固めで,すでにプロで4度極めています。懸念はスタンドのディフェンスでコンビネーション間にカウンターを撃ち込まれる場面が昨年のDWCSでは散見されました。

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だいぶ昔の映像しかYouTubeには無かったので最新試合はぜひUFC Fight Passで!

 

 

Mikheil Sazhiniani(27)13-2 12ko 身長182 リーチ 個人的注目度D
 近年優秀なファイターを多数輩出しているジョージアから参戦。現GFCライトヘビー級王者です。戦績的には昨年参戦したAslanと酷似していますが,ファイトスタイルはかなり異なります。ライトヘビー級としてはかなり小柄でどちらかというとレスラー寄りのスタイルです。GFCはその名の通りジョージアの団体ですが,レベルはそれほど高くないです。Sazhinianiのレジュメを見るとそれがよく分かります。彼のこれまで倒してきた相手の中で評価できる相手はほとんどいないといっていいでしょう。昨年のDWCSに出場したTalhaには完敗しています。スタンドはカーフ中心に右の大振りを狙う粗いスタイルです。カーフはかなり全力で蹴っている印象がありモーションが大きいためディフェンスがいい選手にはあまり当てられないと思います。強いのはどちらかというとグラウンドで足へのタックルを中心にTDを奪い,トップキープからパウンドアウトを狙います。

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【カード注目度】D
 昨年はやらかしたLopesは今年こそはと慎重に入ってくると思います。リベイロと違ってSazhinianiに対してはサイズで勝っており,昨年のようにパワーパンチを被弾するリスクは少ないと思います。Lopesとしては普段通りカーフで削りつつ,左の軽打から右のパワーパンチを狙うスタイルでいいと思います。Sazhinainiはリベイロのようにカウンターを狙えるような打撃スキルは無いと思うので距離を詰めて,TDや近い距離での打ち合いから右のオーバーを狙ってくると思います。距離が詰まるとおのずと首相撲の展開も出てくると思いますが,Talhaに首相撲でボコられたのをみるにここでもLopesが上回ると思います。グラウンドの展開でもSazhinianiは極めのプレッシャーがなく,寝技の展開でもLopesが圧倒すると思います。密かに期待しているのがLopesの右フックです。このパンチは非常にコンパクトでカウンターパンチとしても機能します。Lopes最大の武器はこの右フックだと思います。予想としては,スタンドの展開で劣勢になったSazhinianiが強引に詰めてきたところにLopesが右フックや首相撲からの肘や膝を効かせ投げからTD。グラウンドの展開でパウンドアウトか肩固めフィニッシュを予想します。

 

第四試合 Meng Ding VS Islam Dulatov

Meng Ding(29)34-8 27ko 2sub 身長188 リーチ191 個人的注目度C
 MMA界屈指のガラパゴスである中国MMAの選手ということもあり,あまり全容は見えていません。JCKを主戦場にしています。長身のストライカーでワンツーを多用します。スタンドはやや消極的で自分から展開を作る場面は少ない印象です。最も印象に残っているのが左フックです。非常にコンパクトで正確性がありショートでもかなり威力があります。アッパー気味のアングルも持っており,近距離戦では非常に厄介です。グラウンドはあまり得意ではないようで,スクランブルで負ける場面や不格好なタックルを試行している場面が見られました。映像見れた試合では蹴りの印象は少なかったですが,過去試合ではタフネスモンスターNuerajiをリバーキックでKOしており,不気味です。

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Islam Dulatov(26)10-1 6ko 4sub 身長197 リーチ197 個人的注目度A
 欧州のMMAシーンで屈指の注目度を誇る大型プロスペクト。四兄弟で全員がモデルとしても活躍しているインフルエンサーとしての一面も持っています。前戦ではOKTAGONデビューを果たしています。試合時間の短さとマイナー団体での試合が多いということもありこちらもあまり情報が無い選手です。スタンドはカーフ&ジャブでリズムを掴み,右のストレートなどを狙ってくる印象です。ただ右ストレートはリーチのわりに伸びがない印象。左右のパンチを振りながらの前進は迫力があるもののスタンドスキルのある相手にはやや危険かと思われます。近い距離では,ガードの間をねじ込むフックやテンカオが強力です。

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【カード注目度】A
 お互いに未知数な部分が大きくどうなるかはやってみないと分からないというのが正直なところですが,長身ストライカー対決ということでスタンドの展開が非常に重要になってくると思います。Dingは自分からガツガツいくタイプではないためDulatovの出方が試合の展開を決めるでしょう。お互いに階級内でも屈指のサイズを持っており,普段よりサイズ差が無いという点も未知要素ですが,Dulatovは普段通りジャブやカーフを打ちつつ,タイミングをみて中に飛び込んでくると思います。Ming Dingは入り際に左フックを合わせてくるでしょう。個人的には若くスター性のあるDulatovに勝ってほしい願望が強いですが,Dingもいい選手だと思うので,競った試合になる可能性も大いにあります。予想としては,Dulatovが勢いで飲み込んでの前半フィニッシュを予想します。

 

第五試合 Mansur Abdul-Malik VS Wes Schultz
 
Mansur Abdul-Malik(26)5-0 4ko 1sub 身長188 リーチ203 個人的注目度B
 とにかくパワフルで暴力的な選手。バックボーンはレスリングで高校時代にはメリーランド州王者にも輝いています。しかし大学進学後は目立った実績を挙げていません。彼も試合映像が少なく全容が分かりません。レジュメに関してはDWCS出場者のなかでもトップクラスに薄いです。そのようななかでも彼に期待をかける人はそこそこの人数いるように感じます。それはひとえに彼の勝ちっぷりの素晴らしさゆえでしょう。特に前戦でのパウンド失神葬は多くの人の目に留まったのではないでしょうか。試合映像をみると印象的なのはジャブと右のストレートです。リーチが驚異的に長いため真っすぐ系の打撃は非常に伸びがあり貫通力が高い印象です。まだまだ粗さも目立ちますが超素材型のプロスペクトという印象です。

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プロデビュー戦しかYouTube上には無かったので最新試合はぜひUFC Fight Passで!

 

Wes Schultz(27)6-1 2ko 3sub 身長188 リーチ193 個人的注目度D
 こちらもレスリングがバックボーンの選手。レスリングでの実績はAbdul-Malikを圧倒しています。高校シニアで47-0のRUNを記録し,大学レスリングでも一年時にNCWAオールアメリカン,二年時にNJCAAオールアメリカン&全国優勝,NCAAD1でもプレーしました。レジュメでもAbdul-Malikを上回っており,プロ戦の多くをLFAで行っています。しかしこちらもレジュメは薄いです。唯一の敗戦は現UFCのBudkaに喫したものです。MMAの試合においてはそこまで圧倒的なレスリング力は感じないです。どちらかというと目立つのは柔術的な動きでバックテイクからの腕十字の仕掛けや下になった時の足関節,ギロチンなど極めをどんどん狙ってくる攻撃的なグラップラーです。スタンドはかなり遅く,改善の余地を多分にありますが,クリンチからの膝は割と得意なようです。

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【カード注目度】C
 お互いにレスリング出身ということもありこの試合の鍵はやはりTDかなと思います。スタンドで戦いたいAbdul-Malikとグラウンドで戦いたいSchultz。SchultzはタックルでTD取るよりも組んでから投げたりボディロックから足をかけてTDを取るパターンが多いですが,貫通力のあるジャブと強靭なフィジカルパワーを持っているMalik相手に組んで自分の形に持ち込むのはなかなか難しいと思います。序盤凌いで後半に勝負というのが可能性としては高いのかなと思います。Malikはここまでオール1Rフィニッシュなのでスタミナには不安があります。寝技に持ち込まれると分が悪いですがやはり強力なフィジカルを持っているというのは大きなアドバンテージだと思います。Schultzのスタンドが進化していないかぎり高確率でMalikの右ストレートが当たる気がしてます。Schultzが勝つなら終盤での一本勝ちか判定勝ちだと思いますが,予想としては,1RでAbdul-MalikのKO予想にしておきます。

 

開幕週からいきなり注目カードが目白押しです。個人的には第一試合が最も楽しみですが,DulatovとAbdul-Malikもかなり楽しみです。この中からスター選手が生まれることを期待しましょう!

 



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