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なにか役立つことを書きたいです

規約に幸福の科学との関係を堂々と記載――「幸福実現党」の一般公開していない規約を開示請求したので全文公開します

 7月2日の都議会選後、第一党となった都民ファーストの会では小池百合子氏→野田数氏、野田数氏→荒木千陽氏と、代表が短期間に2回交代しました。しかし、代表交代は代表選考委員会というブラックボックスの中で決められ、しかもそれを定めた党規約が一般公開されていないことが問題視されました。

 →“ブラックボックス”な都民ファーストの会の規約を開示請求して全文公開しようとしたら問題があったので概要を説明します

 →許可いただいたので情報開示した都民ファーストの会の規約を全文公開します

 そういう事態を今後起こしてはいけない、党を運営するための規約が公開されていない状態で選挙が行われるのはダメなのではないか、ということで10月22日投開票の衆議院議員選挙にあたり、インターネットに党規約を公開していなかった希望の党(後に公開)、立憲民主党(後に公開)、新党大地、幸福実現党、支持政党なしの規約を総務省に開示請求しました。

 投票日までに開示請求は認められなかったのですが、10月31日に希望の党の党規約の開示請求が通り、11月14日に残りの政党の開示請求も通りました。

 →小池百合子都知事は衆議院議員選挙に立候補するつもりだった!?――一般公開していない希望の党設立時の規約を開示請求して分かったこと

・衆院選比例区に候補を擁立した政党の規約へのリンク

自民党 希望の党 公明党 日本共産党
立憲民主党 日本維新の会 社会民主党 日本のこころ
新党大地 幸福実現党 支持政党なし  

 規約の全文公開については著作権の問題があるのですが、幸福実現党の本部に電話で確認したところ、「問題ありません」との言葉をいただいたので、幸福実現党の党規約を全文公開します。

 最新の第7版はテキストに起こしたのですが、第1~6版はスキャンした画像を張りつけています。第7版は2012年12月16日の第46回衆議院議員総選挙後に改定したものとなります。

 驚くのは現在、国会議員がいない小政党にもかかわらず、規約が全53条と充実していること。参考までに、今回の衆議院選挙で登場した希望の党は全35条、立憲民主党は全23条となっています。もちろん歴史の長い自民党は全100条あるので、それには及びませんが。

 注目すべきは支援団体である幸福の科学との関係を規約に盛り込んでいること。第8条の2で、「総裁は、宗教法人幸福の科学が推薦し、役員会の決定により就任する」と堂々と書いちゃってます。ちなみにこれは最新の第7版から加わった項目。

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 「これって政教分離的にどうなの?」と当然、思うわけですが、政教分離の原則については2014年6月24日、当時、新党大地所属の鈴木貴子衆議院議員の質問に対する、安倍晋三首相の答弁書が参考になります。

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 要は宗教団体自体が権力を与えられて行使することがダメなのであって、宗教団体が支援する政党に所属する者が国政を担当するのは問題ないとのこと。へー、という感じです。

 これはもともと創価学会を支持母体とする公明党を意図した質問だと思うのですが、幸福実現党にも適用できます。なお、公明党の規約に創価学会の文字は見当たりません。

 また、都民ファーストの会で問題となった代表選考ですが、幸福実現党では第7条に「党首は、別に定める規程により選出する」とあります。“別に定める規程”は開示対象ではなかったので、幸福実現党の本部に聞いたのですが、窓口の女性によると「私には分かりません」ということでした。

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▼幸福実現党 党則(第7版、2012年12月28日~)

 第1章 総則

第1条 本党は、幸福実現党と称し、本部を東京都に置く。

第2条 本党は、党の基本理念とそれにもとづく基本政策の実現を図ることを目的とする。

 第2章 党員

第3条 本党の目的に賛同し、党則の定める義務を履行する18歳以上の者は、国籍を問わず党員となることができる。

第4条 党員は、次の各号に掲げる権利を有する。

(1)党内の選挙権及び被選挙権を有すること。

(2)党の政策に関し、提案すること。

(3)党の会議又は出版物を通じて、党の活動に関する自由な討議に参加すること。

第5条 党員は、次の各号に掲げる義務を有する。

(1)党の理念、綱領、政策及び党則を守ること。

(2)各級選挙において党の決定した候補者を支持すること。

(3)積極的に党活動に参加すること。

(4)党費を納めること。

 第3章 執行機関

 第1節 党首及び党首代行等

第6条 本党に、党首を置く。

2 党首は、党の最高責任者であって、党を代表し、党務を総理する。

第7条 党首は、別に定める規程により選出する。

2 党首が任期中に欠けた場合には、原則として、前項の規定により後任の党首を選出する。

第8条 本党に、党首代行または副党首を置くことができる。

2 党首は、党首代行または副党首を指名することができる。党首代行または副党首は、党首の要請に基づき、党首の職務を代行または補佐する。

第8条の2 本党に、総裁を置くことができる。

2 総裁は、宗教法人幸福の科学が推薦し、役員会の決定により就任する。

 第2節 幹事長及び幹事長代理

第9条 本党に、幹事長1名を置く。幹事長は、幹事長代理若干名を指名することができる。

2 幹事長は、党首を補佐し、党務を執行する。

3 幹事長代理は、幹事長の旨を受けて、その職務を代行する。

第10条 幹事長は、総務会の承認を受けて、党首が決定する。

 第3節 局

第11条 幹事長の管掌のもとに、人事局、その他の局を置く。

2 各局にそれぞれ局長1名を置く。

3 局長は、総務会の承認を受けて、幹事長が決定する

 第4節 広報本部

第12条 本党の広報活動を強力に推進するため、広報本部を置く。

2 広報本部に本部長1名を置く。広報本部長は、本部長代理若干名を指名することができる。

3 広報本部長は、広報本部の運営にあたり、これを指揮し、管掌する。

4 広報本部長代理は、広報本部長を補佐する。

5 広報本部長は、総務会の承認を受けて、党首が決定する。

 第5節 国会対策委員会

第13条 党の国会活動に関する事項を処理するため、国会対策委員会を置く。

2 国会対策委員会に、委員長1名を置く。国会対策委員長は、副委員長及び委員各若干名を指名することができる。

3 国会対策委員長は、総務会の承認を受けて、幹事長が決定する。

 第6節 役員会

第14条 党の各機関の総合調整及び党の総合戦略の策定を行い、並びに党務の執行に関する重要事項を決定するため、役員会を置く。

2 役員会は、党首、幹事長、選挙対策委員長、政務調査会長、総務会長、広報本部長、広報本部長代理、党首代行、副党首並びに党首の指名する局長、幹事長代理及びこれに準ずる役職者をもって構成する。

3 党首は、役員会を招集し、議長としてその運営に当たる。

4 幹事長は、党首の旨を受けて、その職務を代行することができる。

 第4章 議決機関

 第1節 党大会

第15条 党大会は、党の最高機関とし、次の各号に掲げる者をもって構成する。

(1)党所属の国会議員

(2)本党の都道府県本部ごとに選出された各1名の大会代議員。

第16条 党大会は、必要に応じて、総務会の議を経て、党首が招集する。ただし、都道府県本部の3分の1以上から党大会を開催すべきことの要求があったときは、党首は、その議決又は要求があった日から逆算して1か月以内に、臨時党大会を招集すべきものとする。

第17条 党大会の議長及び副議長は、そのつど、大会において公選する。

第18条 党大会は、構成員の2分の1以上の出席者がなければ会議を開くことができない。

第19条 党大会の議事は、出席者の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

 第2節 総務会

第20条 総務会は、5名の総務をもって構成する。

第21条 総務会は、党の運営及び国会活動に関する重要事項を審議決定する。

第22条 総務は、党首の指名により選任する。

第23条 総務会に、総務会長を置く。総務会長は、総務会長代理若干名を指名することができる。

2 総務会長は、総務会を招集し、議長としてその運営に当たる。

3 総務会長は、総務会の承認を受けて、党首が決定する。

4 総務会長代理は、総務会長の旨を受けて、その職務を代行する。

第24条 総務会の議事は、出席者の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

 第5章 政務調査会

第25条 政策の調査研究および立案のため、政務調査会を置く。

2 党が政策として採用する議案は政務調査会の議を経なければならない。

第26条 政務調査会は、党所属の国会議員及び党首が特に委嘱した学識経験者をもって構成する。

第27条 政務調査会に、政務調査会長を置く。政務調査会長は、政務調査会長代理若干名を指名することができる。

2 政務調査会長は、政務調査会の運営に当たり、かつ、これを管掌する。

第28条 政務調査会長は、総務会の承認を受けて、党首が決定する。

第29条 必要があるときは、政務調査会長の管掌のもとに、部会、調査会、特別委員会等を設けることができる。

第30条 政務調査会において決定した政策に関する事項は、速やかに役員会及び総務会に報告し、その決定を経なければならない。

第31条 政務調査会に、党の基本政策の調査研究を行い、並びに各種資料の整備を図るため、未来ユートピア政治研究会を置く。

2 未来ユートピア政治研究会の代表は、総務会の議を経て党首が広く有識者の中から委嘱する。

第32条 政務調査会に、党の経済政策の調査研究を行なうため、経済企画局を置くことができる。

2 経済企画局に局長1名を置く。

3 局長は、総務会の承認を受けて、政務調査会長が決定する。

 第6章 選挙対策本部

第33条 本党の総合的選挙対策を樹立するため、選挙対策本部を置く。

第34条 選挙対策本部は、党首、幹事長、選挙対策委員長及び党首の指名する本部員若干名をもって構成する。

第35条 選挙対策本部に、本部長を置く。

2 本部長には、党首が当たる。

3 本部長は、選挙対策本部を招集し、議長としてその運営に当たる。

4 選挙対策委員長は、本部長の旨を受けて、その職務を代行する。

第36条 選挙対策本部の業務を適正かつ強力に推進するため、選挙対策本部に、その実務を統括する部門として、選挙対策委員会を置く。

2 選挙対策委員会は、国政選挙の取組方針案の策定などを行なう。

3 選挙対策委員会に、委員長1名を置く。選挙対策委員会は、委員長代理若干名を指名することができる。

4 選挙対策委員長は、選挙対策委員会を招集し、議長としてその運営に当たる。

5 選挙対策委員長代理は、選挙対策委員長の旨を受けて、その職務を代行する。

6 選挙対策委員長は、総務会の承認を受けて党首が決定する。

 第7章 役員の任期

第37条 役員の任期は、党首については3年とし、その他はすべて1年とする。ただし重任を妨げない。

2 党首が新たに選任された場合は、第1項の規定にかかわらず、役員の任期は、終了するものとする。

第38条 役員は、その任期が満了又は終了した後でもそれぞれの手続を経て後任者が決定するまでは、引き続きその職に在るものとする。

 第8章 地方組織

第39条 衆議院(小選挙区選出)議員の選挙区を単位とし、選挙区支部を置くことができる。

2 前項に掲げる支部のほか、地方公共団体の議会の議員又は長の選挙区を単位とする地方選挙区支部、その他の支部を置くことができる。

第40条 都道府県内の支部を統括するために、都道府県本部を置く。

2 都道府県本部を統括するために、党本部内に、衆議院比例区を単位としてブロックを置くことができる。

第41条 支部を設立するには、役員の氏名及び住所を党本部に提出し、その承認を受けなければならない。

2 党本部は、別に定めるところにより、前項の承認を取り消し、支部を解散することができる。

3 支部の役員、その他重要な届出事項に異動が生じるときは、あらかじめ党本部にその旨を報告し、その承認を受けなければならない。

 第9章 党籍

第42条 本党に入党しようとする者は、所定の事項を記載した入党申込書を党本部または支部に提出し、その承認を受けなければならない。

2 支部は、入党を承認した場合であっても、党本部において審査の結果、不適当と認める時は、その承認を取り消すことができる。この場合において、党本部は、速やかに支部にその旨を通知しなければならない。

第43条 前条に定めるもののほか、党則に基づく入党の手続き、入党の資格審査等については、別に定めるところによる。

第44条 本党から離党しようとする者は、党所属の国会議員(国会議員であった者を含む。次項において同じ。)にあっては党本部に、その他の者にあっては支部又は党本部に届け出なければならない。

2 党所属の国会議員に係る前項の届出については、党本部がこれを受理するものとする。

 第10章 賞罰

第45条 党首は、党活動に功績のあった党員に対し、総務会の議を経て表彰を行うことができる。

第46条 党員が次の各号のいずれかに該当する行為をしたときは、党規律規約の定めるところにより、処分を受けるものとする。

(1)党の規律をみだす行為

(2)党員たる品位をけがす行為

(3)党議にそむく行為

 第11章 会計及び予算

第47条 本党の経費は、党費、寄附金等をもって支弁する。

第48条 本党の運営のため、予算を定める。

2 毎会計年度の予算案は、新会計年度に先だつ党大会に提出し、その承認を受けなければならない。ただし、党大会成立以前においては、役員会の議をもってこれを行う。

第49条 党員は、党費を負担するものとし、その額については、党首が、総務会の議を経て決定する。

2 党費は、毎年、党本部が定めた期日までに納入しなければならない。

第50条 本党の会計年度は、毎年1月1日に始まり、12月31日に終わる。

第51条 決算は、党大会の承認を受けなければならない。ただし、党大会成立以前においては、役員会の議をもってこれを行う。

 第12章 本部事務局

第52条 本党の業務を処理するため、幹事長の管掌のもとに、本部事務局を設け、必要な職員を置く。

 第13章 党則の改正

第53条 本党則の改正は、党大会の議を経て行うものとする。ただし、党大会成立以前においては、役員会の議をもってこれを行う。

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▼幸福実現党 党則(第1版、2009年5月23日~7月21日)

 結党は2009年5月23日ですが、総務大臣に政治団体として届けたのは5月25日。

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▼幸福実現党 党則(第2版、2009年7月22日~8月12日)

 7月21日の衆議院解散に合わせて改定。f:id:michsuzuki:20171115195344j:plain

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▼幸福実現党 党則(第3版、2009年8月13日~9月11日)

 8月18日の第45回衆議院議員総選挙公示日前に改定。

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▼幸福実現党 党則(第4版、2009年9月12日~2010年7月12日)

 8月30日の第45回衆議院議員総選挙後に改定。f:id:michsuzuki:20171115195414j:plain

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▼幸福実現党 党則(第5版、2010年7月13日~2012年1月10日)

 2010年7月11日の第22回参議院議員通常選挙後に改定。

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▼幸福実現党 党則(第6版、2012年1月11日~12月27日)

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 というわけで、2017年10月22日投開票の第48回衆議院議員総選挙で、比例区に候補を擁立した政党の規約をすべて公開できたことになります。

 公的要素の強い規約は公開して選挙を行うべきだと考えているので、これからも規約が不明な政党が国政進出しようとしたら、また開示請求を行っていこうと思います。