「人に強くなる極意」 by 佐藤優

人に強くなる極意
佐藤優
2013年10月15日 第一刷
青春出版社

 

図書館の棚でみつけた。別に、人に強くなろう、、とか思っているわけではないのだが、佐藤さんの本だから、借りてみた。

 

面白かった。

2013年の本だけれど、2021年の今でも、充分参考になる、良い内容だと思う。

 

佐藤さんは、前書きで、今の世界の変化を「グローバリゼーション」と「国家機能の強化」に向かっている、として、そのような中でも如何に変化に対応できる人間力をつけるか、という視点で本書を執筆したと言っている。

誰もが、理不尽に仕事、権利、何かを奪われる可能性のある社会。そんな中でも、変化に対応できる力が必要だと。

 

グローバリゼーションは、弱肉強食の新自由主義との相性がいい社会だと、佐藤さんは言う。コロナ禍の後?(最中?)の今では、弱肉強食ということをひしひしと感じさせられた。ひとたび、人の動き・物流が滞ると何が起こるか、現実として見せつけられた。グローバリゼーションは、各国が対等な立場にあったわけではない、ということがコロナでより明確にされた気がする。

コロナが収まれば、また、弱肉強食の世界が勢いを増すのか、、、?どうかな。世の中の動きが少しずつ始まっている今だからこそ、自分のいる場所がどうなっていくのか、どうしたいのか、考えないといけないな、と思った。

 

国家機能の強化というのは、結局のところ領土の問題。尖閣諸島、竹島、北方領土、、、、普段生活しているとあまり気にしないけれど、国は、人が決めた国境で区切られた国家なのだ。
領土問題と、「人に強くなる」とは、ちょっとすっ飛んでいる気はするけれど、領土問題を含めて政治を理解しないといけないのだな、と、ちょっと思った。
領土問題ではないけれど、岸内閣になってニュースが最初に取り上げたのは北朝鮮拉致問題関連だった。私にとっては、身近な話ではないけど、日本としてはとても大事な話だ。
国家機能として、大事な話だ。

今、自分がどこかの国に行って、いきなり拘束されたら、国に助けてほしいと思うと思う。いやいや、北朝鮮は、わざわざ日本にきて拉致したんだから、ほんとにあってはならない話だ。

 

とまぁ、そんな背景の中、佐藤さんの8つの教え。
覚書。

1 怒らない
2 びびらない
3 飾らない
4 侮らない
5 断らない
6 お金に振り回されない
7 あきらめない
8 先送りしない


それぞれ、こういう本をよむといいよ、という参考図書が2冊ずつ紹介されている。
そう、佐藤さんの本は、推薦図書が多いのだ。
そして、また、読みたい本リストが増えていく、、、。

 

1.怒らない
怒っていいのは、悪意のある嘘つきに対してだけ。

 

2.びびらない
世の中の商品広告の多くも、健康不安をあおっていたり、ある意味、悪徳商法とたいして変わらない。不安をあおる情報にびびるな。

 

3.飾らない
身分制度のあった時代は、飾る必要なんてなかった。社会がフラット化して、身分の違いがなくなって、なにか自分を示す飾りが必要になった。「学問のススメ」なんて、学歴社会の大元。学問とか学歴と言う飾りを薦めているようなもの。
飾らない力をつけるには、結局のところ、自分が何者であるかを明確にすることにつきる。人としての根っこはなにか? 佐藤さんは、そこにプロテスタントと沖縄人と言うアイデンティティをしっかりもっているから強いのだろう。

 

4.侮らない
「ちょろい」とおもったら危ない。「畏れ」の心を大切にすべし。お天道様は見ている!でいいのだ。

 

5.断らない
イエス・キリストは、誰もを受け入れた。自分の世界に逃げ込まない。佐藤さんは、400字づめの原稿用紙1000枚を毎月書ける力があって、原稿を断らないらしい。200ページの本なら10分。月に300冊は読む。。。そうだ。

しかし、OUT!なことは、しっかりと断ること!

 

6.お金に振り回されない
マルクスは再生産のために必要なのは、1衣食住、2家族を養う、3教育、と言った。今、企業が従業員に支払うお金は、3も2もなく、1すら怪しい、、、となりつつある。それを直視したうえで、お金との付き合い方を考える。自分の労働を高く売れるように自分を磨くのは、いつの時代も必要なこと。
一方で、いくらあっても満足できないのがお金。でもお金は紙切れであることを忘れるな。

 

7.あきらめない
執着とは違う意味で、あきらめない。英語の「End」という単語は、終わりという意味で知られているけれど、「目的」という意味もある。”end and means”なんて使う。目的と手段。まちがえちゃいけない。
目的や目標には、最終形をもっておけ、ということ。
目標には、終わりや出口があるべき。ずるずるとやり続けるのがあきらめない、ということではない。

あ、、、ちょっと、耳が痛い。

 

8.先送りしない
「明日できることは今日やるな」というけれど、先送りしていいものと、そうでないものをわけて考えるべきということ。行動経済学で言うところの「時間割引率」を考えるという事だ。目先のことに飛びつくのではなく、時間割引を考えたうえで、先送りしていいものと、先送りしてはいけないものを仕分けする。
一方で、先回り、すればいいという事でもない。鬱になるのは、もともと先回り、先回りだった人が、先送りをしだした時、、という話がとても興味深い。

すごく、わかる気がする。

 

また、色々勉強になる一冊だった。

 

そして、最近、佐藤さんの神学関係の本を読んでいたので、佐藤さんのいう言葉の裏に、プロテスタント的な考えがあるという事が見えるようになってきた気がする。

昔から、佐藤さんは、著書の中でしばしば神の話をしていたのだけれど、私のアンテナが立たなかっただけだったのだと思う。

 

プロテスタント的だな、と思った一文。

「感情とは、ある意味わがままで理不尽な力であり、それ自体を完全に消し去ることはできません。ただし、理性の光を当てることによって、それを変質させることはできる。」

 

それにしても、10分で200ぺージの本が読めるって、どういう視力?体力?頭の中???なのだろう??

月に300冊読むって、どういうこと???

うらやましい。。。

 

それくらい、よめたらいいのに、、と思う。

ま、あせらない、あきらめない、人と比べない、、、ってことだな。

 

やっぱり、佐藤さんの本は面白い。

読書は楽しい。

 

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人に強くなる極意 佐藤優

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