世界のはて

『はてな非モテ論壇』の一角だった場所

得るべき時期に、得るべき物(あるいは得たかった物)が得られなかったという不全感

【スイーツ(笑)へのアンヴィバレントな気持ち】

増田の文章が、スイーツ(笑)を「馬鹿にしている」のか「憧れている」のか、どっちだと受け取るかで感想が分かれる文章だな、と思った。僕は憧れていると解釈したけど、馬鹿にしていると解釈すると、id:watapocoさんやid:yuki_19762さんがはてブでコメントしているような感想になるのかも。

僕は、id:citron_908さんの

恐らく元増田の人が懸念してるのは「失われた青春」みたいな話なんだろうなあ。なんていうか。バカやれる時期にバカやってないというか、世間の価値観からかけ離れた人生を送ってしまったコンプレックスといいますか。

に同意で、これは「失われた青春への憧れ」が満たされない不全感を書いた文章なんだと思う。

スイーツ(笑)を馬鹿にしているように書かれているのは、スイーツ(笑)の価値観自体は嫌いだし馬鹿にしているのだけれど、スイーツ(笑)は「世間的な価値観」を代表する存在で、他者から承認されているように「見える」ので、その点には憧れている(でも、自分がスイーツ(笑)になりたいわけではない)という複雑な心理があるから。↓のid:kiku-chanさんのブコメは、この心理をよく言い当てていると思う。

2007年12月12日 kiku-chan 『ああ、やさしさっていうのはこういうことなのだ/増田嬢が相手を見下しているのではなく「家族のためにがんばった自分」を評価したい感情と、「スイーツ(笑)になりたかった自分」の間でアンビヴァレントなんだ』

このへん、僕もDQN(笑)やリア充(笑)や体育会系(笑)やモテ(笑)に対して同じ感覚を持っているので、凄くよくわかる。昔、↓みたいな記事を書いたこともあるし。

僕は24歳まで童貞で、高校中退やらいじめやらでろくな青春時代を送ってこなかったので、非常に強い「学生時代の恋愛体験の不全感」や「絵に描いたような青春への憧れ」を持っている。たとえばネットを周っていて「恋に友情に性に、もう青春真っ盛り!」みたいなサイトを見ると、どうしようもない嫉妬心がこみ上げてくる自分がいて、それは僕が現在彼女持ちだとかそういうこととはまったく関係ない、「僕の中の喪闘気」なのだ。

「僕が現在彼女持ちだとかそういうこととはまったく関係ない」というのがなかなかクセモノで、コンプレックスはあくまで「その時期に」その事ができなかったという点にあるので、後から脱オタ(笑)とかしてモテ(笑)になっても、このコンプレックス自体は埋められないんですよね(軽くはなるけど)。過去に遡ってモテ(笑)やスイーツ(笑)やるのって、物理的に無理ですからね。だからまぁ、このへんはもう一生抱えて生きていくしかないんだろうなと思っています。

元増田の人にとってはとにかく「スイーツ(笑)」は通過しておくべきもの、ってとらえ方なんでしょうね。はしかじゃないですけど。

今からでもやればいいじゃん、って単純に考えてる人はこの「失われた青春」ってのを一回踏まえてから考えて欲しい。多分元増田の人は若いときにこれをやらなかった、っていうのがコンプレックスなわけで、今改めてそれをやった所で、失われてるのには変わりないような気がします。

【問題はあくまで「若いときに経験できなかったこと」へのコンプレックス】

で、こういう人にかける言葉でよく聞くものに、

2007年12月12日 okome_chan 『スイーツ(笑)な女性にだって悩みやコンプレックスはある。みんなそれぞれ事情があるよ。何の不自由もなく生きてるわけじゃないよ。あなたと同じで、自信がない。だから着飾るんだよ。』

というものがあって、その通りだよなぁとは思うのだけれど、問題はそこではないと思うんですよね。本人にとって、問題はあくまでモテ(笑)やスイーツ(笑)を「若いときに自分が経験できなかった」という部分にあるわけで、彼・彼女等にもそれぞれ悩みやコンプレックスがあって、それなりに苦労してるんだといわれても、その「悩みやコンプレックス」も含めて経験できなかったことがコンプレックスなんですよ。

自分にとって、学がないことや、呑みや遊びに明け暮れる時期がなかったこと、ファッションセンスを磨くほどの余裕がなかったことというのはコンプレックスです。だから、それが経験できればコンプレックスが多少は緩和されて自己評価が上がる気がしていました。自分にとっては関係ないことではないんです。

この増田の人の気持ち、メチャクチャ良くわかるなぁ。問題はあくまで「自分にとっての」コンプレックスなんですよね。で、こういうコンプレックスをバッチリ刻み込んだ人生を歩んできた僕としては、人生にはやっぱり年齢に応じた通過儀礼的な経験ってものがあって、それはそれなりに経験しといたほうが何かと生きやすいよね、と思うのでした(もう遅いけどな!)。

で、これが最も陰惨な形で現れてくるのが、最近ナツさんやmuffdivingさん達のサイトで触れられている「親の愛情を受けられなかった子供」の話だと思うんですが……話の重さが違いすぎるんで、敢えてリンクは貼りません*1。

【余談】

ちなみにid:citron_908さんは、

・The Life’s Like An Hourglass - あらかじめ失われた自己肯定の回復方法、または偽善者嫌いな人について
僕も高校とかの頃はなんか周りの価値観から浮いちゃってる自覚があって、それにものすごく違和感を覚えてたという。で、本気で物事に打ち込むとかそれ以前に、10代の頃は自尊心がグシャグシャになるような事ばかりあって打ちのめされちゃってた時期だったりもして、高校生にして「田舎に引っ込みたい」とか口走ってたくらいで。

と書かれていますが、僕も高校のとき周囲の価値観に馴染めず、将来は親の実家に引っ込んで農業をやろうと思い、夏休み丸々畑仕事の手伝いに行ったことがあります(笑)なんだか似てますね。

【追記 2007 12/13 PM.14:30】

そういえば、このブログで以前リア充(笑)に妬み爆発したエントリを書いたことがあったのを思い出したので、「ネットを周っていて「恋に友情に性に、もう青春真っ盛り!」みたいなサイトを見ると、どうしようもない嫉妬心がこみ上げてくる自分」のサンプルとして貼っときますね。

ここでまた、妬ましさ大爆発ですよ!あんたが今回書いたその自分語り文章こそが、俺が渇望して止まない「輝かしき青春」そのものですよ!俺にとっては青春なんて、非常におぞましい一生封印しておきたい時間の記憶でしかありませんよ!青春時代を「謳歌した」などと躊躇なく語れる時点で、俺から見たら充分に「輝かしい青春」ですよ!俺にとっては「休み時間、クラスに自分の居場所がある」ことですら既に「輝かしき青春」の条件を満たしているんです!俺の定義する「輝かしき青春」のレベルの低さをナメるな!嗚呼、妬ましい!妬ましい!妬ましい!!妬ましい!!

*1:「アダルトチルドレン」なんて言葉もあったっけ…