岸田文雄首相が年頭記者会見で「異次元の少子化対策」を表明し、柱の一つに児童手当など経済的支援の強化を挙げた。だが、その児童手当は2022年10月に所得制限が強化されたばかりで、中高所得層からは「子育て罰だ」との声があがる。児童手当はもともと目的が明確でなく、場当たり的な見直しが続いてきた。少子化対策と位置付けるなら、制度の仕切り直しも必要だろう。
61万人の子が「児童手当ゼロ」に
岸田首相は23年1月4日の会見で、4月のこども家庭庁発足に先駆け「異次元の少子化対策」を取りまとめると表明した。22年の出生数が80万人を割り込む見通しであることから、少子化の問題は待ったなしの課題だと語った。
その柱には、児童手当を中心にした経済的支援強化▽学童保育など子育て家庭へのサービス拡充▽働き方改革の推進――を挙げた。
とりわけ児童手当の扱いは注目が集まる。児童手当は所得制限を強化するなど、中高所得層を締め出す動きを強めているからだ。
児童手当は、子育てをする人に現金給付する社会保障制度だ。現在、中学生以下の子を育てる人が対象で、0~2歳は一律月1万5000円、3歳から中学生には同1万円を給付し、3歳から小学生の第3子以降は月1万5000円に増える。
ただし、扶養家族数に応じた所得制限があり、扶養家族3人では所得736万円(年収目安960万円)以上は「特例給付」となり、子1人一律5000円に減る。中学生以下の子1611万人(21年2月末)のうち約1割が特例給付だ。
さらに、22年10月から、扶養家族3人の場合では所得972万円(年収目安1200万円)以上は特例給付も対象外とした。中学生以下の子全体の約4%にあたる…
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