
浜矩子氏に聞くコロナ禍と世界経済(上)
新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。大きなダメージを受けた経済をどのように立て直したらいいのか。日本と世界の経済にはどんな変化が生じているのか。国際経済に詳しい同志社大学教授の浜矩子さんに聞いた。【聞き手は経済プレミア編集部・平野純一】
――新型コロナウイルスの感染拡大は収まる気配がなく、経済に大きなダメージを与えています。
◆浜矩子さん パンデミック(世界的大流行)という未曽有の危機に、私たちはいま直面しているわけですが、そのような時に、真っ先にしわ寄せがいくのは弱い人たちです。非正規雇用の人たちや、オンラインで単発の仕事を請け負うギグワーカーの人たちなどです。
ウーバーイーツの仕事は増えたかもしれませんが、スマートフォンを見ながら、今日はこの仕事、明日はあの仕事……というように働いている人たちは、注文がなくなれば、あっという間に収入激減です。
富裕層は「巣ごもり生活をしていればいい」くらいに考えているかもしれません。しかし、日々の生活をぎりぎりで送っている人たちには、少しのショックが致命的です。
人の痛みが分かる政策がない
――そこで手厚い政策が必要になります。
◆コロナによって経済は縮小し、バランスが崩れたわけです。このような時こそ、経済政策の出番です。経済政策には二つの使命があります。一つは「均衡の保持と回復」、もう一つは「弱者救済」です。
経済が均衡から外れるとは、極端にインフレになったり、デフレになったりすることを指します。いずれの場合もまず影響が及ぶのは弱者です。インフレで生活に必要なものが値上がりすると生活が行き…
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