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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「コウノドリ」風疹編で再論…「企業、学校が就職・入学の条件に「風疹予防接種済」を入れればいい」

この前紹介したとおり、「コウノドリ」が先週から『風疹編』に突入した。
ちなみに明日発売の「このマンガがすごい!」で、やはりこの作品が上位に行かなきゃおかしいと思います。まあ、同ムックにあればあるで、自分があとで選定する「マンガ十傑」にランクインさせたときに後追いっぽくなるから、別に選に漏れてもいいんだけど。

まあ、それはそれで。
で、第2回目の今回は、とある小さい企業の社長さんが出てきて、この人の娘が悲しいことに風疹によって視力や歩行に障害を持つことになってしまった。
それでも明るくふるまう、その子のけなげな姿を見て、社長さんは「会社の負担は重くなるけど、社員がワクチンを接種する費用を全額負担しよう…」と決心する。


それは立派な、いかにも日本的中小企業のいいところが出たような社長さんの振る舞いだが・・・せっかくなので、「社長」「風疹」というテーマなので再紹介したい。

■「風疹予防には試験、入学、就職の資格に「ワクチン接種済み」を加えればいい」という議論
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130719/p4

元ネタはこれ。

◇MRIC転載「風疹の流行を止める 簡単な方法」
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/001a68943bdafd3f52479826a0a379c3

(略)…すべての医系大学の関わる人にお願いしたい。母校に働きかけて、母校の全学部における入学試験にワクチン摂取歴もしくは抗体価の提出を。
受験するのに必要な願書の中に義務づけるのはどうだろう。反対する理由がどこにあるだろうか?

その次に、私立中学、高校に (OBの先生も沢山いることだろう) 働きかけることができる。すでに同級生が校長クラスになっている先生もいるだろう。学校医を務める先生もいるだろう。大学と同様、願書にワクチン摂取歴もしくは抗体価の提出を義務づける。どうせ、米国留学する時には必須なのだ。

そうして本丸である。風疹に限って言えばこの世代の予防が現在必須である。

一部上場、二部上場している会社にも産業医の方から働きかけをして入社に必要な履歴書に、ワクチン摂取歴もしくは抗体価の提出を半ば義務づけてしまう。
入社だけでなく、海外勤務などの異動の際には確認を必須とする。

病院では当たり前である。小児科医である小生が国立成育医療センターで卒後研修を受ける時にも、ワクチン摂取歴もしくは抗体価の提出が求められた。すぐれたシステムだと思う。これを拡張してゆくだけである。

「コウノドリ」の社長さんも、膝をたたいて賛同するだろう。


ただ、ひとついま再読して気づいたのだが、これを読んで非常に印象に残り、前回引用したのはもちろん「伝染病、感染症を自由な国家の中で強制力を使わずに防ぐ(何度か書いたが、国民を完全に統制・監視・動員できる非民主国家なら、号令一下に予防接種を受けさせる、という方法が一応可能になりやすい)」という点。
だが、まさにリンク先のブログにあるように「世間の「空気」や「合意」が、入学と就職のときの”フィルター”に反映されるとき、ソフトに、静かに社会を変える力となる」ということだった。
実際、リンク先ではその成功例として、『革マル派とか、ゲバ棒とか』な風潮を、その世代が就職の関門をくぐることで解消させた、という例を挙げている。(もちろん、個別の政治的信条をもっての具体的な就職差別はできないはずだが)


なんというか、「ああ、ここが社会の”ツボ”なのかな」という、恐ろしいような感動的なような指摘が含まれていたので、前回は印象に残ったのだな・・・という話を、いまさらながら。