kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

OROS けっこう良いです

こんにちは。

 

昨日僕が前に買った宇宙素材服ブランドのOrosについての質問があったので、書いてみることにする。

 

 

まず4,5年前のマクアケだったかのファンドでの出資でゲットしたのは薄いスウェットシャツみたいなやつと、比較的集めのアウター。まずスウェットには前後に耐熱材が3ミリほど入っているが確かに断熱性はかなり高くて素晴らしい。でも肩から腕はやたらと薄い素材なので、まあ全体としては普通くらい。1年使うと表面がザラつくのがちょっと問題。全体としてはとても気に入っていてよく来ている。

 

https://oros-japan.com/cdn/shop/products/17_360x.jpg?v=1629699908

 

もう一つペアになって送られてきたのは、今はもう発売されていないのだが、以下の商品に似た赤いブルゾン。これはちょっとサイズが合ってなくて小さいのと、表面の処置がザラザラしていて正直着心地が悪いので、クローゼットに眠ってる。いつか着なきゃとは思っているんだが、、、今は販売されてない。

 

ITINERANT Jacket アイテナラントジャケット – OROS JAPAN

 

全体に性能には文句はないんだが、表面加工やつくり、ポケットの配置・つくりなんかをまとめると、まだまだやはりコロンビア、ノースフェイスなどの有名ブランドには及ばない感がある。つまりまだ着心地、使い勝手が追いついていないのだ。しかし、Orosはなくならずに続いているから(すごいぞ、おめでとう)、また次の時期にでも買いたいと思っている。宇宙素材にはとにかく子供の頃から惹かれるので。。。がんばってもらいたい。

 

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Peter Turchinのクリオダイナミクスは一読の価値あり

こんにちは。

 

Peter Turchinはロシア生まれでアメリカに亡命した生態学者。だったが、この20年ほどは人間の生態学、つまり文明と帝国の発達・興亡などをシミュレーションで予測し、それを現実と比べるという「クリオダイナミクス‘(歴史動学)」を展開している。これは今世紀に入ってから急速に発展しつつある分野。

 

その中でも、ターチンの研究には目を見張る論文がいくつもある。例えば、2013年のProNASの「War, space, and the evolution of Old World complex societies」では、「超社会性」というヒトの行動形質=遺伝子群が、歴史時代を通じて度重なる戦争に有利になって、次第に人々が「遺伝的に」集団的・好戦的になっていくという。その様子が以下のように世界地図に表されているというものだが、確かに現実と酷似している。

 

 

同じ性質の拡散とついでに戦車(chariots)と重装歩兵・騎兵(cavalry)という武器・戦術の発達によって、帝国の巨大化もシミュレートされるが、これがまた現実にそっくりだという驚き。

 

 

これらを踏まえた著作が『国家興亡の方程式 歴史に対する数学的アプローチ』。これは、政治学・歴史学に真剣に取り組む学者にとって必読の素晴らしい本なので、ぜひとも読んでみて下さい。

 

さて彼は近著『エリート過剰生産が国家を滅ぼす』人間が(現代においても)殺し合うことを前提にして、現代アメリカの社会階層の分断によって2020年代から「大混乱」の時代に突入すると予測している。例えば、トランプなんかの民主主義のあからさまな否定のことね。でも、ホントにそうなるんだろうか??

 

 

確かに彼の研究から得られる指標から予測するとそうなるのだが、現代社会というのは殺人や混乱・内乱が起こりにくい。人命のコストはかつてなく高まっているからだ。そうした時代背景を考えると、大規模な動乱などが先進国で起こるとは、容易には想像できない。かなりの不満の高まりは起こるのかもしれないが、それが大衆暴動という暴力的レベルにまで発展するのだろうか? 

 

こうしたビッグ・ヒストリー系の研究はこれまでの普通の研究者のものよりも、はるかに説得力があるとは思う。がしかし、「100年程度の短期の歴史展開」については、実際の観察=歴史の展開を待つしかないように感じられる。

 

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Avishai Cohen とても良いよ

こんにちは。

 

僕は音楽的な才能がまったくなくて、高校時代にヒマが大いにあったので、勉強の気晴らしによく楽器を弾いていたのだが、とんでもなく低いレベルでしか演奏ができなかった。まあ、渡辺香津美のようにギターを持った瞬間からプロの曲が弾けてしまう人間がいるんだから、その反対もいてしまうということなのだろう。

 

で、84年の大学時代からはもう聞き専になって、友人と一緒にビル・エヴァンズとか、あるいは個人的にカシオペア、T―スクエア、デイブ・グルーシン、チック・コリア、キース・ジャレットなんかをよく聞いていた。アメリカに行ったときには、ドミトリーやアパートを転々を移動したので(多分20回ほど)ものと持つことが控えられて、一時的に自分の趣味は中断して、アメリカ各地に当時必ず1つ以上あったSmooth JazzのFMラジオ局を聞いていた。ま、もっと軽いジャズね。

 

自分が聴いてきたミュージシャンがどんどん亡くなって行くというのは寂しいものだ。自分の音楽発見、探索学習能力が急速に落ちているので、新しく自分が楽しめるものを探すのがとても難しい。道理で年を取ればとるほど昔の懐メロを聴くようになるというわけだ。これはポップスだけのことじゃなくて、多分ジャズでも自分が若いときに聴いた曲を聞きたくなるということなのだ。

 

それでもう還暦近いジジイがある時YouTubeをザッピングしていたら、Avishai Cohen というダブルベースの奏者が出てきた。トリオを組んで演奏活動をしているらしい。で、音楽を聴いてまぢで驚いた。その繰り返される繊細なリズムと印象的に装飾されつつ進む旋律の美しさ。なんか変な音楽だなとも感じたが、ハマってしまい、最近はこのバンドばっかり聴いている。じじいになると、聴いても覚えられなくなるので、昔の数倍もかけないと聴き込めないのがあれだが、それ以外はとでも良いものを見つけたという感慨がある。

 


www.youtube.com

 

ユダヤ人ジャズとでも呼ぶべきかもしれないが、独特の美しい魅力がある。みなさんも一度聞いてみて下さい。

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動物の解放(第?回目:笑)

こんにちは。

 

今日用事があって銀座を歩いたが、それにしてもいわゆるブランドの服というのは贅沢な動物製品が使われている。典型的には皮革のことだが、高級なものになればなるほど、動物性のものになるようだ。

 

多分、一つには本当に手触りや保温性の良いものが動物製品であることもあるだろうし、それを作り出すのに実際に金がかかるということも、高級品のシグナリングとして重要なのだろう。何度も書いているが、エルメスなんてほんとに触ると快適で、つくりも美しいんだが、それは高級な皮革製品の典型だ。

 

若かった頃に「動物解放」運動について聞いたときは、「不可能を論じている。偽善的でバカらしい」と感じたが、いつだったか(多分20数年ほど前)に自分が大人になったのか、シンガーの『動物の解放』を読んで「なるほど」と感じてほとんど同意した。もっとも説得されたフレーズは「Vegetarianism is not trying to be a sacred road to no harm. ベジタリアニズムは、無加害への神聖なる道ではない」というもの。つまり、ちょっとでも動物の苦痛が減ればよいのであって、ゼロにしなければ汚れてしまうような潔癖を目指す神聖なる活動ではないということだ。

 

 

 

ということで、僕は(基本的には)あまり動物製品を買わないことにしているのと、できるだけ多くの植物製品を食べることにしている。

 

これについては、例えば最近気になるのが、ダウンのコート。あるいはダウンの布団類。たしかに温かいのだが、ほんとにこの時代にダウンを超える素材ってないんかいな? ダウンって水鳥育てるわけだから、けっこう資源的に高つくよね。今どき、人が宇宙にまで行く。この時代に、なんらかの合成素材のほうがもう性能良いんじゃない? ということで、いつもキャンプファイヤーその他で「宇宙素材」みたいなものを買って、試しています。良いものがあったら、報告します。

 

あとは靴=スニーカー、カバン=リュック、財布なんかも、高級な製品には革が使われているけど、特に革を使う必然性はない。まあ、けっこう別の物でいろいろと面白い素材があるので、逆に楽しい部分ではある。

 

ということで、これは政治のような価値観の対立のない軽い話題なので、みなさんもぜひともwanna be vegetarian運動に参加して、別素材を楽しみましょう。売り出される商品は、普通は一流ブランドの商品よりははるかに安いので、財布もいたまないよ。

 

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遺伝と平等

こんにちは。

 

今日は『遺伝と平等』を読んでみました。著者はテキサス双子研究を実践してきた行動遺伝学者キャスリン・ページ・ハーデンです。でも、日本語タイトルは「人生の成り行きは変えられない」が正しいのでは?? と思うはずです。これは売らんかな日本語タイトルが完全におかしい、いやもはや科学的に誤っていることを表しています。残念。現代は "The genetic lottery: why DNA matters for social equality" でこれなら、まったくそのとおり。

 

 

 

この本は、確かに読む価値があります。なぜって、普通、行動遺伝学者たちは「どういった心理特性がどの程度遺伝するのか」には興味はあっても、それを真正面から「平等」という理想とどう接合するかにはあまり興味がないようだから。

 

(しかし、おめでたい、あるいは自然科学の徒としてあまりにバカらしいと感じるのは、行動遺伝学の知見は「特定の人種内」でしか通用しない=黒人と白人の行動上の差異は、白人集団から得られた遺伝学的な予測、あるいはポリジェニックスコアとは無化研だという主張。これはただのバカ。

 

本当にそうなら、なぜ各人種のポリジェニックスコアが、集団のIQ(あるいはPISA)のパフォーマンスと一致するのかが説明できない。明らかに、(過剰な平等主義に基づく)バカらしく無理のある断言。こういうのはやめてもらいたい。)

 

しかし、この人種間の差異へのおかしな盲目的否定のほかは、すばらしい内容です。左翼としてハーデンは、ロールズの格差原理や自然くじの概念を遺伝学から肯定していますが、そうしたアプローチそのものが真新しく興味深いわけです。現代の科学を踏まえて平等を目指す左翼は、少なくともこうした議論を展開すべきですね。

 

最後に、この問題についての僕の意見としては、どこまで行っても「自然科学からの知識」という存在の概念は、「どういった社会が望ましいのか」という当為概念とはまったく別のものだというもの。どのようにくっつけるのも自由であり、どのバリエーションでも、論理的に成り立ち得る。

 

僕自身は、平等よりも自由や文明の発展が重要だと思っているだけのことで、それはハーデンやロールズとは違うということなのだろう。

 

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特異点はより近く

こんにちは。

 

さて今日は『特異点はより近く』を読んでみました。この著作は2005年の『特異点は近い』の続編で、著者カーツワイルが「未来はこんなにすごいことが起こるぞ」というテーマを、20年前と再びまったく同じ調子で展開するというものです。

 

 

 

シンギュラリティ=特異点とは人間の脳がシリコン脳と接続して、人間の知性がその処理能力において圧倒的に拡張される状態のことです。2045年だと前作で言っていましたが(これには当時マジで驚いた)、今も45年だと断言しているのは実に潔くて素晴らしい!

 

でも前作ではナノマシンが発達して細胞レベルで修復が起こって老化現象が止まり人間は永遠に生きる、あるいは3Dプリンティングでタンパク質合成が起こり、すべての食物が限りなく安く手に入る用になる、などいろいろなことを主張していたのですが、それはあと20年ではとても起こりそうもありません。

 

おそらくコンピュータの計算能力だけはカーツワイルの予想通りに高速化してきたし、これからもするでしょうが、そもそもどうやって接続するのか? という問題はまったく謎です。マスクのニューラリンクが直接的な脳・シリコン直結を試みていますが、どれほどに抽象的な思考がコンピュータの扱うデータと融合できるのかは、僕にはかなり疑問だと思われてしまいます。まあ、それでも100年もすれば、あるいはその端緒が見えてくるのかもしれないけれど。。。

 

ということで、僕はカーツワイルという人はトンデモさんではあるが、それでも一抹の可能性を感じるので、知的な語り部として最高の人だと評価します。ちょうど、イーロン・マスクが火星に行くというのと同じくらいバカらしいし、ありえないとは感じているのですが、もしかするとアリかも。

 

そう思わせてくれるだけでも、この本を読む価値があるでしょう。なんなら前作『特異点は近い』もオススメです。なんと20年前に書いたにしては、たいへんに大胆な予測! 楽しめるはずです。

 

 

 

悪人が上に立つ

 

僕が「??」と感じた点は、要するに、本書の内容が完全に「政治的に正しい」ばかりを擁護していることにある。政治的に正しい主張には多様なものがある。

 

 

1.「身長の高さは過去のリーダーシップ・身体能力のシグナルとしては意味があったが、現代の政治家としては無意味だ」というもの。これは違う。実際には、身長の高さは遺伝的な身体能力だけでなく、知的能力も、そして発達・発生の正確さ=ストレス耐性も同時に表している。これらは現代の政治家として、また個人の魅力としても実際に有効な資質だろう。

 

2.女性が政治リーダーになると、民主度が高まり、平等・再分配政策が進められる。これは事実だが、同時にそれは大きな介入的政府を生み出し、人々の自由を奪ってきた。社会の繁栄にとってどちらが望ましいのかは価値観による。僕としては、みんなで貧しく平等な社会に住むより、不平等を含んではいても平均所得が成長していく社会に住みたい。これは価値観の問題なので、別に貧しい平等を目指すのもありではある。

 

3.フォーチュン500を使って男性のリーダーばかりを嘆くのは政治的に正しいし、おそらくは確かにアメリカ社会の人種差別を反映しているに違いない。だが、現代の多くのテック企業の著名な創業者たちはそもそも機械オタクで、そうした興味は男性に圧倒的に顕在化している。潜在的な能力はさておき、そもそも女性は世界を変えるようなプログラムや機械・科学技術に興味を持つことが少ないのだ。そうした現実の心理的な性差を無視して「アメリカの大企業は男ばかりに率いられている」というのは、あまりにお気楽だ。

 

というわけで、なんか気になるところもあるが、野心的な大著であることはまちがいない。あまりに情報量が多いこと、内容がてんこ盛りで詰め込み過ぎであるとも感じたが、読み応えのある本だ。一読の価値があるので、おすすめしたい。

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