なんとも心寂しいカップルが、自閉症の子供を訴える裁判の話

9歳の自閉症の子供を1年前に近所に住んでいたカップルが犯罪者として訴えた話。こちらをクリック→自閉症の子供を公的不法妨害と訴えてるカップル

あまりに情けなくて、訳する正常メモリが働かないので、とりあえずリンクをあげてみました。内容は、

近所の子供が自閉症で、人の家にあがったり、バナナを探したという理由で、公的な家(普通の借家)に公的不法妨害として、住めないようにしてほしいという訴訟。

4つの罪で子供とその家族を訴えているらしい。現在版の魔女狩り。子供は27kgもない子供。その子がいたずらしたからという理由でその子の家族も犯罪者で、子供も家族も隔離って...。すでにその自閉症の子供がいる家族は1年前に引っ越ししているというのに...。なんでいまさら裁判?さらに、裁判の費用も出してほしいってって訴えるって??現在版の魔女狩り。
4つの罪はこれです。

1.まずは6年間に渡る悪戯。これは「パブリックニューサンス(公的不法妨害)」として少年を指定してほしいと。内容はバナナをとったり、お菓子を探しに家に入ったり、物を塀の上から投げたり、車を蹴ったり(ノーダメージ)、子供の髪の毛を引っ張ったり、人を蹴ったり(ノーダメージ)、ヘルメットを投げたり等。悪戯をやった期間中、男の子は3〜9歳で、60パウンド以下。(だいたい28kg)

パブリックニューサンスとは、ゴミを撒き散らしたり、騒音を鳴らし続けたりする行為で、社会的な「厄介者」というようなニュアンスがあります。社会の人たちがその人の行為によって、継続的に安全な生活が営めない行為ですね。
実際のところ、この子供は何もダメージを加えていないし、誰も傷つけていない。じゃ、飼っている猫が隣の家の敷地に入ったら、もう飼い主は犯罪者?赤ちゃんが大人の髪の毛をひっぱったら、家族もあかちゃんも犯罪者?そのレベルの話です。

2番目は土地の金銭的ダメージ。男の子がいて悪戯を続ける限り、近所の人達は「家を売りにくくなった筈」「今『ホット』である不動産業に対してものすごいマイナスな影響をもたらしている」

いやー。そんなことで地域の不動産が安くなるんだったら、一気に買い手がついて、逆に困らないはず。シリコンバレーはその家の近くに重度の過去に性犯罪を犯した人がいたとしても、その家の中で殺人があったとしても不動産の値段があまり変わらないということで有名な土地。こういう殺人や、人が死んだとか、元性犯罪者の居場所はあきらかにするという法律があるので、わかることですが、そもそも自閉症が近くにいるということは近所の人が話さない限り、わからないと思うんだけど?

3番目はプライバシー侵害や個人へのダメージ等。サニベルに住む訴えているカップルは、親を訴えるつもりでいます。親権放棄をしろと述べています。親権放棄の理由は子供を指導できず、ネグレクトしてる。子供を拷問してる等の理由。

ネグレクトしながら、拷問?なんだか違う気が..どういう拷問をしたとかないので、イマイチわからないんですが。

4番目は弁護士費用を払ってほしいと。近所や公の皆さんの代わりにやっているので自分達のお金を使った分払い返してほしいらしい。

これは近所の人も、本当にこの訴えてるカップルと同じ意見だったら。集団訴訟にした方が、強くなるし、賠償請求の額もケタが違ってくるはず。なぜ集団訴訟にしないのかなーと思う訳で。
さて、この裁判で万が一自閉症の家族が完敗した場合はどうなるのか?
これからは自閉症の家族はホームレスになってしまう確率があがり、破産する事になるかもしれない。あとプライバシーを全て侵害され、コミュニティーの誰でも自閉症を持つ個人の医療やセラピーや学校関連の書類を全て勝手に見れる事になります。
あと障害者の為のグループホーム制度もなくなる可能性大。さらに自閉症の子供達の家族は(もしこの裁判が通れば)全員犯罪者になる可能性も大。もし裁判で自閉症の子供の行動を制限するという制度が通ってしまった場合は障害者の家族が子供がミスをしない様に常に気を張るという事になるということですね。

なんだかいろいろわからないことが多いですが、普通は大人なんだから、次にすることは、
「どの子供も安全に幸せに暮らすためにはどうしたらいいか?」
を知恵をしぼって工夫することであって、排除排除することではないはず。あまりに貧困な発想で、読んでて訴えているカップルの心の寂しさが感じられる裁判です。
実際のところ、この子供は何もダメージを加えていないし、誰も傷つけていない。じゃ、飼っている猫が隣の家の敷地に入ったら、もう飼い主は犯罪者?あかちゃんを抱いた事がある女性なら誰でも体験する「赤ちゃんが大人の髪の毛をひっぱるという行為」これもやったら、家族も赤ちゃんも犯罪者?そのレベルの話です。

私が不思議に思う事は、この裁判、カップルが勝つことはないだろうし、その前までに障害者のサポートグループが全米で意見をする可能性大。そうなったら,
世界に5人(正確には5.5人)に1人は、なんらかのサポートがいると言われるほど障害者が多い社会で、こういうカップルのような人を雇えば、職場になんらかの障害がある人がいる会社になると、確実に不調和音をだすという判断を下すでしょう。社員の中には、事故や病気で、一時的でも障害のある人になる場合もある訳で。雇用する側としては、超ハイリスクな人材になるので、自分たちの就職も難しくなってきますよね。さて、どうしてそこまでリスクを負いながら、こういう裁判をおこすのか、非常に興味深い裁判ではあります。初回公聴会は9月22日で。この被告の家族を支援したい人たちが傍聴席に座る事はWelcomeだそうです。