知らないと損する英語の速読方法(2)

今週もやってまいりました。『知らないと損する英語の速読方法(2)』、その1はこちら。

本日は、英語読解を加速する1つのテクニックと1つの知識をご紹介。しかも後者は、アカデミック・ライティングにも役立つというスグレモノです。
 

立ちはだかるFixationの壁

まずはテクニックから。このテクニックは速読には必須ともいえるもので、逆にそれだけ効果が大きいものでもあります。

私たちは、書いてあることを理解する時に、ほんのわずかの間、視点を1点に固定します。これをFixationといいます。1秒に可能なFixationの数を4回とし、1回のFixationにつき1単語を読むとすると、1分間に読める単語数は、
1(単語)*4(Fixation/秒)*60(秒)=240単語/秒となります。大体このあたりがアメリカ人の中の下レベル。この3つの数字のうち、1分=60秒は固定ですので、増やすならFixation頻度か単語数ということになります。しかし、Fixation頻度というのはなかなか増やしにくいので、ここでは単語数を増やすことにします。

ここで1回のFixationにつき2単語読めるとなると、分速は倍の480単語/分となり、この時点でかなりのスピードリーダーです。まずはこれを目指しましょう。

 

Fixationあたりの単語数を増やす

では、どうやったらFixationあたりの単語数が増えるのでしょうか。ここでは2つの方法をご紹介します。
まずは1つ目、慣れです。
1回のFixationあたりの単語数は、意識的に2〜3単語を一度に視界に入れながら読むことによって、意外と簡単に増加します。日本語は、英語と違って単語ごとにスペースが入りません。このため、1度にたくさんの文字を読める日本人は、Fixation毎の単語数を増やしやすいといえるのです。
ただ、難しい単語が出てくると、どうしてもそこに集中しがちなので、ここをトレーニングする際には、ラダーシリーズなどの簡単な本を読むことをオススメします。
 
しかし慣れだけじゃ不安だよ、という方のためのもう一つの方法は、数字記憶法です。
これは、マインドマップ開発者のトニー・ブザン氏によってお勧めされている方法で、1瞬だけ表示される2〜6桁の数字の全体を見て覚える訓練を通じ、Fixationあたりの単語数を増やします。ランダムな数字を紙に印刷して、それを一瞬だけ見て覚えるという方法もあるのですが、それでは色々面倒だという人もいると思いますので、とりあえずこのフリーソフトをお勧めしておきます。トニー・ブザン式リーディングがしたい方は、Speed Reading (Buzan Bites)をどうぞ。

 

文の構造を知る

速読加速のための知識とは、ズバリ英文の構造を知ることです。
 
アメリカの作文の宿題では、文章の構成法さえ良ければ、「人を殺しても良い」という結論に至っても評価されると言われます。英文における文章構成法とは、それほどまで重要な地位を占めているのです。
これは、別の観点から見れば、文章構成法が分かれば、英文がずっと読みやすくなるということでもあります*1。目の前に現れる風景だけを見て歩くよりも、地図を持って歩いた方がずっと早く目的地に到達できるのと同じです。
では、英文とはどのように構成されているのでしょうか。

この点については、『やさしく書ける英語論文』という名著が詳しく書いてくれているので、本当はそちらを参照していただきたいのですが、一応以下でもミクロな視点とマクロな視点に分けて簡単な説明をしておきます。
これらの視点をリーディングに付加することで、メリハリのあるリーディングが可能になります。また、TOEFLエッセーなどで強力な武器として使うことも可能です。
 

マクロな視点

まずは章や節といった大き目の視点から、全体的にどういう構造になっているのかということを説明します。ここで知っておかなければならないことは大きく分けて2つで、1つ目は、最初のパラグラフはIntroductionであるということ、もう一つは結論からサポートへ、ということです。
 
つまり、英文では、章や節といった区切りの最初には、大概Introductionが置かれており、そこをきちんと読んでおくことで後の流れが分かりやすくなるのです。このIntroductionのアイディアを常に意識することで、文章がどのように発展していくかが分かり、速読を助けることになります。私のモンゴル人の友人*2は、2000単語/分で英文を読みますが、イマジネーションとイントロダクションが速読の鍵だと言っていました。IntroductionをImaginationによって膨らませながら読むことで、速さに流されない速読が可能になるのです。
 
もっと詳しく知りたい方は前述の『やさしく書ける』を読むか、それでも買うほどじゃあないなという方はこちらのサイトをご覧ください。
 

ミクロな視点

ミクロな視点とは、パラグラフ(段落)に関するものです。
英文のパラグラフでは、最初に一般的・抽象的・結論の・強い文が置かれ、後に個別的・具体的・サポートの・弱い文が置かれる傾向にあります。例えば論文などでは、段落の最初にその段落で示したいことが書かれ、後にその裏づけが書かれたり、あるいは最初の文で抽象的なアイデアが書かれ、後にそれが具体化されるなどの書かれ方が為されます。この最初の文をトピック・センテンス、同段落の続く文をトピック支持文と呼びます。

 

まとめ

またもや唐突にまとめです。
今回のエントリは、1回のFixationあたりに読む文字数を増やすテクと英語の文章構成法についてでした。
 
『知らないと損する英語の速読方法(3)』に続きます。かしこ。
 
関連エントリ:
知らないと損する英語の速読方法(1)
知らないと損する英語の速読方法(2)
知らないと損する英語の速読方法(3)
『Break-Through Rapid Reading』〜読書、この未知なるもの
知らないと損する英語の速読方法暫定まとめ

*1:特にノンフィクション。

*2:たまに英語のスピーキング鍛えてもらってます。モンゴル語と日本語、英語に加えロシア語とフランス語も流暢に話し、現在ドイツ語を勉強中だそうです。モンゴルの弁護士資格も持ってます。