【ついき秀学のMirai Vision】脱デフレ 思い切った金融緩和を
2010年 09月 18日
サブプライムショック、ギリシャ危機と、ここ数年、日本は“外来”の経済危機のせいで、長期不況から抜け出せないでいます。しかし、日本が長期にわたって不況を続けているのは、外国のせいではなく、常に後手に回ってきた政府・日銀の経済政策に原因があります。
特にここ数カ月は、急速に円高と株安が進んでいることを受けて、その対応が喫緊の課題になっていました。そこで市場関係者などからは、もう一段の金融緩和を期待されてきたわけですが、通貨当局の動きは鈍く、日銀が追加の金融緩和を決めたのは、ようやく8月末に至ってからでした。
しかし、対応が遅きに失した上に、従来行ってきた新型オペの供給額を10兆円拡大するという「小出し」の内容とあって、市場に安心感を広げることはできませんでした。その結果、9月に入ってからも円高・株安への流れは止まらず、15日に政府・日銀は6年半ぶりに円売り介入を実施しましたが、その効果は限定的なものにとどまるとの見方が少なくないようです。
◆打つ手は山のようにある
一方、米国のバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長は、サブプライムショック以降、事実上のゼロ金利を導入したり、1年足らずでマネタリーベースを2倍以上に激増させたりと、積極的な金融緩和を行っています。日銀が追加の金融緩和策を見送った8月10日にも、FRBは国債購入の拡大を決めています。まさに日本とは対照的な動きを見せているわけです。
実際、日本にはまだ多くの手が残されています。例えば、次のような金融緩和政策です。
■ゼロ金利導入(現在0.1%)
■長期国債の買い取りの増額(日銀券ルールの撤廃)
■量的緩和
■インフレターゲットの導入(3~4%程度)
■政府紙幣の発行
■銀行紙幣の発行
言うならば、いくらでも打つ手があるわけですが、通貨当局には金融緩和に対する慎重論が根強く、むざむざと今日の景気の低迷を招いてしまったわけです。
◆銀行紙幣の発行も視野に
約25兆円といわれる需給ギャップを解消し、長期化するデフレを克服するためにも、また急激な円高を緩和するためにも、今ほど金融緩和が求められているときはありません。
慢性的なモノ不足に陥っていた戦争直後ならともかく、今日のような需要不足の状態であれば、ハイパーインフレの心配もありません。事態が悪化するたびに、その場しのぎの小出しの対策を講じるのではなく、マーケットに十分なインパクトを与えるだけの大胆な金融緩和策を断行すべきです。
日銀がどうしても金融緩和を嫌がるのであれば、政府自身で紙幣を発行するなり、メガバンクが発券銀行となって通貨を発行するなりすればよいのです。これは奇策でも何でもありません。明治期には民間銀行が紙幣を発行しており、インフレを抑えるために中央銀行を設立して通貨発行を独占するようになったに過ぎないのです。
非伝統的な金融政策をズラリと並べ、断固としてデフレ不況から脱出するのだという強い意志を示してこそ、市場は反応し、適度なインフレ期待から国内消費も活性化します。
代表選で勝利した菅首相は、まさにこの意味での指導力を発揮できるかどうかが問われています。しかし、首相に就任してからの3カ月間で、円高と株安が一層進んでいるという事実を見れば、ほとんど期待はできないと言わざるを得ないでしょう。
SankeiBiz⇒こちら
◇
【プロフィル】ついき秀学
ついき・しゅうがく 1971年、大阪府生まれ。東京大学法学部政治コースを卒業後、宗教法人幸福の科学に入局。財務局長、専務理事などを歴任。2009年、幸福実現党に入党。10年7月、幸福実現党党首に就任。妻と2男の4人家族。趣味は読書と散歩。
特にここ数カ月は、急速に円高と株安が進んでいることを受けて、その対応が喫緊の課題になっていました。そこで市場関係者などからは、もう一段の金融緩和を期待されてきたわけですが、通貨当局の動きは鈍く、日銀が追加の金融緩和を決めたのは、ようやく8月末に至ってからでした。
しかし、対応が遅きに失した上に、従来行ってきた新型オペの供給額を10兆円拡大するという「小出し」の内容とあって、市場に安心感を広げることはできませんでした。その結果、9月に入ってからも円高・株安への流れは止まらず、15日に政府・日銀は6年半ぶりに円売り介入を実施しましたが、その効果は限定的なものにとどまるとの見方が少なくないようです。
◆打つ手は山のようにある
一方、米国のバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長は、サブプライムショック以降、事実上のゼロ金利を導入したり、1年足らずでマネタリーベースを2倍以上に激増させたりと、積極的な金融緩和を行っています。日銀が追加の金融緩和策を見送った8月10日にも、FRBは国債購入の拡大を決めています。まさに日本とは対照的な動きを見せているわけです。
実際、日本にはまだ多くの手が残されています。例えば、次のような金融緩和政策です。
■ゼロ金利導入(現在0.1%)
■長期国債の買い取りの増額(日銀券ルールの撤廃)
■量的緩和
■インフレターゲットの導入(3~4%程度)
■政府紙幣の発行
■銀行紙幣の発行
言うならば、いくらでも打つ手があるわけですが、通貨当局には金融緩和に対する慎重論が根強く、むざむざと今日の景気の低迷を招いてしまったわけです。
◆銀行紙幣の発行も視野に
約25兆円といわれる需給ギャップを解消し、長期化するデフレを克服するためにも、また急激な円高を緩和するためにも、今ほど金融緩和が求められているときはありません。
慢性的なモノ不足に陥っていた戦争直後ならともかく、今日のような需要不足の状態であれば、ハイパーインフレの心配もありません。事態が悪化するたびに、その場しのぎの小出しの対策を講じるのではなく、マーケットに十分なインパクトを与えるだけの大胆な金融緩和策を断行すべきです。
日銀がどうしても金融緩和を嫌がるのであれば、政府自身で紙幣を発行するなり、メガバンクが発券銀行となって通貨を発行するなりすればよいのです。これは奇策でも何でもありません。明治期には民間銀行が紙幣を発行しており、インフレを抑えるために中央銀行を設立して通貨発行を独占するようになったに過ぎないのです。
非伝統的な金融政策をズラリと並べ、断固としてデフレ不況から脱出するのだという強い意志を示してこそ、市場は反応し、適度なインフレ期待から国内消費も活性化します。
代表選で勝利した菅首相は、まさにこの意味での指導力を発揮できるかどうかが問われています。しかし、首相に就任してからの3カ月間で、円高と株安が一層進んでいるという事実を見れば、ほとんど期待はできないと言わざるを得ないでしょう。
SankeiBiz⇒こちら
◇
【プロフィル】ついき秀学
ついき・しゅうがく 1971年、大阪府生まれ。東京大学法学部政治コースを卒業後、宗教法人幸福の科学に入局。財務局長、専務理事などを歴任。2009年、幸福実現党に入党。10年7月、幸福実現党党首に就任。妻と2男の4人家族。趣味は読書と散歩。
by happyscience
| 2010-09-18 00:37