「他人に期待するとギャップがあった時に勝手に裏切られた気持ちになるので期待しない」というスタンスをたまに聞く。実は自分もそのスタンスを取っていた時期がある。
今は少し考えが変わって、"相手に明確に期待を伝えること" と "相手がそのとおりに動くと期待すること" は分けて考えるほうがいいと思っている。このあたりの話を雑に書いてみることにする。
「相手に期待しない」というスタンスは、楽なようであんまり楽じゃない。たとえば夫婦生活でもそう。「期待しない」ってのは合理的で聞こえはいいが、よほど心の弾力を失っていないかぎりは結局だんだんと不満がたまってイライラしてくる。「俺、正直感情がなくて全てが滑稽に思える」を地でいけるくらいの人じゃないと厳しいと思う。
「相手にこうしてほしい」という期待を明確に伝えられるスキルは身につけたほうがいい。内容、タイミング、伝え方などスキルとして磨けるところは色々ある。どんなことでもそうだが、自分でコントロールできるようにするにはどうしたらいいかという考えを持っておくと楽になる。
その上で、明確に期待は伝えつつも「相手がそのとおり動いてくれることは期待しない」というスタンスがよいと思う。期待値を下げておくというのも自分でコントロールできることと言える。なんというか、期待しないわけじゃなくて "期待しすぎない" の方が近いかもしれない。芦田愛菜氏も似たようなことを言っていた気がする。*1
仕事でも一定以上の大きな成果を出すなら周囲を巻き込むことが必須になってくる。その時には "期待を伝えて動いてもらうスキル" が非常に重要。これはマネージャーでもプレイヤーでも同じ。自分の経験で言えば、明確に期待を伝えられるとそれに応えようとしてくれる人が多い気がする。これは自分の人の運がよかっただけなのかもしれないけれど。
「期待しないから何も伝えない」だと結局しんどくなる。「期待を伝えた上で期待しすぎない」というのがよいと思う。期待を伝えるというのは正解がないことが多いのでむずかしい。このスキルを磨くには実践で数をこなすしかない。誰かに何かを依頼したりフィードバックしたりする機会の数がそのままスキルとして積み上がっていく。
とはいえここまでつらつらと書きつつ雑なことを言うと、結構めんどくさいのであんまり肩肘張って無理しなくてもいいと思う。あくまで「相手に期待しない」というのはたぶんそんなに楽でもないというだけの話である。