著作権の「権」の字の行方(その1)

 えー、まずは語り尽くされた話ですが、「のまネコ」です。

 自分のエイベックスに対する意見を先に言うと、
「プロモーション手法としてはマイアヒ・フラッシュは非常に面白い。ネットとリアルとの連動という点では最も成功したもの(音楽関連に限れば)じゃないかと。口コミとビジネスとその中間点の模索と言う点でかなり斬新だし面白いし賞賛される部分もあるのではないかと。またネットの有象無象をビジネス化する手法をここまで大々的にチャレンジしたのも珍しい。今まではせいぜい同人ビジネスと組み合わさっての手法しかなかったような。ただ、エイベックスの最大の問題点は著作権グレーのものに対して著作権の主張を行ったこと。先だってのコロンビア・ソングスと中虎連合会の『六甲おろし』問題のように、クリエイティブを主張する会社が最も注意するべき点をおざなりにした。最初にグレーのものを扱ったわけだから、グレーのものはグレーとして扱うべきだった。ビジネスとしては正しかったかもしれないが、そもそも扱っている商品がれっきとした商業著作物であるエイベックスが著作権をおざなりにしたことは、会社として良い悪いを通り越して『恥ずかしい』と思うべきではないか」
 てなところですか。


 モナーは2chのアスキーアートから自然発生的に生まれ、2chというコミュニティの中の共通言語の一つとして進化していった。誰が作ったとかを穿り返すのはナンセンスだし、くだらない。モナーはモナーでいいし、今後もそうだろう。
 ただしアスキーアートが誕生するのは2chからだけではない。小中高生のメール文化の中には多数の顔文字絵文字が存在するし、それを2chから生まれたというのもまたナンセンス。つまり、曖昧なものなんですよ。何もかもが。

 そもそも2ちゃんねるにある大半のものは著作権としては大幅に限りなく黒に近いグレーのものである率が高い。「おっぱいうp」だって、みんな自分で撮って来たおっぱいをアップしているのではなく、どこかのサイトから持ってきたおっぱいだ。そのおっぱいは2chのものではなく、著作権を侵害したおっぱいだ。


 まあ、しかしこれは極端な意見で、ここまでを否定するのはさすがに思いやりがないというのが正直なとこでしょ。「テープのダビングは悪だ(Home Taping Is Killing Music!)」を突き詰めると音楽の発展を阻害するってなもんで曖昧な部分を「あえて」残しているように、ある程度は「信義則」に沿って行うみたいな部分が残ってるわけです。


 エイベックスは恐らく2chだけではなく若い層のメール文化などもあいまって、この企画を立ち上げたのではないかという気もする。2chがどうかと言うよりも、「顔文字やAAは普及してる!ウケルはず!」というところからプランをスタートさせたんではないだろうか。

 ただ、取り違えちゃいけないのはやはり著作権侵害は著作権侵害だし、グレーはあくまでも灰色であって白ではないことだ。白ではないのを理解した上で取り扱わないと、むしろ著作物をスポイルしかねない。


 ともかく恥をかいたのはエイベックス。新商品開発能力はあっても、著作物に対するスタンスと管理能力の甘さを露呈した。まあ、恥ずかしいですわな。八百屋が野菜腐らせるようなもんだ。


 とここまでが前段(長い!)。
 次エントリーに続きます。